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    経営計画を達成するために重要な「要員計画」とは?意味や考え方、最近のトレンドへの対応方法を紹介

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    記事公開日: 2022.05.26

    経営計画を達成するための要素のうち、経営資源である「人」「モノ」「金」は特に重要とされています。そのうち「人」の資源を最適化する計画を「要員計画」と言い、経営計画の中でも非常に重要な項目とされています。とはいえ、言葉を聞いたことはあるものの具体的にはよくわからない、という方もいるのではないでしょうか。

     

    この記事では、要員計画の意味と目的、基本的な考え方や注意点を紹介するほか、労働環境のトレンドに対応する方法も解説します。

     

    読むことで要員計画の全体像を理解でき、経営計画の達成に繋がります。

    1.経営計画における「要員計画」の意味、目的

    そもそも、経営計画において「要員計画」はどのような位置づけなのでしょうか。

    なぜ必要?要員計画の重要性

    経営計画を達成していくための経営資源は、「人(人材)」「モノ(商品や設備)」「金(資金)」であると言われています。

    その中でも主体として実際に事業を進めていく「人」は、目標達成するうえで非常に重要な資源です。

    その人材を効果的かつ効率的に配置していく一連の計画のことを「要員計画」と言います。いわば、経営計画の要です。

    ・要員計画の内容

    要員計画で決めていくのは、「どのような人材をどのくらい準備するか」です。具体的には以下の要素で構成されています。

     

    • 人員計画
    • 採用計画
    • 異動計画
    • 能力開発計画

     

    ・経営環境の変化も考える

    法律、消費者ニーズ、ライバル企業の動向など、企業経営を取り巻く環境は刻々と変化しているため、経営計画も経営環境の変化を予測して立案されます。経営計画の中核となる要員計画も、将来の環境変化を踏まえた立案が必要です。

    2.要員計画の考え方

    要員計画は、具体的に何を考えて立案する必要があるのでしょうか。

    要員計画のベースになる2つの考え方や、類似語として使われる「人員計画」との違いについて見ていきます。

    「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」

    要員計画を決める方法には、上層部が経営数値に基づいて要員数を決定する「トップダウン方式」と、各部門が業務量や目標達成に必要な人数を割り出し合計人数を求める「ボトムアップ方式」の2つがあります。

     

    トップダウン方式は、予想される売上高から考えて「許容できる人数」を計算します。経営上許される人数なので、少なめに算出される傾向があります。一方ボトムアップ方式は、部門ごとに欲しい人数を集計し、人数を積み上げていく方法です。

    そのため、多めに算出される傾向があります。

    要員計画と人員計画との違い

    要員計画を立案する際によく話題になるのが、要員計画と人員計画の違いです。要員計画とは、経営計画実現に向けて立案する「人」に関する計画全体のことを指します。一方、人員計画は「どのような部署にどのような能力を持った人材を割り当てるべきか」を決める計画です。

     

    つまり、要員計画は人材に関する全体的な計画であり、戦略的な意味合いが強いのに対し、人員計画は要員計画の一部で具体的な実行計画であると言えます。

    3.要員計画の立て方、流れ

    要因計画決定の方式にはトップダウン方式とボトムアップ方式がありますが、一般的にはそれぞれの方式で計算された要員数を調整して、最終的な要員計画に仕上げていくことが多いです。

    この章では、それぞれの方法の具体的な流れを解説します。

    トップダウン方式の場合

    トップダウン方式で要員計画を立案する場合、企業経営上可能な要員数の算出が必要です。

    根拠となる売上高を出発点として、利益計算の過程から妥当な要員数を算出していきます。

     

    (1) 売上高目標を設定する

    まず最初に売上高目標を決めますが、慎重に設定する必要があります。

    一般的に売上高目標の数値は、企業の内部環境や外部環境を加味して「これぐらいしか上がらないはずだ!」という客観的な数値で算出します。ただ、目標が高すぎると必要な要員数が大きくなり、低すぎると要員数は少なくなるものの目標達成が困難になる可能性があります。

    客観的に到達の見込みがある数値を設定することがポイントです。

     

    (2) 粗利益高(付加価値)を算出する

    次に、粗利益高(付加価値)を算出します。業種・業界や企業の過去の実績に基づいて、売上高に対する粗利益率(付加価値率)を確認し、以下の式で粗利益高を出します。

     

     粗利益高 = 売上高 × 粗利益率

     

    業種別・企業規模別の粗利益高(付加価値)は、中小企業実態基本調査を利用して粗利益率(付加価値率)を算出したものを参考にすることをおすすめします。

     

    【参考】中小企業実態基本調査 令和2年確報(令和元年度決算実績)

    https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00553010&tstat=000001019842&cycle=7&tclass1=000001156334&tclass2=000001156335&tclass3val=0

     

    (3) 損益分岐点の視点もチェック

    損益分岐点の分析をすることも大切です。損益分岐点とは利益ゼロとなるポイントのことで、売上=費用になる金額のことを指します。

    粗利益から毎月必要な固定費を差し引くと、本業の利益である営業利益が算出されます。

     

    もし、営業利益が赤字の場合、そもそも経営が成り立っていないことになります。いくら売ると利益が出るのか、変動費(仕入れ額や製造原価)の割合は適切か、固定費はどのくらいが妥当かを考え、損益分岐点を分析しておくことも必要です。

     

    (4) 人件費率、労働分配率を活用し、総人件費を算出する

    次に総人件費を算出します。そのためにまず算出するのは、人件費率(売上に対する人件費の割合)と労働分配率(粗利益に対する人件費の割合)です。これらの比率も、業界の標準や自社の実績、今後の経営環境の変化を考慮して決定していきます。

    また、人件費率や労働分配率は、売上や粗利益からどの程度を労働者に分配するかを表す比率です。そのため、企業の考え方やビジネスモデルによって変わります。

     

    人件費率・労働分配率を算出した後は、以下のいずれかの方法で総人件費を算出します。

     

     ① 総人件費 = 売上高 × 人件費率

     ② 総人件費 = 粗利益 × 労働分配率

     

    (5) 平均人件費から要員数を算出

    (4)で算出した総人件費を用い、要員数を算出します。算出方法は以下の通りです。

     

     要員数 = 総人件費 ÷ 平均的な人件費

     

    職位や職種等によって基準賃金が違う場合は、調整が必要になります。

    ボトムアップ方式の場合

    ボトムアップ方式は、実際の仕事を知っている現場の従業員の意見を参考に、仕事内容から算出していきます。

     

    (1) 職務分析

    まずは職位や部門、職種ごとにどのような仕事があり、どの程度の工数や時間がかかっているのかを分析します。

    その際、現状の不満や問題点を吸い上げることで、業務の見直しや合理化にも繋がります。

     

    (2) 部門ごとの要員数の積み上げ

    部署ごとに必要な人数を計算します。さらに、その上の部門、事業部、支社などといった上部組織ごとに合算して積み上げ、最終的に全社の必要要員数を計算します。

    要員計画の調整、決定

    トップダウン方式で経営面から見た「許される要員数」とボトムアップ方式で現場から見た「必要数」を調整し、最終的な要員数を決定していきます。それぞれの方式で算出された要員数は、一般的には「許される要員数<必要数」となる場合が多いです。

    最終的な要員数を決定していく上では、企業の内外部の環境変化を予測して決定していくことが求められます。

    4.要員計画の注意点、コツ

    考慮すべき、会社の内部状況や外部環境変化とは

    経営計画やその構成要素である要員計画は、社内外の環境変化によって大きな変動を余儀なくされます。

    内部・外部環境の要素とは具体的にどのようなものなのか、環境別に考慮すべきポイントを列挙していきます。

     

    【内部環境】

     ・経営理念、方針とその浸透度

     ・人材の能力レベル、年齢構成、男女比、定着率

     ・機械化、IT化の進捗レベル

     

    【外部環境】

     ・労働法規の改正とその見込み

     ・業界及び競合企業の労働環境とその推移

    予定と実績の比較、原因の分析

    経営計画も、要員計画も、単年度ごとの予定と実績の差異分析が非常に重要です。達成できなかった場合の原因だけでなく、達成できた場合の要因も、事実を基に詳細に分析し次年度以降の目標達成に向けて改善し続けていく必要があります。

    安易な変更は禁物

    仮に、要員計画目標を達成できなかったとしても、安易に元の目標を変更すべきではありません。

    要員計画の単年度ごとの目標は、5年程度を期間とする中期計画に繋がっているため、さらにその上位計画である経営計画に影響を及ぼします。

    5.最近の労務環境トレンドへの対応

    ここまで解説してきた要員計画の立て方は、従来型の働き方や雇用形態に基づくものです。しかし、近年の働き方改革や、ジョブ型と言われる新たな雇用形態の普及に伴い、要員計画の考え方も変化しています。

    働き方改革への対応

    2019年から「働き方改革」として順次行われている法律改正は、要員計画を作成していく上で非常に重要なポイントです。働き方改革の骨子は、「時間外労働の上限制限」「多様な働き方の容認」「同一労働同一賃金」ですが、その背景にあるものは、危機的な「労働力不足」と日本企業の「生産性の低さ」でした。

     

    日本の企業は、終身雇用の考え方から従業員の労働力を無限の資源として考える傾向があります。今後の要因計画の立案に際しては、労働力の有効活用を念頭に置くことが重要です。

     

    例えば、残業時間のカットや、年齢・地位を超えた多様な人材の登用などにより、「要員計画の質」を上げていくことも求められます。

    ジョブ型とメンバーシップ型への対応

    近年、従業員の雇用形態が急激に変化しつつあります。従来の日本の雇用形態は終身雇用が原則であり、まず自社に合った優秀な社員を雇用し、その後いろいろな職種に就かせていく「メンバーシップ型」でした。

    それが近年、急速に「ジョブ型」といわれる雇用形態に代わりつつあります。ジョブ型では、まず採用する職務内容を明確にし、その職務が可能な人材を採用する雇用形態です。

    “人ありき”な考え方のメンバーシップ型に対し、ジョブ型は”仕事ありき”で考えます。ジョブ型は欧米では一般的であり、近年日本企業も次々にジョブ型の雇用形態を取り入れています。

     

     【ジョブ型とメンバーシップ型の比較】

     

    雇用形態

    メリット

    デメリット


    ジョブ型

    ・専門的な能力の活用

    ・タイムリーな雇用

    ・担当範囲を拡大しやすい

    ・忠誠度が低い(離職率が高い)

    ・ジョブローテーションが難しい

    ・総合的な人材になれない


    メンバー

    シップ型

    ・総合的な人材を育成できる

    ・会社都合で異動、配置転換が可能

    ・忠誠度が高い

    ・教育期間が長い

    ・専門性が乏しい

    ・標準化や評価が難しい

     

    要員計画を策定するうえでは、ジョブ型の方が人員計画、採用計画、異動計画、能力開発計画などのサブ計画が立てやすくなりますが、長期的視野に立って企業幹部を育てる場合はメンバーシップ型の方が有利に働く場合もあるでしょう。

    まとめ

    経営計画の中における要員計画の意味や重要性、要員計画の考え方、計画の立て方やコツ、最近の労務環境のトレンドを見据えた要員計画のポイントなどを解説してきました。要員計画は、経営計画の成否を担う重要な事項ですが、将来の経営戦略や業界の動向など、さまざまな要素に左右される極めて立案が難しい分野です。

     

    さらに、働き方改革やジョブ型の雇用形態など、新しい動きにも対応していく必要があります。この記事で解説したポイントから必要な部分を適宜活用して、目標の達成に役立ててください。

     

    なお、初めての経営計画作成を手助けするツールとして『マネるだけ、埋めるだけで作れる経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)』をご用意いたしました。

     

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