月次決算は何のためにおこなう?月次決算で作成する帳票の種類とチェックポイントを解説

    記事公開日: 2023.07.14

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    月次決算とは

    月次決算とは、経営成績と財政状況を確定するという作業で、事業の年度末に行う年次決算とは別に、この作業を毎月一ヶ月単位で行うことを指します。

     

    この作業の目的は、営業成績と財政状況などの経営を管理するために参考となる情報を経営陣に伝えるために行いますので、予算や計画との比較をするために、正確性・詳細性よりも概観的で迅速な情報が必要になります。

     

    また、経理・財務には、月次決算の早期化とKPI(「Key Performance Indicator」重要業績評価指標、目標達成のためのプロセスが適切に実行されているかどうかを評価する指標)に基づく予実差異分析が求められます。月次決算は年次決算とは違い作業項目は多く、スケジュールもタイトです。

     

    今回は、月次決算の目的ややり方、効率よく月次決算をおこなうためのポイントを詳しく解説していきます。

    月次試算表は何のために作成する?

    月次試算表は、月ごとの企業の損益や財産の状況を見える化し、素早く経営判断をくだすために作成します。月次試算表を作成する目的は下記5点です。

     

    ・年次決算の事務負担を軽減するため

    ・経営判断を早期におこなうため

    ・金融機関などから融資を受けやすくするため

    ・節税対策をおこなうため

    ・問題発生時に迅速に対応するため

    年次決算の事務負担を軽減するため

    月次試算表を作成する目的の一つ目は、「年次決算の事務負担を軽減するため」です。年次決算は、一年間のすべての会計業務を確定する作業です。

     

    一年間の会計書類や帳簿を整理し、期日までに決算書類を作成して提出しなくてはなりません。つまり、年次決算はスピードも正確性も求められて膨大な労力がかかる作業になります。月次決算として毎月会計資料をまとめておけば、年次決算の際にまとめる資料が減り、時間や確認項目なども大幅に軽減することができます。

     

    また、一年に一度の年次決算業務を毎月おこなうことで業務が楽になると考えれば、経理担当者の決算時の作業も減り、業務効率化にもつながります。

    経営判断を早期におこなうため

    二つ目は、「経営判断を早期におこなうため」です。月次決算は前述でお伝えした通り、毎月経営成績や財務状況をまとめる作業なので、経営状況をタイムリーに把握することができるというメリットがあります。

     

    そのため、急激な経営環境の変化で売上減や経費増が起こってしまった場合でも、早急に原因の追究ができ、適切な経営判断をおこなうことが可能になります。

     

    問題解決には早期発見が健全な経営の基本の基です。年次決算だけをおこなっていると、年次決算の時には数字が過去のものとなっていることが多く、原因の追究や対策の実施は難しい状況にあることがほとんどです。月次決算は経営陣が経営判断をおこなう基本の資料となるのです。

    金融機関などから融資を受けやすくするため

    月次試算表を作成する目的の三つ目は、「金融機関などから融資を受けやすくするため」です。月次決算をおこなっているということは、経営や財務状況を管理していることの証明になりますので、融資や取引を持ちかける際の心証がよくなります。

     

    また、金融機関への融資申請には時間がかかります。企業から融資の申込があった際、融資審査をしてしっかり返済をしてくれるのかを判断します。

     

    そのため、企業の成績が良かったとしても、直近の会計資料がない場合は融資審査に時間がかかってしまうことがあります。月次決算をし、毎月月次試算表を整えておくことで、融資審査のスピードを早めることができるのです。

    節税対策をおこなうため

    月次試算表を作成する目的の四つ目は、「節税対策をおこなうため」です。節税をするのに重要なことは、決算対策や納税予測を行うことです。決算より前に利益予測を出しておかなくては対策のしようがありません。

     

    月次試算表を作成すれば、決算の前から納税の予測、決算対策の実施をおこない、節税対策につなげていくことが可能となります。逆に言えば、月次試算表を作成しておかないと、適切な節税対策を行うことが難しくなってしまいます。

    問題発生時に迅速に対応するため

    月次試算表を作成する最後の理由は、「問題発生時に迅速に対応するため」です。月次試算表を作成することで、売上高や利益をこまめに確認することができ、問題が発生していることに気がつきやすくなります。

     

    例えば、新型コロナウイルスや戦争の影響で生産するための備品が手に入らず生産状態が思わしくない場合や、債権の回収が遅れてしまっている場合には、こまめにチェックしておかなくては気がつきようがありません。

     

    決算時には既に手遅れ状態になっており、対処できなくなってしまっているという可能性もあるので、月次試算表を作成して、問題発生時に迅速な対応ができる体制にしておきましょう。

    月次決算と年次決算のちがい

    決算には月次決算と年次決算があります。年次決算は年に一回一年間の経営成績と財務状況を確定する作業です。一方で、月次決算はその作業を月に一回一ヶ月単位で作業をおこないます。また、年次決算は会社法や法人税法などの法律で実施することが義務づけられていますが、月次決算は企業が任意でおこなうものです。

     

    目的も異なっており、年次決算は損益計算書や貸借対照表に一年間の売上実績をまとめ、株主や取引先に対して情報を提供することを目的としています。一方で、月次決算は株主への報告が目的というわけではありません。

     

    経営陣が、自社の経営状況をタイムリーに確認し、経営方針や経営戦略を早期に考え、対策していくための資料として使われています。まずは、月次決算の流れをそれぞれ解説していきたいと思います。

    月次決算の流れ

    月次決算は毎月行う会計処理のことですので、概観的で迅速な情報が求められます。進め方やスケジュールについては年次決算と変わりませんが、遅くとも半月以内に作業をする必要があります。

     

    ここでは月次決算の一般的な流れを解説していきますので、スピーディーに月次決算がおこなえる体制をつくっていきましょう。

    残高確認

    月次決算をおこなう際、まずは「残高確認」をおこないます。現金・預金の帳簿残高と、実際の残高に違いがないか確認していきましょう。

     

    通帳での預金残高、金庫に保管している現金残高の確認をし、帳簿残高と差異がある場合、どこでズレがでてしまっているのか原因を調査します。

     

    毎日の業務で出納帳をつけている場合は、毎日ズレがないか確認をしていると思いますが、締めである月末は特に注意を払うようにしましょう。

    棚卸高の確定

    次におこなうことは、「棚卸高の確定」で、月末の在庫金額を確定することを指します。可能ならば、帳簿と棚卸資産が一致しているかどうかも確認するようにしましょう。

     

    また、毎月棚卸をして棚卸資産管理の手続きがされている場合は、下半期決算や年次決算の際の棚卸の省力化することもできます。

    仮勘定の処理

    次は、「仮勘定の処理」をおこないます。仮勘定とは、仮払金や仮受金などの正確な金額が分からない支出・収入のことです。仮勘定は名前の通り仮の情報なので、正確な金額がわかり次第処理をします。

     

    また、仮勘定のままではなく、仮勘定の内容は何かを整理しておくことも重要です。仮勘定のままにしておくと、その月の経営状況が見えにくくなってしまいます。

    経過勘定の計上

    次におこなうことは、「経過勘定の計上」です。経過勘定の計上とは、前払費用や未払い費用が月をまたいでしまった時に処理をすることを言います。

     

    早急に処理をするために、対象の科目や計上する基準をあらかじめ設定しておくようにします。経過勘定で費用を損益計算書に反映させることで、その月の経営状況を正確に把握できるようになります。

    減価償却費等の計上

    次に月次決算でおこなうことは、「減価償却費等の計上」です。減価償却費および退職給付費用などの期末確定費用は、年間でどのくらいの費用がかかるか見積もりが可能です。

     

    年次費用をだしたうえで、月次費用として12分の1の金額を計上しましょう。それ以外にも、賞与、固定資産税、社会保険などの各種保険料なども月割計上処理をする必要があります。

    月次試算表の作成

    最後は、「月次試算表の作成」です。仕訳したものを総勘定元帳に転記し月次試算表を作成します。月次試算表は年次試算表同様で、「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」があります。

     

    また、その他の資料として、予算実績対比表や前年同月対比表などを作成する企業が多いです。試算表は3種類あり、「合計試算表」と呼ばれる勘定科目の貸借をそれぞれ合計したもの、「残高試算表」と呼ばれる勘定科目の残高を記載したもの、「合計残高試算表」と呼ばれる「合計試算表」と「残高試算表」のどちらも記載したものがあります。

     月次試算表のチェックポイント

    月次決算の際に、月次試算表を正確に分析することは重要になってきます。

    月次試算表のチェックすべきポイントは下記4点です。

     

    ・現金や預金など勘定科目残高が合っているか

    ・資金繰りの状況がどうなっているか

    ・前月に比べて売上がどうなっているか

    ・予算の達成度はどうなっているか

     

    上記のポイントを解説していきます。

    現金や預金など勘定科目残高が合っているか

     一つ目のチェックポイントは、「現金や預金など勘定科目残高があっているか」という点です。これは、試算表のなかの「貸借対照表」で確認します。

     

    現金・預金の減少が続いているようであれば、原因の究明が必要になります。現金や預金という手元で使えるお金が尽きてしまうと、黒字倒産ということになってしまう場合もあります。

    資金繰りの状況がどうなっているか

     二つ目のチェックポイントは、「資金繰りの状況がどうなっているか」です。売掛金や受取手形、買掛金や支払手形の増減、債権と債務のバランスを見て、資金の動きは常に確認するようにしましょう。

     

    売掛金の回収が滞っていたり、回収までの期間が長かったりすると、売上としては良い成績を残していたとしても、資金ショートしてしまいかねません。また、買掛金・未払金・未払費用などの支払いが遅れていると、今後の資金繰りに大きな影響を与えかねませんので、支払日はしっかり把握しておくようにしましょう。

    前月比べて売上がどうなっているか 

    三つ目のチェックポイントは、「前月に比べて売上がどうなっているか」という点です。これは「損益計算書」を確認します。

     

    前期と比較して大きな変化がある場合は、そのまま経営を進めていくことは危険です。原因を追究し、早急に経営方針の修正をはかりましょう。

    予算の達成度はどうなっているか

    最後のチェックポイントは、「予算の達成度はどうなっているか」という点です。この時に役立つのは、「予算実績対比表」です。

     

    想定していた利益と乖離がある場合は、売上が想定通りかを確認しましょう。売上が想定通りで利益が思っていたよりなかった場合は、原価・固定費の見直しが必要になります。

    月次決算で試算表を作成する際のポイント3

    月次決算に試算表を作成する際のポイントは3点あります。

     

    ①11つの取引を適切に処理する

    なるべく早く試算表を作成する

    会計ソフトなどを活用し業務の効率化を図る

     

    上記、ポイント3点を一つひとつ詳しく解説していきます。

    ①11つの取引を適切に処理する

    まずは、「①11つの取引を最適に処理する」ことです。月次試算表は、一ヶ月という期間を厳密に区切ることが重要となります。

     

    取引の際に集計がずさんになっており、すべての費用が計上されていなかったり、会計期間があやふやだったりすると、効果的な試算表を作成することはできません。

     

    整合性のない月次試算表では経営状況を把握することができませんので、11つの取引は最適に処理をするようにしましょう。

    なるべく早く試算表を作成する

    月次決算で試算表を作成する際のポイント二つ目は、「②なるべく早く試算表を作成する」ことです。月次決算にはスピードが求められます。なので、せっかく月次決算をおこなっても、試算表の作成が遅れてしまっては十分に効果を発揮できません。

     

    会計を締めた後に1週間以内、長くとも10日以内に月次試算表を仕上げるようにしましょう。そのためには、各部署に提出書類の締め切り日を設定し、必要書類を確実に早く回収できる体制を整えておくと良いです。

    会計ソフトなどを活用し業務の効率化を図る

    月次決算で試算表を作成する際の最後のポイントは、「③会計ソフトなどを活用し業務の効率化を図る」ということです。会計ソフトを導入することで業務の効率化が進みます。これは、月次決算の作成だけでなく日常業務に対しても言うことができます。

     

    会計ソフトは、自動仕訳や、預金残高の確認、記帳作業などもできます。また、スマホで領収書を撮影するだけで自動入力ができたり、ICカードの履歴と交通費が連動していたりとソフトの種類によってできることも異なってきます。

    月次決算は経営にどのような影響をあたえるのか

    月次決算は年次決算とは異なり作成の義務はありません。月次決算は毎月作業しなくてはならず、それだけでは業務が増えてしまうだけのように感じる方もいると思います。

     

    それでは、月次決算は経営にどのような影響をあたえるのかを見ていきましょう。

    請求管理や支払管理などの内部管理を見直すことができる

    月次決算が経営にあたえる影響としてあげられる一つ目は、「請求管理や支払管理などの内部管理を見直すことができる」という点です。月次決算を導入することにより、資金繰りについてもリアルタイムで確認できるようになります。

    売上金額の請求と仕入れ代金などの経費の支払いは資金繰りに影響をあたえる重要事項です。月次決算をおこなうことによって、取引先からの売掛金の回収が長期化していないか、仕入れ代金の支払い期限がタイトすぎて資金繰りを圧迫していないかなど、毎月、内部管理を見直すことができます。

     

    「回収は早く、支払いは遅く」は資金繰りの基本なので、月次決算を活かして管理していくようにしましょう。

    売上や経費を分析することで経営効率を見直すことができる

    月次決算が経営にあたえる影響としてあげられる二つ目は、「売上や経費を分析することで経営効率を見直すことができる」という点です。

     

    月次決算を分析していくことで、売上が悪化していたり、余分な経費が発生していたりなど、経営に悪影響を及ぼす問題が発生していないかを早期に発見することだけできるようになります。

     

    財務三表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)を確認し、どこが問題となっているか、問題となっている要素はないかを確認し、迅速な意思決定を徹底することで、月次決算を一番効果的に使うことができます。

     計画的な投資計画を実現することができる

    月次決算が経営にあたえる影響として最後にあげるのは、「計画的な投資計画を実現することができる」という点です。月次決算をおこなうことで経営状況をタイムリーに把握することができるので、どのくらいの余裕があり、どのくらいの金額を投資できるかが分かりやすくなります。

     

    また、予実績対比ができるので、どのタイミングでどのような投資をしていくか、計画的に投資をおこなうことに役立ちます、当期純利益が例年よりも多くなりそうな場合、少額な減価償却資産(パソコンなど)の購入を当期中におこなうことで、節税対策にもなります。

     

    また、資金調達のタイミングも適切な判断ができ、はやめに準備をすすめることができるようになります。

    まとめ:月次試算表を早期に作成し細かく分析することが大事             

    月次決算の効果を最大限に活かしていくためには、試算表を早期に作成し、細かく分析していくことが重要になってきます。

     

    月次決算を作業としてこなすだけでなく、経営を上手にまわしていくために活用していけるよう、月次決算業務の体制を整えていきましょう。

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