・「そもそもPDCAの意味は?」
・「PDCAを導入するメリットを知りたい!」
上記のようにPDCAの意味や利点を知らずに、悩んでいる方も多いでしょう。
結論から言うと、PDCAを合理的に回すことで、生産性の向上や課題の明確化などの利点が得られます。
本記事は、PDCAの意味、メリットやデメリットを解説します。
PDCAは4つのプロセスで構成されている
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返し実行することで、品質を日々向上させるマネジメント手法です。
PDCAを強化することで仕事や生産性の向上につながり、さらなる仕事改善を目指せます。
本項では、PDCAの4つのそれぞれの詳しいプロセスについて解説します。仕事や生産性をより高めたいと考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
①Plan(計画)
Plan(計画)は、目標を設定して仕事計画を作成する段階です。ただ、やみくもに目標設定をして計画を立てたとしても、生産性の向上につながらないので、気を付けましょう。
PDCAを導入してすぐプランを設定する際にありがちなことは、現実離れした目標や目的を設定することです。
現実離れした計画を設定しても、達成できるはずがないので、必ず努力をすれば手が届きそうな現実的な目標・目的を設定してください。
また、成果を見込めるであろう期限を設けることも欠かせません。
一定の期限を設けることで成果を高めようとする気持ちが上昇しやすくなる傾向にあるからです。
プランを設定する際は、必ず期限を設けて成果を達成できるように努めてください。
たとえば、「来月までに契約成約率を130%上昇する」という第三者から見ても明確に達成度合いが分かるように、数字を入れて具体化するとよいでしょう。
また、以下の3つに気を付けてプランを設定してください。
- 目標・目的を明確に設定するために「誰が」「なぜ」「何を」「どれほど」「いつまでに」「どのように」を意識する
- その目標を設定した理由
- その実行計画を立てた理由
上記のようにプランを設定する際は、自社で立てた仮説を土台にした論理的な目標・目標設定をすることが大切です。
②Do(実行)
Do(実行)は、プランで設定した仕事計画を実際に実施する段階です。
Doを実施する際には、チェックで適切な評価ができるようにDoのプロセスと結果を活動内容として必ず記録する必要があります。
PDCAは継続的に仕事改善をするために実施する必要があるため、活動記録を付けなければいけません。
また、Doの活動記録では、結果を数値で表しておけば客観的な評価を下せるので安心といえるでしょう。
「来月までに新規顧客を50人獲得する」ことが目標であれば、「毎日30人以上に営業をかける」と自身の予定に組み込むことで、成果を得られやすくなります。
③Check(評価)
Check(評価)は、仕事計画に沿って計画を実行できていたのかを評価する段階です。
チェックでは、計画通りに仕事をすすめられたことや成果の有無について確認してください。
もし、計画どおりに仕事が進められなかったり、成果が達成できなかったりした場合は、自身の問題点を探らなければいけません。
また、自身の問題点を探って改善することで生産性の向上へつながり、会社の業績も高まりやすくなります。
チェックでは、正確でかつ客観的な視点で向き合うことで、自身の成長につながるでしょう。
④Action(改善)
Action(改善)は、仕事の実施計画を検討して改善策を実施することです。
チェックで仮説の検証や要因分析が出来なければ、アクションで誤った改善策を立ててしまいかねません。
そのため、チェックで仮説の検証や要因分析を入念におこなった後、改善策を検討しましょう。
また、アクションで目標達成した場合では成功要因の分析、達成できなかった場合は失敗要因の分析をすると、良いところは伸ばしていき悪いところは改善策を設定できます。
PDCAの3つのメリット
本項では、PDCAの利点を3つ解説します。
PDCAを何度も繰り返すことで仕事改善に向けた計画的な目標設定ができるため、「業績をよくしたい」と検討している方に最適なマネジメント手法といえるでしょう。
本項で導入する利点を確認した後、大幅な仕事改善を目指してください。
①明確な目標を立てることができる
明確な目標設定ができることも、PDCAの利点です。
PDCAを設定し始めると、目標達成に向けて仮説を立てたうえでするべき行動が明確になるため、組織内での認識のずれが生じにくくなります。
また、明確な目標設定ができるようになれば従業員が仕事に取り組みやすい環境づくりにつながります。
もし、明確な目標設定ができなかった場合、仕事のゴールが見えなくて従業員のやる気を削ぐことにつながりかねません。
明確な目標設定をして企業の目標が明確になることで、それぞれの従業員が能動的な姿勢で仕事へ取り組めます。
全従業員が一つの目標に向けて、仕事に取り組むため無駄のない合理的な仕事改善が実現するでしょう。
②集中力が高まり生産性が上がる
PDCAを導入することで、従業員の集中力が高まって生産性が上がることも大きな利点です。
PDCAは客観的な分析に基づいたフレームワークであるため、正しく運用することで生産性の向上へとつながります。
具体的な数値を踏まえたうえで目標設定するので、目標達成に向けて行動できて集中力が高まりやすくなります。
③課題などを明確にすることができる
PDCAは、課題を明確にできて改善しやすいフレームワークであるため、合理的に仕事を進めることが可能です。
また、アクションでさらなる具体的な改善策を次回のPDCAへ活用することで、継続的な仕事改善へとつながるのです。
もし、PDCAを取り入れなければ課題をすぐに明確化することは難しいです。自社の仕事改善をしたい方は、課題を明確化できるPDCAの導入がおすすめといえるでしょう。
PDCAの3つのデメリット
本項では、PDCAの3つのデメリットを解説します。PDCAを導入するメリットのみを見て導入の可否を決めると、フレームワークが合わないと感じてしまいかねません。
そのため、PDCAの欠点を把握したうえで導入の可否を決定しましょう。
①PDCAをサイクルさせることが目的になってしまう
PDCAは仕事改善を実施するための手段であり、目的でないことに注意する必要があります。
もし、PDCAを目的にしてしまうと、取り組んだことに満足してしまい、結果に結びつきません。
結果に結びつけるためにも、PDCAを実施する意味を全従業員へ共有する必要があります。
また、PDCAにはあらかじめ目的が定まっており、目的を達成するための手段であるため、突然発生したできごとには対応しにくいです。
そのため、PDCAサイクルが時代遅れだと認識してほかのフレームワークを導入している企業も存在しています。
PDCAサイクルを実施する際は、仕事改善をすることが目的であると認識したうえで導入してください。
②イノベーションが生まれづらくなる
PDCAは、過去の行動を評価して改善策を生み出す手法であるため、イノベーションが生まれづらくなることも欠点の一つです。
そもそもPDCAは過去のデータを重視して実施するフレームワークであるため、新しい発想を生み出したい際には向いていません。
もし、新規事業の立ち上げを中心とした新しい発想を実施したい場合は、ほかのフレームワークの導入を検討するとよいでしょう。
③会議などを開く機会が多くなる
PDCAは、仕事改善をするために多くの時間を会議に費やさなければなりません。PDCAを回すのが遅くなればなるほど、効果が得られにくくなります。
高い仕事改善効果を得るためには、PDCAを素早く回すことが重要です。
ですので、PDCAを回すごとに会議を開く機会を少なくして、その分目的達成に向けて仕事を実施する必要があります。
ただ、PDCAを導入した際から議論の時間を少なくすると、的確な目標設定ができなくなる恐れもあります。
PDCAに費やした議論の時間を毎回計測した後、徐々に短くしていくことを心がけましょう。
効率的なPDCAの回し方
本項では、効率的なPDCAの回し方を4つ解説します。
PDCAは素早く回せば、より仕事改善効果が高まるフレームワークです。本項の効率的なPDCAの回し方を参考にし、素早く回せるように心がけましょう。
目標と計画は具体的に数値化する
目標と計画を具体的に数値化することで、目標達成のためにどれほど時間を割いてどこまでの成果が必要なのかが明確にわかります。
もし、数値化せずに曖昧な目標と計画を設定してしまったら、実際に目標達成できているのかが曖昧でわかりにくいでしょう。
効果的な仕事改善効果を得るためにも、具体的でわかりやすい目標と計画を設定してください。
また、PDCAを実施する目的である仕事改善効果を得るためには、何度もPDCAを回さなければいけません。
「仕事改善効果を得るためには、PDCAを何度も回すことが重要」と認識していれば、PDCAを回すことに意味を見いだせてモチベーション上昇につながります。
計画に基づいて確実に実行する
PDCAで立てた計画は、確実に実行しなければいけません。もし、計画どおりにPDCAが回せなかった場合は、正しい評価ができない可能性もあります。
正しい評価を得るために、PDCAで設定した計画は必ず実行しましょう。
PDCAを回せないリスクを避けるために、無理な計画を立てずに遂行可能な計画を設定しなければいけません。
進行状況などを定期的にチェックする
正しい評価をするために、進行状況などを定期的にチェックすることが大切です。
PDCAを導入すると、1か月後や半年後などDoをすべて終えた後にチェックしがちですが、自社が望む成果を得るためには定期的な振り返りをする必要があります。
たとえば、「毎月10日に定期的なチェックを実施する」と評価をスケジュールに組み込むと定期的なチェックが実施できるため、おすすめです。
定期的に進行状況などを見直すことで、PDCAが回っているかの確認や必要に応じた調整ができるため、より仕事改善効果を得やすくなります。
また、必要であればチェックに適したツールを活用すると合理的に仕事を進めやすくなるでしょう。
PDCAを回す際に結果を数値で評価したり、活動内容を記録・共有したりしなければいけません。
特にSFAを導入すれば、現在の数値を従業員全員で共有できるため、より合理的にPDCAを回すことが可能です。
SFAとは、営業メンバーの行動管理や商談の進捗状況の管理などに使用される営業の支援システムです。
PDCAは素早く回すことが大切なので、積極的にツールを導入して合理的に仕事を進めましょう。
継続的にサイクルさせる
PDCAは一気に大きな効果を得られるフレームワークではないため、継続的にサイクルさせることが重要です。
PDCAで設定した目標を達成するためには、継続的にサイクルさせることを考えたうえでPDCAを導入しなければいけません。
もし、PDCAを回すことだけに満足してしまったり、1度サイクルを回しただけで諦めてしまったりすれば、仕事改善効果は得られないでしょう。
PDCAを取り入れる際は、継続的にサイクルさせなければ仕事改善効果を得られないことを把握したうえで実施しなければいけません。
PDCAとOODAの違いとは
本項では、PDCAとOODAの違いを解説します。これらの違いを把握したうえで、自社へ導入するフレームワークを決めましょう。
OODAの4つのプロセスとは
OODAとは、PDCAと同様にObserve(観察)・Orient(判断)・Decide(決定)・Actを繰り返し実行することで、品質を日々上げるマネジメント手法のことです。
OODAのそれぞれのプロセスの流れは、以下のとおりです。
- Observe(観察):自社の現状を把握して情報を収集する
- Orient(判断):収集した情報を基に判断を下すプロセス
- Decide(決定):観察と判断を基に、具体的な行動を設定する
- Act(実行): 決定したら実行する
OODAは意思決定をおこなった後、実行へ移るため突発的な変化に対しても、臨機応変な対応が可能です。
また、PDCAでは一方向で一方向でサイクルを回しますが、OODAでは必要に応じて前の段階へ戻れます。
PDCAと比較してOODAは、自由度の高いフレームワークといえるでしょう。
PDCAとOODAの使い分け方
PCDAに慣れてきたら、OODAの導入に切り替えるとよいでしょう。
OODAは自由度や柔軟性が高いフレームワークですが、業界の変化が激しいほど着眼するべきポイントの見極めが難しく、上手く活用がしにくい傾向にあります。
そのため、最初は一方向でサイクルを回せるPDCAを導入するとよいでしょう。
また、OODAでは、PDCAでは対応できない外的環境による変化を考慮する必要があるため、PDCAで成功体験がある程度つかめてからOODAを導入するとよいです。
PDCAの具体的事例2選
本項では、PDCAの具体的事例として、以下の2つを解説します。本項の企業のPDCA事例を参考にして、PDCAの導入を検討している方は自社へ取り入れましょう。
独自の生産方式を築いたトヨタ
世界を代表する自動車メーカーのトヨタは、独自の生産方式である「トヨタ生産方式」を自社のPDCAに導入しています。
「トヨタ生産方式」とは、簡単に言えば「ムラ・ムリ・ムダ」を徹底的に排除して最短時間で自動車を製造するシステムのことです。
たとえば、トヨタで作業員が実施する工場の生産ラインで、何か問題があった場合は、機械を停止させて問題の原因を調べたうえで改善します。
不良品を検査で発見するのではなく、不良品を製造しないようにすることがトヨタ生産方式の考え方なのです。
また、トヨタでは、問題が発生した場合に責任の追及よりも原因の追究を重視しています。
問題が発生した際に「なぜ問題が発生したのか?」という理由の追求が甘ければ、表面的な深層を原因と思って対策を取ってしまいかねません。
「なぜ」を最低でも5回は繰り返し、同じ問題が二度と発生しないようにすることがトヨタ生産方式の考え方です。
スピードと精度の高いPDCAを重視したソフトバンク
大手通信企業のソフトバンクは、スピードと精度の高いPDCAを生み出しています。ソフトバンクが生み出したPDCAは、以下の3つです。
- 思いついた計画は可能な限りすべて同時に実行する
- 1日ごとの目標を定めた後、結果を毎日チェックして改善する
- 目標も結果もすべて数値で管理する
基本的なPDCAでは計画を定めてから実行へ移しますが、ソフトバンクではすべての計画を実行へ移すため、素早くPDCAが回せます。
また、1カ月後や半年後などの長期的な目標ではなく、1日ごとの目標を定めて実行することで、より大きな成長が見込めるでしょう。
さらにソフトバンクでは常に数字で答えることが求められています。数字で物事を説明することで、正確に物事を分析することへつながるからです。
PDCAのスピードと精度を大幅に高めたいのであれば、ソフトバンクの考え方を導入することを検討してみるとよいでしょう。
PDCAを効率的に回し確実に成果を上げよう
今回は、PDCAの概要説明、メリットやデメリット、効率的なPDCAの回し方を解説しました。
PDCAを導入することで生産性の向上や解決するべき課題が明確になるなどのメリットが得られます。
一方で、イノベーションが生まれづらくなることや最初は一つのサイクルを回すごとに大きな時間がかかるデメリットも存在します。
PDCAを導入するメリットやデメリットを把握したうえで、導入したい方は取り入れてください。
PDCAを効率的に回すためには、経営計画書を作成したほうがよいです。
経営計画書を作成することで、社内外の関係者との目標や方針の共有ができたり、組織や事業の将来を見渡せるようになるからです。
ただ、経営計画書の作成経験がない方も多いのではないでしょうか?そこでおすすめなのが、「マネるだけ、埋めるだけで作れる経営計画書 作成シート」です。
この計画書を使用して項目に沿って必要事項を記入すれば経営計画書の作成ができます。ぜひ、経営計画書を作成して効率的にPDCAを回しましょう。
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