財務諸表とは?財務諸表でわかる4つのことと確認すべきポイントも解説

    記事公開日: 2022.11.17

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    財務諸表とは?

    「財務諸表」とは、金融商品取引法におけるディスクロージャー制度(企業内容等開示制度)に基づき、上場企業が金融庁への提出を義務付けられている有価証券報告書に含まれる書類で、企業の一定期間(一般には事業年度)の経営成績、財政状況、キャッシュ・フロー状況などをまとめたものです。

     

    ディスクロージャー制度は、投資家の保護を目的として有価証券の発行会社に対し、一般投資家が十分に投資判断を行うために有価証券報告書の提出を義務づけるものです。

     

    「財務諸表」は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計画書、キャッシュ・フロー計算書、付属明細書で構成されており、特に重要な貸借対照表・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書の3つを「財務三表」と言います。

     財務諸表と計算書類

    金融商品取引法の情報開示制度と同様に、会社法でも主に株主や債権者等を保護するための情報開示制度があります。会社法における財務諸表は「計算書類」と呼ばれ、全ての株式会社に作成を義務付けています。

     

    ただし、「計算書類」の内容は財務諸表とは多少異なり、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書勘定科目内訳明細書で構成されています。

    財務諸表はなぜ必要か?

    財務諸表を作成・提出する主な理由は、法令で定められている義務の遂行、ステークホルダー(利害関係者)への経営状況の開示、自社の経営状況の把握、の3点です。

     

    前項で説明したように、「財務諸表」の提出は金融商品取引法で定めており、会社法や法人税法などでも同様の義務があります。

     

    また、経営状況の開示は株主や債権者などのステークホルダーにとって重要であるとともに、経営者自らが自社の経営状況を客観的に把握するためにも「財務諸表」は必要不可欠な情報でもあります。

     納税額が適正に計算されているかを税務当局が確認する

    すべての法人は税務署に確定申告する際に、法人税法における財務諸表「決算報告書」を提出しなければなりません。「決算報告書」の内容は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動系計算書、個別注記表、計算書類に係る附属明細書などです。

     

    税務署は企業から提出された「決算報告書」によって課税対象となる利益に過不足がないか、その他の内容に不備や不正がないかなどをチェックしたのち、法人税などの納税額が適正に計算されているかを確認します。

    株主や債権者が経営状態を確認する

    株主にとっては、自分が出資している会社の経営状況がどのようになっているかを「財務諸表」によって把握し、業績が悪化していれば株価が下落する可能性もあるので株式を継続保有するか売却するかの判断材料にします。

     

    また、会社に融資している金融機関などの債権者にとっても、経営状況が良好であれば問題ないのですが悪化していれば債権回収が困難になる可能性があるので財務諸表のチェックは欠かせません。

     

    この他に、融資の依頼があった場合にも、金融機関はその会社の返済能力を確認するために財務諸表の提出を求めることがあります。

     投資家が投資の判断材料にする

    投資を検討している一般投資家にとっても、できるだけ有望な投資先を選び出すために「財務諸表」を参考にしています。特に、売上高の推移や利益率の推移はその会社の成長性を判断するのに有効で、自己資金や借入金などの割合によって財務の健全性や会社の倒産リスクなどを知ることができます。

     

    また、売上総利益率(粗利率)が高ければ商品には高い付加価値があることを示し、営業利益が少なければ販売効率が悪いことが分かります。

     

    このように「財務諸表」を分析することにより、投資家はその企業の強み・弱み、将来性、安全性などさまざまなことを知ることができます。

    取引先や従業員が安全性を確認する

    今日では、地球温暖化、コロナ禍、地域間紛争などにより外部環境が日々変化し、どんな会社でも業績不振に陥るリスクを抱えるようになりました。

     

    そのため、会社に従事する従業員や、製品や原材料などを売買している取引先にとっては、会社の経営が順調に推移しているのか、常に安全性を確認することが重要になってきています。財務諸表を確認する場合には、金融庁が運営するwebサイトEDINETを利用すれば、誰でも36524時間、自由に閲覧することができます。

    財務諸表の中で重要な財務三表

    「財務三表」は前述のように財務諸表の中では特に重要な書類で、「貸借対照表」は財政状況を表し、「損益計算書」は利益状況を表し、キャッシュ・フロー計算書」はお金の流れを表しています。

     

    「財務三表」は、中小企業の経営者にとっては非常に重要な書類なので、専門知識がなくても、自社の経営状況、財政状況、改善ポイントなどを把握し、倒産などのリスクに迅速に対応するためにも、基本的な読み取り方は知っておく必要があります。

     ①貸借対照表

    「貸借対照表」とは、一定時点における会社の財産の状況を表したもので、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」の3つの部から構成されています。また、「資産」の金額は「負債」と「純資産」の合計と常に等しくなります。

     

    【資産の部】

    貸借対照表の左側に記載されているのが「資産の部」で、会社が一定期間に資金をどのように運用したかが分かります。また、「資産の部」はさらに、「流動資産」と「固定資産」に分けられます。

     

    「流動資産」は、現金・預金の他に1年以内に現金化できる売掛金・有価証券などで、「固定資産」は、現金化に1年以内に現金化できない有形固定資産、及び無形固定資産からなります。

     

    【負債の部】

    貸借対照表の右側上部に記載されているのが「負債の部」で、会社が将来支払わなければならない負債が記載されています。資産の部と同様に、負債も1年以内に支払いが必要な「流動負債」と、1年以内に支払う必要がない「固定負債」に分けられます。

     

    【純資産の部】

    貸借対照表の右側下部に記載されているのが「純資産の部」で、資本金や利益剰余金など返済の必要がない資産が記載されています。

     

    貸借対照表で確認すべきポイント

    貸借対照表で確認すべき主なポイントは、財務体質の健全性、短期的な支払能力の2

    点です。

     

    財務体質の健全性は、「自己資本比率(%)= 純資産 ÷ 総資産 ×100」で求める「自己資本比率」をチェックすることで把握できます。総資産に対して返済の必要がない純資産(自己資本)の割合が低ければ、返済の必要がある第三者の資金(他人資本)の割合が多いことになるので、会社の経営に対して他人の影響を受けやすく不安定になる可能性があります。

     

    短期的な支払能力は、「流動比率」及び「当座比率」をチェックすることで判断できます。流動比率は「流動比率(%)= 流動資産 ÷ 流動負債 ×100」で求められ、1年以内に現金化できる資産(流動資産)に対し、1年以内に返済が必要な負債(流動負債)の割合が高ければ流動比率は低くなり、会社の短期的な支払能力が低いことを表します。

     

    「当座比率」は、上記の計算式の「流動資産」を現金化が難しい棚卸資産を除いた「当座資産」に置き換えて求めるもので、「流動比率」よりもシビアに支払能力を評価することができます。

     ②損益計算書

    一定期間を通じて会社がいくら儲けたのか(損をしたのか)を表したものが「損益計算書」で、基本的な形式は以下のようになります。

     

    <損益計算書の例>

    売上高

    x,xxx,xxx

    売上原価

    xxx,xxx

    売上総利益

    xxx,xxx

    販売費及び一般管理費

    xxx,xxx

    営業利益

    xxx,xxx

    営業外収益

    xx,xxx

    営業外費用

    xx,xxx

    経常利益

    xxx,xxx

    特別利益

    xx,xxx

    特別損失

    xx,xxx

    税引前当期純利益

    xxx,xxx

    法人税等

    xxx,xxx

    当期純利益

    xxx,xxx

     

    損益計算書の作り方は、最上部の「売上高」から順に「費用」や「収益」を足し引きして段階的に利益を記載しています。

     

    1段階の「売上総利益」は商品の販売によって得た利益、第2段階の「営業利益」は事業によって得た利益、第3段階の「経常利益」は本業以外の収支も含めた利益、第4段階の「税引前当期利益」は法人税などの課税対象となる利益、第5段階の「当期純利益」は会社の最終利益になります。

     

    損益計算書で確認すべきポイント

    損益計計算書では、5段階に分けて費用や収益が把握できるので、会社のどの段階が多くの利益を生み出しているか、あるいは各種コストが多すぎないかなどを知ることができます。

     

    【売上総利益で分かること】

    売上高に対し、売上総利益が大きいほど商品の付加価値が高いことを意味し、売上総利益が小さいほど販売価格に対しコストが多過ぎるか、商品の付加価値が低いことを意味します。

     

    【営業利益で分かること】

    売上高に対し、営業利益が大きいほど事業の収益力が高いことを意味し、営業利益が小さいほど販売費・本部経費・商品原価などが多過ぎるか、販売力や販売方法に問題がある可能性があります。

     

    【経常利益で分かること】

    売上高に対し、経常利益が大きいほど会社の経営は順調であることを意味し、経常利益が小さいほど事業の収益力が低いか、本業以外の部分で損失を出している可能性があります。

     

    また、当期純利益がマイナスの場合、一時的であればよいのですが複数年続くようであれば倒産リスクがあるので問題点を分析し早急な対処が必要となります。

    キャッシュ・フロー計算書

    「キャッシュ・フロー計算書」とは、会社に流入するお金と会社から流出するお金の流れ(キャッシュ・フロー)を把握・分析するための書類です。

     

    キャッシュ・フロー計算書は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」の3つから構成されており、それぞれの内容は次のようになっています。

     

    営業活動によるキャッシュ・フロー

    会社の事業活動によって生じたキャッシュフローを表しており、売上による入金や原材料・給与・宣伝広告の支払いなどが記載されます。

     

    投資活動によるキャッシュ・フロー

    会社の将来のために行う設備の購入・売却や、株式などの資産運用によって生じたキャッシュフローを表しています。

     

    財務活動によるキャッシュ・フロー

    外部からの資金調達や借入・返済などによって生じたキャッシュフローを表しています。

     

     キャッシュ・フロー計算書で確認すべきポイント

    キャッシュ・フロー計算書で、最初に確認しなければならないポイントは「営業活動によるキャッシュ・フロー」がプラスであること。会社が事業でお金を稼いでいなければ事業の継続は困難になるので、もし、マイナスであれば早急に問題点を明らかにし、対策を講じなければなりません。

     

    次に、確認しなければならないのは「フリーキャッシュ・フロー」です。フリーキャッシュ・フローは、会社が自らの力で稼ぎ出した自由に使えるお金のことで、「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計で求めることができます。

     

    会社の運営には常に資金が必要ですから「フリーキャッシュ・フロー」が不十分な場合、あるいはマイナスの場合には経営危機に陥る可能性があります。投資活動によるキャッシュ・フローがマイナスでも、営業活動によるキャッシュ・フローのプラスが上回まっていれば正常ですが、投資活動によるキャッシュ・フローのマイナスが上回っている場合には「フリーキャッシュ・フロー」がマイナスとなり何らかの改善が必要です。

    財務諸表をただ眺めているだけでは見えないことがたくさんある

    財務諸表は冒頭でも説明しましたが、企業の一定期間(通常は事業年度)の経営成績、財政状況、キャッシュ・フロー状況などをまとめたもので、一般的には「決算書類」と呼ばれています。

     

    成長企業の経営者の多くは、財務諸表の読み方をしっかり理解し決算書や残高試算表によって利益を出すポイントやキャッシュ・フローの状況を正しく把握しています。しかし、年に1回だけ作成する財務諸表によって、問題点や改善ポイントを正しく把握できるのは一握りの経営者であって、多くの中小企業の経営者は数字を読み取り経営に活用するのは苦手なようです。

     

    そこで、専門知識がなくても会社の財務状況を正しく把握できる「古田土式月次決算書」を簡単に紹介します。

     

    決算書はあくまでも前年の経営状況に関する成績表なので、現在進行中の経営状況や財務状況を把握することはできません。そこで、毎月の決算書「月次決算書」を作成し経営計画と実績との比較や、経費の削減、利益率の改善、資金調達方法などを検討できるようにしたツールが「古田土式月次決算書」です。

     

    古田土式月次決算書」では、誰でも直感的に数字が把握できるようにグラフや図を多用したオリジナルの集計フォーマットを採用し、「どこに手を打てば利益を出せるか」「どうすればお金を残すことができるか」を判断しやすくしています。

     

    中小企業の経営者にとって重要なのは、会社の細かな状況を把握することではなく、会社全体の状況や重要なポイントをざっくりと把握し判断することです。このような用途に対応するために、さまざまな工夫がなされている古田土式月次決算書」は、経営者が必要とする最適なツールの一つではないでしょうか。

    財務諸表でわかる4つのこと

    中小企業の経営者にとって、自分が運営している会社の経営状況や財務状況を客観的に把握することは非常に重要です。

     

    財務諸表、特に「財務三表」のデータを組み合わせると、会社が利益/損失を出している理由・原因、支払能力、倒産リスク、さらに将来に向けた可能性など、さまざまなことを知ることができます。

     

    そこで、「財務三表」を活用して、特に重要な「収益性」「生産性」「安全性」「成長性」の4つを分析する方法について説明します。

    収益性

    収益性とは、会社の「儲ける力」を客観的に評価する指標のことで、主に「売上高総利益率」「売上高営業利益率」「売上高経常利益率」の3つを使って知ることができます。

     

    【売上高総利益率(%)= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100】

    本業の商品・サービスの収益性を表し、比率が高いほど「儲ける力」が強いことを示しています。

     

    【売上高営業利益率(%= 営業利益 ÷ 売上高 × 100】

    本業の収益性を表し、比率が高いほど「儲ける力」が強いことを示しています。

     

    【売上高経常利益率(%= 経常利益 ÷ 売上高 × 100】

    会社全体の活動による総合的な収益性を表し、比率が高いほど「儲ける力」が強いことを示しています。

     生産性

    生産性とは、会社が事業に投入した「ヒト」「モノ」「カネ」などの経営資源が効率よく付加価値を生み出しているかを客観的に評価する指標で、主に「労働生産性」「付加価値比率」の2つを使って知ることができます。

     

    【労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数】

    従業員1人あたりが生み出す付加価値を表し、数値が高いほど従業員の労働効率が高いことを示しています。付加価値は、売上高から材料費、購入部品費、運送費、外注加工費などの外部購入費用を差し引いて求めます。

     

    【付加価値比率(%= 付加価値 ÷ 売上高 × 100】

    売上高に占める付加価値の割合を表し、比率が高いほど事業が生み出す「付加価値」が大きいことを示します。

    安全性

    安全性とは、会社の財務状況の健全性を客観的に評価する指標のことで、主に前述の「自己資本比率」「流動比率」「当座比率」の3つを使って知ることができます。

     

    自己資本比率は、返済不要の自己資本が全体の資本調達(総資本)に占める割合を表し、割合が高ければ財務状況の安全性は高く、一般的には10%を下回ると要注意と言われています。

     

    流動比率は、会社の支払能力を表し、一般的には200%を超えていれば安全性は高く、100%を下回ると要注意と言われています。

     

    当座比率は、流動比率よりもシビアな短期的な支払能力を表し、一般には100%を超えていれば安全と言われています。

    成長性

    成長性とは、これまでの会社の成長度合いや今後の成長可能性を客観的に評価する指標で、主に「売上高増加率」「経常利益増加率」の2つを使って知ることができます。

     

    【売上高増加率(%= (当期売上高前期売上高) ÷ 前期売上高 × 100】

    当期の売上高が前期と比べてどれだけ増加しているかを表し、数値が大きいほど良いのですが、まずはプラスであることが重要です。

     

    【経常利益増加率(%= (当期経常利益前期経常利益)÷ 前期経常利益 × 100】

    当期の経常利益が前期と比べてどれくらい増加しているかを表しています。いくら売上高増加率が良くても、利益が共に増加していなければ健全な成長とは言えないので、経常利益増加率を見ることで会社の成長の状況を判断します。

    まとめ

    財務諸表は、法令で定められている他に、ステークホルダーへの経営情報の開示や経営者が自社の経営状況を把握する上でも非常に重要な書類です。

     

    中小企業の経営者が「財務三表」の読み方や活用方法をマスターすれば、会社の「収益性」「生産性」「安全性」「成長性」を分析し問題への迅速な対応が可能となりますが、実際には数字が苦手という経営者も少なくありません。

     

    その場合には、本稿で紹介した専門知識がなくても会社の財務状況を正しく把握できる「古田土式月次決算書」を試してみるのも選択肢の1つです。ポイントは、経営状況や財務状況は毎月チェックすること、会社全体の状況や重要な項目はざっくりと把握することの2点。

     

    まずは、毎月の決算書を作成するところから始めてみましょう!

     

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