経営を学べるおすすめ本33選

    記事公開日: 2023.05.12

    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)

    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)

     

    「経営について本で勉強したいけど、どれから読めばいいか分からない」
    と悩んでいませんか?

     義務教育で経営について学ぶことはありませんし、大学などで経営学を学んでも、現実の経営が上手くいくとは限りません。

    そこで、経営について本で学ぼうと思い、Amazonで検索したり、本屋に行って探すケースも多いかと思います。
     本屋に行くと、経営に関する本は、ありとあらゆるジャンルが、ズラリと並んでおり、
    その中から、経営に活かせる本を探し出すのは、非常に困難です。
    大企業向けやベンチャー企業向けの本も多く、中小企業経営において本当に必要な本を探すのは簡単ではありません。

    そこで、今回の記事では、経営(特に、中小企業経営)について学べるおすすめの書籍33冊を紹介します。

    私は、これまで1500冊以上の書籍を読み、2011年にスタートして、12年以上に渡って、3000社以上の中小企業に毎月、経営に役立つ書評を提供してきました。その中から、経営に活用できる本を厳選して選びました。

     

     

     世の中に出ている経営に関する書評は、「ビジョナリー・カンパニー」「競争の戦略」「ブルー・オーシャン戦略」「人を動かす」「影響力の武器」「破天荒!」「イノベーションのジレンマ」など、どれも素晴らしい良書ですが、洋書は取っつきにくい部分もあるので、今回は最低限にしています。

     15年以上、中小企業のお客様と関わらせていただく中で感じるのは、ただやみくもに経営をしているだけでは、「売上や利益を増やす」「内部留保を蓄積する」「良い商品やサービスを生みだす」「人を採用できる、育てられる」「良い社風を創る」など良い経営にしていくのは、簡単ではないということです。

     経営計画書や月次決算書を通じて経営指導をさせていただく立場として、直接関わって、中小企業の経営に貢献できることが一番の喜びですが、


    私たちが直接お手伝いできない方にも、この記事でご紹介する本をお読みいただき、経営を考えるきっかけにしていただければと思います。
    また、経営者をサポートする立場の方にもお読みいただくことで、その先の経営者のお役に立つための一助になれば嬉しいです。

     

    1.何を学べばいいか分からない方がまず読む本

     「とにかく分かりやすい本が良い」
     「経営の全体像の基本を学びたい」
     という方に向けて3冊を選びました。

     いずれも誰もが知っている会社の創業者ということもあり、馴染みやすいのではないかと思います。

    1.1『稲盛和夫の実学』 稲盛和夫著

     

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    真剣に経営に取り組もうとするなら、経営に関する数字は、すべていかなる操作も加えられない経営の実態をあらわす唯一の真実を示すものでなければならない。
    会社の実態を100%正しくあらわすものでなければならない。なぜなら、これらの数字は、飛行機の操縦席にあるコックピットのメーターの数値に匹敵するものであり、経営者として目標にまで正しく到達されるためのインジケーターの役割を果たさなくてはならないからである。

     

     帯に「会計がわからんで経営ができるか!」と書かれていますが、上記の通り、経営目標を達成するためには、会計(数字)は必要不可欠です。単なる会計ではなく、稲盛さんが経理の人と議論しまくって、たどりついた稲盛流の会計学が詰まっています。

     京セラ、KDDIを創業し、JALを再建させ、日本経済の発展に貢献。さらに盛和塾などを通じて経営者を育てる過程で導き出された経営の原理と会計が学べ、

    さらに経営の7つの原則
     ・キャッシュベース経営の原則
     ・一対一対応の原則
     ・筋肉質経営の原則
     ・完璧主義の原則
     ・ダブルチェックの原則
     ・採算向上の原則
     ・ガラス張り経営の原則
    を学ぶことができます。

     稲盛さんの本は「生き方」「考え方」が人気ですが、本書は、稲盛流の経営の原点に触れることができ、経営を学ぶ導入書として最高の一冊です。

    1.2 『経営者になるためのノート』 柳井正著 

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     『経営は「実行」です。
     考えているだけ、思っているだけ、あるいは知識として知っているだけでは成果があがりません。考えていること、思っていること、あるいは知識として学んだことがあるならば、それを実行すれば、成果はあがるのです。
     では経営者の心構えとして、あるいは身につけるべき習慣や行動原理として何を大切にして実行すれば、成果はあがるのでしょうか。』

     

    上記の通り「経営は実行」と、よく言われますが、何をすればいいのか分からないので、実際に何を実行すればいいか具体的に知りたいと思われる方も多いのではないでしょうか。

     本書では、社会から期待される成果をあげる経営には四つの力が必要だと書かれています。

      ①変革する力(イノベーター)
      ②儲ける力(商売人)
      ③チームを作る力(リーダー)
      ④理想を追求する力(使命感に生きるもの)

     4つの力に対して、それぞれ7つの視点から解説されており、4×7=28の経営の要素を知ることができ、経営の理解が進みます。

     本書(ノート)はファーストリテイング社の社内資料がベースになっており、何と、店長までがこのノートを使って教育を受けているから驚きです。日本を代表する会社の経営の裏付けのある具体的、かつ実践的な内容になっています。

     ノートというコンセプトだけあって、書き込めるスペースも存分にあり、社会に貢献する経営を学びながら、自分の頭で考えて思考を膨らませることができます。

    1.3『小倉昌男 経営学』 小倉昌男著

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     私たちの暮らしに定着している「クロネコヤマトの宅急便」その生みの親である小倉氏が書き下ろした経営学。

     事業を立ち上げた頃、個人宅配は集配効率が悪く、郵便小包の独壇場だった個人宅配市場への挑戦は無謀とされ、役員全員が反対したとのこと。
     初年度の実績は、郵便小包1億7880万個に対して、ヤマトの宅急便はわずか170万個。
    そのような状況を打破して、今や宅急便の取扱数は、郵便小包を大きく上回っています。
     
     その成功のカギは? 

    ・宅急便のように形のない商品の場合、ライバルに差をつけるには「サービスの差別化」
    ・サービスとコストは二律背反の関係。宅急便を普及するために、サービス水準を引き上げて、コストを抑えず「サービスが先、利益は後」を徹底
    ・全員が同じ経営目的に向かい、その目標を達成するための方策を1人1人が考えて実行する「全員経営」
    ・吉野家の牛丼への絞り込みから学んだ「メニューの絞り込み」
    ・企業の目標や戦略などを、社員が納得するような「コミュニケーション」

     

    など、今では当たり前のようになっている経営の原則を実践されて、大きな成果を残されています。

    宅急便事業の歩み、そして成功の背後にある経営哲学を物語を読んでいるように学ぶことができる一冊です。

     

    2.商売の基本(お金の儲け方)を学ぶための本

     「商売とはどういったものなのか」
     「経営において最低限必要なことは何か」
     「とにもかくにも売上高を上げて、利益を出したい」
    という方に、商売の基本を書かれている本を5冊選びました。

    2.1 『【新版】小さな会社★儲けのルール』 竹田陽一・栢野克己著

     

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     日本において、従業員数30人未満の会社が約90%を占めています。それだけ中小・零細企業が多いにも関わらず、小さな会社の経営に焦点をあてた書籍が少ないのが現実です。
     
     大企業向けの事例であったり、欧米の会社の経営理論や成功事例などが注目されることが多く、それを中小企業で導入しても、うまくいくとは限りません。

     本書は、東京商工リサーチ出身の中小企業コンサルタント・竹田陽一氏と、零細企業コンサルタントの栢野克己氏が、30人以下の中小・零細企業が押さえておきたい、ランチェスター戦略を徹底解説しています。

     ランチェスターは商品・客層・エリアなどを絞り、小さい部分で1位を作り、シェアを拡大していくというものですが、 弱者の経営戦略と称して、下記のようなポイントを取り上げています。

    ・小規模1位主義、部分1位主義
    ・強い競争相手がいる業界には参入しない
    ・戦わずして勝ち、勝ちやすきに勝つことを狙う
    ・対象を細分化する
    ・目標を得意なものに一つに絞る
    ・軽装備で資金の固定化を防ぐ

     

     これらのポイントを、「商品戦略」「エリア戦略」「客層戦略」「営業戦略」「顧客戦略」「時間戦略」などの切り口で、豊富な事例と共に紹介されています。

     数多くの倒産事例を見てきた著者ならではの視点も興味深いです。

    2.2 『扇子商法ーある船場商人の遺言』 和田亮介著

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     寝具の製造・販売・卸として続いている和田哲株式会社(現在、ワテックス株式会社)の祖であり、「最後の船場商人」と言われた故・和田哲夫氏の教えを、孫の和田亮介氏がまとめた、経営訓です。

     本書のタイトルにある扇子商法についてこう記されています。

     
    「扇子商法」とはどんな不況のときでも決して潰れないような体制をととのえておくこと。暑い時にはいっぱい開いて使うけれども、いらん時には小さくたたんでおくやろ。経営もこれと一緒、いつまでも続く好景気なんぞはどこにもあらへん。必ずつぎは不景気や。反対に不況いうもんは、必ず次の好況呼ぶもの。それやよってに、その時々にすぐ応じられるように、常から準備しとかんならん。ええ時はひろげ、わるい時はちぢめる。言ってみればわけないことやが、実はこいつがむずかしい……

     

     扇子という名の通り、広げることも縮めることもできるという意味ですが、好況の時は、その状態が長く続くのではと思ってしまい、時には調子に乗ってしまうもの。

     昨今、「滅多に起きない」と言われる大きな変化が5年に1度くらいのペースで起こっています。(リーマン・ショック、東日本大震災、新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ侵攻など)
     こういった状況下だからこそ、好況の時も「不況にピントを合わせておく」というのは、益々、重要性を帯びていきそうです。

    具体的には、 
    「人を増やしすぎない」「借金をしない」「無駄をしない」「分をわきまえる」といった姿勢で、扇子を広げすぎないように説かれています。

    商売には流行り廃りがありますが、本書は、時代の変化にも耐えられる商売の基本を吹き込んでくれる一冊です。

    2.3 『人事屋が書いた経理の本』 協和醗酵工業㈱著

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     1978年の発売以来、いまなお読まれ続ける会計書の古典的名著。

    経営を学ぶにあたって、お金の流れや資金の動き、利益が出る構造などを抑えておく必要がありますが、この分野は、取っつきにくい方も多いのではないでしょうか。

    本書は、40年間で100万人以上が研修で学び、ソフトバンクの孫正義氏も熱中していた(引用:孫正義社長とソフトバンク社員が“ゲーム”に熱中する理由|PRESIDENT Online)MG(マネジメント・ゲーム)の講義マニュアルがベースになっているだけあって、会計をまったく知らない人にも、様々な視点で経営と経理の基本を学ぶことのできる入門書です。

    マネージメントゲームは、人生ゲームの「経営版」で、「一人一社経営」として、意志決定から実行、すなわち、商品の仕入・開発・販売、広告、採用、会計、決算というビジネスサイクルを回しながら、参加者同士(ライバル)と競い合い、経営を疑似体験することができます。

    我々の社内でも定期的に実施したり、お客様向けにもMG研修を提供していますが、経営を楽しく学ぶことができます。

     利益が出る構造を図で表現しており、「どにに手を打てば利益が出るか?」が分かり、数字に基づいた経営の意思決定に役立ちます。

     我々が提供している「月次決算書」の未来会計図表も、本書がベースになっていますが、
    数多くの中小企業経営者の経営のシュミレーションや決定に役立っております。

    2.4『起業の技術』 浜口隆則著

     

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     創業してから、10年以内に90%は廃業するといわれていますが、その理由として、
    そもそも「経営」の定義が曖昧であり、その状態のまま放置していることで、経営とは何かを知らないまま、経営をしていることが原因として考えられます。


     義務教育で経営について学ぶことはありませんし、大学などで経営学を学んでも、現実の経営が上手くいくとは限りません。

     起業家教育事業のビジネスを展開している著者が、「経営の成功の型」をここまでノウハウを公開してもいいのかと心配になるくらい、体系化して開示されています。 

     本書では、経営を「顧客との関わりをつくっていく活動」とシンプルに定義しており、良い関係を築く上で3つの力
     ・商品力
     ・営業力
     ・管理力
     をかけ算で高めていく必要性を説かれています。

     3つの力を、4つのキーワードに細分化して、全部で12個の経営の要素を紹介。
    例えば、「営業力」であれば、
    ①集客する ②見込み客をフォローする ③販売する ④リピートを増やす
    という4つのステップに分けています。
     さらに、48のワークシートが用意されているので、自然と自社の経営に落とし込んで考えることができます。

     新規ビジネスや既存のビジネスの発展のためのアイデアやコツも載っており、経営の全体像を理解した上で、どの力を伸ばせば会社の収益を上げていけるかを考えていく手助けになる一冊です。

    2.5『永守流 経営とお金の原則』 永守重信著

     

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     自社のバランスシート(貸借対照表)の主要な数字を答えられますか?

     
    バランスシートは、これまでの事業活動の結果であり、企業の顔といえるものだ。創業から5~10年くらいまでの間は、バランスシートの数字をソラで言えることが大切だ

     

    と言い放つのは、グループ従業員が11万人を超え、2022年3月期に連結売上高2兆円に迫った日本電産を一代で築き上げた、著書の永守重信氏です。



     日本電産は積極的なM&Aで有名ですが、これまで手がけたM&Aはすべて成功して「67勝0敗」 アフターM&Aの徹底した経営改善により、会社を健全化していますが、
    そのための3つの極意も紹介されています。
     ・ハンズオン(直接把握すること)
     ・マイクロマネジメント
     ・任せて任さず

     徹底した現場主義で、コスト意識とキャッシュへのこだわりは強烈です。例えばコスト意識を社内に浸透させるために、ゴミ箱に捨てられているものを全て新聞紙の上に出させ、使えそうなものがたくさん捨てられていないかを調べる。経営者自らが経費を1円単位でチェックするなど、その行動は徹底しています。

    それだけのことをトップに立つ経営者自らが実践しているのだから、社内に強いコスト意識とキャッシュへのこだわりが生まれるのは納得です。

    50年に及ぶ経営者人生のエッセンスが詰め込まれており、経営を学ぶ者にとって、刺さることでしょう。

    3.お金の残し方(経営を数字で管理)を学ぶための本

     「売上高は稼げるようになってきたけど、利益やお金が残らない」
     「何となくうまくいっている気がするが、良くなっているのか不安」
     という方に、数字に関する本を5冊選びました。

    3.1  『ビジネスの世界で生き残るための現場の会計思考』 安本隆晴著

     

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    下記のような問題に対して、会計思考で数字に基づいて答えられますでしょうか? 
     問い1 商品を仕入て販売する時に、どのように売値を決めますか?
     問い2 製品を作る時に、どのように原価計算をして、売値を決めますか?
     問い3 人を雇用して働いてもらう時、どのくらいの売上を稼ぐ必要があるか明確か?
     問い4 仕入が値上げになってしまった場合に、どのように価格転嫁するか?
     問い5 現場から忙しいから人を増やして欲しいと言われた場合、どう判断するか?

    本書は、ユニクロをはじめ上場企業の監査役を務める会計のプロが、現場で働く営業マン、マネージャー、経営者がビジネスで起こる課題に対して、会計思考で意志決定できるようになるための指南書です。

     数字が苦手な方にとっても、豊富な事例と分かりやすい数字をベースに書かれていますので、理解しやすい内容になっています。

    3.2  『なぜ社長は決算書が読めないのか』 古田土満・川名徹著

     

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     先に紹介した「永守流 経営とお金の原則」でバランスシートの数字をソラで言えるか?
    という話を書きましたが、
     下記のような数値について、目標値と現状の数値を理解できていますでしょうか?

     ・自己資本比率
     ・損益分岐点比率
     ・売上高経常利益率
     ・労働生産性
     ・持続力指数
     ・ネットキャッシュ比率

     何事も目標となる基準があるからこそ、そこに対するギャップが生まれ、その差を埋めようとすることができるようになります。
     
      3000社以上の決算書を見て指導してきた著者が、経営に関する数字を理解できていない中小企業経営者のために、
     ・社長がおさえておきたい重要な経営指標
     ・正しい損益計算書、貸借対照表の読み方
     ・経営に活かせる管理会計の本質
     を分かりやすく解説しています。

     この1冊で、社長が今すぐ打つべき手、不況に強い財務体質の作り方がわかり、日頃、数字を見ていない経営者でも、すぐに試算表や決算書を一度見たくなる内容です。

    3.3 『「守り」の経営』 浜口隆則著

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     近年、数年に1度、大きなショックが起きています。今後、いつ起こるかは分かりませんが、「起こる覚悟」が求められています。いつ危機があっても潰れない会社を作るために、経営者がやっておくべき財務、マーケティング、営業のヒントが述べられています。

     「守り」の3大分野として「備蓄する」「分散する」「流動性を高める」という3つの切り口から、何をすれば会社の体質が良くなるのか、具体的な方法が書かれており、すぐにでも活かせる内容です。

     備蓄としては、
     ・生存ラインの預金残高はどのくらいなのか?
     ・正しい営業利益率はどのくらいか?
     ・成長する社長はPL思考、成長し続ける社長はBS思考
     ・PLに偶然はあるけど、BSに偶然はない
     ・ROX(投資収益性)思考
    といったキーワードで、どのように守りを固めていけば良いか具体的に教えてくれています。

     具体的な基準も明示されていたので、私は判断基準をチェックリスト形式にして、中小企業の経営者に共有しましたが、好評でした。
     経営をする上で、基準(例:生存ライン預金残高は固定費の〇ヵ月分)があると、それに対する不足が分かるので、そこを埋めていくことで、盤石になっていきます。

    著者の「起業の技術」をセットで読むことで、経営の「攻め」と「守り」を学ぶことができます。

    3.4  『売上最小化、利益最大化の法則』 木下勝寿著

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     化粧品や健康食品を手掛ける株価上昇率日本一、史上初の4年連続上場、一人あたり利益2332万円(2020年2月期)を実現した、超効率経営の秘密を公開した一冊。
     
     新型コロナ禍に加え、今後の人口減少が見込まれる状況下では、売上至上主義は限界を迎えていますが、本書はそれに代わる、「売上最小化、利益最大化」を目指す経営の実践を説いています。稲盛和夫氏の「売上極大、経費極小」は有名ですが、二つの観点を持っておくと、良い舵取りができそうです。

     本書で特に印象に残ったのは「無収入寿命」というキーワードです。

     無収入寿命は、売上がゼロになっても経営の現状維持ができる期間のことを指しています。現状維持の中に、減給などのコスト削減なしで全従業員の雇用を維持していくことも含まれています。
     コロナ禍が広がっていき先行きが見えない状態になった時、中小企業のお客様と「仮に売上高が0、もしくは、〇〇%減が続いた時に、どれだけ耐えられるか?」というシュミレーションをしましたが、過去から利益重視で経営してきたお客様ほど、期間は長く、利益重視・財務体質重視の経営をしてきた良かったという声をよく聞きました。
     
     この寿命を伸ばすために、売上OSから利益OSに思考を転換して、5段階で利益を管理して、利益最大化を目指していくための方法を説いています。

     新入社員に社長がしている「利益」の話も紹介されており、私も早速、新入社員研修に導入しています。全社員が利益思考になるためにも、活かせる内容です。

     本書は、不確実性の時代に必要な経営思想となりそうで、これからも注目されそうです。

    3.5  『会社を潰す社長の財務!勘違い』 古田土満著

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     中小企業経営者にありがちな財務や経営の勘違いを40個取り上げて、徹底解説。

    ・売上高経常利益率が10%ないと社長失格
    ・現預金は月商の3ヵ月分必要
    ・無借金経営だと返済実績がないので、借り入れができない
    ・利益はできるだけ圧縮して、節税した方が得する
    ・社員のやる気は人事・給与制度で決まる
    ・計画通りにいかないから計画を作っても意味がない
    ・財務のことは経理に任せておけば大丈夫

     

    など、財務などの本を読むと、よく書いてある内容ですが、果たして本当にそうなんでしょうか??
     
     こういった勘違いに対して、3000社以上の指導実績があり、オーナー経営者のための雑誌である日経トップリーダーで80回以上の連載をしている著者が、ズバリと正しています。
     机上の空論ではなく、会計事務所の経営者として40年以上の経験があるからこその、実践的な内容となっています。

    4.  会社を成長させていきたい方のための本 

      「基盤はできてきたので、さらに拡大して伸ばしていきたい」
      「経営者自身がとにかく忙して、この状況を打破したい」
      「組織を形にして、もっと任せていきたい」
      といった方に5冊選びました。

    4.1『はじめの一歩を踏み出そう』 マイケル・E・ガーバー著

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     世界で100万部を突破しており、「7つの習慣」「ビジョナリーカンパニー」「金持ち父さん貧乏父さん」など著名なビジネス書と肩を並べる起業バイブルです。

     スモールビジネスを対象に25000社へ経営コンサルティングしてきた著書が、スモールビジネスの経営者に陥りがちな罠を分かりやすく説明して、それを避けるための考え方を紹介しています。


     スモールビジネスの経営者には3つの人格があり、
    典型的な経営者は、3つのバランスが悪く、起業家タイプ(10%)・マネージャータイプ(20%)・職人タイプ(70%)とのこと。

      専門的な仕事ができる力(職人)と、会社を経営する能力は全く別物にも関わらず、混在してしまって、経営できる力があると勘違いしてしまうことが、失敗への入口です。

     職人の人格だけでなく、マネージャーや起業家としての力を伸ばしていき、職人を脱却して経営者になるための心構えなどを学ぶことができます。

    「金持ち父さん貧乏父さん」の4つの属性 ①従業員(E) ②自営業者(S) ③ビジネスオーナー(B) ④投資家(I)は有名ですが、あわせて読むと、自営業者からビジネスオーナーへ変革するステップと近しいものがあり、面白いです。

    4.2『一倉定の社長学 「経営計画・資金運用」』 一倉定著

     

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    「社長の教祖」と呼ばれ、1万社近くの企業を指導したと言われる『社長専門の伝説の経営コンサルタント』一倉定氏の名著。

    一倉氏の「郵便ポストが赤いのも電信柱が高いのも社長の責任」という強烈なひと言が有名です。経営は「社長次第」という信念があり、空想理論ではなく、徹底した現場実践主義に基づいて指導されてきたご経験に基づいた一冊だけあって、現実の経営に役立たないはずがありません。


     本書は1万円以上の価格になりますが、
    名だたる会社の経営者(例:日本マクドナルドの藤田 田氏)が、
    「社長必読の名著」「血の通った実践の書」「会社を永遠に存続させるために必読」「全経営者はこの本を読むべきだ」といった評価をしておられる通りで、(引用:一倉定の社長学全集のご案内|日本経営合理化協会)必読書であり、ビジネス書100冊を読むよりも、価値があると思います。
     私自身、ビジネス書を200~300冊読んでから、この本に出会いましたが、もっと早く出会いたかったです。

     本書のメインは「経営計画」ですが、経営を学ぶにあたって「経営計画」は切っても切り離せない関係です。

    金融機関に提出するために事業計画を作っていても、それは単なる数字合わせになっていたり、経営計画を作ったものの魂が込められておらず実践されていないケースが見受けられます。

    本書では、実践に即した経営計画書の立て方や業績を間違いなく伸ばしていくための経営計画の使い方を徹底解説しています。

    本書のまえがきで、こう書かれています。

    経営計画が、事業経営に「必要不可欠」なものであり、社長自らを全く変えてしまうことも、しばしばあることも見てきている。事業経営全体を、これ程的確にとらえ、誤りない手をうつために役立つものもなければ、社員の動機づけとして、これ程有効なものはないことも痛感している。
     そして、さらに大切なことは、社長を日常の業務の指導から解放し、自らの将来を考える時間を生みだすことを可能にするということである。

     

     一倉定の社長学シリーズは全10巻ありますが、本気で経営を学びたい方は全て読まれてみてはいかがでしょうか。

    4.3 『経営者の条件』 P・F・ドラッカー著

     

     

     成果を上げたい方、目標を達成したい方にとっては、非常に勇気を与えてくれる一冊です。何故かというと、本書では「成果を上げる能力は習得できる」と断言しているからです。日常の実践を繰り返すことによって、成果を上げる力を習慣化していけるとしており、そのための具体的な方法も解説してくれています。
     

     成果をあげるために身につけておくべき習慣的な能力として、下記の5つを紹介しています。

    ①何に自分の時間がとられているかを知ること。残されたわずかな時間を体系的に管理。
    ②外の世界に対する貢献に焦点を合わせること。仕事ではなく成果に精力を向けること。「期待されている成果は何か」からスタートすること。
    ③強みを基盤にすることである。
    ④優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中することである。最初に行うべきことを行うこと。
    ⑤成果をあげるような意思決定を行うこと。決定とは、つまるところ手順の問題。

     

    一つ目の「時間」ですが、経営とは限られた資源(人・お金・時間)をどう配分するかというゲームでもあります。

    前述の「はじめの一歩を踏み出そう」にあったように、「職人」「マネージャー」「起業家」としての時間配分をどうするかによって、会社の成長が変わっていくのは間違いありません。

    また、会社の成長には「組織」という機能が必要になってきます。
    ドラッカーは「組織の役割は、人の強みを成果に結びつけ、人の弱みを中和することである」と言っていますが、それぞれの強みをどう活かすかという発想をもたらしてくれます。

    本書は、経営を学びたい方以外にも、生産性を上げていきたい方にとっても必須の一冊です。

    4.4『まかせる力』 高田明、新将命著

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     ジャパネットたかた創業者の高田明氏と、元ジョンソン・エンド・ジョンソンの社長で、シェル石油、日本コカ・コーラ、フィリップスなど外資6社を経験した新将命氏の共著。

    2015年1月にの社長職を辞し、息子にまかせてからも業績を伸ばし続けているジャパネットたかたの秘密も明かされています。

     会社を成長させていくには、経営者自身が社員に「まかせる力」が必須です。まかせるというと、どちらかというと社内のメンバーが対象というイメージですが、
     まかせる相手は、社員だけではなく、顧客や取引先とも「まかせる」「まかせてもらえる」という関係性があるからこそビジネスが成り立っています。

     ジャパネットの創業社長の下記の言葉を読むと、それがよく伝わってきます。

    『振り返って思う成長の最大の要因は「まかせられた」ことではないか、と感じるのです。
     ナショナルブランドや本当に価値のある商品を作る大小メーカーや関連業者さん。
     そうしたモノ作りや流通のプロたちが、当時は海の物とも山の物ともわからなかった私たちを信用してくださったのが、「よし、なら『まかせて』やろう」と決断してくれたと思います。
     私たちは私たちで、彼らから「まかせて」もらえるために、商品を手に取っ て触れ、魅力を聞き取り、実際に試すことを続けてきた。そして「素晴らしい」と思える商品だけをお客さんに届けることをしてきました。』

     
     本書を通じて、経営には「まかせる」という要素があるのだと気づかされます。

    4.5 『利益3倍化を実現する「儲かる特別ビジネス」のやり方』 中川洋一著

     

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     経営は「差別化」が大事という話は誰しも聞いたことがあると思いますが、一方で、
    中小企業のお客様からは「どう差別化していいか分からない」「差別化って言われても、正直難しい。そんな資源はない」というお話をよく聞きます。

     結果的に差別化できず、価格競争力がないため、安い金額で受注したり、価格競争に巻き込まれて、なかなか利益体質にならないという悩みが多いのが現実です。

     そこに、「特別ビジネス」という切り口で、競合との違いを実現して、利益3倍化するための手法を指南してくれるのが本書です。

     「特別ビジネス」とは、特急対応、短納期、緊急対応、深夜対応、超小ロット対応、現場での実地指導、技術コンサルティング、特注対応、カスタマイズ対応・・・といった、他社がやっておらず、顧客も驚くような特別対応・イレギュラー対応を軸としたビジネス手法です。

     働き方改革の影響もあり、世の中がイレギュラーをなくしていく流れがあるので、
    かゆいところに手が届くサービスは宝の山ですが、手間暇をかけると、コストがかかってしまい利益3倍化とは逆行してしまう可能性があります。そこで、本来はイレギュラーであるはずの特別対応を仕組みで廻し「標準化」することで、競合不在の無尽蔵の市場で差別化
    を実現するというのが本書の面白いところです。

     儲かるためのキラーサービスパターンとして、

     

    ・時間を短くする/長くする/ずらす
    ・川上/川下でのサービスを展開する
    ・ノウハウ、サポートを提供する

     

     の3つが事例と共に紹介されていますが、自社の経営に落とし込んで考えてみると、何かしら差別化ポイントが生まれてくるのではないかと思いますので、差別化に悩んでいる方はぜひ読んでみて欲しい一冊です。

    5.経営者としての思考力・あり方を鍛えるための本

      「これから先、どんな経営をしていこうか迷っている」
      「世の中には、どんないい会社があるのか知りたい」
      「経営者としての器を大きくしていきたい」
     という方に5冊選びました。

    5.1『経営者のノート 会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針』 坂本光司著

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     これまで8,000社以上に訪問調査やアドバイスをしてきた、ベストセラーシリーズ『日本
    いちばん大切にしたい会社』の著者でもある坂本光司氏が、優良企業の経営者から得た気付きを100の「金言」としてまとめたものです。
    会社がいちばん大切にすべきなのは社員とその家族であり、顧客はその次であり、また会社とは「人を幸せにするための、人が幸せになるための場所」と定義されています。

     売り手良し・買い手良し・世間良しの「三方良し」は有名ですが、本書では「五方良し」の経営を掲げています。

    第1:社員とその家族
    第2:社外社員とその家族(取引先・協力企業など)
    第3:現在顧客と未来顧客
    第4:地域住民、とりわけ障がい者など社会的弱者
    第5:株主・支援機関

     

    「三方良し」の経営と異なるのは、企業・経営者・株主という「売り手」の「良し」ではなく、社員の「良し」を重視するとともに、社員の家族も同様に重視する点です。
    また、取引先・協力企業も幸せづくりの対象として明確に位置づけています。加えて、単に世間ではなく、地域住民、とりわけ障がい者など社会的弱者を幸せにする経営が必要であることを明示し、企業に求めている点も重要。この5人の幸せを最大目的にし、この5人が幸せを実感できる経営こそ、正しい経営のあり方だと道しるべを示してくれています。

    5.2『京セラフィロソフィー』 稲盛和夫著

     

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     20代前半に、稲盛和夫氏の書籍に出会ってから人生が好転した私にとっては、「京セラフィロソフィー」が発売されると聞いた時の興奮は今でも覚えています。
        
    京セラ、KDDIの創業、JALの再建と、次々と世界的大企業を発展に導いてきた日本を代表する経営者が、これまでのビジネス経験や人生を経て紡ぎ出した集大成である「フィロソフィー」。 これまで京セラ内部と、著者が主宰する経営塾「盛和塾」でしか読むことのできなかった“門外不出の書"を一般向けに公開してくれた衝撃の一冊です。

     稲盛和夫氏の代表作は「生き方」で、発売後19年経ちますが、日本では150万部突破、中国ではなんと600万部を突破しているようで驚きです。
     時代も国も越えて読まれ続けているのは、ドラッカーや一倉定氏の書籍と同様に、本質的であり、普遍的な内容である証ですね。

     そんなベストセラーになっている「生き方」の原点であるフィロソフィーですが、本書は、600ページを超える超大作です。
     「考え方」や「生き方」「あり方」から始まり、後半では「アメーバ経営」「全員参加経営」「値決めは経営」「売上極大・経費極小」「仕事の原理原則」なども盛り込まれており、本書を読めば、稲盛氏の思考を丸ごと学ぶことができます。稲盛さんの本を何から読めばいいか迷ったら、ぜひこちらを手に取ってみて下さい。

     私は本を読む時は、気になった部分は赤ペンを引いて、そこを定期的に見返していますが、過去読んできた中で、一番赤ペンを引いた一冊です。

    5.3『ゼロ秒思考』 赤羽雄二著

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     経営は「決定」の連続です。
     日々、状況を判断して、課題を整理して、意志決定することは簡単ではありませんが、訓練することで鍛えることができるというのが本書です。

     著書は2013年に発売して以来、ロングセラーを続けており、累計で34万部を突破しています。

     「ゼロ秒思考」とは、瞬時に現状認識、瞬時に課題整理、瞬時に解決策導出、瞬時にどう動くべきか意思決定できる思考のことで、思考の「質」と「スピード」、双方の到達点と位置づけられています。その結果、迷っている時間や思い悩んでいる時間はゼロになるというコンセプトです。

     具体的な方法は非常にシンプルで、A4一枚の用紙に、一つテーマを決めてそれに対して4~6行を1分以内に書くというものです。
     毎日10ページ書くことを推奨されており、6ヵ月で1800ページ、1年で3600ページとなり、思考スピードや判断力が飛躍していくというものです。

     優れた経営をされている方は、普段から経営のことを考え続けており、常に感度が高く、アンテナが強力に立っている傾向が強いですが、
     毎日10ページ書こうとすると、それだけの問いや思考回数が生まれるので、考え続けることにつながります。
     
     私自身、1年間継続したことがありますが、凄い量のメモ書きの枚数になり、それが思考の積み重ねの証にもなり、自信の源になりました。

    5.4『時間最短化、成果最大化の法則』 木下勝寿著

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     十分な能力やスキル、経験があるのに、なかなか成果が出ない。何とか成果を上げられるようになりたいという方にお勧めの一冊です。

    大学在学中に起業を経験し、リクルートを経て、たった一人で資本金1万円で創業。その後15年で東証一部に上場させた㈱北の達人コーポレーション(健康食品、化粧品の製造販売)の代表者が明かす「最短時間で最大の成果を上げる方法」

     従業員一人当たり利益2332万円、営業利益率29%の秘密を公開した「売上最小化、利益最大化の法則」では高収益のための経営を紹介していますが、本書では、成果を出す経営者としての思考・行動原則を惜しみなく書いています。

     稲盛和夫氏の「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」が有名ですが、いくら能力があっても、考え方や熱意がマイナス、もしくは、少なければ結果が出ないという考え方です。
     木下社長は、
    「成果=スキル×思考アルゴリズム」という黄金法則をかかげていますが、先ほどの「人生・仕事の結果」の法則に通ずるものがあります。

     冒頭で以下の事例を紹介しています。

    新人         スキル1×思考アルゴリズム1=成果1
    ベテラン       スキル3×思考アルゴリズム1=成果3
    成果を上げ続ける人  スキル3×思考アルゴリズム50=成果150

     

     上記の通り、経験や知識が増えても、成果の出る思考体系・思考習慣が伸びなければ、成果はさほど変わりません。一方でスキルは同等レベルであっても、成果の出る意思決定基準を1個持っているのか、それとも50個持っているのかで、成果は50倍も変わってくるという法則です。


     全部で45個の法則が紹介されていますが、「行動力が10倍アップするピッパの法則」「めんどうくさければGO!の法則」「10回に1回の法則」「原因解消思考と最終目的逆算思考の法則」といったように、どれもユニークでキャッチーなので、すっと頭に入ってきます。

     私も実践してみましたが、1日1個ずつインストールしていけば、45日後には、思考が切り替わっていくことを実感するでしょう。

    5.5『論語と算盤』 渋沢栄一著

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     2021年の大河ドラマ「青天を衝け」の主人公であり、2024年に刷新される新一万円札の顔にもなりますので、ご存じでない方はいないのではないでしょうか。

     その渋沢栄一氏の代表作といえば、大正五(1916)年に刊行され、100年以上も読み継がれている『論語と算盤』

     自分達の利益や金儲けだけを追求(算盤)するのではなく、自分よりも公や他者を優先しながら、道義を伴った利益を追求せよ(道徳)というのが大きなメッセージです。
     要するに、金儲けすることと、世の中に尽くすことを両立しましょうということを「論語と算盤」という言葉で見事に表しているわけです。

     昨今、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)といった言葉に触れる機会が増えてきており、明らかに世の中の潮目が変わってきて、道徳と経済を一致することが求められてきています。

     また、私自身、新卒社員の教育や採用に関わっており、20代前半の方との接点が多いのですが、若い方の働く動機として、
    「世の中に役に立つ仕事がしたい」が一番になっており、会社が世の中から必要とされる存在なのか?という問いの重要性が増してきているのを実感しています。

     そういう意味で、本書はこれからの時代に益々必要になっていきそうです。

     我々が中小企業に提供している「人を大切にする経営計画書」と「月次決算書」の2大商品は、まさに「論語」と「算盤」の役割を担っていますが、こうした世の中の変化とともに、導入していきたい会社様が増えていますので、しっかりとお届けして、論語と算盤の両方を実現する経営を後押ししていきたいと思います。

    6. 一流の経営に継続的に触れていくための本

      「一通り、経営の勉強はできたので、日々継続的に学びたい」
      「いきなり一冊の本を読むのは大変なので、小さく学びたい」
      という方に、1日1話形式になっている5冊を選びました。

    6.1『一倉定の経営心得』 一倉定著

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     経営者のための経営のバイブル。

    『一倉定の社長学 「経営計画・資金運用」』で紹介させていただいておりますが、
    社長学シリーズを全巻揃えようとすると、10万円以上の値段になります。

    さすがにそこまでは...という方にお勧めなのがこちらの一冊です。

    社長だけを対象に35年間、経営指導してきた経験から生みだされた600を超える経営至言の中から、104項目を厳選し、簡潔かつ明快な解説を併せて収録されたものです。

    読み進めると、ドラッカーと通ずる内容も多く、和製ドラッカーと言っても過言ではないかもしれません。

    104項目全て紹介したいぐらいですが、そういうわけにはいかないので、特に響いた経営至言トップ10を紹介したいと思います。

    1.会社の真の支配者は、お客様である
    2.社長たるもの、お客様の要求を満たすために、自ら先頭に立って、社内に混乱をまき起こせ
    3.わが社の赤字は、お客様を忘れたのが原因である。
    4.いい会社とか悪い会社とかはない。あるのは、いい社長と悪い社長である。
    5.優柔不断は誤った決定よりなお悪い。
    6.経営計画書は、社員の心に革命をもたらし、会社に奇跡をもたらす「魔法の書」である。
    7.「経営計画」の作成時間を節約するというほど、誤った時間の使用法はない。
    8.目標はその通りいかないから役に立たないのではなく、その通りいかないからこそ役に立つのである
    9.社長の蛇口訪問一回は、セールスマンの訪問の百回に勝る。
    10.組織というものは、いったん出来上がると、奉仕すべき対象よりも、組織それ自体の存続のほうが常に優先するという危険をはらんでいる。

     

    6.2『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』 藤尾秀昭監

     

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     日々、心が揺さぶられる機会はありますでしょうか??

     創刊42年の歴史を持つ人間学の月刊誌「致知」の1万本以上のインタビューや対談記事の中から、著名人(稲盛和夫、王貞治、羽生善治、柳井正、山中伸弥、北方謙三など365人)の言葉を抜粋したものが、どれも内容が濃く、読み応えがあります。

     各界第一線で活躍する方の仕事への姿勢、発想法や、深い人生体験に根ざした生き方の哲学を味わうことで、仕事力だけでなく、人間としての魅力が身についていきます。

     松下幸之助氏の「企業は人なり」という格言は有名ですが、経営をしていく上で「人」抜きでは語れません。

     人間的な魅力を磨く上でも、「人」というものを理解するにあたっても、
    多くの人生や考え方に触れることは大事だと思います。

     その点、本書は、たったの1日5分で、これだけ多様な人生や生き方に触れることができる、貴重なコンテンツです。

     例えば、メジャーリーグで大活躍の大谷翔平選手や菊池雄星選手の母校である花巻東高校の野球部監督の佐々木洋氏の話も掲載されています。

     

     運気を上げるためには、以下の4つを自らコントロールしている人にしかやってこないと力説されています。
     
    1,言葉
    2,一緒にいる人
    3,表情、態度、姿勢、身だしなみ
    4,感謝と謙虚さ

     

     これらを実践する一例として、チームが宿泊したホテルから帰る時は、すごくきれいに掃除させて、ホテルの方がベッドメイクが要らないくらいに綺麗にするそうです。

     

     このように、世の中の原理原則と言われているようなことと具体的なエピソードの両方があるので、腑に落ちる学びが非常に多いです。

    6.3『佐藤肇 経営の決断 101項』 佐藤肇著

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     地方の町工場を「海外売上8割超」「高収益・自己資本比率7割」の優良グローバル企業(スター精密)に育てた著者が、社長なら誰もが直面する経営課題の正しい処し方と社長業の核心を「決断の急所」として101の言葉に凝縮した一冊です。

     不況・天災・市場変貌・ライバルの台頭。2008年のリーマンショック時は売上が3分の1、85億円の大赤字を出しながら、リストラや給与カットは一切なしで見事にV字回復を成し遂げています。
     そのような、幾度の難局を切りぬけ、半世紀にわたる実践の中で磨き上げられた「会社を絶対につぶさない経営」の要諦を説く、これ以上ない生きた教科書です。
     
     下記のような至極の言葉が満載で、経営の決断に大きな示唆を与えてくれるのではないでしょうか。

     

    ・絶対に大企業のマネをするな。規模を追わず「身の丈」にあった経営に徹せよ。
    ・健全性が第一、二番目は収益性、これからの時代、成長性は最後。
    ・売上・利益の増加は単なる手段であって、真の目的はキャッシュの最大化である。
    ・売上規模では適わなくても、一人当たりの賞与支給額ならトヨタに勝てる。それが中小企業の正しい戦い方である。
    ・「捨てる経営」ができないと、儲かる会社にならない。
    ・トップがすべきことは「先を読むこと」と「決めること」
    ・収益力が高い理由はとても簡単。儲かる商品だけをつくり、儲かる客だけに売っているから。

     

    6.4『凡事徹底』 鍵山秀三郎著

     

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     自転車での行商から始めて、イエローハットとして大きく成長させた鍵山秀三郎氏。
    1961年の創業以来、続けてきたのが、会社やその周辺の「掃除」。掃除道は、会社の枠を超えて日本を美しくする会(掃除に学ぶ会)として全国だけでなく世界(ブラジル、中国、ニューヨークなど)まで広がっています。

     私自身、会社の取組みとして、毎年、掃除に学ぶ会に参加しておりましたが、半世紀以上も継続していることに、ただただ感心するばかりです。

     掃除のような平凡なことをおろそかにせず、徹底して行うこと、すなわち「凡事徹底」こそが、非凡な力を生む。微差の積み重ねが絶対差につながる。
    会社経営において、「当たり前」のことが疎かにされていて、徹底できいないケースはないでしょうか? 鍵山秀三郎氏は、簡単なこと・単純なことを極めていくことの重要性を体現してくれています。

     「十年偉大なり。二十年畏るべし。三十年にして歴史になる」という名言がありますが、凡事徹底された人生哲学を披露した一冊で、日々の積み重ねや長期視点で経営を考えることを教えてくれます。

    6.5『ドラッカー 365の金言』 P・F・ドラッカー著

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     ドラッカーといえば、「マネジメント」「プロフェッショナルの条件」「イノベーションと企業家精神」をはじめ、ドラッカー名著集全15巻など有名な書籍が数多くあり、
    ビジネス書評などでは必ず取り上げられています。なので、一度は読んでみようとチャレンジされた方も多いのではないでしょうか?

     ところが、読み慣れていないと難解で読み込めず、途中で挫折してしまったというお声も耳にします。かくいう私もそうです。

     そこでお勧めなのが本書です。
    ドラッカー氏の社会・経済に対する洞察、事業、マネジメントの本質、意思決定、知識労働者が持つべき心構えなどが、「365の金言」としてまとめられており、至言の宝石箱のような存在です。

     一冊一冊を読み進めていくのは正直大変ですが、本書があれば、数多くの著作のエッセンスを短時間で吸収することができます。

    7. 経営の面白さを感じることができる本

     「何となく上手くいっているけど、もっといい会社にしていきたい」
     「経営をするのは、とにかく大変。このまま続けらえるのだろうか」
     「創業した時は、志が高かったけど、少しずつ薄れてしまっている気がする」
     という方に、「経営って面白い!」「会社の必要性」を感じられる5冊を選びました。

    7.1『感動経営』 唐池恒二著

     

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     最低料金が65万円からでありながら、予約倍率10倍(過去最高は316倍!)と予約困難な世界一の豪華列車「ななつ星」。
    その「ななつ星」を大成功させた、唐池恒二さんによる、『感動経営』です。

    最近、日本企業は元気がないと言われますが、JR九州は、飲食店から農業から、あらゆる事業を手掛け、元気に成長中です。

    そんなJR九州会長(2022年時点では相談役)の著書のまえがきで、日本企業に元気がない理由が、「感動飢餓の時代」と指摘して、こう書かれています。

    かつての日本企業では、感動する者と感動させる者のコミュニケーションがとても高いレベルで成立していた。それが、いまはどうだ。低位安定に落ち着きすぎている

     

     仕事の目的は、誰かを感動させて、元気にすることだと主張され、
    医者なら患者を。役者なら観客を。作家なら読者を。レストランならゲストを。JR九州なら乗客を。感動してもらえる仕事をしようと書かれています。

     働き方改革などの影響もあり、効率優先が目立つようになっているからこそ、思いを込めて、手間をかけるからこそ、お客様を感動させることができるという原点に立ち返ることができ、感動を生みだせるような経営・仕事をしていきたいという意欲を駆り立ててくれます。

    7.2『起業の天才』 大西康之著

     

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     日本が生んだ稀代の起業家であり、8兆円企業リクルートを創った男、江副浩正氏の伝記。

    「起業の天才」と呼ばれた江副浩正氏の生涯や理念、リクルートという会社、そして「リクルート事件」の真相について、江副を知る多くの人物の逸話とともに事細かに記載されています。

     リクルートと言えば、数多くの起業家を輩出していますが、本書を通じてリクルートという会社の魂がどう生まれたのかを垣間見ることができました。

     
    日本はいつから、これほどまでに新しい企業を生まない国になってしまったのか。答えは「リクルート事件」の後からである。リクルート事件が戦後最大の疑獄になったことで、江副が成し遂げた「イノベーション」、つまり、知識産業会社リクルートによる既存の産業構造への創造的破壊は、江副浩正の名前とともに日本経済の歴史から抹消された

     

     という一節が特に印象に残っていますが、

    新型コロナウイルス感染症やChat GPTなどにより、何かが大きく変化しようとしている中で、江副氏のような起業家精神や創造的破壊が求められていることは間違いないので、その精神に触れる意味でもお勧めの一冊です。

    7.3『末広がりのいい会社をつくる~人も社会も幸せになる年輪経営~』 塚越寛著

      

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     会社経営をしていると、「果たしてどんな会社を作っていきたいのだろうか?」「働いてくれている社員は幸せを感じているのだろうか?」 など悩むことがあるのではないでしょうか?

     そんな状況に、指針を示してくれるのが本書です。

      著者は、かんてんぱぱで有名な伊那食品工業株式会社最高顧問、塚越寛氏で、トヨタ自動車の豊田章男氏が「私の教科書」と絶賛する一冊です。まさに「論語と算盤」のお手本ともいえる会社ですね。

     「いい会社」について、こんな風に書かれています。

     

    「良い会社」とは、売上や利益、株価といった数字で評価された表現であり、経済関連の紙面で目にする言葉です。これに対し、
    「いい会社」というのは、社員やお客様、取引先や仕入先、地域の人たちはもちろん、タクシーやトラックの運転手、会社へ遊びに来た人など、会社をとりまくすべての人たちが、日常会話の中で「いい会社だね」と言ってくれる会社のことです。

     

     個人的に、若い人達が「この会社に入って本当に良かった」、さらには、自分の子供が「この会社で働いてみたい」と思ってもらえるだけの「いい会社」にするのに貢献していきたいなという想いがあります。

     本書では、「いい会社」をつくるための10ヶ条(例:常にいい製品をつくる)が紹介されていますので、何が足りていないのか、具体的に何を取り組めばいいのか示してくれます。

    7.4『会社の目的は利益じゃない』 横田英毅著

      

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     トヨタのディーラーであるネッツトヨタ南国の創業者による一冊。

    この本を読んだのは発売当初の約10年前。
    当時は、創業当初から「採用」「人材育成」に全力投球しており(採用には1人20時間以上を費やす)、日本経営品質賞の受賞、全国のトヨタ販売会社の中で顧客満足度ナンバーワンの評価、リーマンショック後の自動車不況でも好業績と注目されている企業でした。

     とにかくお客様や地域社会から必要とされるお店創りをされており、ショールルームには車を1台も置かず、平日は100人以上、週末は300~500人の方が訪れるというのですから驚きです。

     この紹介記事を書くにあたって、久々に会社のHPなどを見てみましたが、お客様や地域社会から唯一無二の存在であり、人が育つ社風が顕在であることがよく分かりました。下記のような面白いプロジェクトも取り組まれておりました。

     ・こんにちは委員会(会社を知っていただくきっかけを創る)
     ・いつまでも委員会(お客様、地域社会、社員同士の絆を深める)
     ・あたりまえ委員会(あたりまえのことを人並外れた熱心さで実行する)

    こういった会社作りをしていきたいなというロールモデルになる一冊です。

    7.5『海賊と呼ばれた男』 百田尚樹著

     

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     出光興産創業者の出光佐三をモデルとした主人公・国岡鐡造の一生と、出光興産をモデルにした国岡商店が大企業にまで成長する過程が描かれた「人間尊重主義」や「大家族主義」に溢れた小説です。

     記憶に刻み込まれるエピソードは多くありますが、一つだけご紹介してみます。

     昭和20年(1945年)の敗戦時、従業員1,000人ほどを抱える大企業になっていた出光興産は資産の大半を失い、残ったのは借金と従業員だけ。

     
    日本には三千年の歴史がある。戦争に負けたからといって、大国民の誇りを失ってはならない。すべてを失おうとも、日本人がいるかぎり、この国は必ずや再び立ち上がる日が来る。

     

     という想いのもと、敗戦から2日後に出光佐三は従業員に向けて、下記の言葉を送って鼓舞しています。

     
    私は、この際、店員諸君に3つのことを申し上げます。
    一、愚痴をやめよ
    二、世界無比の三千年の歴史を見直せ
    三、そして今から建設にかかれ

     

    さらに、当時はさまざまな企業が当たり前のように従業員をクビにしていましたが、出光佐三は一人もクビにしないことを宣言。

    従業員を一人もクビにせず、お金や権力のためではなく国や消費者のために事業を続けた出光佐三の生き様は、何のために経営するのか?ということに対して、大きな示唆を与えてくれます。

    8.さいごに

    本記事では、経営を学べるおすすめ本33冊をご紹介しました。


    ここで、この33冊の中から、特に私自身の人生に影響を与えてくれたベスト3を紹介させていただきます。

    1. BEST3 「感動経営」

     「感動のない仕事は仕事ではない」という言葉が心に深く刺さり、純粋に「自分が感動できる・まわりに感動を与えられる」仕事をしたい!と心に刻まれました。
     唐池氏の「気づき発・即断経由・アクション行き」という比喩も、日々の仕事への姿勢にインパクトをもたらしてくれています。

    1. BEST2 「一倉定の社長学 経営計画・資金運用」
     日々、中小企業の経営者に「経営計画」の作成・運用指導をさせていただいておりますが、この本を読まずして、経営計画を語ってはいけないと思えるだけの内容です。
     財務や経営計画の本を100冊読むよりも価値があるといっても過言ではないくらいです。

    1. BEST1 「京セラフィロソフィー」


     社会人1年目で稲盛氏の本に出会って、自分の中で「仕事をする意味」が激変しました。仕事人としての「あり方」だけでなく、人としての「生き方」に多大な影響をもたらしてくれており、今の自分があるのも稲盛さんのおかげです。


    最後に、もう1冊ご紹介させていただきます。

    12年前にお客様への書評をスタートして140冊以上になりますが、記念すべき1冊目です。

    1. 『経営者に贈る 5つの質問』P.F.ドラッカー著
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    5つの質問は「経営」を考える本質的な問いになっています。

    質問1 「われわれのミッションは何か?」
    質問2 「われわれの顧客は誰か?」
    質問3 「顧客にとっての価値は何か?」
    質問4 「われわれにとっての成果は何か?」
    質問5 「われわれの計画は何か?」

     

    5つの質問に答えるだけでも、経営を考える機会になります。ぜひ試してみて下さい。


    33冊+1冊については、
    1冊目から順番に読んでいただくというよりも、ご自身の状況に合せて、読む書籍を選んでいただけると良いかと思います。

    そして、手に取っていただいた書籍が、経営に役立つ一助となれば幸いです。

     

    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)
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