認定支援機関とは
認定支援機関とは、中小企業に対して専門的な支援事業をおこなう支援機関のことです。
2012年8月30日に「中小企業経営力支援法(現在の「中小企業経営強化法」)が中小企業の支援をおこなうものの多様化・活性化をはかるために定められ、税務、金融などの企業財務に関する専門的知識や、支援を実際におこなった経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関などを経営革新等支援機関として認め、中小企業に対して専門性の高い支援をおこなうための体制を整備しました。
認定支援機関ができること
認定支援機関ができることは下記4点あります。
①補助金申請支援
②経営改善計画策定の支援
③資金調達支援
④税制優遇制度の利用支援
認定支援機関ができることについて、一つひとつ解説していきます。
補助金申請支援
認定支援機関ができることの一つ目は、「補助金申請支援」です。
補助金申請支援とは、「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」という3種類の補助金の申請支援をおこないます。事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスの感染で大きく変化した経済環境に対応するために、中小企業の新事業展開、業態転換、業種転換などの「事業の再構築」を支援する補助金のことです。
ものづくり補助金とは、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称のことを指し、中小企業が商品やサービスを開発したり、生産性を向上するために設備投資などしたりするための補助金です。事業継承・引継ぎ補助金は、事業の継承をスムーズに進めるために大切な経営方針の一新や新規事業への取り組みに対して支援される補助金です。
経営改善計画策定の支援
認定支援機関ができることの二つ目は、「経営改善計画策定の支援」です。
経営改善計画策定の支援には、「経営改善計画策定支援事業」と「早期経営改善計画策定支援事業」の2種類があります。経営改善計画策定支援事業は、経営改善計画にかかる費用の2/3の補助金を受けることができます(上限310万円)。
一方で、早期経営改善計画策定支援事業は、早期経営改善計画策定でかかる費用のうち2/3の補助金を受け取ることができます(上限25万円)。また、経営改善計画策定支援事業は借入金返済の負担など、財務上の問題を抱えている中小企業や小規模事業者が対象です。
一方で、早期経営改善計画策定支援事業は、基本的な経営改善に取り組む中小企業が対象となっており、財務状況に問題を抱えていなくても対象となります。
資金調達支援
認定支援機関ができることの三つ目は、「資金調達支援」です。
資金調達の支援できる調達先は、「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」の2つです。認定支援機関を経由して資金調達をおこなうと、日本政策金融公庫、信用保証協会ともに優遇金利で資金を調達することが可能です。
日本政策金融公庫は、中小企業向けの融資制度があり、経営力強化のためには「中小企業経営力強化資金」を活用して、保証人や担保なしで資金調達ができます。一方、信用保証協会で経営強化のために「経営力強化保証制度」があります。この制度を利用する際、保証料を減免しながら資金調達ができます。この制度を受けるには条件があり、金融機関と認定支援機関の連携支援を受けていることです。
税制優遇制度の利用支援
認定支援機関ができることの四つ目は、「税制優遇制度の利用支援」です。
税制優遇が受けられる制度は、「先端設備等導入計画」「事業承継税制」です。先端設備等導入計画は、2018年に開始された制度で、一定条件を満たした中小企業が、固定資産税の優遇を受けられる制度です。
生産性を向上させるための設備投資に対して税制優遇してもらうことができますが、認定支援機関のサポートが必須となります。事業承継税制は、後継者が事業承継する際に必要な相続税や贈与税を猶予してもらえる制度で、この制度の利用には認定支援機関のサポートが必要になります。
事業計画の作成も相談できる?
認定支援機関では、事業計画書の作成についても相談することができます。認定支援機関に相談できることは、下記3点です。
・経営状況の把握(財務状況の分析、経営課題の抽出)
・事業計画の作成(計画策定のための支援や助言)
・事業計画の実行(事業計画を実施するために必要な支援や助言)
認定経営革新等支援機関に相談するメリット
認定経営革新等支援機関に相談するメリットは、専門家から支援・助言を受けることができるという点です。
自分だけではなかなか分からない経営上の課題を経営のプロが分析してくれ、客観的に自社を見つめ直すことができるので、具体的な解決策を探すことができます。
また、事業計画を作成した後、フォローアップを受けることができるので、経営改善を長期的におこなうことができます。また、もう一つのメリットとして、事業再構築補助金や事業継承補助金などの補助金申請を代行してもらうことができます。
認定経営革新等支援機関に依頼することで、プロが書類を作成してくれるので、審査に通る可能性が高まります。
認定経営革新等支援機関に相談する際の流れ
認定経営革新等支援機関に相談する際の流れは以下の通りです。
①経営課題の抽出
②認定経営革新等支援機関の選定
③認定経営革新等支援機関へ相談
④事業計画の策定および実行
経営課題の抽出
認定経営革新等支援機関に相談するには、まず「経営課題の抽出」をおこないます。
経営の課題としては、「業績をアップさせたい」「経営向上をはかりたい」などの中小企業・小規模事業者の経営課題を洗い出す必要があります。
認定経営革新等支援機関の選定
次に、「認定経営革新等支援機関の選定」をおこないます。
相談する機関を選定する際、「中小企業庁の認定支援機関検索システム
(https://ninteishien.my.site.com/NSK_CertificationArea_ebx=60v3wei3n.1660106737.7s8n3kb)」を使用することで、都道府県、支援機関の種類、経営課題の内容、業種などを条件検索することができます。
認定経営革新等支援機関を選ぶ際は、事業内容や解消したい経営課題にあった専門機関を選びましょう。会計や税務に関する課題であれば、税理士や税理士法人に相談するべきですし、人手不足が経営課題であれば、商工会や経営コンサルタント、中小企業診断士に依頼する方がよいです。
認定経営革新等支援機関へ相談
次に、「認定経営革新等支援機関へ相談」します。
相談の流れとしては、まず、経営状況について財務分析や経営課題の抽出を行います。次に、事業計画の作成について支援や助言をもらいます。そして、事業計画の実施に必要な支援と助言をしてもらいます。
事業計画の策定および実行
次に、「事業計画の策定および実行」をおこないます。事業計画を策定し、目標達成にむけて実行していきます。実行中も計画通りに進めるように、また見直しもできるように、支援や助言をもらいます。
フォローアップ
最後は、「フォローアップ」です。巡回監査や改善策の提案といったフォローの依頼もすることができます。やりっぱなし、作りっぱなしにならないように、認定経営革新等支援機関のフォローをしっかり受けましょう。
認定経営革新等支援機関を選ぶ際のポイント3選
認定経営革新等支援機関を選ぶ時のポイントを3つ紹介していきます。ポイントは下記3つです。
①自社が提供する商品やサービスの知識が適切なものかどうか
②レスポンスが早いかどうか
③認定経営等革新等支援機関としてこれまでの実績がどうか
①自社が提供する商品やサービスの知識が適切なものかどうか
認定経営革新等支援機関を選ぶ際の一つ目のポイントは、「自社が提供する商品やサービスの知識が適切なものかどうか」です。
事業計画は、補助金をもらうために必要な書類となります。専門的な支援機関に依頼することで、製品やサービスの内容、強み・弱みをより理解している人に資料を作成してもらうことができます。質の高い資料を作ることで、補助金の採択率もあがります。また、認定支援機関もよく理解している方が、親身に相談にのることができます。
②レスポンスが早いかどうか
認定経営革新等支援機関を選ぶ際の二つ目のポイントは、「レスポンスが早いかどうか」です。連絡がスムーズかどうかはとても重要なポイントです。
スムーズにやりとりができるほど、補助金の申請もスムーズにできますし、経営課題がでてきた時にすぐ相談することもできます。
③認定経営等革新等支援機関としてこれまでの実績がどうか
認定経営革新等支援機関を選ぶ際の三つ目のポイントは、「認定経営等革新等支援機関としてこれまでの実績がどうか」です。
補助金の申請手順や資料の作成、支援は、実績がある機関の方がスムーズにおこなってくれます、また、補助金申請には細かな規定があるので、内容をしっかり把握していないと採択されにくくなってしまいます。また、実績が多い機関の方が採択後もフォローアップしてもらえますし、自社内で気がつかない点にも目を向けてアドバイスしてくれる可能性が大きいです。
補助金申請時などは専門家に依頼するのもおすすめ
補助金申請が必要な場合は、認定支援機関などの専門家にアドバイスを求め、資料作成や手続きの依頼をした方が採択されやすくなります。
自分の力だけで頑張るのではなく、専門家に頼るという手段も頭に入れておきましょう。
いかがでしたか?お気に召したのであればシェアはこちらから。