金融機関から融資を受けるために有利な事業計画書の書き方とは?

    記事公開日: 2021.12.10

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    金融機関から融資を受ける際には、事業計画書が重要な判断材料になります。

     

    しかしながら、

    「本当に金融機関は事業計画書を重視しているの?」

    「金融機関は事業計画書で何を見ているの?」

    など、事業計画書の重要性に疑問を抱いている経営者の方もいらっしゃるかと思います。

     

    そこで本記事では、金融機関から融資を受けるために事業計画者が重要である理由と、融資を受ける際の事業計画書の書き方のポイントについて解説します。

     

    この記事をお読みいただくことで、金融機関から融資を受ける際の事業計画書の重要性が理解でき、融資を受けるために有利な事業計画書が作成できるようになります。

    1.金融機関は事業計画書を重視している

    金融機関は企業の経営状態を判断する際に、事業計画書を重視しています。低金利時代の現代において、金融機関としても貸せる会社にはお金を貸したいため、融資を後押しする判断材料が欲しいからです。

     

    元銀行マンからお聞きした、事業計画書に関する本音を紹介します。

    将来の見込みが立てやすい

    事業計画書があることで、金融機関にとっては、将来の見込みが立てやすくなります。逆に、決算書、試算表、資金繰り表といった書類だけでは、現時点での財務状況は分かっても、事業の将来性までは見えません。

     

    事業計画書があることで、企業が持っているビジョンや、事業内容の強みや成長性など、数値だけでは評価できない事業の将来性について、金融機関は見込みが立てやすくなります。

    事業計画書を提出する会社は珍しい

    事業計画書があることで、金融機関からは良い印象を持たれやすいです。というのも、事業計画書を作成して金融機関に提出している企業は、それほど多くないからです。

     

    事業計画書を作成したら、その時点で金融機関へ提出するか、次の決算書を渡すタイミングで事業計画書も一緒に提出するのがおすすめです。

     

    他社がやっていないことをやれば、それだけで差別化になります。

    数字に明るい経営者にはお金を貸したい

    事業計画書を提出することで、金融機関は、経営者が数字に明るいという印象を持ちやすくなります。なぜなら、そもそも数字に向き合わなければ、計画自体が作れないからです。

     

    計画通りに進んでいれば最高ですし、たとえその通りにいかなくても、原因を分析し対策を講じていることを説明すれば良い印象になります。金融機関としても、数字に明るい社長には、お金を貸したいのが本音です。

    定量評価だけでなく定性評価も重視する動き

    今までの融資判断では、定量評価のみが重視されていました。具体的には、決算書など企業の財務状況を表す書類から、お金を貸すことができる財務状況にあるかどうかを判断する与信のみでした。

     

    しかし、金融庁からの指導もあり、金融機関は定性評価を取り入れるようになってきています。財務状況は現在の企業の状態ですが、定性評価を取り入れることで、数字だけでは判断できない将来性についても加味できるようになります。

     

    定性評価を重視する取り組みのひとつに、経済産業省のローカルベンチマークがあります。これは、会社とそれを取り巻く環境を総合的に分析し、会社の今の状態を明確にするツールです。ローカルベンチマークでは非財務面の分析にも力を入れており、金融機関も決算書に現れないこういった点を重視しています。

    2.融資において事業計画書が重要な理由

    前章では、金融機関が事業計画書を重視していることを説明しました。この章では、融資の審査プロセスにおいて、事業計画書がなぜ重要になるのかを深堀りしていきます。

    担当者の会社に対する理解が融資を決定づけることがある

    融資の審査においては、金融機関の担当者が会社のことをどれだけ理解しているかが、融資を決定づけることがあります。

     

    融資を申し込むと、まずは担当者が稟議書を作成します。作成された稟議書は、融資課長、次長が所見を記載して、支店長へと渡ります。

     

    通常の融資では、決裁者は支店長です。支店長が稟議書を見て判断に迷うときには、後押ししてくれるようなプラスの材料が欲しくなるものです。

     

    そのようなときに、支店長は担当者に対して、「君がお金を貸す立場だったら、この会社に融資する?」と聞くことがあります。このとき、担当者が融資を申し込んだ会社のことを詳しく理解していれば、支店長に十分な説明ができて、審査を通過することがあります。

     

    忙しい金融機関の担当者に、口頭のみで会社のことを詳しく理解してもらうことは困難です。しかし、事業計画書であれば、会社のことをより詳しく担当者に理解してもらえます。

    本部の人に会社のことを知ってもらえる

    融資の中には、本部決裁となる案件があります。その際に、事業計画書があると、本部の人に会社のことを知ってもらえます。

     

    本部決裁となる案件とは、例えば、金額が大きい融資や金利が通常よりも低い融資、期間が長い融資など特別な融資や重要な案件です。しかし、本部の決裁者はほとんどの場合、融資を申し込んだ会社のことを知りません。

     

    そのため、判断材料となるのは、担当者が提出する稟議書と決算書のみです。ここで、稟議書が鍵を握ることになります。

     

    事業計画書があれば、担当者は会社のことをより詳しく理解でき、稟議書にもプラスの判断材料を盛り込めます。また、稟議書と一緒に事業計画書を添付できますので、担当者や支店長は事業計画書を用いながら、本部の人に詳しく説明できます。

    しっかりしている会社という認識を持ってもらえる

    事業計画書があると、しっかりしている会社という認識を持ってもらいやすいです。そもそも、事業計画書を定期的に提出している会社が少ないからです。

     

    金融機関にもノルマがあるため、お金を貸せる会社にはお金を貸したいのが本音です。そのため、金融機関は常に融資先を探しています。また、金額の大きな融資になれば、絶対に通したいという心理も働きます。

     

    このときに、事業計画書のあるしっかりしている会社という認識を金融機関に持ってもらえれば、審査に通りやすくなります。

    3.事業計画書に必要な項目

    ここからは、事業計画書に必要な項目を説明します。

     

    金融機関へ提出する事業計画書には、下記の要素を含めると良いでしょう。骨組みが作成すれば、事業計画書の全体像が見えるようになります。

    事業概要

    事業の名称やビジネスのテーマ、事業の意義や事業を行う理由などを、簡潔にまとめます。

     

    また、事業計画書の冒頭になる部分ですので、おおまかな事業の全体像がつかめるように、商品やサービスの内容、ターゲットは誰か、どのように商品やサービスを提供するのか、要点をシンプルに記載します。

    企業・経営者のプロフィール

    企業と経営者のプロフィールを記載します。

     

    代表者名、企業名、所在地、設立年月日、従業員数、資本金、会社沿革、経営者の経歴などを簡潔にまとめ、信頼を得られるような内容にします。

    市場環境・市場規模

    経済情勢や法制度など、市場を取り巻く環境が企業のマーケティング活動に影響を与えます。また、市場規模は売上に影響を与えますので、売上の予測を立てる上でも、重要な指標になります。

     

    市場調査などを行い、公的な統計等も用いて、自社が属する市場の規模や成長性について、説明していきます。

    競合分析と優位性

    自社および他社の状況を分析して比較した上で、自社の優位性を記載します。競合となる会社はどこか、自社の強みは何か、競合に勝ち目があるかなどを明らかにします。

     

    競合分析と優位性について、多角的な分析を行うためには、SWOT分析などのフレームワークが活用できます。

    商品やサービスの内容

    商品やサービスの内容を記載します。

     

    競合他社の商品やサービスも分析した上で、自社の商品やサービスにしかない価値を説明して、事業の独自性や強みとなる点を明らかにします。

    マーケティング戦略

    どのような商品やサービスを、どのようにして顧客に知ってもらい、どのようにして販売するのかといったマーケティング戦略を検討して、記載します。

     

    4P分析と呼ばれるフレームワークを利用すると、Product(製品)、Price(価格)、Promotion(販促)、Place(流通)の4つの観点から分析ができます。

    ビジネスモデル

    ステークホルダーの間で、商品、お金、情報などがどのように流れているかをまとめ、どのようにして収益を上げるかを説明することで、ビジネスモデルを明確にします。

     

    これには、CVCAというフレームワークが利用できます。CVCAを利用することで、ビジネスの流れを図式化して、分かりやすくまとめることができます。

    財務計画

    事業の財務に関連する計画を記載します。

     

    売上や利益予測、必要な資金と調達方法などがありますが、いずれも計算方法やその根拠が重要です。金融機関は財務計画によって返済が可能かどうかを検討しますので、融資判断に直接影響を与える重要なポイントです。

    リスク

    想定できるリスクをすべて書き出し、そのリスクを回避するためにどのような対策ができるか、そして起きてしまったら、どのように対処するかを検討します。

     

    特に、事業の存続が困難になるようなレベルのリスクには注意が必要です。トラブルが起きて返済できなくなることがないかどうか、金融機関は、事業の存続が危ぶまれるようなリスクに対して、どれだけの対策を施しているのかを見ていきます。

    4.事業計画書で意識すべきポイントや注意点とは?

    金融機関へ提出するための事業計画書は、作成する際のポイントがいくつか存在します。特に意識するべき、6つのポイントをご紹介します。

    3年から5年先まで計画を作る

    事業計画の期間は、3年から5年先まで作るのが望ましいです。金融機関としても、その会社の未来をイメージしやすいからです。

     

    逆に、10年先や20年先の計画まで作ったとしても、あまり評価されるとは言えません。経済や社会などの不確定要素が多すぎるため、信ぴょう性のある計画とは言い難いからです。

     

    ぜひ、単年度にとどまらず、数年先まで見据えた計画を立ててみてはいかがでしょうか。

    理念やビジョンを入れる

    理念やビジョンといった、定性的な要素を入れることもおすすめです。金融機関は数字以外にも、経営者の人柄や熱意、事業の社会性といった点も評価対象にしているからです。

     

    経営上の数字が厳しい会社ほど、融資を受けるためには、定性的な要素を売りにしていくしかありません。また、融資担当者も人間ですので、熱意のある会社は何とか支援してあげたいと思うものです。

    数値の正確さ

    事業の現状と今後の見通しについて、数値が正確であることが大切です。

     

    正確な数値を把握できていれば、数字に強い経営者であると金融機関に認識をしてもらえます。逆に、根拠のない数字を事業計画書に並べていては、信頼を得ることができません。

    資金の使途

    融資を受けた後に、その資金をどのように利用するのかは、金融機関が融資を判断する際にポイントになります。

     

    融資を受けることで、事業にどれだけの効果をもたらすことができるのかを説明します。

    計画の実現可能性

    計画の実現可能性も、重要なポイントです。事業の実態に沿った計画でなければ、単に絵に描いた餅で終わってしまうからです。

     

    金融機関は、収益の予想が実現可能な数値であるかどうかを見ていますので、具体的な根拠を示しながら説明します。

    事業の強みや成長可能性

    事業計画書の中では、事業の強みや成長可能性についても言及します。

     

    財務的には厳しい中小企業も、自社の強みをキチンと伝えられれば、将来性を買って融資を受けられることがあるからです。

    まとめ:事業計画書の作成にはテンプレートも活用しよう

    今回は、金融機関から融資を受けるために事業計画書が重要である理由や、作成する際のポイントなどを解説してきました。

     

    金融機関が融資判断をする際には、従来の定量評価のみならず、定性評価も重視するようになっています。そんな中、事業の将来性を示す事業計画書の役割は、今後も増していくでしょう。

     

    ただし、事業計画書を初めて作成するときは時間がかかり、高いハードルを感じるものです。そこで、事業計画書の作成に慣れていない方でも大丈夫なように、簡易テンプレートをご用意しました。

     

    事業計画書の作成が楽になりますので、ぜひお使いください。

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