「月次決算を導入するメリットはあるの?」
「月次決算を導入する際の注意点は?」
このように、月次決算を導入するメリットや注意点が気になっている方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、月次決算を導入することで具体的な数字を毎月確認でき、経営判断に役立てられます。今回は、月次決算を導入するメリットや注意点を紹介します。
導入を検討する前に!月次決算とは?
そもそも、月次決算とは何なのでしょうか。月次決算を導入するメリットや注意点を理解するためにも、まずは月次決算の意味や目的を確認しましょう。
そもそも月次決算とは?
月次決算とは、1か月ごとの財政状況を明らかにするために行う決算のことです。
月次決算は年次決算とは異なり、法的な義務はありません。そのため、月次決算の導入の有無は企業の自由と言えます。
月次決算を導入する主な目的
月次決算を導入する主な目的は、毎月の会社の財務状況や損益を可視化し、経営管理に役立てることです。
年1回の決算では経営判断が遅れる可能性がありますが、毎月決算を行うと月単位の状況変化や季節変動などを把握できるため、経営判断の精度を高められます。
なお、月次決算ではフォーマットなどは決められておらず、自由に設定できます。
月次決算の手順
月次決算を行う上で大切なのは、正確性と素早さです。
基本的に、年次決算と作業手順は同じですが、1か月以上かかる年次決算と同様に進めていては間に合いません。そのため、月次決算は段取り良く進める必要があります。
ここでは、段取り良く進めるために月次決算の流れとして、以下の7つを紹介します。
- 現金・預金残高の確認
- 月次棚卸
- 仮払金・仮受金の整理
- 経過勘定の計算
- 各種費用の計上
- 月次試算表の作成
- 月次業績報告
上記の手順通り、スケジュールを組んで段取り良く進めていくことで、正確な月次決算を作成できます。
1.現金・預金残高の確認
最初に行うのは、現金・預金勘定の帳簿残高の確認です。
現金は金庫にある金額を数え、預金は記帳することで、間違いの有無が確認できます。間違いが見つかった場合は、原因を追究し修正しましょう。
2.月次棚卸し
月末における在庫金額を確定します。
年次決算とは異なり、月次決算では「棚卸資産管理手続き」が整備されていることを条件に、実地棚卸の省略が可能です。
3.仮払金・仮受金の整理
仮払金・仮受金の用途を明らかにし、適正な科目に振り分けます。
4.経過勘定の計算
未払費用と前払い費用の計上を行います。
年次決算では、経過勘定の計算に膨大な時間を費やしている企業が多くあります。しかし、月次決算の場合は対象項目や計上基準を最初から設定しておくことで時間の削減が可能です。
5.各種費用の計上
各種費用は、それぞれの費用ごとに計上方法が異なります。
例えば、減価償却費や退職給付金は、年間費用を見積もった上でそれぞれの12分の1の金額を計上しなければなりません。
減価償却費や退職給付金の他に月割計上処理を必要とする費用として、以下の4つがあげられます。
- 賞与(通常年間2回払い)
- 労働保険料(通常年3回払い7、10、1月)
- 各種保険料(損害保険は年1回払い)
- 固定資産税(通常年間4回払い)
上記の費用に関しては、年間費用を払う回数で割って計上します。
6.月次試算表の作成
月次試算表の作成には、以下の4つの資料が必要です。
- 損益計算書
- 貸借対照表
- 資金繰り表
- その他(前年同月対比表、売上高推移表、在庫一覧表など)
上記の資料を基に、月次試算表の作成を行いましょう。
7.月次業績報告
月次業績報告では、月次試算表を参考に年間計画額との増減を予測します。
月次試算表から現在の経営状況を把握でき、経営管理に役立てることが可能です。
月次決算を導入する3つのメリット
月次決算にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットを解説します。
年次決算の負担を軽減できる
月次決算を行うことで、年次決算の負担が軽減できます。
月次決算を行わなかった場合、年次決算で膨大な資料の処理が必要です。限られた時間の中で大量の処理をするため、急ぐあまりミスをしてしまうかもしれません。
しかし、月次決算を行うと会計処理の間違いにも月毎に対処できるので、年次決算の精度を高めることが可能です。年次決算業務の効率化にも繋がります。
金融機関から融資を受けやすくなる
金融機関の融資は、会社の状況を調査した上で行われます。月次決算の報告書を金融機関に提出することで、早めに融資してもらえる可能性があります。
また、月次決算をしていない企業は多いため、月次決算をしていること自体が高評価となり、融資されやすくなることも考えられます。
経営判断に役立てることができる
月次決算では具体的な数字を毎月確認できるので、トラブル時に素早く対策が可能です。
もし年次決算だけを行っていると、トラブルが過去のものとなり問題解決が困難になる可能性があります。しかし、月次決算を行うことで問題にすぐ気づけ、経営判断に役立てられます。
月次決算を導入する2つのデメリット
月次決算の導入は多くのメリットを生みますが、デメリットがないわけではありません。効果的に月次決算を導入するためにも、デメリットを把握し事前に対策しておくことが大切です。
ここでは、月次決算で考えられるデメリットを2つ解説します。
業務負担が大きくなる
月次決算は、年次決算と違い基本的には毎月行われるものなので、担当者の業務負担が大きくなる可能性があります。
ただ、月次決算の導入前にあらかじめ対象や処理方法を決めておくなど、円滑に業務遂行ができる仕組みを構築しておけば、担当者の負担を減らせます。
とはいえ、導入したばかりの頃は試行錯誤も多く、どうしても作業負担が増えがちです。慣れるまでは多くの社員で手分けして行うことをおすすめします。
混乱やトラブルが起きる
月次決算を導入する際には、混乱やトラブルが起きる可能性があります。なぜなら、月次決算を導入するには、複数の部署と連携する必要があるからです。
全ての部署の社員に会計処理のルールを遵守してもらえれば、最初から上手く月次決算を行えるかもしれません。しかし、従来の業務の一部が変更され新たなルールを強いられるため、月次決算に対して不満を持つ社員が出てくる可能性もあります。
あらかじめ混乱やトラブルを推測し、できる対処をした上で月次決算を導入しましょう。
月次決算を導入する際に気を付けるべき2つのポイント
月次決算のメリット・デメリットを踏まえ、導入する際に気を付けるべきポイントを3つ紹介します。
目的の明確化
月次決算を導入する前に、目的を明確化する必要があります。理由は、目的がないまま月次決算を導入しても自社の利益には繋がらないからです。
本来、月次決算の導入目的は経営管理に役立てるためですが、月次試算表から現在の経営状況を把握しなければ、月次決算は無駄な業務になってしまいます。
月次決算を経営に役立てるためにも、目的を明確化した上で導入するべきです。
関係部署の理解と協力を得る
月次決算をスムーズに行うためには、関係部署の理解と協力を得ることが必須です。事前に関係部署へ月次決算を導入する旨を伝え、目的や方法の擦り合わせをすることをおすすめします。
あらかじめ月次決算について伝えておけば、トラブルや不満を減らせます。
まとめ
今回は、月次決算を導入するメリットや注意点を紹介しました。
月次決算は経営判断に役立てられるので、会社の業績向上に繋がります。もちろん、月次決算を導入する際のデメリットはありますが、それぞれの注意点に気を付けることで、問題を防ぐことは可能です。
本記事を月次決算を導入する際に活用していただけますと幸いです。
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