・「そもそも負債比率ってどういう意味なの?」
・「負債比率の改善方法を知りたい!」
このように負債比率の意味合いや改善方法が分からずに、悩んでいる方も多いでしょう。
結論から言うと、負債比率を低くすることで倒産リスクが減少し、周囲からの信頼が得やすくなります。
そこで今回は、負債比率の概要や、計算式、目安、改善方法などについて紹介します。
負債比率とは?
負債比率は、会社の返済能力や安全性を表す経営指標のことです。負債比率は、純資産に対する負債の割合を表しています。
本記事を読んでいる方の中には、負債や純資産について分からない方がいるかもしれません。そこで負債や純資産に関する概要を詳しく紹介します。
負債とは?
負債は、事業をする際に銀行から借り入れるなどして他人から調達したお金のことです。他人から調達したお金なので、返済義務があります。
負債を細分化すると、以下の2種類に分類されます。
- 流動負債…1年以内に支払う必要がある負債
- 固定負債…1年後以降に支払うべき負債
負債を細分化すれば、企業の財務の健全性や借金の返済能力が読み取りやすくなります。負債比率をより明確なものにするため、負債を細分化してください。
純資産(自己資本)とは?
純資産は、他人から借り入れることはせず自身で調達したお金のことなので、返済義務はありません。
主に資本金や資本剰余金、利益剰余金などが純資産に該当します。純資産は、金融機関が融資の判断をする際に確認する項目の一つです。
債務に対して純資産が不足していると、金融機関から借金の返済能力がないと判断される場合もあるので、純資産と負債のバランスを常に保っておく必要があります。
負債比率で分かること
さきほど負債比率の概要説明をしましたが、では負債比率を示したところでいったい何が分かるのでしょうか。
ここでは、負債比率で分かることについて紹介します。
負債比率から会社の安定性が分かる
負債比率を見ることで、会社の返済能力や安定性が理解できます。
一般的に負債比率が低いほど返済能力が高くて、経営が安定していると見られやすいです。
つまり、負債比率を低くすることで周囲からの信用を得られやすくなって、新事業を立ち上げる際にお金を借りやすくなります。
逆に言えば、負債比率が高ければ返済能力が低くて経営が不安定なことを示しているので、周囲からの信用を得られにくくなる可能性が考えられるのです。
周囲からの信用を得て事業展開しやすくするためにも、負債比率を低くするように工夫されることをおすすめします。
負債比率の計算式
負債比率は、以下の計算式で求められます。
負債比率=(負債÷自己資本)×100
たとえば負債が3億円で、自己資本が5億円であれば「(3÷5)×100=60」となり、負債比率が60%であることが明らかになります。
逆に負債が5億円で、自己資本が3億円だった場合は(5÷3)×100=167」となって、負債比率が167%となってしまうのです。
負債は返済が必要なお金であり、返済できなかった場合は会社が倒産する可能性があります。会社の倒産を防ぐためにも、負債比率を把握しておくことは大切です。
会社の負債比率を把握しておくことで、会社の財務体質を理解できます。自身の会社の経営状況が心配になった方は、負債比率を上記の計算式で求めてみてください。
負債比率の目安
さきほど負債比率の計算式を紹介しましたが、具体的にどれぐらいの負債比率なら良いのか、目安が分からない方も多いでしょう。
ここでは、負債比率の目安として以下の2つを紹介します。
- 100%以下がひとつの目安
- 業界別の負債比率平均
100%以下がひとつの目安
負債比率は、100%以下が1つの目安となります。
負債比率が101%以上の場合、業界によっては経営状況が不安定だといえるため、改善する必要があります。
業界別の負債比率平均
さきほど負債比率は100%以下をひとつの目安として紹介しましたが、業界によって負債比率の平均値は大きく異なります。
例えば、飲食業のように店舗取得に大きな費用がかかるため、借入金が多くなりがちな業界もあれば、費用の大半が人件費で占められているためあまり借り入れる必要がない専門サービス業などもあるからです。
ここでは、業界別の負債比率平均を紹介します。自身の業界の負債比率の平均を超えないように1つの参考としてご覧ください。
- 学術研究・専門サービス業…30.76%
- 情報通信業…75.87%
- 製造業…113.41%
- サービス業(他に分類されないもの)…114.23%
- 建設業…140.25%
- 卸売業…154.06%
- 生活関連サービス業・娯楽業…160.16%
- 不動産・物品賃貸業…178.76%
- 運輸業・郵便業…185.11%
- 小売業…205.29%
- 宿泊・飲食サービス業…508.44%
参考|e-start:令和2年度に実施された中小企業基本調査
多くの業界の負債比率平均が、100%を超えています。上記の負債比率平均を確認し、自分の業界の平均値より負債比率が上回らないようにしましょう。
負債比率の改善方法
負債比率が高い場合は、以下の2つの改善方法を実施することで負債比率を低くする必要があります。
- 自己資本を増やす
- 負債を減らす
(1)自己資本を増やす
負債比率を改善したいのなら、自己資本を増やすといいでしょう。自己資本を増やすことで、負債比率の計算式のうち分母が増えるので、負債比率が減少します。
自己資本を増やす方法として、以下の2つがあげられます。
- 株主割当増資…現在の株主に対して新たに株式を発行する方法
- 第三者割当増資…特定の第三者に対して新規株式を発行する方法
ただ、自己資本を増やす方法を選択するには、買い手が見つかるかわからない点や新しい株主に議決権が発生する点などリスクを考えたうえで決定する必要があります。
(2)負債を減らす
もう一つの負債比率を減らす方法は、負債を減らすことです。
負債を減らす方法として、以下の2つがあげられます。
- 利益を出して返済する
- 不要な資産を売却し生み出したお金で返済する
利益を出す方法としては、以下の4つの方法を駆使して、利益を出せる事業構造にすることが大切です。
- 売上を上げる(単価を上げる)
- 売上を上げる(客数を上げる)
- 変動費を下げる
- 固定費を下げる
利益率を向上させることで、その利益を借入金の返済に充てることができるため、負債比率を下げるためには効果的な手法です。
2つ目の方法は、使用していない土地・建物や、過剰在庫など、眠っている資産を売却して返済に充てていく手法です。早めに負債を返済し、負債比率を改善することをおすすめします。
負債比率と合わせて覚えておきたい指標
負債比率と合わせて覚えておきたい指標として、以下の3つを紹介します。
- 債務償還年数
- 有利子負債依存度
- 自己資本比率
それでは、それぞれの指標について見ていきましょう。
債務償還年数
債務償還年数は、銀行融資の返済にかかる年数を表す数値です。銀行としても、返すつもりがない事業者にお金を貸したくないので、銀行でお金を借りる際に債務償還年数は重要視されます。
債務償還年数の計算式は、以下の通りです。
債務償還年数=銀行借入金÷(経常利益×60%+減価償却費)
経常利益は、会社の1年間の事業活動で生み出した利益をいいます。また、減価償却費は、電化製品や建物などの資産の取得に応じた費用を使用できる年数にわたって配分した費用のことです。
10年使える2000万円の建物を購入したとすれば、1年間で200万円の減価償却費が計算できます。
ここでは、債務償還年数を例として計算してみましょう。銀行借入金が3,000万円、経常利益が500万円、減価償却費を200万円とした場合、債務償還年数が6年と求められます。
有利子負債依存度
有利子負債依存度は、借金の割合を判断する指標です。
企業の今後の展望を知るうえで、有利子負債依存度を知ることは欠かせません。
有利子負債依存度の計算式は、以下の通りです。
有利子負債依存度=(有利子負債残高÷総資産)×100
つまり、企業の借金を総資産で割れば、有利子負債依存度が求められます。
有利子負債依存度が高い企業は、借金が多いことの表れなので倒産リスクが高い企業です。
借り入れる銀行によっては、有利子負債依存度を確認される恐れがあります。
銀行が有利子負債依存度を確認することで、お金を借り入れられなくなるかもしれません。
大きな負債がある場合は、早めに返済するようにしましょう。
自己資本比率
自己資本比率とは、会社の総資本のうち自己資本が占める割合のことです。
自己資本比率の計算方法は、以下の通りです。
自己資本÷総資本(他人資本+自己資本)×100
たとえば自己資本が600万円、他人資本が300万円であれば自己資本比率が66.7%であると求められます。
自己資本比率を知ることによって、安定した企業であるかが分かりやすくなります。
自己資本比率を低下させている原因を解決しなければ倒産してしまう可能性があるため、1つの目安として30%以上を目指すと良いです。
自身の会社の経営状況を把握するためにも、自己資本比率を知っておいた方がいいでしょう。
まとめ
今回は、負債比率の概要説明、計算式や目安、改善方法を紹介しました。負債比率は、会社の返済能力や安全性を示す指標のことで、会社の借金の割合を表しています。
負債比率は、自己資本を増やすか負債を減らすことで改善することが可能です。
負債比率を低くして、会社の倒産リスクを減らしましょう。
また、会社の財務体質改善を進めるにあたっては、BS(貸借対照表)の全体像を掴むことも重要です。参考になる資料として、『BS(貸借対照表)とは』をご用意いたしました。
ぜひ、ご活用いただけますと幸いです。
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