中小企業が経営計画書を作成する20のメリット

    記事公開日: 2021.03.19

    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)

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    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)

     

    経営計画書を作成するメリットは、「理想を現実にできること」です。

    社長が思い描いている理想の会社を文字や図に落とし込むことによってより鮮明になり、そこにひかれた社員やお客様・取引先が集まるようになり、いつの間にか実現してしまうという魔法の書です。

     

    一方で、「経営計画書」という言葉はよく聞くけど

     

    ・実際作成するとどのようなメリットがあるのか?

     

    ・本当に必要なの?VUCAと言われるように先が読みづらい時代なので作っても意味ないのでは?

     

    という声も聞きます。

    そこで今回は、「経営計画書を作成するメリット」に絞って解説していきます。

     

    古田土会計グループでも理念の浸透や成長拡大の道筋、社内体制の整備・事業承継等様々な取り組みを行ってきた結果社内のみならず各所から評価を頂けるようになりました。そして、お客様に対して経営計画書の作成や運用を支援させて頂いている経験も踏まえて解説をさせて頂きます。

     

    なお、経営計画書の作成については別の記事で解説していますのでそちらをご覧ください。

     

    参考 毎年1,000社超の企業に指導してきた経営計画書の書き方

    1.   経営計画書のメリットの全体像

    経営計画書を作成するメリットは何でしょうか?

    冒頭で述べさせていただいた通り端的に表すと「理想を現実にできる」ことです。

    しかし、本当にそうなの?と思われるかもしれません。

    そこで、なぜそうなるのかを経営計画書のメリットを通して理解につなげていければと思います。

     

    経営計画書を作成するメリットは多くありますが、会社にとってのメリットを更に分解すると経営者自身にとってのメリット、社員にとってのメリット、お客様や取引先に対してのメリット、金融機関に対してのメリット等多岐にわたります。

     

    この辺りを意識してご覧いただくと「理想を現実にできる」ということの意味やイメージが湧いてくるのではないかと思います。

     

    念のためですが、とは言え経営計画書を作成しただけでは理想は現実になりません。

    例えば法律の改正等自社だけでは解決しえない外部環境や理念の浸透、戦略、戦術の質、行動の質等様々な要因が絡みます。

     

    しかしながら、何も無い状態と比べると格段に確率は上がりますし、まずは「理想」をイメージし、そこに書いてあることとやっていることを合致させていくことが「現実」につながっていきます。

    2.経営計画書作成 20のメリット

    ①全社一丸体制の構築(価値観・理念の統一)

    中小企業が成長拡大していくにあたっての重要なポイントは経営者・社員が同じ方向に向かって進むことが出来るかどうかです。部活動をイメージして頂くと分かりやすいかもしれませんが、ある人は県大会1勝、ある人は全国大会出場、ある人は全国優勝等と目標がぶれていては考え方や行動もバラバラになってしまいます。

     

    そこで全員を同じ方向性に向かわせる道具が必要となり、それが経営計画書です。

     

    経営計画書にはMVV、使命感(目的)企業理念や価値観・方針・目標等が明確に示されるため、組織内での理解と共有が促進されて全社一丸体制の構築が可能となります。

    =経営者と社員とのコミュニケーションツールとも言えます。

     

    古田土会計グループでも毎年社員満足度調査を行ってますが、その中の項目の一つである「経営理念やビジョンが社員に浸透している」という項目については8/10点となっており、外部機関による調査でも優良企業の平均78%に対し古田土会計グループは84%と高い水準を維持しています。

     経営者と社員のコミュニケーションが円滑になる

    経営計画書を作成することで、経営者が考えていることが言語化・文字化されるため社員にとっても経営者の考えが伝わりやすくなります。そして、経営計画書を介してお互いの意思疎通を図ることができるようになるためコミュニケーションが円滑になります。

     

    具体的にどういうことかと言うと、例えば経営者が社員に向かって経営計画書を通じて社員の未来像(社員にこうなってほしい、こうしたいといったことを記載)を説明した場合、社員は「社長は自分たちのことをこのように考えてくれているのだな。」ということが伝わりやすくなります。

     

    また、そこに対して「もっとこうした方がよいのでは?」といった意見や提案も出やすくなります。逆に、経営計画書が無い場合を考えるとどうでしょうか。

     

    もちろん計画書が無くても未来像を社員に伝えることはできます。しかし、社員がそれを覚え続けることが出来るかどうかは別です。ふとした時に社員が確認できるようにすることが必要です。また、もしかしたらその時の状況やシチュエーションによって社長が伝えることが変わってしまうかもしれません。

     

    そうすると社員は「言っていることが毎回違う。。。」という風になることを防ぐためにも文字化しておくことが大切です。

     

    古田土会計グループの未来像MAP

     

    使命感である「日本中の中小企業を元気にし、その社員と家族を幸せにする」とは具体的にどういうことなのかをビジュアル化しました。

     

    また、社員の未来像・事業の未来像・組織の未来像は以下のようなイメージです。

    ③お客様に会社のことを理解してもらいやすくなる

    経営計画書には①で記載した通り会社を理解するうえで重要なことが網羅されています。

    それをお客様と共有することによって、会社の方針や考え方を理解してもらいやすくなります。

     

    そうすると、そこにひかれ、価値観があったお客様が増えていくと同時に、実際契約や商品・サービスを購入した際に齟齬が起こりにくくなります。

     

    ひいては、社員にとっても価値観のあったお客様が増えることによって仕事がしやすい環境になり、やりがいも感じてもらいやすくなります。

    ④仕入先・取引先・関係者に会社のことを理解してもらいやすくなる

    お客様のみならず、仕入先や取引先に会社のことを理解してもらいやすくなります。

     

    そう、すると、会社にあった提案が受けやすくなり、お互いに気持ちよく、社外も含めたONEチームで仕事を進めやすくなります。結果、お客様に喜ばれる仕事がしやすくなります。

     

    また、社員の家族にも会社のことを理解してもらえる有効な手段です。会社の価値観や方向性などを家族に話す機会はそう多くはないかもしれませんが、経営計画書を見せるだけでも家族に「こういう会社で働いているのだな。」ということを理解してもらいやすくなります。 

    ⑤経営参加型となり自主性が芽生え始める

    経営計画書の作成(特に個別方針)に社員が参加することで、自主性や意識が高まります。自分たちの未来を明るいものとするために社員達は自分たちの意見やアイデアを出したりすることで、自分たちの仕事に対する責任感が強まり、やりがいを感じるようになります。

     

    また、経営者と社員がコミュニケーションを密に取り、互いの意見を尊重することで、企業文化が改善され、社員の満足度が向上します。これにより、社員のモチベーションが高まり、組織全体の生産性が向上し、企業の成長につながります。

    ⑥MVVに共感した社員の採用がしやすくなる(価値観のあった社員の採用)

    企業の目標や将来のビジョンが明記された経営計画書を求職者に提供することで、企業がどのような方向性を目指しているのかを理解できるようになります。

     

    その結果、求職者は自分のキャリアと企業の将来像が合致するかどうかを判断しやすくなり、適切な企業を見つけやすくなります。

     

    また、企業の価値観や組織風土、働き方改革などに関する情報も記載されているので、求職者にとっては企業の文化や働き方について具体的なイメージを持つことができ、自分に合った環境で働けるかどうかを事前に把握できます。

     

    実際、採用難のこの時代ですが古田土会計グループではここ数年安定して10名前後の新卒社員を採用することができています。

     

    採用に関する方針でも「使命感と理念に共感いただき未来に寄り添う」と明記し、以下のような選考フローを通して会社・求職者お互いの理解を深めています。

    ⑦定着率の向上(離職率の低下)

    ③の通り、自社の価値観にあったお客様が増えやすくなります。そうすると、社員も「何でこのお客様のために・・・」ですとか「このお客様はうちで対応すべき?」といった不満が少なくなり仕事がしやすくなります。そして、更にお客様に喜ばれる場面も増えます。

     

    結果として、仕事が楽しい、面白いといったやりがいを感じる場面が増えるため定着率の向上(離職率の低下)につながります。

     

    また、社員の未来像、組織の未来像、事業の未来像等を通じて会社の未来像を鮮明にイメージできるようになるため、明るい希望を持ちやすくなることも離職率の低下につながります。

    ⑧事業承継がスムーズに進む

    事業承継は大きく経営権と財産権の承継に分かれますが、どちらも計画的に進めることが大切です。

     

    ・経営権は誰にどのタイミングで承継するのか

    ・後継者を選ぶ基準はどうするか

    ・後継者が決まったら移行スケジュールをどうするか

    ・財産権(主に株式)は誰にどのように移していくか

     

    等を記載しておきます。

    そうすると、社員としても事前に心構えができますし、協力体制も築きやすくなります。

    また、後継者自身も経営計画書があることによって方針をぶらすことなく安心して臨むことができますし、経営計画書が後継者教育の一翼を担うことになります。

     

    逆に経営計画書が無い場合は、拠り所が無くなるためMVVから外れていってしまうということも散見され、結果的に会社がバラバラになってしまうことさえあります。

    ⑨仕組づくり(属人化の排除)

    経営計画書にはMVVや戦略等の基本方針の他により現場に近い戦術等の個別方針を作成します。

    個別方針は言い方を変えるとルールブックとも言えます(本当はそうではないのですが分かりやすくこのように表現します。)=仕組作りとも言えます。例えば、環境整備の進め方、会議の進め方、面談の進め方、評価制度等についてです。

     

    会社の成長拡大にあたって、一定の水準を保つためには属人化の排除は避けては通れません。そのためのツールでもあります。

    ⑩成果の評価と改善(PDCA)

    経営計画書は作って終わりではありません。特に数字(売上・利益計画)は予算と実績の差を認識し、その差をどのように埋めていくかという運用=PDCAが大事になります。社員が経営計画書の通りに実行して予算(計画)に届かない場合は戦略を見直す必要もありますし、実行していないために予算(計画)に届かないという場合は行動を促す必要があります。

     

    経営計画書はその土台となるものです。

     

    また、経営計画書には目標や成果の評価基準が含まれるため、定期的な評価と改善のサイクルを確立するのに役立ちます。企業が目標に向かって進む過程で、どのような課題があるかを特定し、戦略やプロセスを改善するための機会となります。

    ⑪業績向上に寄与する=目標が明確になり目標達成の確立が上がる

    経営計画を策定することで、会社全体の目標が明確になり、社員一人ひとりが自分たちの役割や責任を理解しやすくなります。経営計画書が無い場合、ほとんどの経営者は社員に対して単に「頑張れ」と言うのに対して、経営計画書では「誰が、どの顧客に、どの商品を、どれくらい頑張って売るのか」を明確にしていくからです。

     

    また、目標を共有することでチームワークが向上し、効率的な業務遂行が可能になります。結果として、会社全体の生産性が向上し、成長が加速することが期待できます。

     

    古田土会計グループでも毎年計画を策定していますが、楽ではないものの計画の達成率は高水準となっています。

    ⑫財務体質の強化につながる

    業績の向上に寄与することは⑪で記載しましたが、⑫の金融機関との信頼関係構築とも相まって財務体質向上にも寄与します。

     

    もちろん、利益とお金は連動しませんので業績向上(利益体質に変わる)=財務体質向上とはなりません。そこで、財務に関する方針未来のB/Sを作成することによって、会社はどのようなB/Sを目指すのかという目標をハッキリさせます。そうすると、行き過ぎた節税の防止や資金使途もはっきりとしてきてお金がたまりやすくなっていきます。

    ⑬金融機関との信頼関係の構築

    銀行や投資家から資金を調達する際には、経営計画書が必要とされることがあります。計画書には企業のビジョン、戦略、財務予測などが含まれるため、投資家や銀行が企業の将来性を評価しやすくなります。

     

    また、必要とされなくてもこちらから経営計画書を開示することにより、より会社の姿勢を理解してもらいやすくなり関係性の向上に寄与します。

    ⑭リスクの軽減

    経営計画書は将来のリスクやチャレンジに対する準備を行うための基盤となります。計画を立てる過程で、リスクを分析し、それに対する対策を考えることで、予期せぬ問題に対処する準備ができます。

     

    例えば、来年度は新商品の開発・生産のために1億円の設備投資をしよう、と考えた際に考えられるリスクは何でしょうか?

     

    まずは、その設備を導入したことによってあげられる売上・利益はどうなるか?と考えると思いますが、その予測を下回った場合どうするか?資金繰りはどうなるか?どこまでが許容範囲か?撤退ラインか?等を考える必要があります。

     

    その他に必要な社員数の確保はできるのか?できなかった場合は?等もあるかもしれません。

     

    このようなことを事前に考えておくことでリスクの軽減にもつながります。

    ⑮リーダーシップの発揮

    会社の目的と目標が明確になるため、経営者としてのリーダーシップを発揮しやすくなります。

    リーダーシップとは「正しく導く」ことです。

     

    よく、経営者は「何で社員に自分の考えが伝わらないのだろう?」とご相談をいただきますが、社長が頭の中で考えているだけでは伝わりません。それを「文字」や「図」にして伝えた方が数倍伝わります。この部分が伝わらないと会社は1つにまとまりません。=リーダーシップが発揮できず会社があらぬ方向へ進んでしまう確率が高くなります。

     

    経営計画書を作成することによってそれらを伝えるツールができ、かつ未来思考になります。

    ⑯マネジメントしやすくなる

    マネジメントとは「正しく進める」ことです。

     

    人によって言うことが変わらないため、部下の指導に統一感が生まれます。

    また、方針、数字の両面からマネジメントを行いやすくなります。

     

    具体的には、社員に関することであれば「社員に関する方針」を読み合わせするなどして社員に求められていることをお互いに再認識し、出来ていることと出来ていないことを明確にし、どうしたら書いてある通りにできるのかを考えていく機会を作りやすくなります。 

    ⑰社長教育

    特に、初めて経営計画書を作成する過程は様々なことを考え、シミュレーションも多数行い大変かもしれません、しかし、自社、自身と向き合うこの時間が社長自身の教育にもつながります。

     

    例えばこれらです。

     

    ・数字を組み立てる力

    ・論理的な思考

    ・戦略的な思考

     

    会社の舵を取るのは中小企業の場合は特に経営者自身となり、その責任や重圧も大きくなりますが、そこから逃げてしまうと家族や社員とその家族、場合によっては取引先を路頭に迷わせてしまうことになりかねません。

     

    経営計画書の作成を通じて、わが社に足りていて不足しているものは何か?その足りないものをどう補っていくのか?対策の優先順位はどうするか?といった論理的で戦略的な思考の訓練にもなります。

    ⑱社長自身の背中を押してくれる(応援団)

    一方で、苦労して作成した経営計画書は社長自身の背中を押してくれる存在となります。

    社長は孤独等とよく言われますがその通りだとも思います。真に経営者の気持ちを理解することは経営者以外には難しいのが現実です。無論、幹部・社員をそこに近づけようとする努力は必要ですし無駄なものではありません。

     

    そのような中で、真に社長自身を応援してくれる存在が経営計画書でもあります。

    自分で会社の未来を描き、そこには熱い想いがつまっています。そこに書かれたことは自身への約束でもあるからです。 

    ⑲社員教育

    経営計画書には事業計画や社内ルールだけでなくMVV・経営理念など会社・経営者の価値観や考え方も記載します。

     

    それを経営者自らが繰り返し解説、説明することにより経営計画書を通じて人間性を高めるという社員教育にもなります。例えば、仕事とは?やりがいとは?環境整備とは?といった「Why」の部分が主に相当します。

     

    そして、社員側は経営計画書を教科書として、また道具として使用することにより理念が浸透していきます。

    ⑳社員の未来像を目指して、スキルアップ・キャリアアップのプラン・コースを整理しはじめる

     

    経営計画の策定によって、社員が将来的に目指すべき未来像が明確になります。そのため、スキルアップやキャリアアップに対する取り組みがより具体的になり、社員が自分の成長に向けた計画を立てやすくなります。

     

    経営者や上司が社員のキャリアプランをサポートし、研修や教育プログラムを提供することで、社員は自分のスキルや知識を磨くことができます。

    まとめ

    是非、経営計画書を作成してみてください。

    いかがでしょうか。思ったよりも多くのメリットがあると思われたのではないでしょうか。

     

    経営計画書は経営者自身だけではなく色々な人に影響を与えます。そしてその結果、協力者が増えて目標達成により近づいていくことになる魔法の書です。

     

    是非、経営計画書を作成してみてください。

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