財務キャッシュフローとは?

    記事公開日: 2024.09.05

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    キャッシュフローは大きくわけて3つに分かれます。営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3つです。

    この中で財務キャッシュフローは、資金調達や返済によるお金の流れを確認することができます。
    財務キャッシュフローはプラスの方が良いというわけでもなく、どう判断すれば良いのかわかりづらいキャッシュフローです。しかし、何を見るべきかのポイントさえ理解できれば難しい内容ではありません。

    この記事では、財務キャッシュフローとは何なのか、どこをチェックし、どのように改善すればよいのかを簡単に解説していきます。

    1.財務キャッシュフローの基礎知識

    この章では、財務キャッシュフロー(財務CF)とは何なのか、その基本について説明します。

    1.1 財務キャッシュフローは「資金の調達と返済の動き」

    会社の中では、様々なお金の出入りがあります。
    商品を販売することでお金が入る、設備を買ってお金を払う、借入をしてお金を調達するなど、種類が違うお金の流れがあります。

    この中で、財務キャッシュフローは「資金の調達と返済の動き」を表しています。
    金融機関からの借入による調達や返済、増資をすることで得たお金の増減が表示されています。

     

     

    ※キャッシュフローとは何かについての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
    https://blog.kodato.com/what-is-cash-flow

    1.2 財務キャッシュフローの構成要素

    財務キャッシュフローの構成と計算方法を、一般的なキャッシュフロー計算書(間接法)で解説します。

    キャッシュフロー計算書の詳細についてはこちらの記事を参考にしてください。
    https://blog.kodato.com/cashflow-statement

    キャッシュフロー計算書ではお金が入ってくればプラス、お金を支払えばマイナスで表示されます。
    財務キャッシュフローは、本業での収入や支払いとは違う、「外部とのお金の動き」であると、ざっくりイメージしてください。


    以下のような項目が表示されています。

    (1)財務CFがプラスになる項目(お金が入ってくる項目)
    ・借入金による資金調達
    ・社債発行による収入
    ・増資による資金調達
    ・自己株式の売却による収入
    ・貸付金の回収 ※

    (2)財務CFがマイナスになる項目(お金が出ていく項目)
    ・借入金の返済
    ・社債償還による支出
    ・配当金の支払い
    ・自己株式の取得による支出
    ・貸付金による支出 ※

    ※上場企業等で作成するキャッシュフロー計算書では、貸付金による支出や回収は投資キャッシュフローで表示することが多いですが、中小企業の場合は財務キャッシュフローで表示する方がわかりやすくなりますのでおすすめです。

    財務キャッシュフローはシンプルに借入をしてお金が入ればプラス、返済すればマイナスと、各項目のお金の動きは「表」と「裏」の関係になっているという理解で大丈夫です。

    2.財務キャッシュフローはここをチェックする

    この章では、財務キャッシュフローで見るべきポイントについて解説していきます。

    2.1 財務キャッシュフローはプラスが良いとは限らない

    3つのキャッシュフローの区分の中で、営業キャッシュフローはプラスが大きければ大きいほど、本業での儲けが大きいということになり、お金の流れとしては良い状態と言えます。
    非常にシンプルです。

    しかし、財務キャッシュフローは単純にプラスになっていれば良いというわけではありません。
    会社は、その財務状況によって積極的に資金を調達することが良い場合もあれば、借入を積極的に減らすことが良い時期もあります。

    投資キャッシュフローがマイナスということは、お金が出ていってしまっているということですが、借入金をしっかりと返済している、株主に配当をしっかりと払っている場合で生じます。
    確かにお金は出ていますが、会社の財務状態が悪化しているとは限らないということです。

    キャッシュフロー計算書は1か月や1年単位など、あくまでも短い期間でのお金の流れしか把握できません。そのため、財務キャッシュフローだけを見て、現状が良いのか、悪いのかまでは判断できないのです。

    財務キャッシュフローは、プラスやマイナスの金額で判断するのではなく、営業キャッシュフローとのバランス、投資キャッシュフローとのバランス、手元預金の量など、総合的に判断すべきものになります。

    ※営業キャッシュフローの詳細についてはこちらの記事を参考にしてください。
    https://blog.kodato.com/operating-cash-flow

    ※財務キャッシュフローの詳細についてはこちらの記事を参考にしてください。
    https://blog.kodato.com/investment-cash-flow

    2.2 成長期はプラスになる傾向がある

    本来は、総合的に判断する必要がありますが、会社が成長期である場合は、財務キャッシュフローはプラスになる傾向があります。

    財務キャッシュフローがプラスということは、
    「資金の調達」>「資金の返済」ということになります。

    この場合、主に金融機関からの借入金や社債での資金調達を積極的に行い、返済よりも上回っている状態です。

    厳密には手元預金の量までしっかりと把握する必要がありますが、前向きに積極的に資金調達をしているステージであると考えると、成長期というイメージになります。

    2.3 成熟期はマイナスになる傾向あり

    逆に会社が成熟期、安定期である場合には、財務キャッシュフローはマイナスになる傾向があります。

    財務キャッシュフローがマイナスということは、
    「資金の調達」<「資金の返済」ということになります。

    この場合は、借入の返済が資金調達よりも上回っていますので、借入残高は減っています。
    本業のお金である営業キャッシュフローでしっかりとお金を稼いでおり、外部からの資金調達に頼る必要がないという成熟した会社であれば、財務体質改善のため、多くの会社で借入残高を少なくしようという動きになるでしょう。借入の返済は財務キャッシュフローのマイナスとして表示されます。

    財務キャッシュフローがマイナスであり、かつ、手元預金がどんどん減ってしまっているようでは良い状態とは言えません。借入を返し急ぎすぎている可能性があります。

    3.パターン別に抑える財務キャッシュフローの見方

    この章では、パターン別に財務キャッシュフローをどのように見るべきか解説していきます。

    3.1 財務キャッシュフローはフリーキャッシュフローとの関係で見る

    財務キャッシュフローを見る際の最重要ポイントは、フリーキャッシュフローとのバランスです。

    営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合計したものを「フリーキャッシュフロー」と呼びます。

    財務キャッシュフローの構成要素は、主に借入金による資金調達と返済、資本金の増資、配当などですが、この中で、多くの中小企業の場合、増資や配当でのキャッシュの動きは頻繁には発生しません。そのため、主に借入金の動きが財務キャッシュフローの動きになります。

     

     

    例えば、財務キャッシュフローを見た場合、1年間で借入金を28百万円返済しているとします。
    借入金を返済しても、手元のお金を減らさないためには、財務キャッシュフローの前段階にあるフリーキャッシュフローで28百万円以上のキャッシュを稼いでいる必要があります。

     

     

    「フリーキャッシュフロー」<「財務CF」の場合には、お金を返済するたびに手元のお金が減ってしまうということになります。

    まずは財務キャッシュフローよりもフリーキャッシュフローが大きくなっているかどうか、確認してみましょう。

    3.2 堅実パターン(財務CFはマイナスだが問題なし)

    財務CFはプラスが良い、マイナスが悪いというわけではありません。
    財務CFがマイナスであっても全く問題ないパターンがこの堅実パターンです。

     

     

    まず、本業でしっかりとお金を稼いでいます。(営業CF)
    そして、その稼いだお金の範囲内で設備投資をしており、(投資CF)
    借入の返済も着実に進めている(財務CF)
    というお金の動きです。

    この場合、営業CFで十分にお金を増やせているので、財務CFの段階で借入返済をしても手元の預金は減りません。お金が増えて借金が減る状態になるので、堅実なキャッシュフローと言えます。

    3.3 積極投資パターン(財務CFで投資CFを補填する)

    次に積極投資パターンです。
    会社の成長ステージによってはこのような形もあります。

     

     

    このパターンでは将来の成長に向けて積極的に設備投資にお金を使っています。(投資CF)
    この設備投資額は今期に稼いだ本業のお金の範囲(営業CF)では賄えていません。
    そのため、しっかりと金融機関からお金を借りて補填している(財務CF)という状態です。

    将来に向けての積極設備投資をしたい場合、単年度の営業CFで無理に賄う必要はありません。財務CFの段階でお金をしっかりと調達して、手元預金を無理に減らさないようにすることが大切です。

     

    3.4 輸血パターン(財務CFで営業CFと投資CFを補填する) 

    次に輸血パターンです。

     

     

    経営不振で本業の儲けである営業CFが十分に稼げず、しかし、設備投資でお金を使わざるを得ないタイミングもあるでしょう。
    その場合は外部からの資金調達である財務CFでしっかりとお金を補充する必要があります。
    この状態であれば、借入額は大幅に増えますが、手元預金は減らない状態が作れているということになります。

    まとめ

    財務キャッシュフローは単体で見ても正しい判断はできません。
    プラス、マイナスでお金の動きの良し悪しを単純に判断するのではなく、①3つのキャッシュフローとの関係、②フリーキャッシュフローとのバランス、③手元預金の残高を合わせてチェックしながら、総合的にお金の流れを確認していきましょう。

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