経営不振から脱却するための社長の3つの行動

    記事公開日: 2024.04.22

    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)

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    古田土会計には 「企業の経営が厳しい」と多くの経営者からご相談をいただきます。現に、国税庁が2023年に公表した統計では、国内企業の65.3%が赤字との結果も出ています。

    しかし、古田土会計の顧問先4,000社の赤字割合は20.1%、全国平均の1/3以下です。なぜ私たちの顧問先の経営者は、厳しい環境の中で好業績を上げているのでしょうか?

    私たちは毎月4,000社の社長と打ち合わせをしています。その中で、経営不振に陥る社長には、共通する特徴があることがわかりました。

    この記事では、経営不振から脱却するために社長がとるべき3つの行動を解説します。

    1.経営不振の3つの原因

    経営不振といっても、要因は様々な問題があります。
    この章では、経営不振の要因を大きく3つに分けて紹介します。

    1.1 売上の減少

     
    中小企業庁より発表されている、「倒産の状況」の中で、第一位に上がっている倒産要因が「売上の減少(販売不振)」です。その割合は71.0%に上ります。
     
    売上は借入と並ぶ、企業の最大の資金獲得源です。
    そのため、減収は経営不振に直結する、大きな問題です。

    ①昨年と比較して減収している
    ②年計(過去12か月間の合計)が減収している
    ②3期間連続で、減収している

    どれか一つに当てはまっている場合、経営不振が始まっていると判断すべきです。

    1.2 利益の減少

    売上は企業の資金獲得源ですが、会社に残る資金ではありません。
    会社に残る資金は、売上から仕入・経費・税金を差し引いた、税引後利益です。
    そして、残った税引後利益から、借入金の返済や、設備投資に資金を回していきます。

    その為、減益・赤字は、蓄積した資金が流出をしてしまう大きな問題です。

    ①昨年と比較して減益している
    ②税引後利益が年間借入金返済額を下回っている
    ③赤字
    ④2期以上連続赤字

    特に、②~④に該当している企業経営者は、経営不振としてすぐに改善策を検討すべきです。

    1.3 資金繰りが厳しい

    上記で売上の減少・利益の減少が経営不振であるとお伝えしましたが、資金繰りの悪化は、倒産に直結する重大な問題です。
    なぜなら、企業は、赤字で倒産するのではなく、資金繰りがつかなくなるから倒産するからです。

    倒産の多くは、買掛金・未払金(仕入・経費の掛代金)を支払うことができず、仕入ができなくなったこと、また振り出した支払手形が不渡りになることなどにより、会社の信用力がなくなることで発生します。

    もし、資金力・安定した資金繰りが実現できていれば、資金面での倒産は起こりません。

    現預金が
    ①固定費(仕入以外の経費)3カ月以下である
    ②月商3か月以下である
    ③営業利益+減価償却費がマイナスである

    上記の水準の企業は、まず手元資金の確保を最優先にしましょう。

    2.経営不振の理由は社長にある

    古田土会計では、現在4,000社の顧問先の社長と毎月経営について打ち合わせを行うなかで、経営不振に陥る社長には共通する特徴があります。

    それは経営における「戦略」がないということです。

    「戦略」とは、会社の進むべき方向性を指します。

    ・自社が何を販売すべきなのか?
    ・自社が販売したいお客様はいったい誰なのか?
    ・今後、自社がどのように成長していきたいのか?

    この方針が定まらないまま、ただやみくもに目の前の受注に対応するだけでは、絶えず変化する市場の中で埋もれてしまうだけです。

    そして、この「戦略」は、社長が決定しなければなりません。

    日本企業の約75%は、従業員数が10人未満の中小企業と言われています。資金力・社員数も限られている中小企業において、自社の進むべき方向性を決定し、実践する責任を担う社員は、自社にいるでしょうか?

    企業の中で、常に責任を背負って経営に邁進している社長でなければ、責任を持った「戦略」の決定と、推進はできません。
      
    責任を担い、先頭で事業活動を行っている社長自身が「戦略」を持っていないこと、これが経営不振の最大の原因です。

    では、経営不振に陥る社長に見られる3つの特徴を、次章で具体的に解説していきます。

    3.経営不振に陥る社長の3つの特徴

    この章では、経営不振に陥る社長によく見られる3つの具体的なパターンを解説します。

    3.1 数字で経営判断していない(たまにしか見ていない・理解していない)

     


    中小企業の多くは、利益計画を作成していません。
    また、客観的に自社の経営成績を把握するための試算表も、銀行に試算表を求められた際にしか見ていません。このような状態では、自社が進んでいる方向性が正しいかどうか、判断することができません。
     
    「戦略」は社長の意志であるとともに、実現可能性があるべきものでなくてはなりません。たとえ戦略を策定したとしても、数字に基づいた実現可能性がなければ意味がありません。試算表をしっかり確認し、実現可能性があるものかどうか、を判断すべきです。

    3.2 自社が売るべき商品を理解していない(利益が残る商品を理解していない)

    自社にとって、売るべき商品は2つにわけることができます。

    1つ目は、粗利益率の高い(利幅の大きな)商品のことです。粗利益率とは、自社の付加価値創造額とも言い換えることができます。
    例え売上が大きな商品であったとしても、その商品で稼ぎ出す粗利益が低ければ会社に残る利益は小さくなり、効率的な経営とは言えません。
     
    真に売るべき商品とは、自社にとって粗利益率の高い、高付加価値商品を指します。

    2つ目は、自然と売れる商品を開発することです。
    自然と売れる商品、とは言い換えると「他者と差別化ができている」自社の大きな強みとなっている武器であり、顧客からの要求がある商品であるといえます。
    販売地域・得意先別・商品カテゴリで、シェア上位を占めている自社商品があれば、それこそが自社の販売すべき商品です。

    3.3 会社の未来像・計画をイメージしていない

     


     自社が今後どのように成長していくのか、を明確なイメージを持って経営されていない社長も、経営不振に陥る社長の特徴です。
    私たちは、今後の自社の姿を未来像という表現をしています。
    未来像でイメージすべき事は、利益計画と経営方針です。利益計画と経営方針は不可分であり、良い経営とは、安定した利益体質と明確な経営方針が合わさって初めて実現が出来ます。
    1年後、3年後、5年後にどのような財務体質を目指すか、そのためにどのような経営方針を掲げるのか、計画を立てることが重要です。

    そして、未来像は、社長・幹部だけが認識すべきものではありません。社員にも自社の未来像を共有し、協力を得ることが大切です。
    社員は、社員自身とその家族を幸せにするために働いています。将来この会社で働き続けることにより、給与ややりがい、自身の成長につながるかを常に考えながら働いています。そのような社員に未来像を提示せず、ただ働かせるだけは,会社の方針に本気になって取り組んでくれる事はありません。

    4.経営不振から脱する戦略を立てるための社長の行動3選

    この章では、社長が経営不振から脱するための「戦略」を立てる上で、不可欠な3つの行動をご紹介します。

    4.1 月次決算の実施

    現在の自社の状況を客観的かつタイムリーに評価するには、月次決算が不可欠です。
    自社の取り組みが、絶え間なく変化する市場の要求を満たすことができているのか、を判断するにあたり、年に数回のチェックでは、もし誤った施策を実行していたとすれば、経営にとっては手遅れと言わざるを得ません。中小企業においても、最低月に1度は数字をチェックする必要があります。

    月次決算とは、社内で月々の業績をタイムリー(目安15日まで)にまとめることを指します。

     

    月次決算の目的は、
    ①素早い経営判断と修正ができる
    ②管理会計ベースで行うことにより、経営に即した数字を把握できる(試算表は財務会計)
     ことです。

    古田土会計では現在4,000社の顧問先に月次決算を指導しておりますが、これは日本全体の企業数のわずか0.1%程度しかありません。しかし、古田土会計のお客様の黒字割合は79.9%と全国平均である34.7%を2倍以上も上回っています。

    誰もやっていないからこそ、ライバルに差をつけることができるのです。
    (月次決算の詳細はこちらの記事をご参照ください)

    4.2 利益計画の策定

     

     

    月次決算に加えて、利益計画も策定することが重要です。
    利益計画とは、自社の未来の数値化であり、社長の経営の意志を示すものです。
    また、利益計画は月次決算と共に活用することで、当月の実績を前年・前月対比だけではなく、社長の意志である計画に対して、当月・累計が達しているのか、をチェックすることができます。

    そして、
    ①計画>実績の場合
     ・戦略が誤っている
     ・戦略がただしく実行されていない
    ②計画=実績の場合
     ・戦略に一定性の蓋然性があることの証明
     ・より詳細な戦略の策定により、実績を伸ばす
    ③計画<実績の場合
     ・戦略が正しいことが証明
     ・さらなる販売強化を実施する

    と、計画があれば、実績の乖離から次の手を速やかに検討することができます。

    4.3 販売計画の策定

    利益計画を策定すると同時に、何を・どれくらい・誰に販売するのか、を明確にする販売計画も策定します。

    自社が販売すべき商品は、粗利益率の高い高付加価値商品ですが、お客様に売れなければ意味がありません。
    その為、お客様から求められている商品かどうかの判断を、販売計画からチェックします。
    (チェックの方法は、4.2と同様)
    それと同時に、自社の売れ筋商品を明確化し、付加価値をつけることも必要です。
    売れる商品=自社が売りたい商品へ、常に作り替えることが重要です。
    広告宣伝費や、研究開発費に投資をすることができない中小企業は、常に社長が現場の最前線で、お客様が望むものを商品・サービスに反映させ続けることが必要です。これが中小企業における商品開発でありマーケティングです。

    5.まとめ

     

     

    経営不振は、決して環境によってのみ起きるものではありません。絶えず変化する外部環境に、社長が先頭に立って自社の進むべき道を示す「戦略」を構築すすることで、脱却することができます。
    古田土会計では、月次決算書・経営計画書というツールを用いて、社長の皆様のお悩みに応えています。
    取り組んだことがない、何から手を付ければよいかわからない、などのお悩みがありましたら、ぜひ古田土会計へご相談ください。 

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