年間支援実績500社以上の会計事務所がおすすめする中小企業向け経営計画書の作り方5ステップ

    記事公開日: 2021.03.29

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    われわれ経営者が経営計画書を作る理由、それは「経営計画書が社員と家族、そして会社を取り巻く全ての人々を幸せにするために、会社を持続的に成長させてくれる道具」だからです(古田土会計『人を大切にする経営計画書 方針編』より)。

     

    会社経営は社長にとっての財産であるばかりでなく、社員をはじめとした大勢の人の生活を豊かにするものです。

     

    社員もリソースもない創業当初の時期には行き当たりばったりでやってきた経営者も、やがて多くの社員を抱え、「会社を安定させ、サステナブルに存続させていく」ことをテーマとする時期がやってきます。

     

    そこで今回は、『経営計画書を初めて作る』『あまり作り慣れていない』という状態から、最短で実務に使えるレベルの経営計画書を作るための5ステップをご紹介します。

    現状、中小企業できちんとした経営計画書(方針書)を作っている会社は100社中2〜3社ほどです。

     

    なお、経営計画書の全体像を把握されたいという方は、こちらの記事をご覧ください。

    中小企業こそ経営計画書を作るべき理由と作成から運用までの全ステップを解説

     

    目次

    1. 1.経営計画書の作成で挫折するパターン
    2. 2.経営計画書は数字から作るのが基本
      1. 経営計画書を数字から作った方が良いもう1つの理由
    3. 3.まずはこれだけ!経営計画作成の最短5ステップ
      1. STEP0. 自社の事業構造の把握
      2. STEP1. 今期の着地予測
      3. STEP2. 目標経常利益の設定
      4. STEP3. 商品別・得意先別・担当者別 販売計画の作成
      5. STEP4. 月別販売計画の作成
      6. STEP5. 短期計画を元に中期事業計画(事業方針)を作る
    4. 4.経営計画書は作ってスタート、使ってなんぼ
      1. ①目標は経営者の意志
      2. ②原則は社長の設定した「目標」に合わせるのが正しい
      3. ③毎月の実績は「経営者が手書きで書く」
      4. ④経営の数字は「単月」ではなく「累計」で見る
      5. ⑤基本は「売れてるもの」を伸ばす
    5. まとめ

    1.経営計画書の作成で挫折するパターン

    経営計画書を作ろうとする経営者が陥りがちな失敗として最も多いのは、「はじめから立派なものを作ろうとして途中で挫折する」パターンです。

     

    長年作成に取り組んでいる会社ですと、数百ページにもおよぶ分厚い経営計画書を作るケースがありますが、慣れていない方では数十ページ作るのも大変です。

     

    何事も初めから上手くはいかないように、経営計画書もいきなり完璧なものを作ることは出来ません。むしろ、経営計画書は作ることよりも「使うこと」「使い続けること」が重要なため、まずは最低限の要素だけ揃えて、スタートする方が大切です。

     

    なお、経営計画書に必要な最低限の要素が気になる方は、こちらの記事もご覧ください。

    経営計画とは?事業計画との違いと構成をまとめて解説

    2.経営計画書は数字から作るのが基本

    経営計画書を作る際には、数字から着手するのが基本です。現実を加味した実効性のある経営計画書を作るには、客観的データである数字が不可欠です。

     

    経営者の熱い想いを書き込むことも重要ではありますが、まずは誰にでも分かるような客観的な目標を立てることをおすすめします。

     

    例えば、「今年はお客様に寄り添う1年にしよう!」と言われるよりも、「今年はお客様に寄り添った結果、前年対比10%の年商20億円を目指そう!」と言われた方が、社員としてもゴールが明確な分、やる気になります。

     

    現実離れした目標設定にならないためにも、先に数字の計画を立てましょう。

    経営計画書を数字から作った方が良いもう1つの理由

    経営計画書を数字から作った方が良いもう1つの理由は、事前に計画をシミュレーションをすることで予期せぬ資金不足が起こる可能性を回避できるからです。

     

    世の中的には、会社は儲かって利益が出ればお金が残ると思われています。しかし、実際には多くの会社が掛け取引をしているため、仕入れのために先にお金が出ていき、後から売掛金の回収をすることで「サイト負け」を引き起こします。

     

    すると、儲かれば儲かるほどお金が足りなくなり、儲かっているのに手元のお金は減っていき、最悪の場合「黒字倒産」に陥ります。事前に数字をシミュレーションしておくことで、未来に起こり得るリスクを回避することが出来るのです。

    3.まずはこれだけ!経営計画作成の最短5ステップ

    ここからは、最短で経営計画書を作成する5ステップについて解説していきます。

    5つのステップは、「戦略レベルの施策(STEP0〜2・STEP3の「商品別販売計画」まで・STEP5)」と「戦術レベルの施策(STEP3の「得意先別販売計画」以降〜・STEP4)」とに分かれます。

    戦略レベルの施策は「社長自身が机に向かって考える」もので、戦術レベルの施策は「従業員と話し合い、全社員で書く」というのが両者の違いです。

     

     

    STEP0. 自社の事業構造の把握

    はじめに行うのは、自社の事業構造を把握することです。

     

    事業構造とは、どのような商品・サービスを、誰に、どのような方法で販売するのか。その結果どれくらい儲かるのかという事業の構造です。

    この事業構造は数字で把握することが望ましく、売上高・粗利益額・固定費などの関係性を把握することが肝心です。

     

    事業構造を把握する上で重要な指標は、以下の通りです。

     

    ▽重要指標

    売上高・・・・会社の売上高

    変動費・・・・売上高と連動して増える費用(仕入高・材料費・外注費)

    粗利益額・・・売上高から変動費を差し引いた金額

    粗利益率・・・売上高に占める粗利益額の割合

    固定費・・・・売上高の変化に関わらず発生する一定の費用(仕入高・材料費・外注費以外)

    経常利益額・・・粗利益額から固定費を差し引いた金額

     

    売上高や経常利益額は決算書を見て把握することになりますが、数字だけを眺めていてもイメージがつきづらいかもしれません。

    そこでお勧めなのは、それぞれの指標の関係性を図式化して面積で把握することです。

     

    参考までに空欄を埋めていくだけで自社の事業構造が分かる『未来会計図表』をご用意しましたので、ぜひご活用ください。

     

    なお、自社の事業構造を把握することは、経営をしていくうえで非常に重要なポイントとなります。

    いきなりパソコンでシートを埋めるのではなく、手書きで作るのがおすすめです。その方が、数字が頭に入るからです。

    STEP1. 今期の着地予測

    次に、来期の計画を立てるために今期の着地を予想します。概算で構いませんので、今期の残りの期間の売上高を算出します。

    すると、粗利益率を掛け合わせることで粗利益額が分かり、そこから固定費を差し引くことで経常利益額を導き出すことができます。

     

    なお、売上高を概算で算出する際には、いくつかの考え方が存在します。

     

    ①(既に経過した)年間売上高の平均値を算出する

    ②見込が立っているのであれば見込額を算出する

    ③例年と同じような数字が予想できるならば過去の実績を元に算出する

     

    計画を立てる際のポイント

    目標は高すぎても低すぎても社員のモチベーションを下げてしまいます。ですから、頑張って手の届く範囲に「今期の確定見込額」として、着地予測を立てることが重要です。

     

    また、既に次の期が始まっているという方については、前期の確定データを元に進行期の計画を立てるのがおすすめです。

    STEP2. 目標経常利益の設定

    着地予測が着いたら、いよいよ今期の目標設定に移ります。目標を設定する際の最大のポイントは、売上高ではなく経常利益額から目標を立てるということです。

     

    なぜなら、いくら売上高が伸びたとしても、経常利益が出なければ会社にお金は残らず、いつまでたっても経営が安定しないからです。

     

    例えば、年商10億円・経常利益5千万円の会社が年商20億円になったとします。しかし、売上高をあげるために広告宣伝費に巨額の費用を支払い、経常利益は3千万円しか残りませんでした。

     

    売上高だけを見れば対前年2倍の成果を上げていますが、経常利益額となるとむしろ前年を下回っています。

     

    こう見ると「そんなの誰でも分かるでしょ」と思うかもしれませんが、意外にも理解されていない社長が多いのです。

    ですから、必ず目標は経常利益額から考えるようにしてください。

     

    また、目標経常利益額が算出できたら、以下の数式に当てはめることで目標売上高を割り出すことが出来ます。

     

    目標売上高=(目標経常利益額+固定費)÷ 粗利益率

    STEP3. 商品別・得意先別・担当者別 販売計画の作成

    目標経常利益額から逆算して目標売上高まで立てられたら、今度は数字を細かく分解して販売計画を立てます。

    例えば、年商10億円を目標としている会社が、A商品で3億円、B商品で5億円、C商品で2億円という具合に、目標の数字を細かく分解していきます。

     

    そうすることによって、社員としてもゴールが明確になり、会社の目標を自分事として捉えることができます。

    王道は、「商品別販売計画」「得意先別販売計画」「担当者別販売計画」の3つです。

    STEP4. 月別販売計画の作成

    目標を販売計画に落とし込んだら、売上高から経常利益額までの各項目について、月別の計画に落とし込みます。

    月単位に落とし込むことで毎月チェックができ、改善が必要な場合に早めに手を打つことができます。

    STEP5. 短期計画を元に中期事業計画(事業方針)を作る

    最後に取り組んでいただきたいのは、年単位の利益計画を元にした、向こう5年の計画(中期事業計画)の策定です。

    そもそも経営計画には、「数値予測・数値管理」と「方針策定」の両方の要素が必要です。このうち「方針策定」にはより大きな時間と労力が掛かります。

    STEP4までは、あえて「数値予測・数値管理」に絞っています。

    なぜならば冒頭でもご説明した通り、まずは「完璧な経営計画書を作る」ことよりも「早く作り上げて、実際に使う」ことが重要だからです。「経営方針を作る」ということは「市場環境の分析」や「他社の分析」を行った上でさらに「自社が手掛けるべき事業領域や、実行すべき打ち手を考える」という、定性的かつ答えのない作業であることから、最初のステップとしてやってしまうとあまりにも時間が掛かってしまい、挫折の原因となりかねません。

     

    そこで、手っ取り早く経営計画書を完成させるにあたって、あえてこの「方針策定」のステップを最初に行わず、まずは「月別販売計画」までを完成させる、というのが私たちの提案です。

    中期事業計画では、STEP4までに行った「数値予測・数値管理」を1年間ではなく5年程度のスパンで行うのに加えて、

    • 「事業領域(自社が事業をやる意義・ターゲット客層・競合との差別化ポイント等)」
    • 「商品・サービス・ビジネスモデル」
    • 「新商品・新市場の検討」
    • 「(従業員の)働きがいを高めるための施策」

    などを再定義します。

    これらの項目はゼロベースでじっくり考えるとかなりの時間がかかってしまうため、すぐに思いつかなければ、他社の経営計画を参考にしつつ暫定的な方針を決める形でもまったく問題ありません。

    他社の経営計画を上手く自社へ取り込む方法については、『経営計画とは?事業計画との違いと構成をまとめて解説』の中で詳しく解説しています。

     

    ぜひ、5年後になりたい自社の姿を思い描き、そこから逆算して今を見つめてみてください。

    4.経営計画書は作ってスタート、使ってなんぼ

    ここまで経営計画の立て方について紹介してきました。

    ただし、計画を立てることはあくまでスタートであって、本当に大切なことは計画と実績との差を見つけ、その差をどうやって埋めようかとPDCA(Plan、Do、Check、Action)を回すことです。

     

    計画を分解すればするほど、後から振り返った時に「何が売れていて・何が売れていないか」が分かり、次に打つべき対策が見えてきます。

     

    では最後に、経営計画書を作ったり、運用したりする際のポイントを5つ紹介します。

    ①目標は経営者の意志

    中には、「どうせその通りにいかないんだから、計画なんて作る意味がない」という社長がいますが、それは間違いです。

    なぜなら、計画は「こうなったらいいな」という予測ではなく、「これだけ売る!」という社長の意志だからです。

     

    また、実績という形でお客様から客観的に評価を受けることで、計画との差に気づき、次につなげることが出来るのです。

    ②原則は社長の設定した「目標」に合わせるのが正しい

    販売計画を作る際には、社長が出した目標と、それぞれの部署が想定している目標に大きな乖離が生じることがあります。

    この場合、原則は社長の目標に合わせて各部署の目標を設定し直すのが正解です。

    なぜなら、社長が掲げた目標は、会社が事業を存続させていくために必要な根拠のある数字だからです。

    ただし、会社の状況によって厳しい場合は、社長の判断で調整することも可能です。

    ③毎月の実績は「経営者が手書きで書く」

    経理から数字を貰っただけでは肌感覚として実態を掴むことが難しくなります。

    経営者が自ら手書きで実績を記入することで、現状を正しく捉え、お客様の変化にいち早く気づけます。

    ④経営の数字は「単月」ではなく「累計」で見る

    単月の目標を達成しようと一生懸命になることも重要ですが、経営の数字は累計で見ていくことが重要です。

    年計*を活用すれば季節変動を排除することができるため、昇り調子なのか下り調子なのか、会社の業績の傾向を把握することができます。

     

    *年計・・・当月を含めた過去12ヶ月の累計数字を毎月々で表すもの。全ての月を含めた数字となるため、季節変動を排除し純粋な傾向を読み取ることができる

    ⑤基本は「売れてるもの」を伸ばす

    よくある勘違いは、エース社員を売れないお客様につけたり、売れない商品を売れるように頑張ったり、売れないお客様にばかり注力してしまうということです。

    中小企業は資源も限られているため、「売れるもの」にヒト・モノ・カネを集中投下するのが原則です。

    まとめ

    経営計画書作りに挫折する最大の原因は「最初から立派なものを作ろうとする」ことです。

    まずは粗があってもいいので可能な限り早く完成させ、実務の中で活用しながらブラッシュアップしていきましょう。早く完成させるためのコツとしてご紹介した5ステップをおさらいすると、

     

    • STEP0.自社の事業構造の把握
    • STEP1.今期の着地予測
    • STEP2.目標経常利益の設定
    • STEP3.商品別・得意先別・担当者別販売計画の作成
    • STEP4.月別販売計画の作成
    • STEP5.短期計画を元に中期事業計画を作る

     

    以上の順序で、悩んだ際には他社の経営計画の良い部分を参考にしても構いません。

     

     

    最後までお読みいただいたお礼として、『経営計画作成の最短5ステップ』を実践するために必要な資料一式をプレゼント致します。

     

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