・「どうして会社の利益が上がらないのだろう?」
・「会社の利益を上げるために実践できる具体的な事例を知りたい!」
このように会社の利益の上げ方が分からずに、悩んでいる方が多いでしょう。
結論から言うと、会社の利益を上げれば、経営の安定化や会社の規模向上など会社の維持・成長がよりしやすくなるでしょう。
そこで今回は、会社の利益の上がる仕組みや利益を上げるために必要なポイント、利益を上げるために実践できる具体的な事例を紹介します。
利益を上げたくても上がらないワケとは
会社を維持して成長させていくためには、利益を上げなければいけません。利益を上げることで、キャッシュ・フローの健全化や成長投資ができるでしょう。
キャッシュ・フローとは、会社のお金の流れのことです。キャッシュ・フローを健全化することで、仕入先の支払いや従業員への給与の振り込みなど必要な支出の安定化が図れます。
つまり、キャッシュ・フローを健全化すれば、経営の安定化や信用力の向上が可能です。また、成長投資ができれば、会社の規模をより大きくできるでしょう。
会社の規模を大きくすることで利益が大幅に上昇するだけでなく、信用度が高まるといったメリットが得られます。
ただ、「売上を上げたら利益も上がるだろう」と思い、売上高の高さばかり意識しては利益を意識しない経営に陥る可能性があるでしょう。
逆に利益を上げるために経費を削減することばかりを考えていたら、必要な経費まで削減することになりかねません。
利益を上げるためには、利益が上がる仕組みを明確に理解する必要があります。
利益を上げるためには「利益が上がる仕組み」を理解すること
会社の利益を上げるためには、経営者が「利益が上がる仕組み」を理解することから始めなければいけません。
利益が上がる仕組みを理解しないまま、会社を経営し続けると利益が上がらずに会社を維持できなくなる恐れがあります。
利益が上がる仕組みを理解すると、会社が利益を上げるためにするべき対策が以下の8つのみであることに気づくでしょう。
- 販売単価を上げる
- 新規顧客を開拓する
- リピート率を上げる
- 変動率を下げる
- 人件費を見直す
- 無駄な経費を削減する
- 金利を下げる
- 会社へ投資する
会社の利益を高めるために上記のポイントを押さえ、利益が上がる仕組みを理解しましょう。
利益が上げる仕組みを理解したら、従業員へ利益を上げるための対策を教え、具体的に利益を上げるための行動を指示し、利益上昇へ努めましょう。
利益を上げるための必要な3つのポイント
本項では、オーストリアの経営学者であるピーター・ドラッカーが説いた利益が上げるために必要なポイントを紹介します。利益を上げるための必要なポイントとして、以下の3つが挙げられるでしょう。
- マーケティング
- イノベーション
- 生産性
これからは、それぞれのポイントを押さえたうえで、利益を上げるための行動を起こしてください。
マーケティング
マーケティングとは、ターゲットとなる顧客のさまざまな要素を理解し、説得することなく商品やサービスが売れる仕組みのことをいいます。
一見、マーケティングと聞くと自社にとって儲かる商品や在庫の多い商品を顧客へ営業して売り込む手法と思いがちですが、違います。
ドラッカーが説く真のマーケティングとは、営業しなくても商品が売れる仕組みを構築することです。
自然に商品が売れる仕組みを作るためにも、マーケティングの基本的な流れについて把握しましょう。マーケティングの流れは、以下のとおりです。
- 市場の調査や分析をすることで、顧客のニーズを把握する
- 消費者を分類して自社の強みが活かせる顧客層を見つける
- 自社を競合他社と差別化して付加価値を付ける
- 展開する商品やサービスの内容、販売場所などを決める
- 自社が実行した事業戦略について顧客へ価値を届けられたかの判断をし、改善をする
利益を上げるためには上記の流れを押さえ、営業しなくても顧客が商品やサービスを購入したくなるような仕組みづくりをすることが大切です。
イノベーション
イノベーションとは、顧客へより良い商品やサービスを提供することで、顧客の高い満足度を得られることをいいます。
一般的にイノベーションは、新しい商品やサービスの開発と捉えられがちです。
しかし、ドラッカーが説いたイノベーションの定義では、新しい商品を生み出さなくても特定の顧客層によって良い商品であれば問題ありません。
たとえば、タブレットは既に発明されている商品ですが、飲食店の業務効率化をするためのタブレットを新しく販売したとしてもドラッカーが提唱するイノベーションになるのです。
飲食店にタブレット端末を導入すれば、店舗側も業務効率化につながりますし、店舗の顧客もスムーズに料理を注文することができるので、顧客のニーズに沿ったサービスいえます。
イノベーションの本質を理解し、顧客へより良い商品やサービスを提供しましょう。
生産性
生産性の向上も利益を高めるためには、欠かせません。生産性とは、企業が効率的に利益を上昇させているかを図るための指標です。
企業における人手・物資・資源などの経営資源を最大限に活用して生産性を向上させることで、利益の最大化につながります。
ドラッカーいわく生産性を高めるためには、以下の5つの習慣的な能力が大切なようです。
- 「自分の時間が何に取られているか」を把握すること
- 外の世界に対する貢献に焦点を合わせること
- 自らの強みを自身の基盤にすること
- 成果を上げるために自分のタスクに優先順位を付ける
- 成果を上げられるような意思決定をおこなうこと
会社の利益を高めるために、まずは生産性を高めるための習慣的な能力を取得しましょう。
利益を上げるために実践できる具体的な事例10選
利益を上げるために実践できる具体的な事例を以下の10個紹介します。
- 販売単価・サービス単価の見直し
- 販売数量を上げる
- 原価を下げる
- 変動費を下げる
- 固定費を下げる
- 人件費を見直す
- 取引業者の見直し
- 新規顧客獲得を目指す
- 利益率の高い商品を優先的に販売する
- 将来性のある設備投資をおこなう
これらの具体的な事例から利益を上げるための手法を学び、実践しましょう。
①販売単価・サービス単価の見直し
会社の利益を高めるためには、販売単価・サービス単価の見直しの検討をしましょう。なぜなら、単価を上昇した分だけ自身の利益につながるため、利益改善効果が最も高くなるからです。
ただ、単価を上げるには何かしらの付加価値を付けなければいけません。
たとえば、カレー屋を経営しているのであれば、カレーライスの値段を300円から500円へ値上げする場合は肉を増量するといった顧客へ需要がある付加価値を付けましょう。
販売単価が向上したのに商品内容やサービス内容が一切変わらなければ、リピーターが減少する恐れがあります。
販売単価・サービス単価の見直しをおこない、会社の利益を高めましょう。
②販売数量を上げる
利益を上げるためには、販売数量を上昇させることも欠かせません。
具体的には、目標の金額以上の商品を購入した顧客へ10万円のギフト券が当たるキャンペーンへの参加や高価な割引券の配布などを実施するとよいでしょう。
顧客満足度を上昇させてリピート率を高めれば、必然的に販売数量の上昇にもつながるため、リピートしたくなるイベントを定期的に開催するとよいかもしれません。
リピート率を高めるためには、ポイントカードの発行やSNSでの情報発信などの対策が大切です。
先ほど紹介した①販売単価・サービス単価の見直しよりは今までと同じ内容で提供できるので、顧客が離れる心配もなく実践できます。
③原価を下げる
売上原価を下げれば、営業利益率を高めることにつながります。売上原価とは、商品の原材料や仕入値、サービスのシステムを構築するためにかかる費用のことです。
売上原価を下げる方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 仕入先に値下げ交渉する
- 大量発注する
- 外注にかかる費用を削減する
個人的には大量発注をして売上原価を下げる方法が最もおすすめです。
なぜなら、大量発注すれば仕入先にとっても売上上昇につながるメリットがあるので了承してもらいやすいからです。
多くの会社から仕入している場合は、仕入先を数社に絞り、絞った会社で多くの商品や原材料を大量受注するようにしましょう。
売上原価を下げ、多くの利益を獲得できるように努めてください。
④変動費を下げる
変動費を下げることで、その分利益が獲得できます。変動費とは、売上原価や支払手数料、消耗品費など業績に比例する費用のことです。
ただ、変動費を下げる際に気を付けるべきことは、商品やサービスの品質を落とさないことです。
変動費を下げると同時に品質まで下げてしまったら、利益が下がってしまう恐れがあります。変動費を下げるうえでおすすめの手法は、在庫管理の徹底を図ることでしょう。
在庫管理の徹底とは、販売と仕入れの情報共有をすることで必要以上に商品を仕入れることを防げます。
下げられそうな変動費は下げ、その分利益を獲得できるようにしましょう。
⑤固定費を下げる
固定費とは、人件費や福利厚生費、水道光熱費など企業の業績や季節に影響されず一定的に発生する費用のことです。
変動費とは異なり、固定費は売上に関わらず毎月一定額発生することから、経費削減をする際は優先的に下げる必要があります。
最も下げやすい固定費は、人件費でしょう。飲食業や小売業などのサービス業で顧客が少ない時間帯は少ない人数で店舗を回すことで、大幅な固定費削減につながります。
また、水道光熱費を押さえて固定費を下げてみるのもよいでしょう。たとえば、商品の棚の照明は電気を使用する必要はないです。
不要な水道光熱費の削減を実施し、会社の利益を上げましょう。
⑥人件費を見直す
先ほど少し触れましたが、人件費を見直して利益を上げるとよいかもしれません。ただ、人件費を削減することで、従業員のモチベーションが低下する恐れがあります。
従業員がモチベーション低下する恐れを回避しつつ、人件費を削減するためにはアウトソーシングの活用がよいです。
アウトソーシングは既存業務の外注化のことで、事務作業や電話業務など業務を進めていくうえで必要ではあるものの、直接利益に関係しない業務を社外の人材へ依頼できます。
アウトソーシングを活用することで従業員の人件費よりは安く費用を抑えられます。
通常は人件費は固定費なのですが、アウトソーシングの活用方法によっては人件費を変動費に変換できるようになるのです。
繁忙期にはアウトソーシングの比率を増加して、閑散期に比率を下げれば人件費を大幅に下げることができます。
⑦取引業者の見直し
取引業者の見直しも、利益を上げる手法の一つです。
取引業者の見直しを実施して、数少ない取引先から大量に原材料を仕入れれば割引が適用される場合が多く、安く商品を仕入れられます。
取引業者によっては、物価上昇で大幅な値上げを実施することもあるかもしれません。しかし、大幅な値上げを実施する業者と取引を続けていたら、コストがかかる一方です。
利益を上げるためには、取引業者の見直しが欠かせません。取引業者の見直しを実施し、削減できるコストはカットできるように努めましょう。
⑧新規顧客獲得を目指す
新規顧客獲得を目指すことも、会社の利益を上げるうえで大切です。たとえば、10代~20代の若者をメインのターゲット層とするのなら、SNSの活用がよいでしょう。
なぜなら、SNSは多くの若者が活用しているツールであるため、必然的に多くの新規顧客を獲得しやすくなるからです。
特にTwitterでは拡散機能があるため、自社の良い情報をユーザーが発信したら、多くの新規顧客を獲得できるかもしれません。
また、SNSでデジタルクーポンを積極的に配布すれば、「使用しなければ自身が損してしまう」と感じやすくなるため、新規顧客を獲得しやすくなります。
自社のメインのターゲット層となる顧客に合わせたアプローチを実施していくことが、新規顧客獲得をするためには大切です。
⑨利益率の高い商品を優先的に販売する
利益率の高い商品を優先的に販売して実際に売れれば、多くの利益を獲得できます。
Amazonや楽天などの通販サイトで欲しい商品をチェックしていると、おすすめ商品が出てくるでしょう。
自社の通販サイトを運営しているのであれば、積極的に利益率の高い商品をおすすめすることで興味のある顧客は購入してくれやすくなります。
また、実店舗を運営しているのであれば、利益率の高い商品をレジ横へ配置すると顧客が商品を購入しやすくなるでしょう。
なぜなら、レジの待ち時間は顧客が手持無沙汰であるため、比較的商品を購入してもらいやすくなるからです。
利益率の高い商品を顧客へ購入してもらいやすくなる工夫をし、優先的に販売しましょう。
⑩将来性のある設備投資をおこなう
すぐに利益は上がらないものの、設備投資をおこなうことで将来的に会社の利益が高まりやすくなります。
設備投資とは、企業が業務を継続的に発展させていくために必要な設備へ投資をおこなうことです。
たとえば顧客がより快適に買い物をするために、セルフレジを導入して待ち時間を削減することも設備投資といえるでしょう。
セルフレジを導入すれば回転率が高まるため、より多くの顧客へ来店してもらいやすくなります。
ただ、具体的にどんな設備投資をすればよいのかが分からない方も多いでしょう。顧客や従業員にアンケートを取れば、客観的に必要なものに設備投資がおこなえるのでおすすめです。
将来性のある設備投資を積極的におこない、より利益を高めるための対策をしましょう。
会社の利益は1種類だけではない?
会社の利益は1種類だけでなく、以下の4種類あります。
- 売上総利益
- 営業利益
- 経常利益
- 当期純利益
これからは、それぞれの利益の種類について紹介します。
売上総利益
売上総利益とは、売上から商品の原価を差し引いた利益のことで、粗利と呼ぶこともあります。
売上総利益は企業の大雑把な利益を示しているので、企業の大体の利益が知りたい際は売上総利益を算出しましょう。売上総利益は、以下の計算式で求められます。
売上総利益=売上高-売上原価
たとえば、50万円で販売している商品が30万円で仕入れた商品だとしたら、売上総利益は20万円です。
売上総利益を算出することで、付加価値の判断材料になります。付加価値の高い商品であるほど原価に多くの利益を上乗せできるため、売上総利益の数字が大きくなりやすいです。
付加価値を高める判断をするうえで、売上総利益の算出は欠かせません。
営業利益
営業利益とは、本業で稼いだ売上高から売上原価や販売費、一般管理費を差し引いた利益のことです。営業利益の計算方法としては、以下のとおりです。
営業利益=売上高-売上原価-販売費・一般管理費
販売費とは、販売促進費や広告宣伝費など販売に関連して発生した費用のことをいいます。また、一般管理費とは、給与や水道光熱費など会社を運営するうえで必要な費用です。
営業利益を算出することで、ボーナスの額を決定することに用いられます。ボーナスの額を決定する際には、営業利益をもとに計算しましょう。
経常利益
経常利益とは、企業が事業全体から経常的に得た利益のことです。もちろん経常利益は、事業全体の収益なので本業以外の活動による収益と費用も反映させる必要があります。
本業以外の活動で得た収益を営業外収益、費用を営業外費用といいます。経常利益の計算方法は、以下のとおりです。
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
営業外収益の勘定科目の例としては、以下の9つが挙げられます。
- 有価証券利息
- 有価証券売却益
- 有価証券評価益
- 受取配当金
- 受取利息
- 不動産賃貸料
- 仕入割引
- 為替差益
- 雑収入
また、営業外費用の勘定科目は主に以下の9つが挙げられます。
- 売上割引
- 売上債権売却損
- 社債利息
- 為替差損
- 有価証券評価損
- 有価証券売却損
- 支払利息
- 雑損失
経常利益は、企業活動のみで得た利益のみが反映された値なので、企業の経営状態を最も把握しやすい数値といえるでしょう。
当期純利益
当期純利益とは、一会計期間に会社が活動して得たすべての収益から、全費用や税金を差し引いた利益のことをいいます。当期純利益の計算式は、以下のとおりです。
当期純利益=税引前当期純利益-法人税等
税引前当期純利益とは税金を支払う前の利益であり、特別な出来事によって生じた特別利益や特別損失を経常利益から差し引いて算出します。
当期純利益の数字がマイナスになった場合は当期純損失と呼びますが、当期純損失だからといって儲かっていない企業と断言できません。
特別な要因で赤字になる可能性も考えられるからです。たとえば、普段黒字経営をしていたとしても災害によって建物が崩壊してしまった場合、赤字経営になる可能性があります。
当期純利益を確認する場合は、当期純利益の計算過程やほかの指標を見て確認しましょう。
利益を上げるため重要なのは「分析」と「戦略」
今回は、会社の利益が上がる仕組みや利益を上げるために必要なポイント、利益を上げるために実践できる具体的な事例を紹介しました。
会社の利益を高めることで、経営の安定化や事業への成長投資が可能になるため、会社の維持・成長がよりしやすくなります。
本記事で紹介した利益を上げるポイントを活用し、利益が向上できるように努めましょう。
また、利益を上げるためには経営計画書の作成をするべきです。経営計画書を作成することで、利益を高めるための経営戦略が練りやすくなるからです。
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ぜひ、経営計画書を作成して会社の利益を上げる対策をしましょう。
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