経営計画書を策定すれば、会社の経営理念が実現しやすくなったり、金融機関などの第三者から信頼を得やすくなったりとさまざまなメリットが得られます。
そこで今回は、経営計画書の策定方法について解説します。本記事を読めば、経営計画書を策定する目的や良い経営計画の特徴、経営計画書に入れるべき項目について把握できるので、参考にしてください。
経営計画は何のために作るのか
企業の経営者によって、経営計画を策定する目的はさまざまです。経営計画を策定する主な理由として、以下の4つを解説します。
- 会社の経営理念の実現のため
- 目標や目的を明確化するため
- 社員との意識を合わせるため
- 金融機関などの第三者から信頼を得るため
何となく経営計画の策定を検討しているものの、策定する目的を考えていない方も多いでしょう。ここで解説する主な目的を把握したうえで、経営計画を策定する方法を参考にしてください。
会社の経営理念の実現のため
経営計画を策定する目的として、会社の経営理念を実現させることが挙げられます。経営理念とは、企業の活動方針の基礎となる考え方のことです。
つまり、企業が事業運営を継続することで達成しようとしている目標が、経営理念なのです。経営理念を実現させることで、自社の業績が向上して経済成長につながったり、社内のモチベーションを向上させたりします。
もし、経営計画を策定せず自社の経営理念が実現しなければ、社員のモチベーション低下や後継者が育ちにくくなる可能性があります。
会社の経営理念を実現させるためにも、経営計画を策定するとよいでしょう。
目標や目的を明確化するため
経営計画を策定する目的は、自社が経営するうえで掲げている目標や目的を明確化するためです。経営者が心の中で経営目標や目的を掲げていても、社員へ伝わらなければ業務実績に反映されません。
目標や目的を明確化して業務実績を向上させるためにも、経営計画書を策定する必要があるのです。経営計画書に目標や目的を記載して明確化すれば、業務を進める際の方向性が明確に理解できるため、業務効率化につながります。
また、自社が掲げる目標や目的を明確にすれば、社員のモチベーションも向上しやすいです。自身が社員だったとして、目標や目的も把握していないまま、ただ業務へ取り組んでも何のためにその業務をしているのかが分かりません。
そのため、経営計画書を策定しなければ、社員は業務に目標を見いだせず黙々と仕事へ取り組むだけでしょう。しかし、経営目標を策定して目標や目的を明確化すれば、業務で目指すべき方向性が理解できるため、業務に取り組みやすくなります。
社員との意識を合わせるため
経営計画を策定する目的の1つとして、社員との意識を合わせることが挙げられます。経営計画を策定しなかった場合は、自社の目標や目的を社員は把握できないので、どのような方向性へ向かって業務へ取り組めばよいのかが分かりません。
すると、それぞれの社員が違う方向性へ向かって業務を進めてしまうため、業務効率の悪化につながる可能性も十分にあり得ます。社員との意識を合わせるためにも、経営計画を策定する必要があります。
金融機関などの第三者から信頼を得るため
経営計画を策定する目的として、金融機関や投資家などの第三者から信頼を得ることが挙げられます。
経営計画書を策定すれば、自社の数字面における経営状況を第三者へ開示できるため、安定した会社であるかの判断がしやすくなります。
もし、経営計画書を策定していなければ、自社の経営状況を第三者へ開示できないため、信用が得にくくなって融資を受けられないかもしれません。
会社の経営状況が悪いのにも関わらず融資を受けられなければ、資金繰りが悪化してしまい、倒産する恐れもあります。
また、助成金制度を自治体から受けたい場合は、経営計画書の提出が必須になる場合もあります。
金融機関や投資家などの第三者から信頼を得やすくするためにも、経営計画書を策定しておくべきです。
経営計画はテンプレートを使った方がいい?
経営計画を策定する際は、テンプレートを使用したほうがいいです。一から経営計画を策定し始めると、何から記載すればよいのかがわからなくなる恐れがあります。
経営計画を策定する際にテンプレートを活用すれば、どのように作成すればよいのかが把握できるので、業務効率化につながるでしょう。
当社では、中小企業向けにマネるだけで埋められる経営計画書を提供しています。自社の経営状況を埋めるだけで気軽に経営計画書を作成できるため、忙しい方でも気軽に活用できるでしょう。
ただ、経営計画の策定は、ゆっくり実施するべきです。経営計画書は、会社の命運を握っている大事な書類と言っても過言ではありません。
もし、経営計画書の策定を焦って行ってしまい、内容が薄くなってしまっては意味がありません。そのため、経営計画を策定する際は、時間をかけて書類を作成させることを心がけましょう。
なお、自社が提供している真似るだけで埋められる経営計画書は無料で使用できます。経営計画のテンプレートを探している方は、ぜひこのテンプレートをダウンロードして活用してください。
良い経営計画の特徴とは
良い経営計画の特徴は、以下の3つに当てはまっている書類です。
- 内容をコンパクトにまとめている
- 具体的な内容になっている
- 根拠に基づいて作成されている
初めて経営計画を策定する方にとっては、どのように作成すれば良質な経営計画書が策定できるのかが分からない方も多いでしょう。
ここで解説した内容を参考にしたうえで、良い経営計画を策定できるように工夫してください。
①内容をコンパクトにまとめている
良い経営計画の特徴として、内容をコンパクトにまとめていることが挙げられます。経営計画の内容が長々しく記載されていても、第三者は読むのが苦痛になってしまいます。
そのため、経営計画を策定する際は内容を簡潔にまとめるように心がけるとよいでしょう。具体的には、経営計画書の内容をA4用紙1枚にまとめるようにしてください。
また、A4用紙には、以下の経営計画の内容を記載しましょう。
経営計画の意義 |
経営計画を策定する必要性を理解するために重要 |
経営理念 |
企業の行動指針となるもの |
経営ビジョン |
経営計画の中心部となるもの |
外部環境・内部環境 |
環境分析が経営目標となるもの |
経営目標 |
経営理念を達成するために必要なもの |
経営方針 |
経営目標を達成するために「人・物・金・情報」の取り扱い方法を決定するもの |
良い経営計画を策定するためにも、上記の表を参考にしたうえで経営計画書を作成しましょう。
②具体的な内容になっている
良い経営計画は、具体的な内容になっています。経営計画の書類の内容が抽象的であれば、社員はどのような方向性で業務へ取り組めばよいのかが分かりません。
例えば「今年の経営目標は去年より売上を上げること」と記載していても、どれほど売上を上げたいのかが分からないので、経営目標を達成できているのかの判断がしにくいです。
そのため、経営目標の策定であれば「今年の経営目標は去年より30%売上を上げること」と記載しておけば、現時点の売上と比較して経営目標が達成できそうかが予測できるでしょう。
経営目標を具体的に策定していれば、目標が達成できなさそうな場合でも改善策を実施して売上を向上させることに努められます。
このように経営計画へ具体的な内容を記載することは、業務を円滑に実施するために欠かせません。会社の業績をより高めるためにも、具体的な内容を記載するように心がけましょう。
③根拠に基づいて作成されている
良い経営計画は、根拠に基づいて作成されている場合が多いです。根拠に基づいて作成されていることで、第三者から信頼を得やすい書類になるからです。
もし、根拠に基づいている経営計画を策定していなかった場合は、適当な書類だと判断される恐れがあります。
そのため、経営計画を策定する場合は、必ず根拠に基づいて作成するようにしてください。例えば、数字的根拠が何もないのにもかかわらず、目標利益計画を策定していたら、どのような計算で目標の利益が獲得できるのかが理解できません。
すると、金融機関で融資を受けようとしても、信頼性がないことから融資を受けられない可能性もあります。信頼性を得やすくするためにも、経営計画書は根拠に基づいて作成しましょう。
経営計画書に入れるべき項目とは
経営計画書に入れるべき項目として、以下の9項目を解説しています。
- ミッション
- 経営理念・経営方針
- 短期利益計画
- 販売計画
- 中期事業計画
- 会社と社員の未来像
- 行動指針
- 具体的経営戦略
- 組織図
ここで解説した内容を参考にしたうえで、経営計画書を策定しましょう。
ミッション
経営計画書に入れるべき項目として、ミッションが挙げられます。ミッションとは、自社の使命や目的を示すものです。ミッションを策定する際は、以下の2つのポイントを活用するとよいでしょう。
- 顧客を分析する
- 自社の存在意義を明確化する
ミッションを策定する際は、顧客を分析する必要があります。例えば、顧客が自社の商品やサービスを購入した理由を考えると、顧客の不満の解消方法が理解できるでしょう。
ミッションは会社が果たすべき使命のことなので、顧客のどのような不満を解消したいのかを考えれば、自ずとミッションを策定できます。
例えば、化粧水は「肌を保湿したい」と考える顧客の心理を解決していることになります。顧客の不満を考えたうえで、ミッションを策定しましょう。
また、顧客を分析した後は、自社の存在意義を明確にする必要があります。顧客を分析しただけだと、競合他社のミッションと被ってしまうかもしれません。
自社独自のミッションを策定するために、自社の存在意義を明確にしてください。例えば「自社の顧客は競合他社の商品ではなく、なぜ自社の商品を購入し続けてくれるのだろうか?」と考えるとよいでしょう。
顧客が自社の商品を購入し続けてくれる理由を考えていれば、競合他社にない自社の使命が把握できます。経営計画を策定する際は、まずミッションから決めましょう。
経営理念・経営方針
ミッションの策定が完了したら、次は経営理念・経営方針を決定する必要があります。経営理念・経営方針とは、自社全体での目的や行動を同じ方向へ導くために参考にする考え方のことです。
経営理念・経営方針は、以下の2つのポイントを活用して策定するとよいでしょう。
- 将来の目標
- 自社が大切にしているもの
経営理念・経営方針を策定する際は、将来的に達成したい目標を明らかにするとよいでしょう。将来的に達成したい目標を明らかにすれば、その目標を達成してどのような世の中へしていきたいのかが把握でき、経営理念・経営方針の策定につながります。
また、経営理念・経営方針の策定に自社が大切にしているものを参考にするとよいでしょう。自社を経営するうえで大切にしているものがあれば箇条書きで書きだし、経営理念・経営方針に適したものを選ぶとよいです。
社員に自社の目的や行動を共有するためにも、経営理念・経営方針を活用しましょう。
短期利益計画
経営理念・経営方針の策定が完了したら、短期利益計画を決定しましょう。短期利益計画とは、1年間を想定した事業の儲け具合を計画書にまとめたものです。
短期利益計画を策定する際は、以下の手順で計画するとよいでしょう。
- 自社の目標利益を定める
- 固定費を見積もる
- 目標利益に固定費を加えて粗利益を算出する
- 商品・サービス1つ当たりの単価を決定する
- 商品・サービス1つ当たりの変動費を決定する
- 商品・サービス1つ当たりの粗利益を計算する
- 商品・サービスの販売数量を決定する
- 変動費に販売数量をかけて全体の変動費を算出する
- 全体の粗利益に変動費を加えて売上高を計算する
短期利益計画を策定すれば、その計画に沿えるように業務改善に取り組めます。短期利益計画を策定し、1年間で自社が得られる利益の目標を定めましょう。
販売計画
短期利益計画の次は、販売計画を策定する必要があります。販売計画とは、どのような顧客にどの商品・サービスをどのような手段で販売していくのかを明らかにする計画です。販売計画を策定する際は、以下の手順で実施しましょう。
- ターゲットの選定
- 価格・数量の決定
- 販売する商品・サービスの選定
- 販売方法の決定
販売計画を策定する際は、まずターゲットの選定を実施しましょう。ターゲットの選定では、年齢や性別、生活スタイル、関心ごとなど具体的に設定された架空の人物を作り出します。
すると、商品のニーズが把握しやすくなります。例えば、20代の男性向けの化粧品と女子中高生向けの化粧品では販売する商品の内容が大きく異なるでしょう。
顧客が欲しいと感じる商品・サービスを製造するためにも、ターゲットを選定しましょう。ターゲットの選定が完了したら、価格・数量の決定をする必要があります。
中高生向けの商品なのに高い価格で販売したら、高い売り上げは期待できません。そのため、ターゲットに沿った価格・数量を検討するように心がけましょう。
また、ターゲットに沿った商品やサービスを考える必要があります。ターゲットが20歳の男性なのに肩こり器を販売しても、購入したいと考えるターゲットは少ないはずです。
ターゲット層が欲しいと考えるような商品・サービスを考えてください。販売する商品・サービスを決定したら、販売方法も決める必要があります。
販売方法にも、さまざまな種類があります。店舗販売のみなのか、インターネットでも販売するのかで実施する業務が変わってくるでしょう。業務へ取り組みやすくするためにも、販売計画を参考にしてください。
中期事業計画
販売計画が完了したら、中期事業計画を策定する必要があります。中期事業計画とは、自社が3~5年の間に実現しておくべき計画を策定したものです。中期事業計画を策定する際は、以下の手順で実現するとよいでしょう。
- 自社の目指すべき姿を明らかにする
- 自社を取り巻く環境を理解する
- 経営戦略を立案する
- 課題を解決するための行動計画と数値目標の設定
- 進捗状況を確認する
中期事業計画を策定する際は、自社が3~5年後に目指すべき姿を決定しましょう。1年後を見据えて設定する目標と、3~5年後に設定する目標では大きく異なります。
3~5年後の自社の状況を現在の経営状況から予測したうえで、自社の目指すべき姿を明らかにしましょう。
自社の目指すべき姿を明らかにしたら、取り巻く環境を理解する必要があります。3~5年後の自社の強みや弱みを把握したうえで、経営戦略を立案しましょう。
経営戦略を立案する際は、自社が抱える課題に対してどのような方法で解決するのかを決めるとよいです。
経営戦略を立案した後は、課題を解決するための具体的な行動計画と数値目標を設定しましょう。
具体的な行動計画と数値目標を策定した後は、定期的に進捗状況を確認してください。進捗状況を確認することで、目標達成が可能なのかを確認できます。将来も安定した会社経営をするためにも、中期事業計画を策定する必要があります。
会社と社員の未来像
中期事業計画の策定が完了したら、会社と社員の未来像を策定しましょう。会社の社員の未来像を想像することで、将来安定した会社経営がしやすくなります。
例えば、10年後の会社と社員の未来像を考えるとよいでしょう。10年後の会社はどのような経営状況だと予測できるのかを考えれば、その経営状況に達成するための事業の取り組み方が実施できます。
また、10年後の社員は、自社で勤務して安定した生活を送れているのかを予測するとよいでしょう。社員の未来像を想像して安定した暮らしができていないと予測できるのであれば、社員に対する待遇の変更を検討するとよいかもしれません。
会社と社員の未来像を策定し、将来的に自社と社員が安定した生活を送れているのかを想像してみましょう。
行動指針
会社と社員の未来像が決定したら、行動指針を策定しましょう。行動指針とは、業務へ取り組みやすくするための決まりのことです。行動指針の策定方法としては、以下の通りです。
- 仕事を通じて実現したいこと
- 仕事でも「これだけはしたくない」ことを書き出す
- 行動指針となる言葉を策定する
- 具体的に業務を進めていく際の行動を書き出す
行動指針を策定する際は、仕事を通じて企業が実現したいことをあらかじめ決めておく必要があります。
行動指針で実現したいことを決めておけば、実現しやすくなります。とはいえ、仕事でも「これだけはしたくない」と考えているものもあるでしょう。
そのしたくないことを排除したうえで、行動指針となる言葉を策定してください。例えば「お客様のことを第一に考えて行動し、多くの笑顔で囲まれたい」と端的に行動指針となる言葉を決めるとよいでしょう。
また、行動指針となる言葉を策定したら、具体的に業務を進めていく際の行動を書き出してください。具体的に書き出すことで、業務へ取り組みやすくなります。
社員が業務へ取り組みやすくするためにも、行動指針を策定しましょう。
具体的経営戦略
行動指針の策定が完了したら、具体的経営戦略を立案してください。具体的経営戦略とは、自社が事業の目的を達成するために示される具体的な経営方針です。具体的経営戦略を立案する際は、以下のように企業戦略と事業戦略、機能戦略を策定するとよいでしょう。
企業戦略 |
企業全体の方向性や体質を策定する方法 |
事業戦略 |
企業の事業ごとの目的を達成するために基本的な方針や計画を策定する方法 |
機能戦略 |
事業分野に必要な機能ごとの戦略 |
そんな具体的経営戦略を策定する際は、3C分析が有効です。3C分析とは「市場・顧客」「競合」「自社」の3つの要素で分析をおこない、自社の優位性を構築するために活用可能なフレームワークです。3C分析では、それぞれ以下の分析をおこないましょう。
顧客・市場 |
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自社 |
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競合 |
|
ここで解説した内容を参考にしたうえで、具体的経営戦略を立案しましょう。
組織図
具体的経営戦略を策定したら、組織図を策定する必要があります。組織図とは、団体機関の組織構造を一目で把握できるようにした図表です。
組織図を策定すれば、組織の関係性を可視化したり、組織戦略への活用ができたりします。組織図の作成方法は、以下の通りです。
- 組織と役割を把握する
- 組織の関連性を整理する
- 組織図に落とし込む
- 必要事項を加える
組織図を策定する際は、最初に組織と役割を把握しましょう。それぞれの組織と役割を把握していなければ、組織図を策定しようがありません。
組織図を作成するためにも、組織と役割を一通り把握しましょう。組織と役割を把握したら、組織の関連性を整理する必要があります。
組織の関連性を整理すれば、役職間の上下関係が把握できます。また、組織の関連性を整理したら、組織図に落とし込みましょう。
組織図に落とし込む際は、組織の役割や関連性を間違えないように何度も確認してください。組織図に落とし込んだ後は、必要事項を加えましょう。
必要事項を加えれば、部署間が連携しやすくなったり、役職には当てはまらない重要な職位が把握できたりします。経営計画書は、組織図を策定して完成です。
様々な事業者の経営計画を参考にしながら質の高い経営計画を立てよう
今回は、経営計画書の策定方法について解説しました。
経営計画は会社の経営理念を実現したり、自社が掲げる目標や目的を明確化したりできます。
また、良い経営計画を策定する際は、内容をコンパクトにまとめたり、根拠に基づいて作成したりしましょう。
経営計画書の策定を検討している方は、本記事を参考にしてください。
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