「事業計画を効率的に回すために何に気をつければよいのかが気になる」「PDCAを成功させるためには何をすればよいのだろう?」とPDCAを回すうえで悩みを抱えていませんか?事業計画を実行するためにPDCAサイクルを活用することで、事業に必要なタスクを明確化できます。
そこで今回は、PDCAサイクルが必要な理由や効率よく回すためのポイントを解説します。事業計画の実行に向けてPDCAを検討している方は、本記事を参考にしてください。
PDCAサイクルとは
PDCAサイクルは、以下の4つの要素で構成されています。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
ここで紹介した要素を理解し、適切なPDCAを回すことで効率的に事業計画を実行しましょう。
Plan(計画)
Plan(計画)は、目標設定をして仕事計画を作成する段階です。仕事計画を作成する際は、必ず努力すれば達成できる目標を設定してください。現実離れした目標を設定したとしても、達成することは不可能であるため生産性の向上につながらないからです。
成果が見込めると予測できる期限を設けて目標設定をすることも大切です。期限を設けなければ、スピード感を持って目標達成をするために事業へ取り組むことができません。
例えば「来年の11月までに当期純利益を110%上昇させる」と定めれば、当期純利益を高めるための具体的な行動計画の作成ができます。計画を作成する際は、以下の2つのポイントを定めてください。
- 5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を明確にする
- 目標を設定した理由
計画の精度を高めるために、背景となるデータ収集や仮説の作成などをする必要があります。
Do(実行)
Do(実行)は、作成した仕事計画を実際に実施する段階です。実行をする際は、仕事計画を実践してみた結果、どのように業務を進めることになったのかを活動記録として記載する必要があります。
活動記録を記載すれば、どのように業務を改善すれば目標達成につながるのかを検討することができるでしょう。その際は、実行結果を数値で表しておけば、実行者の主観が入り込まず客観的な評価ができます。
「来月までに新規契約数を100人獲得する」ことを目標にしているのであれば「毎日50人営業をする」と具体的な数字を交えて活動記録を記載すると第三者が理解しやすいです。
実行段階では仕事計画の内容を遂行すると同時に第三者が理解できるような活動記録を記載する必要があります。
Check(評価)
Check(評価)は、仕事計画に沿って実際に業務を遂行できたのかを確認する段階です。評価で仕事計画通りに業務を進められなかった場合は、生産性を向上するために行動を改善しなければいけません。
また、客観的に評価できるように数値を用いた具体的な評価をすることが大切です。数値化できない内容の場合は、アンケート調査をすることで具体的な数値評価ができます。評価は複数人で実施してください。
複数人で評価をすることで、それぞれ異なった側面の改善案の捻出ができるため、業務改善につながります。
Action(改善)
Action(改善)は、仕事計画の実行を評価して出た改善策を実施する段階です。改善策が複数ある場合は、何を優先するべきなのかを決める必要があります。優先順位を立てて業務改善を実施することで、効率的にPDCAサイクルを回せるからです。
ただ、業務改善を実践しても改善効果の得られる見込みがない場合は、仕事計画の中止を判断すべき場合もあります。
PDCAサイクルは回し続けることに意味があるため、ゴールや計画の変更がある場合は何を改善するべきなのかを明確にして業務へ取り組みましょう。
PDCAサイクルと併せて覚えておきたい「KGI」と「KPI」とは
PDCAサイクルと併せて覚えておくべき「KGI」と「KPI」について解説します。適切にPDCAサイクルを回すためには「KGI」と「KPI」の理解が大切です。「KGI」と「KPI」の違いは、以下のとおりです。
KPI |
KGI |
企業が目標(KGI)を達成するために実施する具体的な行動目標 |
企業が掲げる事業の最終目標を定量的に評価するための指標 |
ここで解説した内容を参考にしたうえで、PDCAサイクルを回しましょう。
KPIとは
KPIとは、企業が目標を達成するために実施する具体的な行動目標です。端的に言えば、KPIはKGIを達成するための中間目標であり、最終目標を達成するために必ず通過しなければいけない地点です。
例えば、最終目標として「売上1,000万円を達成する」と定めている場合は「新規顧客を1,000人獲得する」と最終目標に直結する中間目標を定めるとよいでしょう。
KPIを設定する際は「SMARTの法則」と呼ばれるフレームワークを活用するべきです。SMARTの法則は、以下の5つの要素で構成されています。
- Specific(具体的な)
- Measurable(測定可能な)
- Assignable(誰がやるのか割り当て可能な)
- Realistic(現実的な)
- Time-related(期限が明確な)
SMARTの法則を活用してKPIを設定すれば、具体的に達成を目指せる中間目標を設定できます。
KGIとは
KGIとは、企業が掲げる事業の最終目標を定量的に評価するための指標です。具体的には、売上高や利益率、業界シェアなど数値で表せるものがKGIに含まれます。例えば「業界シェア70%を達成する」といった目標もKGIとして活用できるでしょう。
KGIは数値を主に使用して目標設定するため、特定の人物の主観が入ることなく事業単位で進捗を把握することが可能です。また、KGIとKPIを共同経営者や従業員に共有する場合はセットで提示する必要があります。
KGIだけを見せたとしても、具体的にどのような行動を取ればよいのかが不明確だからです。PDCAサイクルを活用する際は、KPIとKGIを同時に設定することでメンバーが目標達成のために具体的な行動がしやすくなるように工夫をする必要があります。
なぜ事業計画にPDCAサイクルが必要なのか
事業計画にPDCAサイクルが必要な理由として、以下の2つが挙げられます。
- 事業改善につなげることができる
- 事業に必要なタスクを明確化できる
ここで解説した理由を理解したうえで、PDCAサイクルを回してください。
事業改善につなげることができる
事業計画にPDCAサイクルが必要な理由として、事業改善につなげられることが挙げられます。PDCAサイクルでは、社員が業務改善を実現するために具体的にどのような行動をとるべきなのかを考えることが求められるからです。
「無駄なコストがかかりすぎている」という場合は、ペーパーレス化をして今まで紙を発行していたものを電子で扱うようにすれば、印刷代や紙代の削減につながります。会社が抱えている課題を1つずつ改善することで、結果的に企業の業績向上につなげることができるでしょう。
現在会社が抱えている課題を解決につなげたい場合は、PDCAサイクルを回して事業改善をするとよいでしょう。
事業に必要なタスクを明確化できる
事業に必要なタスクを明確化できる点も、事業計画にPDCAサイクルが必要になる理由の1つです。PDCAサイクルを活用すれば、具体的にどのような目標を達成するべきなのかが定められるので、目標を達成するために実施するべきタスクの明確化が実現できます。
事業に必要なタスクを明確化することで、業務に携わる従業員はどのように進めればよいのかと悩むことなく仕事ができるため、業務効率の向上につながります。事業に必要なタスクが明確化できれば、設定されたタスクを達成するために行動をするのみです。
事業に必要なタスクを明確化して業務効率の向上につなげたい場合は、事業計画にPDCAサイクルを用いる必要があります。
PDCAを効率よく回すためのポイント
PDCAを効率よく回すためのポイントとして、以下の8つを解説します。
- 方針と戦術は区別する
- はじめは上位の戦略基本方針を重要視する
- 上位の戦略基本方針はあまり変更しない
- 事業スタート前からPDCAを始める
- 適切な基本方針を見つけることを意識する
- タイムマネジメントを怠らない
- 実現可能な計画を立てる
- まずは実行してみる
ここで解説したポイントを踏まえたうえで、PDCAを効率よく回せるように努めましょう。
方針と戦術は区別する
PDCAを効率よく回すためのポイントとして、方針と戦術を区別することが挙げられます。方針と戦術はPDCAサイクルのスピード感が異なっているからです。PDCAサイクルで最初に掲げた最終目標は半年から1年単位の期間で目標設定をします。
しかし、最終目標を達成するために企業が実施する戦術は1日から1週間単位でコロコロ変化します。基本方針を戦術と同様に短期間で変化させると、目標達成ができずに次のサイクルを始めてしまうかもしれません。
そのため、事業の基本方針は短期間で変化させるべきではないです。具体的には、それぞれの階層プランごとに以下のようにPDCAサイクルを回していけばスピーディーに高い効果が得られるでしょう。
階層プランの段階 |
説明 |
戦略の基本方針 |
|
個別戦略 |
|
戦術 |
|
上記の表を活用したうえで、方針と戦術を区別してそれぞれの階層プランに適したスピードでPDCAサイクルを回しましょう。
はじめは上位の戦略基本方針を重要視する
PDCAサイクルを効率的に回すためには、上位の戦略基本方針を重要視する必要があります。実際に達成できるのかが分からない基本方針で個別戦略や戦術を設定しても、適切な行動が実現できない可能性があるからです。
例えば「来年までに契約率130%を達成する」といった最終目標を設定していたとしても、実際に目標達成するための行動をしなければどのように業務へ取り組めばよいのかが理解できません。
そのため、戦略基本方針をもとに実際に行動をしてみてPDCAサイクルを回していき、個別戦略・戦術と下位のプランを設定しましょう。
上位の戦略基本方針はあまり変更しない
効率的にPDCAを回すのであれば、上位の戦略基本方針は頻繁に変更するべきではありません。短期で戦略基本方針を変更してしまうと、今までのPDCAサイクルで高い改善効果を獲得したとしても得られた効果がゼロになってしまう可能性があるからです。
戦略基本方針を変更すると、下位に位置する個別戦略・戦術として定めていた行動計画自体も変更せざるを得ません。すると、また新たに戦略基本方針から考え始めて業務に取り組んでしまい、戦略を考えることで膨大な時間を費やしてしまう場合があります。
上位の戦略基本方針を頻繁に変更していては、高い業務改善効果は得られません。高い業務改善効果を獲得するためにも、戦略基本方針は半年〜1年ほどの頻度で変更を検討するべきです。
事業スタート前からPDCAを始める
事業スタート前からPDCAを始めれば、効率的にPDCAサイクルを回すことにつながります。不確実性が高い事業を始める場合は、業務をスタートさせてから計画とずれが生じることは往々にしてあるからです。
初めてPDCAサイクルを回しつつ業務に取り組む際は、具体的にどのように仕事へ取り組めばよいのかが理解していません。
そのため、事業スタート前から業務にPDCAサイクルを導入して仕事をすることで、あらかじめ業務の取り組み方について理解を深めておくべきです。
効率的にPDCAサイクルを回す場合は、新事業をスタートする時点で何周かPDCAサイクルを回していることが理想です。効率的に業務改善効果を獲得するためにも、事前にPDCAサイクルを回しておくとよいでしょう。
適切な基本方針を見つけることを意識する
適切な基本方針を見つけることを意識したうえでPDCAサイクルを回すことが大切です。効率的にPDCAサイクルを回したいのであれば、あらかじめ複数の選択肢を用意したうえで適切な基本方針を見つける必要があります。
基本方針を1つしか定めていなくて業務改善につながらないことが明らかになったら、また再度違う基本方針を設定しなければいけません。つまり、基本方針を複数用意していないと適切な選択肢を選ぶまでに大幅な時間がかかってしまいます。
基本方針を5つほど用意して手探りで業務へ取り組んでみることで「高い改善効果が得られるのか」「優先するべき基本方針なのか」が理解できます。自社にとって最適な基本方針を発見するためにも、事前に候補を複数用意しておく必要があります。
タイムマネジメントを怠らない
効率的にPDCAサイクルを回したいのであれば、タイムマネジメントを怠らないことを心がけてください。タイムマネジメントを実施することでどの業務を優先するべきなのかが理解でき、効率的に業務改善につなげられます。
PDCAサイクルにおいてタイムマネジメントを実施する際は、以下の手順で進めてください。
- 自分が現状抱えているタスクをすべて洗い出してそれぞれどれくらいの時間をかけているのかを可視化する
- 不必要なタスクがあれば削除する
- タスクに優先順位をつけて優先度の高い物から積極的に取り組む
タイムマネジメントを実施することで、タスクの完了期限が迫っているときに効率的に業務を実施できます。スピード感を持ってPDCAサイクルを回すためにも、タイムマネジメントを適切に実施しましょう。
実現可能な計画を立てる
効率的にPDCAサイクルを回したいのであれば、実現可能な計画を立てるべきです。実現不可能な計画を立ててしまうと、積極的に業務へ取り組んでも目標達成ができないため、従業員のモチベーション低下につながります。
実現不可能な計画を作成していると、予算や時間を無駄に消費してしまうため、もったいないです。そのため、PDCAサイクルを回す際は必ず実現可能な計画を立てるべきです。実現可能な計画を立てれば、従業員も意欲的に業務へ取り組めます。
たとえ、実現可能な計画で業務に失敗したとしても計画を修正することで、再度目標達成のために行動することが可能です。実現可能な計画を作成することで、効率的に業務へ取り組めるように努めましょう。
まずは実行してみる
効率的にPDCAサイクルを取り組むためには、まずは計画通り実行してみることが大切です。計画通りに業務を実行していなければ、実際に効果のある計画なのかが判断できないからです。
計画通りに実行した結果、うまくいかなかったらその時の状況や業務改善課題を活動記録として記載しておけば、次回以降はどのように業務へ取り組めばよいのかがわかります。計画を実行していない段階で、作成した計画が不適切なのかは確認できません。計画通り実行して業務改善効果が得られるのかを確認してみましょう。
PDCAを成功させるための3つの「〇〇化」とは
PDCAを成功させるための3つの「〇〇化」として、以下の3つをご紹介します。
- 見える化
- 習慣化
- 仕組み化
ここで紹介した内容を理解したうえで、PDCAを回してください。
①見える化
見える化とは、企業活動の状態や実績などの情報を客観的に認識して迅速な問題解決につなげるための一連の環境構築のことです。見える化を実施することで、以下の3つのメリットが得られます。
見える化を実施するメリット |
説明 |
問題の予防管理や早期改善 |
事業に関する情報を必然的に把握できるため、客観的な情報に基づいた状況把握が迅速にできる |
無駄の削減とリソースの最適化 |
業務を遂行するにあたって悪影響を与えている工程の解消につながるマネジメントが実施できる |
業務の標準化による属人化解消 |
業務プロセスを見える化すれば、すべての業務の棚卸が実現できるので特定の従業員しか業務の進め方を把握していない状況を解消できる |
見える化してどのように業務を進めているのかが把握できるようにすれば、継続的な業務改善がしやすくなります。
②習慣化
習慣化とは、精神的な労力を必要とせず特定の活動を繰り返し実施している状態です。業務評価を習慣化すれば、細やかに業務の検証・改善が実現できるため、スムーズにPDCAを回せます。
例えば「毎週月曜日の10時〜10時30分の間にPDCAの振り返りをする」と定めていれば、毎週業務の検証・改善ができるので、スムーズにPDCAを回すことが可能です。
もし、PDCAサイクルを習慣化していなければ、業務の評価・改善をするのを後回しにしてしまう可能性があります。業務の評価・改善を後回しにしていたら、効率的にPDCAサイクルを回せません。適切にPDCAサイクルを回すためにも、習慣化に気をつけることが大切です。
③仕組み化
仕組み化とは、いつ・誰が・どこで実施していても同じ結果を実現できる状況を構築することです。業務の仕組み化を実現すれば、スキルの高い社員へ依存することなく業務の遂行ができます。
例えば、ロボットや機械を導入することで効率的に誰でも業務を実現することが可能です。仕組み化を実現するための具体的な行動として、以下の3つのステップが挙げられます。
- 業務を見える化する
- 課題を把握する
- マニュアル化する
上記の手順を参考にして仕組み化を導入し、スムーズにPDCAサイクルを回せるように努めましょう。
PDCAを効果的に回して事業計画を確実に達成しよう
今回は、PDCAサイクルが必要な理由や効率よく回すためのポイントを解説しました。PDCAサイクルは事業改善につなげられたり、業務に必要なタスクを明確化できたりするので事業計画に必要です。
また、効率的にPDCAサイクルを回すために適切な基本方針を見つけることの意識やタイムマネジメントを実施することを心がけてください。本記事を参考にして効率的にPDCAサイクルを回す方法を理解したうえで、事業計画を実行しましょう。
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