予算計画はどう立てる?事業計画に欠かせない予算計画の基本を解説

    記事公開日: 2023.09.06

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    予算計画とは、事業計画に沿って予算を利用できているか、計画通りに予算が達成できているのかを管理する業務です。

     

    事業運営に支障をきたさないためにも、予算管理を適切に実施する必要があります。しかし、予算計画の実施において、将来的な目標を実現させる具体的な予算設定や計画手順などが分からない方もいるでしょう。

     

    そこで今回は、予算計画の作成方法や作る際の流れ、実行時のポイントを解説します。本記事を読めば、予算計画の作成方法が理解できるため、適切な予算管理が実施できるようになるでしょう。

     

    予算計画とは

    予算計画とは、予算管理の種類の1つで一定期間の経営活動の実績を確認・分析したうえで予算を立てることです。予算管理は、予算計画を含めて以下の4つの手順でおこなう必要があります。

     

    予算管理の種類

    概要

    予算計画

    適切な予算計画を作成するために達成すべき経営目標を明確にして必要な予算や経営資源を決定する

    予算に基づいて実行

    売上・原価・経費・利益の4種類に分類して種類ごとの予算を定期的に管理する

    予算実績の分析

    予算と実績に差異が生じた場合に差異が生じた原因を特定する

    予算管理の改善

    実績と計画に乖離が生じた場合の改善策を実施する

     

    一般的に予算計画ではPDCAを回しながら進めることで、実効性の高い予算管理が実現しやすいといわれています。

     

    予算計画をおろそかにすると必要な予算や経営資源が曖昧になってしまうため適切な予算管理ができず、事業に支障をきたす恐れがあります。

     

    適切な予算計画を作成するためにも、予算管理の役割や作成方法、作る際の流れを把握する必要があります。

    事業計画をたてる上での予算計画の役割とは

    予算計画の役割は、自社が達成するべき数字の明確化と分析、分析結果を基に現在の位置や軌道修正の方向性を確認することです。

     

    予算計画を設定することで、事業計画を進めるうえでの良い点や悪い点が浮き彫りにできます。

     

    例えば「売上が足りなかったのか?」「人件費を多く活用しすぎていたのか?」「粗利設定が間違っていたのか?」と原因究明することで、適切な対策が実施可能です。

     

    予算計画を作成する際は、中長期的に達成したい目標を設定していつまでに何をどれくらい達成するのかと決める計画を立てなければいけません。

     

    ただ、年間の予算計画を決めていても予算にずれが生じた場合は、半期、四半期、月次と細かく予算計画を作成して振り返る必要があります。

     

    予算計画の役割として自社が達成するべき数字の明確化と分析、現在の位置や軌道修正の方向性の確認を理解したうえで、計画表を実際に作成しましょう。

    予算計画の策定方法は大きく2つ

    予算計画の作成方法は、以下の2つに分類できます。

     

    1. トップダウン型
    2. ボトムアップ型

     

    適切に予算計画を用意するためには、それぞれの作成方法を理解する必要があります。ここで解説した作成方法を理解したうえで、予算計画を作成してください。

    ①トップダウン型

    トップダウン型とは、会社の経営者が予算計画を作成したうえで、社員たちに伝達する作成方法です。

     

    経営者がすべて予算計画を作成する方法であるため素早い意思決定が実現でき、手間がかかりません。

     

    しかし、経営者が現場の状況を理解できていないと現実的でない予算計画を立ててしまい、計画表として機能していなかったり、社員のモチベーション低下につながったりします。

     

    トップダウン型は、中小企業やベンチャー企業など営業力によって大幅に売上が変動しやすい会社で活用されている傾向があります。

     

    一方で、研究機関を中心とした社員の能力によって売上が左右されてしまう事業には不向きです。

     

    経営者が現場で仕事しており営業力によって売り上げが大幅に変動しやすい事業の場合は、トップダウン型を用いて予算計画を作成するとよいでしょう。

    ②ボトムアップ型

    ボトムアップ型とは、社員全体の意見を予算計画に落として作成する方法です。

     

    すべての社員が共通認識したうえで予算計画を作成できます。また、ボトムアップ型は社員が予算計画を作成しており、当事者意識も芽生えて適切な行動がしやすくなるでしょう。

     

    一方で、ボトムアップ型で予算計画を作成すると、簡単に達成しやすい目標を設定してしまったり、計画の作成までに時間がかかったりしてしまう場合があります。

     

    簡単に達成しやすい目標を設定してしまったら、社員たちは努力することを怠ってしまうため、優れた成果を得られない可能性があります。

     

    そのため、ボトムアップ型を採用して予算計画を立てるのであれば、経営陣が適切な目標設定をしているのかを最終確認した方がよいでしょう。

     

    ボトムアップ型は、経営陣がすべての事業を把握できない規模の大きい会社で用いられることが多いです。

    予算計画を作る際の流れとは

    予算計画を作成する流れは、以下の通りです。

     

    1. 過去の実績分析
    2. 売上予算の策定
    3. 仕入・生産計画の策定
    4. 固定費・変動費の予算化
    5. 営業外収益の予算化
    6. 営業外費用の予算化
    7. 特別収益の予算化
    8. 特別損失の予算化
    9. 全体の予算バランスの確認

     

    ここで解説した流れを参考にしたうえで、予算計画を作成しましょう。

    過去の実績分析

    予算計画を作成する際は、自社のこれまでの成果を超えるためにも過去の実績分析から始めてください。

     

    例えば、過去3年間の実績を表にまとめて以下の3つのポイントに着目して整理しましょう。

     

    • 自社が何で売上を得ていたのか?
    • なんの費用がかかっていたのか?
    • 構成比はそれぞれ何%だったのか?

     

    上記のポイントに着目して整理することで、予算計画を作成するための参考にできます。また、費用では細かく分類するために固定費と変動費で分けて表を作成しましょう。

     

    固定費は売上の増減で変動しない費用に対し、変動費は生産量や販売量に応じて増減する費用です。どれくらいの予算が作成されていたのかを理解するためにも、人件費や広告宣伝費、支払手数料など項目ごとに細かく分類したうえで、過去の実績分析をしましょう。

    売上予算の策定

    売上予算の策定では、過去の実績分析を参考にしてそれぞれの年の内部要因や外部要因を検討したうえでどのように予算を立てていけばよいのかを決めましょう。

     

    例えば、去年の自社の売上がA商品だけ低下している場合は、A商品の商品力が弱かったと把握できます。

     

    今年の売上予算ではA商品のPR力を向上させるために、広告宣伝費で多くのお金を投入した方がよいでしょう。

     

    また、去年の営業利益が悪い理由が競合他社であれば、ほかの会社に負けないほど魅力的な商品を開発するために多くの費用を投入する必要があります。

     

    このように過去の実績分析をしたうえで売上予算を作成すると、効果的な予算計画が作成できます。過去の実績分析をして課題を洗い出すことで、適切な売上予算の作成をしましょう。

    仕入・生産計画の策定

    仕入・生産計画の策定では、過去にどれほどの在庫を保有していたのかを予測したうえで予算計画を作成しましょう。在庫の予想額を作成する際は、以下の計算式を用いてください。

     

    在庫日数=在庫高(仕入高)÷1日の売上平均高

     

    例えば、過去の実績で年間売上高が500万円で平均在庫高が50万円の場合の在庫日数を計算すると以下のようになります。

     

    50万円÷(500万円÷365日)=36.5日

     

    つまり、去年の実績では在庫高が36.5日分あることになります。また、仕入・生産計画を作成する際はどれくらい仕入れるべきなのかを考えたうえで、売上計画を予測しましょう。

     

    商品を生産するためには、原材料を仕入れるお金と人件費が必要です。

     

    そのため、目標の売上を達成するためにはどれくらいの数を生産する必要があって、変動費はどれほどにしておくのかを決めておくべきです。

     

    最初から細かく仕入・生産計画を作成していたら、多大な時間がかかってしまいます。最初は大枠で仕入・生産計画を作成して詳細の計画を決定しましょう。

    固定費・変動費の予算化

    固定費・変動費の予算化では、最初に固定費の計画を作成しましょう。固定費の予算化をする際は、販売費と一般管理費で分けて考えた方が適切な予算計画が設定しやすくなります。

     

    販売費を作成するのであれば、広告宣伝費では1件当たりの獲得単価を決めたり、売上高の〇%を販売手数料と設定したりすると予算計画が設定できるでしょう。

     

    また、人件費や減価償却費などを含んだ一般管理費の場合は、新たな人材採用や昇給をしない場合は、去年の数値をそのまま活用すれば問題ありません。

     

    変動費の予算化では材料を発注してから工場に納品されるまでの時間、製造に着手してから生産完了までにかかる時間などを加味し、原材料費や送料、販売手数料を決めるべきです。

    営業外収益の予算化

    営業外収益の予算化では事業に関する大きな預金があって受取利息や配当金があった場合は、予算計上をするべきです。しかし、受取利息や配当金を得ていなければ特に予算計上をする必要はありません。

     

    受取利息を予算計上する際は、金融機関で定められた金利ごとに計算方法は異なります。例えば、利率は2%で預入期間が1年で単利で利息を計算できる定期銀行口座に500万円を預けた場合は、500万円×2%で1年後の受取利息は10万円になります。

     

    単利とは、受取利息を元本に組み入れず最初の元本部分にのみ利息が付く状態のことです。営業外収益の予算化では、受取利息や配当金を計算すれば算出できるため、比較的容易に予算の数字が求められます。

    営業外費用の予算化

    営業外費用の予算化では、借入金の支払利息を明確に予算化しておく必要があります。支払利息は、以下の計算式で求められます。

     

    支払利息=借入金額×年利率×(借入日数÷365)

     

    例えば、300万円を借りて年利率が2%で借入日数が60日だった場合は、以下のように支払利息が算出できるでしょう。

     

    300万円×2%×(60÷365)=9,863円

     

    つまり、上記の例では営業外費用を9,863円と予算化することが可能です。営業外費用の予算化を適切におこなうことで、金融機関から融資されやすくなります。

    特別収益の予算化

    特別収益の予算化では、不動産で得られる固定資産売却益や長期間保有した株式の売却益などが含まれます。特別収益は特別に入る臨時収益であるため、何もなければ特に予算へ組み込む必要はありません。

     

    例えば、特別収益で固定資産売却益を計算する際は、以下のように算出してください。

     

    固定資産売却益=売却収入-(帳簿価格+売却手数料等の経費)

     

    また、株式売却益は、以下の計算方法で算出できます。

     

    株式売却益=売却収入-(取得費+手数料)

     

    特別収益の予算化は、上記の計算式を用いれば算出できるため、比較的的確な数値を求めることが可能です。

    特別損失の予算化

    特別損失の予算化では、不動産を中心とした固定資産売却損や固定資産除却損、在庫の見直しによる在庫商品評価損などが挙げられます。

     

    特別損失は基本的に例年発生するものではなく、特別なときに発生する損失であるため、損失が無ければ予算に組み込む必要はありません。

     

    例えば、在庫商品評価損は基本的に売上原価として計上することが定められています。しかし、地震や火災によって商品が損失してしまったり、事業をリストラしたことによって販売停止したりした場合は、特別損失の予算として組み込むことが可能です。

     

    そのため、在庫商品評価損を予算として計上する際は本当に特別損失で計上しても問題ないのかを確認するべきです。

    全体の予算バランスの確認

    すべての項目の予算化が完了したら、全体の予算バランスの確認をする必要があります。

     

    例えば、全体の予算バランスを確認する際は根拠のある数値設定となっていたり、無謀すぎる数値でないかを確認したりしなければいけません。

     

    全体の予算バランスの確認が完了したら、顧問税理士などに一度確認してもらうとよいでしょう。専門家へあらかじめ確認してもらうことで、自分で発見できなかった問題点が見えてくる可能性があるからです。

     

    実際の計画の数値が乖離しすぎないようにするためにも、何度も全体の予算バランスの調整をしましょう。

    予算計画を作成と実行時のポイントとは

    予算計画の作成と実行する際は、以下の4つのポイントに気をつける必要があります。

     

    • 予算は現実的な数字となっているか
    • 予算は繁忙期や閑散期などが反映されているか
    • 予算は現場担当者も携わっているか
    • 予算の管理は月次でおこなっているか

     

    ここで解説したポイントを理解したうえで、予算計画の作成と実行をしてください。

    予算は現実的な数字となっているか

    予算計画を作成する際は、予算が現実的な数字となっているのかを確認しましょう。現実と乖離しすぎていたら、予算計画を作成する意味がなくなるからです。

     

    高すぎる予算を作成してしまうと、社員のモチベーション低下につながる恐れがあります。また、予算が低すぎたら企業の成長につながりません。

     

    社員のモチベーションを低下させず企業の成長を促進させるためにも、予算が現実的な数字となっているのかを改めて確認するべきです。

    予算は繁忙期や閑散期などが反映されているか

    予算を作成する際は、繁忙期や閑散期などが反映されているのかを確認した方がよいです。繁忙期や閑散期によって売上もかかるコストも大幅に異なる傾向があります。

     

    繁忙期や閑散期を反映させず予算を作成してしまった場合は、現実との乖離がある予算計画になってしまいかねません。

     

    例えば、ケーキ屋を経営しているのであれば、クリスマスがある12月とほかの月とでは売り上げが大きく変動する傾向にあります。

     

    適切な予算計画を作成するためにも、繁忙期や閑散期などが反映されている予算になっているのかを確認するべきです。

    予算は現場担当者も携わっているか

    予算計画を作成する際は、現場担当者も携わるべきです。現場の現状を知らない経営者が予算を作成してしまうと、社員に対して無茶な予算を作成してしまう恐れがあります。

     

    現場担当者がすべての社員の意見を加味して予算の作成に携われば、それぞれの従業員が当事者意識を持って目標を達成しやすくなるでしょう。

     

    予算を作成する際は現場担当者に携わってもらい、現場の状況に適した予算計画を用意してください。

    予算の管理は月次でおこなっているか

    予算計画を作成する際は、予算の管理を月次で実施することを心がけましょう。月次管理をすれば、現実と予算が乖離した原因を特定しやすくなるからです。

     

    現実と予算の数値が乖離していると、原因の特定の遅れにつながる可能性があります。現実と予算の数値が乖離しているときに適切な改善策を実施する場合は、迅速な対応が求められます。

     

    現実と予算の数値の乖離に適切な対処を実施するために、予算の管理は月次でおこなうことが大切です。

    適切な予算計画をもとに最適な事業計画を立てよう

    今回は、予算計画の作成方法や作る際の流れ、実行時のポイントを解説しました。予算計画を作成する方法にはトップダウン型とボトムアップ型が存在しているため、自社に適した方法を活用して事業を進めましょう。

     

    また、予算計画を作成と実行する際は現実的な数字となっているのか、現場担当者も携わっているのかを確認したうえで最適な事業計画を立ててください。

     

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