経営計画書は中小企業こそ作るべき理由と作成から運用までの手順を解説

    記事公開日: 2022.05.25

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    経営計画を作らずに経営をするということは、まるで地図を持たずして山の頂上を目指すようなものです。

     

    私たちはこれまでの人生の中で、

    「部活の試合に備えて練習を重ねる」

    「大学受験に備えて苦手科目の勉強を頑張る」

    「就職した会社で2年目までに認められるよう、仕事を覚えて成果を挙げる」

    ・・・といったように、その時々によって「達成すべき目標」を据え、計画を立てながら邁進してきたはずですが、社長という立場になると、なぜかこの「達成すべき目標のために計画を立てる」ということを忘れてしまうケースが少なくありません。

    中小企業の経営者にとって、もはや「これが正解だ」と、明確な道を示してくれる親や先輩は存在しません。

    そんな「正解がない道を切り開く経営者」の立場だからこそ、真剣に考え抜いた計画に拠って立たなければ、進むべき道を見失ってしまうことになりかねません。

    そして、それは大企業よりもむしろ中小企業にこそ強く当てはまります。

     

     

    そこで本記事では、中小企業こそ経営計画書を作るべき理由から、経営計画書を最短で作成するための手順や活用方法まで解説します。

     

    記事を読み終わった頃には、経営計画書の必要性と運用方法が理解でき、すぐに経営計画書の作成に取り組めます。

     

    目次

    1. 中小企業こそ経営計画書を作るべき!その理由とは
    2. .経営計画書の具体的な内容は?
      1. 1.経営計画書の基本構成
      2. 2.計画通りにいかないからこそ経営計画書は作るべき
    3.  
    4. 3.経営計画書を作って劇的改善を果たした企業事例3選
      1. 1.【スズキ機工株式会社】自社ブランド開発へ向けて経営計画書を作成
      2. 2.【株式会社夢とありがとう】社員とのコミュニケーションツールとして経営計画書を活用
      3. 3.【株式会社柴田屋酒店】毎年赤字垂れ流しだった会社が黒字体質へ激変
    5. 4.経営計画書の作成に失敗する3つのパターン
      1. 1.【失敗パターン①】いきなり立派なものを作ろうとする

      2. 【失敗パターン②】頑張った結果社員がどう良くなるか書かれていない
      3. 【失敗パターン③】月日が経つごとにチェックしなくなる
    6. 5.経営計画書を作成する最短5ステップ
      1. ⓪自社の事業構造を把握する
      2. ①今期の着地を予測する
      3. ②目標経常利益を決める
      4. ③目標を細かく落とし込む(商品別・得意先別・担当者別)
      5. ④月ごとの目標に落とし込む
      6. ⑤単年度の計画を元に中期事業計画(5か年)を立てる
    7. 6.経営計画書の目標は経常利益から立てるべし
      1. 1.【経常利益の決め方①】借入の年間返済額から割り出す
      2. 2.【経常利益の決め方②】社員1人あたり200万円を目安にする
      3. 3.【経常利益の決め方③】黒字期間の推移から割り出す
      4. 4.【経常利益の決め方④】累積の赤字を埋める額を設定する
    8.  
    9. 7.経営計画書を作ったら発表会をしよう

    10. 8.経営計画作成の際に活用できる補助金一覧
    11. まとめ

    1.中小企業こそ経営計画書を作るべき!その理由とは

    冒頭でも述べましたが、経営者にとって経営計画書を作ることは、これから目指すべきゴールまでの道を明らかにし、精緻な地図を作っていくことにあたります。

     

    そしてこのプロセス、実は大企業以上に中小企業にとってより重要な意味を持っているのです。

     

    というのも、大企業の経営者の場合、多くは数年間で交代する「サラリーマン社長」ということもあり、必ずしも中長期的なビジョンを持たずとも、目の前の事象に対処しながら任期を全うすればそれでよい、と考えることもできます。



    ところが中小企業のオーナーの場合は、後継者へ代を譲るまでの数十年間、会社を正しい道へ導き続けなければなりません。

    数十年の単位で見れば、会社を取り巻く環境には必ず変化が起こるため、いつか「今のままのやり方」の延長線上での努力が意味をなさなくなる時が来るのは明白です。

     

    中小企業の社長は、時の変化に耐えて数十年後も生き残るためのプランを作らなければなりません。

    どんなに優れた人であっても、「アリとキリギリス」のキリギリスのように、目の前のことを優先したくなることはあるもの。

    経営計画書は、つい目標を忘れて迷走してしまいそうになった時に、いつでも帰ってこれる「道しるべ」のようなものです。



    かつて大航海時代の航海者たちが大西洋や太平洋を駆け巡っていた頃、広い海原の真っ只中で方向を見失ってしまった時、航海士は「北極星」を頼りに自身の位置を見極めていました。

    たとえ航路を外れて迷ってしまったり、羅針盤が壊れてしまったとしても、北極星を見て自身の位置を確かめる術を知っていれば、「遭難」という最悪の事態を逃れて軌道修正することができます。



    経営計画書はまさに、中小企業経営者にとって「現代の北極星」ということができます。

    たとえ一時的に道を踏み外してしまっても元の場所へ戻り、軌道修正を重ねながら前へ進んでいくための大切な道しるべです。

    2.経営計画書の具体的な内容は?

     毎月経営計画書を使って行っている全社員への社長講話を公開します。

    経営計画書は、会社の方針や目標を定めた経営計画を、冊子や手帳の形にしてまとめたものです。

    経営計画と聞くと、融資を受ける際に金融機関に提出する事業計画をイメージする方がいますが、「経営計画」と「事業計画」は異なります。

    経営計画の方がより大きな概念であり、事業計画を包括しています。

     

    具体的には、経営理念や基本方針など、会社として目指す大きな未来を指し示したものが経営計画です。

    一方、事業計画には、経営計画が示す未来を実現するための短期間における数値目標が記されます。

    経営計画書の基本構成

    経営計画書は、短期利益計画中期事業計画長期事業構想の3つで成り立っています。

     

    短期利益計画は、1年間の月別利益計画と販売計画です。

    中期事業計画は、数字による5年間の計画と、その計画を実現するための方針書です。

    長期事業構想は、未来像を指します。具体的には、社員の未来像組織の未来像事業の未来像などです。

     

    経営計画書の構成に正解はありませんが、前半で経営理念や経営基本方針など根幹となる考えを記し、後半で定量的な数値目標をまとめるとよいでしょう。

    具体的な基本構成は、以下の通りです。

     

    1. 経営ビジョン
    2. 経営理念
    3. 経営基本方針
    4. 個別方針
    5. 中長期計画
    6. 当期経営目標
    7. 当期数値目標

     

    計画通りにいかないからこそ経営計画書は作るべき

    経営計画書を作成したとしても、計画通りにいくとは限りません。

    むしろ、計画通りにならないことが多いでしょう。

    しかし、計画通り進まないからこそ、経営計画書は作るべきなのです。

     

    なぜなら、経営計画書の目標は、単なる未来予測ではなく、利益を上げて会社を存続させるために「この目標を達成する!」という社長の意思表明だからです。

     

    計画と実績を見比べて開きがあれば、目標に近づけるための対策を早めに打てます。

    また、経営計画書には目標を達成した場合の明るい未来が描かれていることから、達成へ向けて本気になって取り組めます。

     

    判断に迷うような場面では、経営計画書に立ち返ることも可能です。

    3.経営計画書を作って劇的改善を果たした企業事例3選

    はじめて経営計画書をつくるなら、この3社の経営計画書を参考にしてください

    現在、生活様式も経済環境も大きく変化を遂げています。

    時代が大きく変わりつつあるなか、自社の事業を見直したり、新規事業へ転換したりと、企業も変化することが求められています。

    そこでこの章では、経営計画書を作って劇的改善を果たした3つの企業事例を紹介します。具体的に、経営計画書がどのように活用されているかがわかると、自社で活用するための手掛かりになるでしょう。

    【スズキ機工株式会社】自社ブランド開発へ向けて経営計画書を作成

    千葉県のスズキ機工株式会社は、社員17名(2021年時点)の小規模な会社です。

    主に、食品メーカー向けに産業用自動機械を設計・製作しています。

    これまで受注生産品を事業の柱としていたため、取引先の状況に左右されやすく、安定しないというリスクがありました。

    そこで、自社開発製品を増やしたりオーダーメイド製品を戦略的に作成したりと、方針転換するにあたって、経営計画書を作成しました。

     

    作成された経営計画書には、自社開発商品の売上比率を70%にすることと、従業員の待遇を類似業種と比較して150%に引き上げることが記載されています。

    会社と従業員の利益を関連付け、目標の達成が社員にとっても利益になることを示したのです。

     

    また、経営計画書には書き込み用のページを付け、計画比だけではなく、前月比や差異分析などの詳細までが書き込めるようにしました。

    この計画書を全社員に配り、月次決算時や週次・日次のミーティング時の経営計画書の実現状況の確認に活用しています。

     

    このように、経営計画書に社員の利益が示されていること、そして経営計画書に基づいて分析が行われていることが、スズキ機工株式会社の転換を実現させるための力になったと考えられます。

     

    会社名:スズキ機工株式会社

    会社URL:https://www.suzuki-kikoh.com/

    【株式会社夢とありがとう】社員とのコミュニケーションツールとして経営計画書を活用

    愛媛県の株式会社夢とありがとうは、飲食店を数店舗経営する2009年創業の若い会社です。

    この会社では、社員とのコミュニケーションツールとして経営計画書が活用されています。

     

    まず、この会社の経営計画書は、具体的な数値目標ではなく、言葉による経営方針の説明が多くを占めています。

    これは、従業員に20代の若いアルバイトが多くいるため、経営計画について共感を得ながら推進していくことが重要であるはずだ、との考えに基づきます。

    また、経営理念もわかりやすく解説されています。

    例えば、「食」は漢字で「人を良くする」と書き、命の根源であると説明しています。

    このように説明すると、「食に携わることは命に携わること」という考えが若いアルバイトの従業員であっても理解できます。

     

    さらに、経営計画書の内容を理解してもらうために、レポートによるコミュニケーションを行っています。

    レポートでは、経営計画書に関する設問に自由回答します。

    そして、提出されたレポートには責任者がコメントを入れます。

     

    このように、経営計画書が社員とのコミュニケーションツールとなっている点においても、経営計画書を活用した好事例と言えるでしょう。

     

    会社名:株式会社夢とありがとう

    会社URL:https://www.dreamthanks.com/

    【株式会社柴田屋酒店】毎年赤字垂れ流しだった会社が黒字体質へ激変

    株式会社柴田屋酒店は、レストランやパブなどへの酒類の販売で急成長をしている、従業員約200名(2019年時点)ほどの卸売会社です。

    以前は、売上は増えているのに売れば売るほど資金繰りが悪くなるという、赤字垂れ流し状態の会社でした。

    原因は、顧客数を増やすために安売りをしたり、在庫を多めに抱えたり、現金の回収を先延ばしにしたりして、利幅が小さくなっていたことにあります。

     

    そのような状況下で、経営計画書に「社員を幸せにする」「社員の夢が実現できるために柴田屋がある」という思いを込めた経営理念を記し、経営計画発表会で発表しました。

     

    この経営計画発表会を開催したこと自体が、利益を出し現金を増やすことにつながりました。

    売上目標や利益目標を示して、どのような会社を目指すのかを宣言したことで、メーカーや顧客などの見る目が変わったのです。

     

    例えば、いくつかのメーカーは、通常なら5年間は取引しなければ条件の切り替えができないところ、卸値やリベートの条件変更を認めてくれました。

    これによって、粗利益率が1%上がり、垂れ流しだった赤字が止まりました。

    また、大手メーカーからは、「〇〇駅の近くで新しい店がオープンする」といった業界の最新マル秘情報も教えてもらえるようになりました。

     

    経営計画書を作って、経営計画発表会を開催したことで、取引先から信用されるようになり、黒字体質へ変貌を遂げたのです。

     

    会社名:株式会社柴田屋酒店

    会社URL:https://www.shibataya.co.jp/

    4.経営計画書の作成に失敗する3つのパターン

    経営計画書を作成してはみたものの、結局意味がなかったと嘆く経営者も少なくありません。

    経営計画書の作成に失敗してしまう場合、原因は次の3つのパターンに集約されます。経営計画書を作ってはみたものの意味がなかったと思うのであれば、まずは原因を考えましょう。

    【失敗パターン①】いきなり立派なものを作ろうとする

    いきなり立派なものを作ろうとすると失敗します。

    なぜなら、社員に思いを伝えたいがために、力が入り過ぎて進まなくなってしまうからです。気づいたころには新年度になっていて、また来年まで先延ばしとなり、経営計画書が完成しません。

     

    誰でも立派なものを作りたいと考えがちですが、完成させずにつまづいていては意味がありません。立派なものを作ろうとする気持ちは悪くありませんが、質にこだわりすぎるよりも、まずは完成させることが大切です。

    【失敗パターン②】頑張った結果社員がどう良くなるか書かれていない

    頑張った結果、社員がどう良くなるかが経営計画書に書かれていなければ、社員の協力を得ることは難しいでしょう。なぜなら、社員が知りたいのは、会社ではなく自分たちの未来がどう良くなるか、だからです。

     

    例えば、5年後に会社の利益が増えることが経営計画書に書かれていても、給料が変わらないとしたら、目標達成のために社員は頑張ろうとはしないでしょう。これでは、社員にとって他人事でしかないため、協力は得られません。

     

    経営計画書を結果につなげるためには、社員の未来がどう良くなるかを記す必要があります。

    【失敗パターン③】月日が経つごとにチェックしなくなる

    経営計画書を作成したものの、月日が経つごとにチェックしなくなるパターンもよく見かけます。日々の仕事が忙しいことを言い訳にチェックまで手が回らないと言ったり、そもそも経営計画書を作るだけで満足してしまいチェックをしなかったりするのです。

     

    これでは、経営計画を作成した意味がありません。経営計画書は毎月実績を確認して、目標に対してどこまで達成しているのかを把握することが重要です。

    5.経営計画書を作成する最短5ステップ

    経営計画書を初めて作る方や、あまり作り慣れていないという方のために、実務に使えるレベルの経営計画書を作成する最短5ステップを紹介します。

     

    まずはご覧いただき、経営計画書の作成をイメージしてみてください。

    ⓪自社の事業構造を把握する

    はじめに、自社の事業構造を把握します。事業構造とは、どのような商品やサービスを、誰に、どのような方法で販売をして、その結果どれくらい利益が出るのかという事業の構造です。売上高、粗利益額、固定費などの関係性を数字で把握します。

     

    事業構造を把握する上で重要な指標には、以下があります。

     

    ・売上高:会社の売上高

    ・変動費:仕入高・材料費・外注費(売上と連動して増える)

    ・粗利益額:売上高から変動費を差し引いた金額

    ・粗利益率:売上高に占める粗利益額の割合

    ・固定費:仕入高・材料費・外注費以外の費用(売上高の変化に関わらず発生)

    ・経常利益額:粗利益額から固定費を差し引いた金額

     

    これらの数値は、ただ数字を眺めていても関係がわかりづらいため、それぞれの指標の関係性を図式化して、面積で把握するとイメージがつきやすくなります。

     

     

    事業構造を把握することは経営をしていく上でとても重要なポイントです。いきなりパソコンを使用するのではなく、手書きで作ると数字が頭に入りやすくなります。

    ①今期の着地を予測する

    次に、次期の計画を立てるために今期の着地を予測します。経常利益額の予測です。

     

    予測の仕方ですが、今期の残りの期間の売上高を概算で算出します。これを粗利益率と掛け合わせることで粗利益額がわかります。

     

    例えば、残りの期間の売上高が1億円、粗利益率が20%であれば、粗利益額は2,000万円です。

     

    粗利益額から固定費を差し引くと、経常利益額が導き出されます。

     

    なお、売上高を概算で算出する際は、いくつかの方法があります。

     

    1. 既に経過した年間売上高の平均値を算出する
    2. 見込みが立っている場合、見込額を算出する
    3. 例年と似たような数字が予想できる場合、過去の実績を基に算出する

     

    予測が高過ぎても低過ぎても、社員のモチベーションを下げてしまうため、頑張って手の届く範囲に今期の確定見込額として、着地予測を立てることが大切です。

    また、既に次の期が始まっている場合には、前期の確定データを基に計画を立てるとよいでしょう。

    ②目標経常利益を決める

    着地が予測できたら、次は目標を設定します。目標は売上高ではなく経常利益額から設定することがポイントです。

    いくら売上高が伸びても経常利益が出なければ、会社にお金が残らず、いつまで経っても経営が安定しません。例えば、売上高が前年比で2倍になっていても、広告宣伝費に巨額の費用を支払っており、経常利益額は前年を下回っているなどということも起こり得ます。

     

    また、目標経常利益額が算出できたら、以下の数式に当てはめることで目標売上高を割り出すことが可能です。

     

    目標売上高=(目標経常利益額+固定費)÷粗利益率

     

    目標経常利益が5,000万円、固定費が1億5,000万円、粗利益率が20%であれば、

     

    (5,000万円+1億5,000万円)÷0.2=10億円

     

    となり、目標売上高は10億円です。

    ③目標を細かく落とし込む(商品別・得意先別・担当者別)

    目標経常利益額から逆算をして目標売上高まで立てられたら、次は数字を分解して目標を細かく落とし込んでいきます。例えば、目標売上高の10億円を商品別に分解する場合は、A商品2億円、B商品5億円、C商品3億円といった具合です。

     

    主要な目標には、商品別販売計画、得意先別販売計画、担当者別販売計画の3つがあります。

     

    このように、数字を分解していくことで明確になっていくのは会社の経営計画だけではありません。

    会社の目標売上高だけでは自分事として捉えることができなかった社員にとっても、細かく落とし込まれた目標を見ると、会社の目標を自分事として捉えることができるようになります。

    ④月ごとの目標に落とし込む

    目標を販売計画に落とし込めたら、次は売上高から経常利益額までの各項目について、月ごとの目標に落とし込みます。

     

    月ごとの目標に落とし込む理由は、毎月チェックができるようにするためです。毎月チェックをすることで、計画と実績の差を確認することができ、問題にいち早く気づけます。

    計画に比べて実績が下回っていることがわかれば、早めに対策を打ち、計画に近づけていくことが可能です。

     

    前章で説明したように、チェックができないようでは経営計画書を作成しても失敗に終わります。そのため、この月ごとの目標に落とし込む作業は、重要なポイントのひとつです。

    ⑤単年度の計画を元に中期事業計画(5か年)を立てる

    最後は、単年度の計画を元に、中期事業計画(5か年)を策定します。5か年という少し長い期間で考えるため、単年度だけを考えていては見えてこない気づきを得ることができます。

     

    5か年の計画ですが、5年ごとに作成するのではなく、毎年その年から数えて5年の計画を策定します。

    現代は変化が激しいため、数年前に作成した5か年計画を目標に経営をしているのでは、時代から取り残されてしまいます。そのため、毎年その年から数えた5年先の計画を作る必要があるのです。

     

    策定時には、目標とする5年後の会社の未来像を思い描き、そこから逆算して今の会社を見つめていきます。その結果、未来像を実現するために必要なことが見えてきます。

    6.経営計画書の目標は経常利益から立てるべし

    経営計画書の目標は売上高ではなく経常利益から立てていきます。なぜなら、会社の経営を安定させるためには、売上高ではなく会社に残る経常利益が大切だからです。

     

    目標経常利益額が算出できれば、その利益を稼ぐために必要な売上高を割り出せます。目標経常利益額を算出してから売上高を割り出す、という順番が重要です。

     

    この章では、経営計画を立てる際に使える、目標経常利益額の立て方を4つ紹介します。どの方法を選ぶかによって、目標経常利益額は大きく変わります。

    会社の状況によって採用すべき方法が異なるため、自社の状況に合わせて臨機応変に設定をするとよいでしょう。

    【経常利益の決め方①】借入の年間返済額から割り出す

    1つ目は、借入の年間返済額から目標経常利益額を割り出す方法です。

    金融機関などから借り入れをしている場合、毎年の返済額をクリアしていかなければ借入金を返済することができません。そこで、借入の年間返済額から目標経常利益を割り出します。

     

    仮に年間の返済額を1,000万円とすると、必要となる経常利益額は約2,000万円です。なぜなら、経常利益の半分ほどは税金などの支払いに充てられるため、実際に返済に充てられる金額は残りの半分ほどになります。

     

    つまり、目標として、「経常利益額≧年間返済額×2」を目指します。

     

    ※現行の実効税率は約30%であるため、実際には記載している以上のお金が残ることになります。また、話をわかりやすくするため、減価償却による実質的な金銭の減少を伴わない分の金額は、計算に含めていません。

    【経常利益の決め方②】社員1人あたり200万円を目安にする

    社員数に応じた目標の設定方法です。200万円(状況によっては100万円以上)に在籍している社員数を掛けることで目標経常利益額を割り出し、「経常利益額≧200万円×社員数」を目指します。例えば、社員数が5名であれば、200万円×5で目標経常利益額は1,000万円です。

     

    社員数から算出しているので、新型コロナウイルス感染症が流行したような不測の事態が発生して事業が一時中断したとしても、社員に給料を支払う余裕を作れます。

     

    借入金がある場合には会社の財務体質を良くしていく目的で年間返済額から割り出す方法をおすすめしますが、借入金がない場合にはこちらの方法を採用するとよいでしょう。

    【経常利益の決め方③】黒字期間の推移から割り出す

    直近の過去2〜3期が黒字で推移しており、会社の財政基盤的にも安定した状況が築けているのであれば、今期の数字に今後の推移予測や現時点での市場の動きを加味して、目標経常利益額を算出できます。

     

    例えば、今期は調子が良く、さらに次期は1.2倍くらいの増加が見込めそうな状況であれば、「今期の数字×1.2」が次期の目標経常利益額です。

    次期は今期よりも状況が厳しく、経常利益は今期の0.9倍くらいであろうと予測するのであれば「今期の数字×0.9」というように、状況に応じて数字を設定して、目標経常利益額を割り出します。

     

    いずれにしても、過去2~3期が黒字で推移していることが条件です。

    【経常利益の決め方④】累積の赤字を埋める額を設定する

    4つ目の方法は、累積赤字を埋める額を設定する決め方です。直近の過去2〜3期が赤字で推移している場合には、まずは累積赤字を埋めていくだけの利益を出さなければなりません。そのため、累積赤字額をベースに目標経常利益額を算出します。

     

    赤字で推移しているということは、利益が出ていない状態です。累積赤字を埋めるためには少なくとも黒字化しなければなりません。

    ただし、累積赤字を一気に埋めようとしてしまうと、目標経常利益額が高くなり、中小企業においては現実的な目標としては厳しい場合も出てきます。

    非現実的な目標を設定するよりも、中長期的な視点で目標を設定しましょう。

    7.経営計画書を作ったら発表会をしよう

     

    経営計画書を作ったら経営計画発表会を開催しましょう。

     

    社長は常日頃、経営計画や自分自身の考えについて周囲へ共有しているかもしれませんが、それを末端の社員が正確に理解してくれていることは、残念ながらあまりありません。

    だからこそ、経営計画書という形で明文化したものを公開した上で、きちんと機会を設けて共有することには意義があります。

     

    経営計画発表会では、経営者は社員に対して明るい未来を示し、共に頑張って欲しいと協力を依頼します。

    一方の社員は、経営者の思いを受けて依頼内容を実行することを宣言します。また、発表会には、社員だけではなくお客様や金融機関の関係者を招待すると、会社の本気度を感じてもらえます。

     

    なお、経営計画発表会は、決算月か新年度1か月目に開催するとよいでしょう。

    8.経営計画作成の際に活用できる補助金一覧

    最後に、経営計画作成の際に活用できる補助金を紹介します。経営計画書を作るためにはかなりのエネルギーを必要としますので、もし使える補助金制度があれば、利用を検討してみるとよいでしょう。

     

    ・経営改善計画策定支援事業

    金融政策を伴う本格的な経営改善の取り組みが必要な中小企業・小規模事業者を対象に、認定支援機関が経営改善計画の策定を支援し、経営改善の取り組みを促す制度です。経営改善に伴い発生する費用のうち、3分の2(上限200万円)までを経営改善支援センターが負担します。

    関連URL:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/kaizen/405.html

     

    ・早期経営改善計画

    本格的な経営改善が必要となる前の早期段階にある中小企業・小規模事業者に対して、認定支援機関が資金繰り管理・採算管理等の基本的な経営改善の取り組みを支援する制度です。経営改善に伴い発生する費用のうち、3分の2まで(上限20万円、うちフォローアップ費用は5万円まで)を経営改善支援センターが負担します。

    関連URL:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/kaizen/souki.html

     

    ・経営革新計画

    経営革新計画とは、中小企業が新事業活動に取り組み、経営の相当程度の向上を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書のことです。計画策定を通して現状の課題や目標が明確になるなどの効果が期待でき、国や都道府県に計画が承認されるとさまざまな支援策の対象になります。

    関連URL:https://www.tokyo-cci.or.jp/soudan/kac/

    まとめ

    会社を経営する上で、経営計画書の作成は欠かすことができません。しかし、経営計画書は作って終わりではなく作って初めてスタートに立てます。そして、経営計画書を実際に活用することで、会社は少しずつ良い方向へと動き始めます。

     

    経営計画書の作成に慣れていない社長のために、『マネるだけ、埋めるだけで作れる経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)』をご用意いたしました。

    古田土経営は、「人を大事にする経営」を軸として、毎回15名限定で開催している「経営計画作成合宿」の中で、具体的な経営計画作成のノウハウを提供しています。

     

    合宿に参加された経営者の方々からは、「今までの延長線上でしか考えられなかったので良い刺激になりました」という声も頂いており、大変好評です。

     

    こちらのシートを使うことで、経営計画書を具体的に書き進められるのはもちろん、われわれ古田土経営のノウハウの一部を得られるので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

     

     

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