- 「そもそも経営分析って何?」
- 「経営分析をする際はどのような観点で行えばよいの?」
経営分析は、企業の経営状況を可視化するために行われる方法です。経営分析を行えば自社の経営状況が把握できるため、自社の強みと弱みが理解できて業績を高めるための対策がしやすくなります。
そこで今回は、経営分析について詳しく解説します。本記事を理解することで、企業の経営状況を把握しやすくなるでしょう。
経営分析とは?
経営分析とは、収益性・効率性・安全性・生産性・成長性の5つの観点から企業の営業成績や財政状況などを分析することで問題点を明らかにする方法です。
経営分析をすれば、自社の経営状況が数値で算出できるため、経営状況や財務状況を把握しやすくなります。また、前年度の数値と比較すれば会社の成長率の推移が把握できるので、業績が悪化していた場合でも即座に対応ができるでしょう。
銀行に融資を依頼するときにも、経営分析の結果が必要になります。事業に費やす資金がないときや会社の経営状況がうまくいっていないときなどに資金を調達しやすくするためにも、早めに業績改善のための判断をする必要があるのです。
経営分析の目的
経営分析は、経営戦略の見直し・構築や業績改善を目的に行われています。
経営戦略の見直しも業績改善もしなければ、会社の経営状況は悪化の一途を辿ってしまうため、少しでも業績を向上させて多くの利益を得るために経営分析をして悪化の理由を把握する必要があるのです。
また、経営分析にはさまざまな分析方法が存在しているので、多種多様な観点から自社の経営状況が把握できます。安定した会社経営をしたい方や少しでも業務改善して業績を向上させたい方は、ぜひ経営分析を利用しましょう。
経営分析が重要な理由
経営分析が重要な理由として、以下の3つが挙げられます。
- 客観的に自社の状態を捉えることができる
- 経営方針の策定や見直しを迅速に行える
- 投資の判断材料になる
本記事を読んでいる方の中にも、経営分析がなぜ重要なのか理由がわからないと考えている方がいるかもしれません。ここで解説した内容を把握し、経営分析の重要性を理解しましょう。
客観的に自社の状態を捉えることができる
経営分析を行えば、客観的に自社の状態を捉えられます。会社の業績数値から分析せずに、頭の中で自社の強みや弱点を考えたとしても、抽象的な状態しか捉えられません。
しかし、経営分析を行えば客観的な自社の状態が把握できるので、会社の業績を高めるために必要な施策が行いやすくなります。
たとえば、効率性の指標が高いのであれば強みと判断してさらに生産効率を高めるためには、どのような施策が適切なのかを検討できるでしょう。
一方で成長性の指標が低かったら、去年と比較して業績が伸びていない証拠です。強みより弱みを重点的に改善する必要があるので、経営分析をして客観的に自社の状態を捉える必要があります。
経営方針の策定や見直しを迅速に行える
客観的な自社の状態を捉えられたら、経営方針の策定や見直しを迅速に行えるようになります。
会社の業績を伸ばしていくためには、成績に応じて適切な業務改善や見直しをおこなうことが大切です。収益性・効率性・安全性・生産性・成長性の5つの指標の中で、自社の弱みを把握できれば、重点的にその課題を改善する方向で経営方針の見直しが行えます。
投資の判断材料になる
経営分析結果は、金融機関や投資家がその企業に投資する際の判断材料になります。
経営状態が悪い企業に投資をすると、お金が返ってこなくなる可能性が高いので、金融機関や投資家からすれば大きなマイナスになります。そのため、投資を受ける企業は、経営分析をして自社の業績を投資をする側に提示する必要があるのです。
ちなみに投資家の場合は、より多くの利益を得たいため収益性や成長性の指標を重視している傾向にあります。投資家から投資してもらう予定の方は、収益性・成長性の指標を重点的に伸ばすように努めましょう。
経営分析の観点① 収益性
ここでは、収益性の分析方法について解説します。収益性は、自社がどれほどの利益を獲得しているのかが把握できる観点です。自社の利益を確認したい方は、収益性の観点から経営分析を行いましょう。
利益増減分析
利益増減分析とは、前年度の販売価格や販売数量、原材料価格などの観点から利益額や利益率を比較する分析方法です。基本的に各決算期ごとに販売価格も原材料価格も高騰や下落を繰り返しています。
どの要因が原因で利益増減が発生したのかを明らかにすれば、今後の企業業績の予測がしやすくなるでしょう。
資本利益分析
資本利益分析では、資本や利益を求めるための指標として以下の5つを解説します。
- 総資本経常利益率(ROA)
- 自己資本当期純利益率(ROE)
- 売上高総利益率
- 売上高営業利益率
- 売上高経常利益率
上記の指標を用いて、自社がどれほど収益性の高い企業であるかを明らかにしましょう。
総資本経常利益率(ROA)
総資本経常利益率(ROA)とは、総資本に対する経常利益の割合を示す指標です。総資本経常利益率は、以下の計算式で算出できます。
総資本経常利益率(ROA)=経常利益÷総資本×100
総資本経常利益率は高ければ高いほど、効率的に経営ができている証拠になります。総資本経常利益率の目安は4.7%となっているので、4.7%を上回れるように売上を増加させたり、経費を削減させたりなどの工夫をしましょう。
自己資本当期純利益率(ROE)
自己資本当期純利益率(ROE)とは、自己資本に対してどれほどの利益を企業が獲得できているのかを示す指標です。自己資本当期純利益率は、以下の計算式で算出できます。
自己資本当期純利益率(ROE)=(当期純利益÷自己資本)×100
自己資本当期純利益率の基本的な目安は7%前後と言われているため、例に出した自己資本当期純利益の場合だとかなり高い利益を出せている企業であると証明できるでしょう。
売上高総利益率
売上高総利益率とは、企業の売上に対する売上総利益の割合を表す指標です。売上高総利益率は、以下の計算で算出できます。
売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100
例えば、売上総利益が3000万円で売上高が1億円だった場合、売上高総利益率は30%になります。
売上高総利益率が高いほど利益を生み出す力がある商品・サービスを開発していることになり、低かった場合は仕入れ原価を下げたり、取引先の見直しをしたりといった業務改善をしなければいけません。
売上高総利益率の目安は、業界によって大きく異なります。飲食業界であれば75%~80%ですし、小売業界であれば25%~50%になるため、競合他社の売上高総利益率を参考にしましょう。
売上高営業利益率
売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の割合が分かる指標です。売上高営業利益率と営業利益は、以下の計算式で算出できます。
売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100
営業利益=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費
売上高営業利益率を求めて営業利益率の割合が多かった場合は、本業の業績が順調に進んでいることがわかります。全業種の売上高営業利益率の目安は5.6%なので、この目安を上回るように本業の業績を高められるように工夫しましょう。
売上高経常利益率
売上高経常利益率とは、売上高に対する経常利益の割合が分かる指標です。売上高経常利益率と経常利益は、以下の計算式で算出できます。
売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
営業外収益は受取利息や受取配当金などの本業以外で得た収益、営業外費用は支払利息や為替差損などの本業以外で生じた費用を言います。
売上高経常利益率の平均目安は4.6%と言われているので、この目安を下回った場合は本業の業績を高めたり、営業外収益を増やしたり、営業外費用を減らしたりしなければいけません。
損益分岐点分析
損益分岐点分析とは、収益が費用を上回って黒字経営になる売上水準を分析する手法です。損益分岐点分析をおこなうことで、目標利益額を達成するために必要な売上額の選定ができます。そんな損益分岐点売上高を計算する方法は、以下のとおりです。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
限界利益率=限界利益÷売上高
損益分岐点分析は、リスクが高い事業とリスクが低い事業の明確化や目標の利益を達成するまでに必要な売上高が把握できます。
経営分析の観点② 効率性
ここでは、資産などをどれほど効率的に使用しているのかを表せる指標を解説します。経営分析に活用できる効率性の指標は、以下の5つです。
- 総資本回転率
- 固定資産回転率
- 棚卸資産回転率
- 売上債権回転率
- 仕入債務回転率
上記の5つの指標を用いて効率的に経営できるように工夫しましょう。
総資本回転率
総資本回転率とは、総資本をどれほど有効的に活用できているかを表す指標です。総資本回転率は、以下の計算式で算出できます。
総資本回転率=売上高÷総資本
総資本回転率の目安は1回転で、総資本回転率が高いほど会社の総資本を活用して多くの売上を獲得できています。総資本回転率が目安を満たしていなかった場合は、無駄に多くの在庫を抱えている可能性や多額の売掛金があることを疑ってください。
総資本回転率を活用して業務効率を高めましょう。
固定資産回転率
固定資産回転率とは、企業が保有している固定資産を用いて売上をどれほど獲得できているのかを確認するための指標です。固定資産回転率は、以下の計算式で算出できます。
固定資産回転率=売上高÷固定資産
固定資産回転率の目安は業種によって大きく異なるため、競合他社と比較して目安を把握しましょう。
固定資産回転率は高いほど小さな固定資産で大きな売上を上げていることになるので、固定資産を効率的に活用できている証です。
固定資産回転率が低かった場合は、売上が計上されるまでの流れの見直しや売上貢献度が低い固定資産の売却をして効率性を高められるようにしましょう。
棚卸資産回転率
棚卸資産回転率とは、販売目的で所有している商品や原材料をどれくらい効率的に販売しているのかを表す指標です。棚卸資産回転率は、以下の計算式で算出できます。
棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産
棚卸資産の回転率が高いほど商品がよく売れていることになります。逆に棚卸資産回転率が低ければ商品は売れていないので、保管コストや廃棄コストなどさまざまな費用がかかるかもしれません。
余計なコストをかけないようにするためにも、仕入れる数の調整や売上を高める工夫をするべきでしょう。
売上債権回転率
売上債権回転率とは、売上高と売掛金や受取手形などの売上債権の比率のことです。売上債権回転率は、以下の計算式で算出できます。
売上債権回転率=売上高÷売上債権
売上債権回転率が高いほど売上の回収が早い証明になり、順調に売上を現金化できていることがわかるでしょう。一方で売上債権回転率が低かった場合は、現金化が遅いので、会社が資金不足になる可能性が高いです。
代金回収サイトの見直しや滞留債権の有無の確認を行い、売上債権回転率を高められるようにしましょう。
仕入債務回転率
仕入債務回転率とは、買掛金や支払手形などの仕入債務の支払いが効率的に実施されているのかを表す指標です。仕入債務回転率は、以下の計算式で算出できます。
仕入債務回転率=(売上原価÷仕入債務)×100
仕入債務は、企業が商品やサービスを購入することで発生した支払義務で、一定日後に支払われることを約束しています。仕入債務回転率が高いほど企業の資金繰りに余裕があることを示しています。
仕入債務回転率が低かった場合は、買掛金や支払手形の支払いを早めに行いましょう。
経営分析の観点③ 安全性
ここでは、安定した会社経営をおこなうために必要な以下の安全性の指標を解説します。
- 短期財務安全性分析
- 長期財務安全性分析
- 資本調達構造分析
経営分析をして安全性が低かった場合は、借金返済する能力がないため、会社が倒産してしまうかもしれません。上記の指標を使用して、会社の安全性を確かめましょう。
短期財務安全性分析
短期財務安全性指標分析では、流動比率と当座比率の2つの指標を使って短期的な支払い能力を調べられます。短期的な支払い能力を把握したい方は、短期財務安全性分析を使用しましょう。
流動比率
流動比率とは、1年以内に返済義務のある流動負債に対して1年以内に回収予定の流動資産の割合を示す指標です。流動比率は、以下の計算式で算出できます。
流動比率=流動資産÷流動負債×100
流動比率が高いほど安定した会社経営ができており、100%を下回っている場合は資金繰りに危機感を持ったほうがよいです。逆に流動比率が200%を超えていたら、健全な会社経営ができていると判断してよいでしょう。
当座比率
当座比率とは、現金預金や受取手形などの現金化しやすい当座資産が流動負債に対してどれくらいの割合を占めているのかを表す指標です。当座比率は、以下の計算式で算出できます。
当座比率=当座資産÷流動負債×100
当座比率は高いほどよいとされていて、当座比率が100%以上あれば健全な会社経営ができている証です。
長期財務安全性分析
先ほど短期財務安全性分析について解説しましたが、ここでは長期的な支払い能力を調べられる長期財務安全性分析を解説します。
長期財務安全性分析では、固定比率と固定長期適合率の2つの指標を使って安全性を分析できるので、長期的な支払能力を把握したい方はぜひ、ご覧ください。
固定比率
固定比率は、長期的に使用する固定資産と自己資本の割合を示す指標です。固定比率は、以下の計算式で算出できます。
固定比率=固定資産÷自己資本×100
固定比率を計算することで、固定資産に投資をする際の安全性が把握できます。固定比率は低いほどよいとされており、100%以下だと健全な固定資産投資ができているということです。
固定長期適合率
固定長期適合率とは、自己資本と固定負債の合計額に対する固定資産の割合を示した指標です。固定長期適合率は、以下の計算式で算出できます。
固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)
固定長期適合率を把握すれば、固定資産を安定した資金で賄えているのかが分かります。固定長期適合率は低いほど健全な状態であるといわれており、100%以下であれば安全な財務状況です。
資本調達構造分析
ここでは、自己資本比率と負債比率の2つの指標に分けて資金調達構造分析を解説します。資本調達の内訳について事細かに把握したいのであれば、資金調達構造分析を行いましょう。
自己資本比率
自己資本比率とは、総資本に対して返済義務のない自己資本の割合を表す指標です。自己資本比率は、以下の計算式で算出できます。
自己資本比率=自己資本÷総資本×100
自己資本比率が高いほど借金を返済する必要がないので安定した会社経営ができているといえるでしょう。一方で自己資本比率が低い場合は、返済義務のある他人資本が多いことになるので、早く借金を返済できるように業績そのものを高める必要があります。
負債比率
負債比率とは、返済義務のない自己資本と返済義務のある他人資本の割合を示す指標です。負債比率は、以下の計算式で算出できます。
負債比率=負債÷自己資本×100
基本的には負債比率が高いほど返済義務のない自己資本が多くなるため、負債比率が高いほど安定した会社経営ができていることになります。
しかし、事業内容によっては自己資本だけで投資額を賄いきれない可能性があるため、他人資本が多い場合は早急に借金返済するようにしましょう。
経営分析の観点④ 生産性
ここでは、会社が生産した商品やサービスに対して経営資源を効率的に使用しているかを判断できる以下の生産性の指標について解説します。
- 労働生産性
- 資本生産性
- 労働分配率
企業の生産性を高めるためにも、ここで解説する指標を用いて自社の生産性の現状を把握しましょう。
労働生産性
労働生産性とは、従業員一人当たりもしくは一時間当たりの労働が生み出す成果を示す指標です。労働生産性には、物的労働生産性と付加価値労働生産性の2種類が存在しています。
物的労働生産性を基準とした成果が生産性なのに対し、付加価値労働生産性を基準とした成果は付加価値です。まず物的労働生産性は、以下の計算式で算出できます。
生産量÷従業員数(従業員一人当たりの物的労働生産性)
生産量÷労働時間(一時間当たりの物的労働生産性)
また、付加価値労働生産性の計算式は、以下のとおりです。
付加価値÷従業員数(従業員一人当たりの付加価値労働生産性)
付加価値÷労働時間(一時間当たりの付加価値労働生産性)
付加価値=売上高-売上原価
上記の計算式で求めた数値が高いほどより多くの成果が得られていることがわかります。
資本生産性
資本生産性とは、資本に対して生み出された付加価値の割合を表した指標です。資本生産性を把握することで、保有している資本の利益への還元具合が把握できます。資本生産性の計算式は、以下のとおりです。
資本生産性=付加価値額)÷有形固定資産
資本生産性を高めるためには、機械設備や土地など有形固定資産の稼働率や利用頻度を増やす必要があります。
労働分配率
労働分配率とは、人件費にどれだけ付加価値を分配したのかを表す指標です。労働分配率は、以下の計算式で算出できます。
労働分配率=人件費÷付加価値×100
労働分配率の適正な数値は大企業であれば約50%、中小企業であれば約70%が平均的です。労働分配率は高すぎても低すぎてもよくないので、適正な水準を保たなければいけません。
労働分配率が高かったら人件費の増加のため設備投資に資金を回せなくなりますし、低かったら従業員のモチベーションが高まらないからです。
そのため、労働分配率は、常に適正な水準を保っているように心がけましょう。
経営分析の観点⑤ 成長性
ここでは、企業の成長率や将来ますます成長する可能性を測定する以下の指標を解説します。
- 売上高増加率
- 利益増加率
- 総資産増加率
- 純資産増加率
- 従業員増加率
- EPS
成長性を分析する際は、競合他社と比較して確認することが大切です。競合他社と比較して自社がどれほど成長性の高い企業なのかを成長性指標を用いて分析しましょう。
売上高増加率
売上高増加率とは、前期と比較して売上高がどれほど伸びているのかを表す指標です。売上高増加率は、以下の計算式で算出できます。
売上高増加率=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高
売上高増加率を比較する際に気をつけることは、比較対象の期間をそろえることです。比較対象の期間をそろえて、前期よりも常に業績を高められるように努めましょう。
利益増加率
利益増加率とは、前期と比較してどのくらい利益が増加したのかを表す指標です。利益増加率は、以下の計算式で算出できます。
利益増加率=(当期経常利益−前期経常利益)÷前期経常利益×100
利益増加率の値を算出すれば、無駄な経費が発生していないかを確認できます。利益増加率が高いほど前期より多くの利益を獲得している証明になるでしょう。
利益増加率が低かった場合は、無駄な経費を削減するための施策を打ち出してください。
総資産増加率
総資産増加率とは、総資産の金額が前期と比較してどのくらい増加しているのかを示す指標です。総資産増加率は、以下の計算式で算出できます。
総資産増加率=(当期総資産−前期総資産)÷前期総資産×100
総資産増加率を求めれば、前期と比較して企業規模がどのくらい拡大しているのかがわかるでしょう。
総資産増加率と利益増加率の値が一致しなかった場合は、不良債権や不良在庫を抱えている可能性があるので、改めて確認してください。
純資産増加率
純資産増加率とは、純資産が前期と比較してどのくらい増えているのかがわかる指標です。純資産増加率は、以下の計算式で算出できます。
純資産増加率=(当期純資産−前期純資産)÷前期純資産×100
純資産は返済義務のない自己資本から構成されているため、純資産増加率が高いほど会社の安定性が高まっているといえるでしょう。
従業員増加率
従業員増加率とは、従業員が前期と比較してどのくらい増加しているのかを表す指標です。従業員増加率は、以下の計算式で算出できます。
従業員増加率=(当期従業員数-前期従業員数)÷前期従業員数×100
従業員増加率は、従業員がどれほど増えたかによって会社の規模の拡大度合いが把握できます。
投資判断など会社の規模の拡大度合いを把握したい時に、従業員増加率は使用できるでしょう。
EPS
EPSとは「Earning Per Share」の頭文字を取った言葉であり、1株当たりの利益額を表す指標です。EPSは、以下の計算式で算出できます。
EPS=当期純利益÷普通株式発行済株式数
EPSは、発行する1株に対して企業がどれほどの利益を稼いでいるのかがわかります。
EPSが高かった場合は、投資のリターンが多いと判断されるため、資金調達をしやすくなるでしょう。
的確に経営分析をおこなうための3つのポイント
ここでは、的確に経営分析をおこなうための以下の3つのポイントを解説します。
- 自社に適した指標を選ぶ
- データ管理を徹底する
- BIツールを活用する
本記事では経営分析に使用できる指標を数多く解説しましたが、結局どの指標を使用するべきなのか、どのように経営分析をおこなうべきなのかが分からない方も多いでしょう。
ここで解説したポイントを参考にし、的確な経営分析ができるように努めてください。
①自社に適した指標を選ぶ
経営分析をおこなう際は、自社に適した指標を選びましょう。本記事を見て分かるように経営分析をおこなうための指標は数多く存在するため、全ての指標を使用して計算していたら日が暮れてしまいます。
自社の経営状況を把握することが経営分析をおこなう目標ではなく、経営状況を把握して業務改善をすることが目標です。加えて、自社に必要のない指標を使って分析をして業務改善をするのは時間の無駄でしょう。
そのため、自社に必要な指標を選んで業務改善に努めてください。
②データ管理を徹底する
経営分析をおこなうためには自社の経営状況に関するデータが必要であるため、分析しやすくするためにも正確なデータ管理を徹底しましょう。もし、データ入力に誤りがあった場合は、再度作成し直さなければいけず、経営分析をするのに膨大な時間がかかってしまいます。
また、データ入力を間違えることで違った方向の業務改善をしてしまう恐れもあるでしょう。自社の業績をより高めるためにも、正確なデータ管理を徹底してください。
③BIツールを活用する
手っ取り早く経営分析を行うために、BIツールを活用しましょう。BIツールとは、企業が所有しているさまざまなデータを可視化して経営や業務に役立てるソフトウェアのことです。
BIツールを使用すれば、さまざまなシステムが連携しているので自動でデータ収集がしやすくなったり、資料作成がしやすくなったりします。経営分析の時間を極力短くして、業務改善に多くの時間をさけるようにBIツールの活用を検討しましょう。
まとめ
今回は、経営分析について詳しく解説しました。経営分析を行うことで、客観的に自社の状態を捉えられ、経営方針の策定や見直しを迅速に行えるメリットが得られます。
本記事で解説した3つのポイントを参考にしたうえで、経営分析を行いましょう。また、経営分析を行う際に、経営計画書を再度作成し直すと自社の事業規模や事業内容の再確認ができておすすめです。
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