事業計画は必要?事業計画の目的と必要性について徹底解説

    記事公開日: 2023.09.15

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    事業計画書とは

    事業計画書とは、企業の事業内容や経営戦略を社内外に説明するための書類です。収益の見込みや今後どのように事業を運営していくのかなどを詳しくまとめていきます。

     

    具体的に言えば、「誰」に「何」を「どのように」提供するのか、それをする「根拠」や「強み」は何か、どれくらいの「利益」を見込んでいるのか、事業を始めるにあたりどれくらいの「資金」が必要となるかを、誰でも分かるようにまとめます。

     

    また、事業計画書を簡単に説明すると経営者が考えている事業戦略を文章としてまとめて誰でも分かるようにしたものを指します。頭の中でだけ考えていると事業計画は曖昧なもので終わってしまいますが、文章にまとめると必要なことが明確になります。そして、文章にまとめる時に誰に対して伝えたいのかを考えるとより訴求力が高い事業計画書になります。

    事業計画は何のために作成する?

    それでは、事業計画書はなんのために作成するのでしょうか。事業計画書は融資審査の際に必要な書類となります。また、自社の事業内容を客観的に見直すきっかけにもなる書類なので、事業が行き詰まってしまった時はコンサルタントに提出する書類としても事業計画書は役立ちます。作成する理由を一つひとつ解説していきます。

    事業内容を明確化するため

    事業計画書を作成する一つ目の理由は、「事業内容を明確化するため」です。事業計画書はどんな事業で、どんな収益モデルになっているのかを言語化・可視化していくものです。

     

    売上目標や事業の目標など、経営者が頭で考えていたことを書き出していくことになるので、ビジネスパートナー、投資家、金融機関、専門家、社員などに事業に関わる人たちに経営者の考え(事業の方向性や根拠)を共有することができます。

     

    そうすることで、関わる人たちと歩みを合わせて事業運営をしていくことができるようになります。そのため、事業計画書は誰が読んでも分かりやすく、納得できるように、すべての事柄を具体的かつ明確に記載する必要があります。

    金融機関などから融資を受けるため

    事業計画書を作成する二つ目の理由は、「金融機関などから融資を受けるため」です。事業計画書は資金調達する際、金融機関に融資審査の資料として役に立ちます。金融機関の審査では「返済能力があるのか」という点を重視しています。そのため、借りる側がいくら口頭で「返せます」と言っても根拠がないため信用はできません。事業計画書は事業の進め方や収益モデル、その根拠を具体的かつ明確に記載することが重要です。また、融資審査には経営者の熱意も大切な判断基準となりますので、事業内容に加えて融資審査の担当者に経営者自身の熱が伝わるように記載していきましょう。

    事業の方向性を共有するため

    事業計画書を作成する三つ目の理由は、「事業の方向性を共有するため」です。事業計画書は社内・社外どちらにも情報を知らせるために作成します。事業計画書は、事業そのものが実現可能かどうかもしっかり見極め、事業そのものの優位性や独自性をしっかり検証するようにしましょう。

    経営者の思考整理のため

    事業計画書を作成する四つ目の理由は、「経営者の思考整理のため」です。先ほどもお伝えした通り、事業計画書は経営者の頭のなかを整理して、社内外の方に事業の方向性などを知らせるためのものです。

     

    作成するにあたり、経営者自身の思考整理も可能になります。事業計画書を作成する際、「誰」に「どのような事業」を「何のため」におこないたいか、そして「どんな収益モデル」にしていくのかをしっかり頭のなかで整理して、言語化・可視化するようにします。

    経営課題の整理のため

    事業計画書を作成する五つ目の理由は、「経営課題の整理のため」です。事業計画書を作成することで、事業が計画通り進んでいるか、進んでいないかを定期的に確認することができます。事業の進み具合が確認できると、どこで躓いているのかが把握でき、課題の整理をすることができるようになります。

    事業計画とビジネスプランのちがいとは

    事業計画のほかに「ビジネスプラン」という言葉があります。事業計画とビジネスプランはほぼ同じ言葉だと解釈することも出来ます。

     

    しかし、事業計画とはビジネスプランを文書として記録したもので、ビジネスプランは文字通りのビジネスプランなので、あえて言えば、ビジネスプランはビジネスアイデアを具体化したもので、そのアイデアやプランを周囲に示すために記録し、共有するものが事業計画となります。

    事業計画書に記載すべき項目とは

    ここからは事業計画書を作成していきましょう。事業計画書には記載すべき記載項目は10あります。

     

    ①社名や住所

    ②経営者の経歴

    ③事業内容

    ④会社の理念・ビジョン

    ⑤自社の強み(セールスポイント)

    ⑥市場における自社の状況

    ⑦資金計画

    ⑧収支計画

    ⑨将来計画

    ⑩その他

    それでは、記載項目を詳しく解説していきます。

    社名や住所

    事業計画書に記載すべき項目の一つ目は、「社名や住所」です。事業計画書では事業内容を記載する前に、会社の概要を整理します。社名、屋号、所在地、電話番号を記載します。また、ウェブサイトのURL、メールアドレス、代表者名、株主構成などもあわせて記載していきます。

     ②経営者の経歴

    事業計画書に記載すべき項目の二つ目は、「経営者の経歴」です。企業は創業段階の場合、実績や信用もありません。経営者自身の経歴やスキル、人柄などを知ると経営者自身の信用することに繋がります。企業がおこなう事業の内容や、経営者の経験・人脈・実績を示し、自分自身をどのように売り込むかを考えて具体的に記載していきましょう。

     

    また、事業計画書を作成するために経営者自身の経歴を書き出します。そのため、自分自身を見つめ直す機会になりますので、些細なことでも気づきがあれば書き出しておきましょう。

      ③事業内容

    事業計画書に記載すべき項目の三つ目は、「事業内容」です。事業内容を記載する際、まずは事業のテーマや名称を記載していきます。自社が何をおこなっていて、何を目指しているのかを分かりやすくまとめることが大切です。事業名は短く、できれば20文字程度に収めて、覚えやすいものになっているかチェックしましょう。その後、おおまかな事業内容が分かるように、「誰」に向けて、「何」を「どのように」提供するのかを、シンプルにまとめます。

    会社の理念・ビジョン

    事業計画書に記載すべき項目の四つ目は、「会社の理念・ビジョン」です。会社の理念やビジョンは、会社がどうしてこの事業をおこないたいと思ったのか、事業を通して社会に何を提供したいのか、社会をどんな風に変えたいと思っているのかを世の中に伝えるものです。自社の熱意や他社との違いをしっかり伝えられる理念・ビジョンを考え、顧客や協力者を引きつける事業計画書にしていきましょう

    自社の強み(セールスポイント)   

    事業計画書に記載すべき項目の五つ目は、「自社の強み(セールスポイント)」です。企業が提供する商品やサービスで唯一無二であるというものはほとんどありません。そのため、「自社と他社の違い」「自社の方が優れているという強み」を見つけて、自社の事業をアピールしていきましょう。セールスポイントは誰にでも分かりやすいような表現で専門用語は使わずに記載するように心がけましょう。

     ⑥市場における自社の状況

    事業計画書に記載すべき項目の六つ目は、「市場における自社の状況」です。市場の現状や今後の見通しを分析するとともに、競合他社の状況を調べます。

     

    そして、新規でその事業に参入する企業として、自社はどのような強みがあるのかを記載します。また、経済情勢や法の制度など企業をとりまく外部環境も事業と関係が深いことなので背景として触れる必要があります。この分析については、客観的な統計や数字を用いてまとめるようにします。

    資金計画

    事業計画書に記載すべき項目の七つ目は、「資金計画」です。前述した通り、事業計画書は金融機関から融資の審査を受ける資料としても活用されています。

     

    そのため、資金計画をしっかりと記載するのは最重要事項となります。事業計画を実行するためにはどのくらいの資金が必要となり、その資金をどのように調達する予定なのかを記載します。これは、実際に見積もりを取り、根拠のある数字を記載することが大切となります。

     ⑧収支計画

    事業計画書に記載すべき項目の八つ目は、「収支計画」です。収支計画は総額だけではなく、見積もりの根拠(1日の顧客数、平均客単価など)を示すことが大切になります。

     

    売上高を算出し、売上原価、必要経費(人件費、家賃、水道光熱費など必ずかかってくるもの)などを計算することで、利益を算出しておきます。顧客数については、市場の分析や同業他社の実績を参考にして設定すると良いでしょう。

    将来計画

    事業計画書に記載すべき項目の九つ目は、「将来計画」です。社を将来的にどう発展させていきたいのか、社会にどのように貢献していきたいのかといった将来の計画を記載します。ここでは将来性のある企業であるということをしっかりと伝えていきましょう。

    その他

    最後に、記載すべき項目で紹介していないものを紹介します。「販売戦略」「主要な取引先・顧客」「社内体制」です。どんな商品・サービスを誰に対してどのように提供していくかを記載する際、どのような販売経路で、どのようなプロモーションをして顧客に認知してもらうのかを記載しましょう。

     

    また、どこの取引先のシェア率が高いかを記載することで、より透明性の高い事業計画書になります。最後に社内体制については、どのように経営判断し役割を分担しているか社内組織図を書くことで、他者にも業務内容が理解しやすくなります。

    事業計画書はいつ準備するもの?

    では、事業計画書はいつ準備すればいいでしょうか。事業計画書を作成する理由として前述で「金融機関などから融資を受けるため」とお伝えしましたが、融資を受けるための一般的な流れは、事前相談→融資の申し込み→面談→融資審査→融資の確定となります。

     

    事業計画書は融資の申し込みをする際に提出するものなので、まずは事前に草案し、融資を受ける依頼先や想定する金額などを検討し、情報収集をしましょう。事業計画書は情報を集めた後に作成すれば問題ありません。

    事業計画は3年を目安に作成したほうがいい?

    事業計画書の作成期間については決まりがありません。なので、融資を受けるための事前相談の際に何年分の事業計画書が必要なのかは確認しておきましょう。

     

    返済期間によって異なりますが、基本的には3年もしくは5年分の事業計画書を求められることが多いです。また、事業計画書の様式で、収支計画の年数が決まっているものもあるので、その場合はそれに沿って記載しておきましょう。    

    予想売上高の試算方法とは

    予測売上高の計算方法を解説します。売上高は業種によって計算方法が異なりますが、販売業の場合は「単価×1日の販売数量×営業日数」となります。

     

    これに加えて毎年増えると予想できる販売数量の割合を求めて、予測売上高を計算するという方法があります。販売数量の増加割合については、同業種のデータを調査し、根拠を出すことが望ましいですが、モデルケースを見つけるのは難しいので臨機応変に考えていきましょう。

    事業計画書を作成する際のポイント

    ここからは事業計画書を作成する際のポイントをお伝えします。事業計画書を作成する際、ポイントを掴んでおかなければ、意味のない資料となってしまいます。事業計画書を作成するポイントをしっかりおさえてから、自社の事業計画書作成に進んでいきましょう。

    融資の対象が何であるかを確認する

     事業計画書を作成する際の一つ目のポイントは、「融資の対象が何であるかを確認する」という点です。融資はどの企業でも申し込めるものもあるが、決められた対象者にしか融資しないものもあります。

     

    日本政策金融公庫や制度融資(金融機関と自治体が連携しておこなっている融資)は、事業の立ち上げを応援している融資、設備投資のための融資、働き方改革のための融資、災害復旧のための融資など、さまざまな種類の融資に分かれています。いまあげたような融資を事前の相談ですすめられた時は、事業計画書にもその内容に適したもので作成することが重要になります。

    事業の概要を簡潔に説明できるかどうか

    事業計画書を作成する際の二つ目のポイントは、「事業の概要を簡潔に説明できるかどうか」という点です。事業計画書で重要なのは、事業について読む人に伝えるということです。せっかく作ったとしても、分かりにくかったり、長すぎる内容では意味がありません。事業の概要は簡潔にまとめ、わかりやすく説明できるようにしておきましょう。

    何を伝えたいのかを明確にする

     事業計画書を作成する際の三つ目のポイントは、「何を伝えたいのかを明確にする」という点です。事業計画書に記載しなければならない項目は多いですが、「事業の内容」「収益のあげ方」「どのくらい収益見込みがあるか」「収益予測の方法」は注目される項目になります。この4点が伝えたい内容とし、融資の担当者にも分かりやすいように伝えたいポイントを絞って書類に記入するようにしましょう。

    要点を整理してまとめる

    事業計画書を作成する際の四つ目のポイントは、「要点を整理してまとめる」という点です。事業計画書はダラダラと記載していると、他人が読んだ時に分かりにくい文章になってしまいます。他人に伝わらなくては事業計画書を作成しても意味がありません。適宜ポイントをまとめて、簡潔に記載していくようにしましょう。

    様式を統一する

    事業計画書を作成する際の五つ目のポイントは、「様式を統一する」という点です。フォーマットを統一させるためには、文字サイズと文字のフォントを統一するということです。そこが統一されていないと読む人にずさんな印象を与えてしまいます。

     

    タイトルと本文は文字サイズを変更させると分かりやすくなるので、タイトルは12pt、本文は10ptなどと決めておくようにしましょう。一方で、文字のフォントや形式はタイトルや本文であっても統一するようにしましょう。

    グラフや表を用いて視覚的に見やすくする

    事業計画書を作成する際の六つ目のポイントは、「グラフや表を用いて視覚的に見やすくする」という点です。文章だけでなく、図表を入れて一目で分かりやすいようにしましょう。また、視覚的に見やすい工夫をするということはデータを図表で表すことになるので説得力も増します。事業計画書は他者に説明するだけでなく経営者自身が自社の事業を可視化するためでもあります。自身が振り返った時に分かりやすいように、「見やすい工夫」をするようにしましょう。

    競合企業と市場についての調査をおこなう

    事業計画書を作成する際の七つ目のポイントは、「競合企業と市場についての調査をおこなう」という点です。唯一無二の事業というのはほぼなく、事業を始めるにあたり競合はつきものです。競合調査・市場調査をしっかりおこないまとめることも事業計画書では大切なポイントとなります。商品やサービスの品質、技術、商品の価格、販売方法などを、当社の弱みや強みと比較して総合的に分析しましょう。

    根拠資料を必ず準備する

    事業計画書を作成する際の八つ目のポイントは、「根拠資料を必ず準備する」という点です。事業計画書に記載する事柄には根拠が必要です。

     

    収支見込みについては特に根拠が求められます。事業計画書のなかの資金計画では売上や利益の計画が強気すぎると説得力がかけてしまいますし、弱気であれば経営を維持することができないと見られてしまいます。バランスを考えつつ、つじつまが合うように作成していく必要があります。

    第三者からのフィードバックを受ける

    事業計画書を作成する際の九つ目のポイントは、「第三者からのフィードバックを受ける」という点です。事業計画書が一旦できあがった段階で、専門知識を持った第三者(同業他社、金融機関の知人や担当者、公認会計士など)に依頼して、経営者だけでは気がつかなかったことや、資金調達する際に修正した方が良い点など、アドバイスをもらうようにしましょう。

    6W2Hに気をつける

    事業計画書を作成する際の十個目のポイントは、「6W2Hに気をつける」という点です。「6W2H」とは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「Whom(だれに)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」「How much(いくらで)」という英単語の頭文字をとって表記された、ビジネスの基本となるフレームワークです。事業計画書では、「6W2H」に注意して、要点をわかりやすくまとめることで、読みやすさが格段にアップします。

    整合性のある内容にする

    事業計画書を作成する際の十一個目のポイントは、「整合性のある内容にする」という点です。先ほど、事業計画書には根拠資料を必ず準備しましょうとお伝えしました。事業の内容を記載する際、収支見込みや資金計画などについてはしっかり整合性のとれているものを記載しなくては、説得力のない事業計画書になってしまいます。記載している内容は整合性のとれたものになっているか、確認して作成をすすめるようにしましょう。

    まとめ    事業計画は明確な方針と根拠をもとに入念に作成しよう          

    事業計画には必要性と目的があります。どうして作成するかをしっかり理解することで、作成の際に気をつけるべきポイントが見えてきます。

     

    また、事業計画書は適当に頭の中で考えたものではいけません。明確な方針と根拠をだすことで、融資の際にも有利となる資料になります。入念に作成しましょう。

     

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