事業計画と収支計画はなにがちがう?収支計画をたてる目的と具体的な立て方を徹底解説

    記事公開日: 2023.09.01

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    収支計画とは、事業による収入と支出の差額がどれほど発生するのかを表した書類です。

     

    会社が資金繰りに困らないようにするためには、収支計画を作成して事業による収入と支出の差額を理解しつつ、事業を進めなければいけません。

     

    そこで今回は、収支計画を立てる目的や作成方法、注意するポイントについて解説します。

     

    本記事を読めば、収支計画の作成方法や注意するポイントを把握できるため、自社の資金繰り状況を適切に管理できるでしょう。

     

    事業計画とは

    事業計画とは、ビジネスの運営方法に関する具体的な行動を可視化する計画書です。

     

    事業計画書には、創業者の経歴や企業のビジョン、サービスの強みなど第三者がビジネスについて理解するために必要な情報を盛り込むとよいでしょう。

     

    事業計画書を作成すれば、経営者が想像している事業内容が可視化できるため、客観的に実現可能なビジネスであるかの判断ができます。

     

    また、金融機関から資金調達をする場合には、自社の経営状況やビジネスモデルが第三者から見ても細かく理解できるため、事業計画書は重宝されます。

     

    金融機関が迅速な融資判断ができるためにも、事業計画書を作成するとよいでしょう。

     

    事業計画書の作成は、法律で定められているわけではありません。

     

    しかし、事業計画書を用意すると、社員や金融機関に事業内容を具体的に伝えられたり、実現可能なビジネスであるかを客観的に判断できたりします。

     

    効率的に事業を進めていくためには、事業計画書の作成が必要です。

    収支計画とは

    収支計画とは、会社や事業に関する収入と支出を詳細に予測する計画表です。収支計画を作成すれば、資金の流れが把握しやすくなるため、適切な資金繰りが実施できます。

     

    また、収支計画には自社の経済状況が細かく記載されているので、金融機関や投資家など外部へ提出する資料としても活用が可能です。

     

    収支計画は金融機関で融資を受ける際に求められることが多いです。そのため、金融機関から融資を受けたい場合には、収支計画を作成するとよいでしょう。

    収支計画を立てる目的とは

    収支計画を用意する目的として、以下の2つが挙げられます。

     

    • 資金の流れを把握するため
    • 金融機関など外部へ提出するため

     

    収支計画の作成は法律で義務付けられていません。そのため、収支計画を作成する判断は会社に委ねられています。

     

    ここで解説した目的を理解し、収支計画を作成する判断をしましょう。

    資金の流れを把握するため

    収支計画を作成する目的として、資金の流れを把握することが挙げられます。収支計画には、事業に関する収入と支出が記載されているからです。

     

    例えば、資金の集金日と支払いのタイミングによって手持ちの資金が不足してしまい、黒字倒産してしまうかもしれません。

     

    黒字倒産とは、損益計算書では黒字であるものの、運転資金が不足してしまい倒産する状況です。

     

    収支計画を活用して、資金の流れを細かく把握しなければ、黒字倒産してしまう可能性があります。

     

    黒字倒産を防いで健全な資金管理をするためにも、資金の流れを細かく把握して収支計画を作成する必要があります。

    金融機関など外部へ提出するため

    収支計画は、投資家や金融機関など外部へ提出するために必要です。収支計画は自社の経営状況が細かく記載されているため、融資する判断材料になるからです。

     

    投資家や金融機関が投融資をする際には、順調に経営をしていけるのかや借入金を返済できるのかを判断するために会社の経営状況を把握する必要があります。

     

    収支計画を作成すれば、自社の経営状況を第三者へ提示できるため、投資家や金融機関が投融資を判断するスピードが向上しやすくなります。

     

    自社の経営状況を投資家や金融機関へ知らせるためにも、収支計画を作成するとよいでしょう。

    収支計画はどのように作成する?

    収支計画を作成する方法として、以下の8つの項目に分類して解説します。

     

    • 人件費の算出
    • 水道光熱費の算出
    • その他固定費の算出
    • 借入金返済額の算出
    • 原価率の算出
    • 損益分岐点売上高の算出
    • 目標売上高の実現が可能か 試算
    • 目標売上の実現に向けた具体的な対策の模索

     

    ここで解説した方法を参考にしたうえで、収支計画を作成してください。

    人件費の算出

    人件費では、経営者の役員報酬や従業員の給料などを設定しましょう。役員報酬を算出する際は、役員の生活にかかる最低金額を設定し、事業の状況に応じて増額してください。

     

    役員報酬を必要以上に高く設定してしまうと、自社の経営状況が悪化した際に資金繰りができなくなるかもしれません。

     

    自社の資金繰りをしやすくするためにも、役員報酬を設定する際は役員の生活にかかる最低金額を設定するべきです。

     

    また、従業員の給料については、正社員やアルバイト、パートなどさまざまな雇用形態に応じて算出しましょう。

    水道光熱費の算出

    店舗や事務所を借りて会社を経営するのであれば、必ず水道光熱費は必要となります。自社の経費を細かく把握するためにも、水道光熱費の算出は欠かさずおこないましょう。

     

    経営者の自宅を事業所として営んでいる場合では、事業に使用している部屋の面積に応じて水道光熱費を計上することが可能です。

    その他固定費の算出

    収支計画には、人件費や水道光熱費以外にもさまざまな固定費の算出をしなければいけません。具体的には、以下の固定費を算出するとよいでしょう。

     

    固定費の種類

    説明

    荷造運賃

    商品の発送にかかる送料

    旅費交通費

    出張を中心とした移動にかかる費用

    ライセンス料

    フランチャイズに加盟している場合は、加盟店へ支払う費用

    支払保険料

    会社や事業主として加入している生命保険や損害保険にかかる費用

    接待交際費

    取引先との接待費用

    支払手数料

    弁護士や税理士へ支払う顧問料金

     

    上記の表のように、さまざまな料金が固定費として算出できます。自社の収支計画の内容を正確にするためにも、固定費の記載漏れがないように気をつけましょう。

    借入金返済額の算出

    金融機関から融資を受ける場合は、借入金返済額の算出をしなければいけません。借入金返済額を算出するのであれば、自己資金の2倍の金額で計算するとよいでしょう。

     

    借入金返済額を決定すれば、毎月の元金と利息の返済額が算出しやすくなるからです。借入金返済額が自己資金より多かった場合は、返済できない可能性があります。

     

    確実に借入金を返済するためにも、借入金返済額を自己資金の2倍で計算しましょう。

    原価率の算出

    収支計画を作成する際は、自社の事業における業界内での平均的な原価率を算出しましょう。原価率を算出する際は、以下の計算式を用いてください。

     

    原価率=売上原価(製造原価・仕入原価)÷売上高×100

     

    2022年に経済産業省が調査した結果によると、製造業の原価率は、以下のように算出できます。

     

    180億4110万÷213億8940万×100=約84.3%

     

    また、小売業の原価率は、以下の通りに算出することが可能です。

     

    184億9230万÷254億9620万×100=約72.5%

     

    参考:経済産業省「経済産業省企業基本活動調査 2022年企業活動基本調査確報 ー2021年実績ー」

     

    上記のように業界での原価率の算出をすれば、自社が平均的なのかが理解できます。原価率を算出して平均より上であれば、取引先の変更をして比率を低下できるように努めましょう。

    損益分岐点売上高の算出

    収支計画を作成する際は、損益分岐点売上高の算出も欠かせません。損益分岐点売上高とは、変動費や固定費などの発生費用をカバーして、損益がゼロになる売上高のことです。

     

    つまり、損益分岐点売上高を上回れば黒字、下回れば赤字と会社経営をするうえで必要な判断ができます。損益分岐点売上高を算出する際は、以下の計算式で求めてください。

     

    損益分岐点売上高=固定費÷((売上高-変動費)÷売上高)

     

    会社の運転資金は、利益からねん出されます。効率的に利益を獲得できる事業を展開しているのかを判断するためにも、損益分岐点売上高の算出をする必要があります。

    目標売上高の実現が可能か 試算

    収支計画を作成する際は、目標売上高の実現が可能なのかを試算しなければいけません。

     

    例えば、飲食店を経営している場合は、客単価×座席数×回転数から目標売上高を実現できるのかを推測する必要があります。

     

    目標売上高の試算をする際は、以下のように計算しましょう。

     

    ※店舗の前提

    時間帯:ランチ9時~14時/ディナー:17時~24時

     

    客単価:ランチ1,500円/ディナー2,000円

     

    座席数:50席(全てテーブル席)

     

    回転数:ランチ0.8回転/ディナー1.2回転

     

    ランチの1日の売上高:1,500円×50席×0.8回転=60,000円

     

    ディナーの1日の売上高:2,000円×50席×1.2回転=120,000円

     

    店舗の1日の売上高:180,000円

     

    1ヶ月の稼働日数が30日だった場合:5,400,000円

     

    上記のように計算すれば、目標売上高の実現が可能であるかが推測できます。実際に目標売上高の試算をしたうえで、実現可能な目標設定をしてください。

    目標売上の実現に向けた具体的対策の模索

    収支計画を作成する際に、目標売上高の実現が可能であるかを試算したのであれば、目標達成に向けた具体的な対策の模索も実施する必要があります。

     

    目標売上高の実現が可能であるかを試算した結果、目標に達しないようであれば具体的な対策を講じなければ、目標達成ができないからです。

     

    例えば、商品やサービスに付加価値をつけて価格を向上させたり、クーポン券を定期的に配布して顧客が店舗へ訪れたくなるような施策を具体的に考えましょう。

     

    目標売上に向けた具体的な対策を模索することで、目標売上高の実現がしやすくなります。自社の業績がより向上しやすくするためにも、目標売上の実現に向けた具体的な対策を実施しましょう。

    収支計画を立てる際のポイント5選

    収支計画を立てる際のポイントとして、以下の5つが挙げられます。

     

    1. 原価率が適正かどうかを確認する
    2. 削減できる経費がないかを考える
    3. 繁忙期売上や季節性売上の影響を考慮する
    4. 客観的な根拠に基づいた内容にする
    5. 3年先までの予測を立てる

     

    収支計画を作成する際は、さまざまなポイントに気をつけなければいけません。ここで解説した内容を参考にしたうえで、収支計画を作成しましょう。

    ①原価率が適正かどうかを確認する

    収支計画を立てる際は、原価率が適正かどうかを確認しましょう。原価率が高いと利益が出にくく、低い場合は出やすいといわれているからです。

     

    業界の平均値を算出して自社の原価率が適正でなかった場合は、原価率を下げるように努力しなければいけません。

     

    例えば、仕入先の多角化やまとめ買いによる値引き交渉など仕入管理の充実度を向上させたり、原価率の低い商品を優先的に販売促進したりするとよいでしょう。

     

    原価率を下げるように対策したうえで、収支計画を作成してください。

    ②削減できる経費がないかを考える

    収支計画を作成する際は、削減できる経費がないかを考えなければいけません。経費を削減すれば、その分利益を創出しやすくなるからです。

     

    例えば、多くの人材を雇用している場合は人件費の削減や料金が安い物件に引越して家賃削減をするなど削減できる経費がないかを確認するとよいでしょう。

     

    とはいえ、固定費の場合は過度に削減しないように気をつけなければいけません。

     

    人手不足なのにも関わらず、人件費を削減してしまったら社員のモチベーション低下にもつながります。

     

    削減しても業務に支障をきたさないかを考えたうえで、不必要な経費がないかを考えてください。

    ③繁忙期売上や季節性売上の影響を考慮する

    収支計画を作成する際は、繁忙期売上や季節性売上の影響を考慮しなければいけません。

     

    例えば、ケーキ屋を経営している場合は、クリスマスがある12月とほかの月とでは売上が大幅に違うことが推測できます。

     

    売上が大幅に違うのにも関わらず、すべての月で同じような収支計画を設定してしまったら売上に大きな差異が生じてしまうかもしれません。

     

    適切な収支計画を作成するためにも、繁忙期売上や季節性売上を考慮する必要があります。

    ④客観的な根拠に基づいた内容にする

    収支計画を作成する際は、客観的な根拠に基づいた内容にしてください。客観的な根拠に基づいていないと、収支計画の実現がしにくくなる可能性があるからです。

     

    例えば、市場の相場価格よりも自社の販売価格を高く設定していた場合は、第三者が納得できる内容がないと、融資を受けられない可能性があります。

     

    顧客の多くは、リーズナブルな価格のものに惹かれます。

     

    それにも関わらず、自社の販売価格を高く設定している理由がないと、顧客も納得して商品を購入してくれないかもしれません。

     

    顧客や金融機関を納得させるためにも、客観的な根拠に基づいた内容にする必要があります。

    ⑤3年先までの予測を立てる

    収支計画を作成する際は、3年先までの予測を立てるとよいでしょう。

     

    会社経営は内外的な要因によって常に変化が伴うため、将来が予測しやすい3年先まで経営計画を設定しておくと事業に失敗したときの対策ができます。

     

    会社経営は何が発生できるのかが予測できないため、あらかじめ3年先の予想を立てたうえで収支計画を作成しましょう。

    収支計画を立てる際の注意ポイント3選

    収支計画を作成する際の注意ポイントは、以下の3つです。

     

    1. 収益と借入金返済額がアンバランスになっていないか
    2. 資金ショート時の対策が記載されているか
    3. 根拠に乏しい売上ベースの内容になっていないか

     

    ここで解説したポイントに考慮したうえで、収支計画を立てましょう。

    ①収益と借入金返済額がアンバランスになっていないか

    収支計画を作成する際は、収益と借入金返済額がアンバランスになっていないかを注意しましょう。

     

    経費の金額を無理やり圧縮していたり、希望融資額に合わせるために自社の収益を吊り上げていたりすると、収支計画の信頼性が失われてしまうからです。

     

    金融機関は、数多くの収支計画を見てきたプロです。

     

    融資をしてもらいたいがために収益と借入金額をアンバランスにしてしまうと、融資をしてくれなくなる可能性があります。

     

    また、金融機関に融資を受ける際は、収支計画の内容について質問される可能性があるので、どんなことを聞かれても回答できるように対策をしておく必要があります。

     

    借入金返済額は収益の範囲内に設定し、決してアンバランスな設定にならないようにしましょう。

    ②資金ショート時の対策が記載されているか

    資金ショート時の対策が記載されていないと、投資家や金融機関に良くないイメージを与えるので気をつけましょう。

     

    資金ショートとは、手元の運転資金が不足することです。収支計画に資金ショート時の対策が記載されていなければ、黒字倒産をしてしまうかもしれません。

     

    また、投資家や金融機関に対しては収支計画に資金ショート時の対策が記載されていないと、運転資金が不足した時にどのような対応を取るのだろうと不安視されてしまいます。

     

    安全な会社経営をするためにも、収支計画には資金ショート時の対策を記載するように心がけてください。

    ③根拠に乏しい売上ベースの内容になっていないか

    収支計画を作成する際は、根拠に乏しい売上ベースの内容にならないようにしてください。会社経営をしていると、どの月でも継続的に売上を獲得できることはほとんど考えられないからです。

     

    会社経営をし始めの頃は、消費者からの認知度が皆無であるため、順調に売上を獲得することは難しいです。

     

    特に飲食業では、2月や8月は消費者が利用しない傾向があるため、顧客の動向を踏まえた収支計画にしなければいけません。

     

    顧客の動向を反映させた収支計画を作成し、投資家や金融機関からの信頼を獲得しましょう。

    適切な収支計画が無ければ事業計画は実現しない

    今回は、収支計画を立てる目的や作成方法、注意するポイントについて解説しました。収支計画は、資金の流れの把握や金融機関へ提出することを目的に作成される書類です。

     

    収支計画は、固定費や原価率、目標売上高などを算出し、適切に作成しましょう。また、収支計画では収益と借入金返済額がアンバランスになっていないかを確認したり、根拠に乏しい売上ベースの内容になっていないかをチェックしたりする必要があります。

     

    本記事を参考にして収支計画を作成し、第三者が見て理解できる内容にしましょう。

     

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