事業計画にPLは必要?事業計画におけるPLの役割と作成方法を解説

    記事公開日: 2023.09.04

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    事業計画書とは、ビジネスの目標や具体的な戦略を計画して文書化した書類です。

     

    事業計画書を作成すれば、自社が実施するビジネスの内容を明確にできたり、投資家や金融機関などから資金支援が求めやすくなったりします。そこで今回は、事業計画におけるPLの役目や計画の立て方、作成する際の流れを解説します。

     

    本記事を読めば、事業計画でPL計画を実施する必要性や立て方が明確に理解できるため、事業計画をより具体化し取り組めるでしょう。

     

    事業計画書とは

    事業計画書とは、今後どのように事業を展開していくのかを表す具体的な行動が記載してある書類です。

     

    事業計画書には、主に経営者のプロフィールやサービスの強みなどを根拠と一緒に盛り込む必要があります。

     

    事業計画書を作成すれば、新しい事業を立ち上げる場合や既存事業を拡大・改善する場合に、計画や戦略を整理し、達成すべき目標や取り組むべき課題を明確にできます。

     

    また、金融機関や投資家などの外部に資金支援を求める際に活用することが可能です。

     

    事業計画書は、起業したら必ず作成しなければならないと法律で定められているわけではありません。

     

    しかし、自社の社員へ新事業の説明をする場合や金融機関に融資を求める場合に活用する傾向があります。円滑に事業を運営するためにも、事業計画書を作成しましょう。

    事業計画書をつくる目的とは

    事業計画書を作成する目的として、以下の2つを解説します。

     

    • 事業内容を明確化するため
    • 外部に資金支援などを求めるため

     

    事業計画書を適切に作成するためには、つくる目的を理解しなければいけません。ここで解説した目的を理解したうえで、事業計画書を作成してください。

    事業内容を明確化するため

    事業計画書は、ビジネスの内容を明確化するために必要です。事業内容を明確化することで、以下の3つのポイントが明らかになります。

     

    • 何を目的としてどのような商品やサービスを提供しようと考えているのか?
    • 自社の売り上げ目標や事業のスケジュールなどを明確化できるのか?
    • 自社の市場や競合他社はどのようになっているのか?

     

    頭の中で思い描いただけでは、再現性を明確にできず実際に成功できる事業であるのかが判断しづらいです。

     

    実際に事業計画書に書き出して可視化し、自分の思考を整理するとともに客観的に実現可能なビジネスであるかを確認しましょう。

     

    また、事業内容を明確化すれば、共同経営者や社員との業務の方向性の共有が気軽に実施できます。

     

    経営者の頭の中だけに事業計画が構想されている場合、ビジネスの規模が拡大した際に従業員や関係者と共有しにくくなるかもしれません。

     

    事業内容を明確化して共同経営者や自社の社員と方向性を共有しやすくするためにも、経営計画書を作成する必要があります。

    外部に資金支援などを求めるため

    事業計画書を作成する目的として、投資家や金融機関などの外部に資金支援などを求めることが挙げられます。

     

    投資家や金融機関へ資金支援を求める場合は「どのような事業を何のために進めていくのか」「事業を実施することで何が実現できるのか」をアピールしなければいけません。

     

    しかし、口頭で説明するだけでは説得力に欠けてしまい資金を外部から十分に集められない可能性があるため、業務効率の悪化につながる恐れがあります。

     

    事業計画書を作成すれば短時間で正確に自社のビジネスプランについて伝えられるため、効率的な資金調達が可能です。

     

    また、事業計画書を作成すれば、自社の経営状況が細かく記載しているので、返済能力がある会社なのかが判断しやすくなります。

     

    投資家や金融機関など外部に資金支援を求めるためにも、事業計画書を作成するとよいでしょう。

    PLとは

    PLとは企業の経営活動をするうえでいくら売り上げて費用がかかり、どれくらい利益が出たのかを記録する書類で、損益計算書ともいわれています。

     

    PLは貸借対照表とキャッシュフロー計算書に並ぶ財務諸表の1つに位置付けられており、自社の収益性や成長性を表すことが可能です。具体的にPLは、以下の3つの項目に分類できます。

     

    • 売上計画
    • 利益計画
    • 資金調達計画

     

    例えば、売上計画では商品やサービスの単位まで細分化しましょう。売上計画を損益計算書に記載することで、黒字となる最低ラインを達成できる可能性があるのかを判断できます。

     

    利益計画を作成する際は根拠のある数字で説明したうえで、通常より売上原価や販売費および一般管理費を多く見積もっても利益が出るのかを確認しましょう。

     

    また、PLを作成する際は資金調達計画も記載しなければいけません。いくら利益が出ていたとしても資金が不足してしまったら、事業を展開できなくなるからです。

     

    PLでは売上計画や利益計画、資金調達計画を内容に踏まえて作成しましょう。

    事業計画におけるPLの役目とは

    事業計画におけるPLの役目としては、以下の2つに分類されています。

     

    • 本業と本業以外どちらで利益が出ているのかを理解するため
    • 黒字と赤字の境界線を示す損益分岐点が見極めやすくなるため

     

    例えば、飲食業を営んでいる会社が副業として不動産投資をしている場合を想定しましょう。飲食業は本業となりますが、不動産投資は本業以外と分類することが可能です。

     

    本業と本業以外の利益のバランスを理解することは、事業計画におけるPLの役目の1つです。

     

    また、PLの変動費と固定費を分類すれば、損益分岐点を見極められます。

     

    損益分岐点を見極められると、赤字の会社は黒字に戻すための指標となり、黒字は赤字にならないための指標として活用が可能です。

     

    適切な事業計画を作成するためにも、PLの存在は欠かせません。ここで解説したPLの役目を理解したうえで、損益計算書を作成しましょう。

    PL計画の立て方とは

    PL計画の作成方法として、以下の3つの項目に分類して解説します。

     

    • 収益の予測
    • コストの予測
    • 粗利の予測

     

    PL計画を作成する際は、さまざまな項目を記載する必要があります。ここで解説した方法を理解したうえでPL計画を作成しましょう。

    収益の予測

    PL計画を立てる際は、半年~1年後の収益の予測をするとよいでしょう。収益の予測をすることで、事業が成功する確率があるのかを判断できるからです。

     

    収益の予測を実施する際は、現在の売上から季節による売上の変動を予測するとよいでしょう。

     

    例えば、ケーキ屋を開業していて先月(6月)の売上が月間200万円だった場合は、半年後である12月売上が約500万円と推測できます。

     

    12月にはクリスマスや年末などでケーキを購入する顧客が増加する傾向にあるからです。

     

    また、新型コロナウイルスの感染拡大が継続的に進んでいた去年の6月の売上は150万円で12月は400万円となっています。

     

    コロナによる巣ごもり需要が低下した今年の6月には50万円増加の月間200万円の売上となっているため、今年の12月の売上は100万円増加の約500万円と推測可能です。

     

    ケーキ屋は、時期によって大きく売り上げが変動する傾向があるため、上記の例で取り上げました。時期によって売り上げが大きく変動する商売をしている事業者の方は、上記の例を参考にして収益の予測をしてください。

    コストの予測

    適切なPL計画を作成するためには、コストの予測をする必要があります。

     

    コストを予測すれば、事業を実施したことで最終的にどれくらいの利益が得られるのかが推測できるからです。

     

    例えば、通信販売を実施しているのであれば商品を販売するほど多額な送料を支払わなければいけません。

     

    また、具体的にPL計画のコストには以下の10種類の費用項目が含まれています。

     

    • 人件費
    • 広告宣伝費
    • 会議費
    • 交際費
    • 通信費
    • 水道光熱費
    • 家賃
    • 事務用品費
    • 減価償却費
    • 消耗品費

     

    PL計画のコストの予測をする際は、根拠に基づいて記載しなければいけません。PL計画を作成する際は、根拠を記載したうえでコストの予測をおこないましょう。

    粗利の予測

    粗利の予測をする際は、平均の月当たりの売上からコストを差し引くことで算出できます。粗利の予測をすることで、会社の基本利益や商品の付加価値が理解しやすくなります。

     

    粗利の予測をして、予想より大きな利益を得られなかった場合は、以下の3つの方法を実施すると粗利を増加させられるでしょう。

     

    • 販売数を増やす
    • 原価を下げる
    • 販売価格を上げる

     

    商品やサービスの販売数を増やせば、得られる利益も増加します。しかし、販売数を増やすと人件費や水道光熱費の増加が推測できるため、費用のバランスを考える必要があります。

     

    また、原価を下げ販売価格を上げれば、その分自社が得られる利益が増加するでしょう。上記の3つの手法を試して自社が納得できる粗利を算出したうえで、PL計画に記載してください。

    PLと資金繰り表とで異なる4つのポイントとは

    PLの資金繰り表と異なるポイントとして、以下の4つが挙げられます。

     

    1. 掛取引の違い
    2. 棚卸の違い
    3. 設備投資の違い
    4. 借入金の違い

     

    PLと資金繰り表では、さまざまな違いがあります。ここで解説したポイントを理解したうえで、PL計画を作成しましょう。

    ①掛取引の違い

    PL計画と資金繰り表では、掛取引の違いがあります。PL計画は、売掛金や買掛金の発生に伴って費用や収益を計上しなければいけません。

     

    しかし、資金繰り表は実際の現金の収支に伴って作成されます。

     

    事業計画におけるPL計画書には実際の現金の収支に関係なく掛取引が記載されていることを把握しておきましょう。

     

    例えば、5月に50万円の商品を販売した際に代金を6月に支払う約束をしたと仮定します。

     

    PL計画では5月時点で50万円の利益が計上されますが、資金繰り表では6月に計上することになるのです。掛取引の違いを理解したうえで、事業計画書を作成しましょう。

    ②棚卸の違い

    PL計画と資金繰り表では、棚卸も異なっています。棚卸とは、期末に在庫の数を確認する作業です。基本的に商品を仕入れて販売する際は、以下の手順です。

     

    1. 仕入
    2. 在庫
    3. 仕入支払
    4. 売上
    5. 売掛金回収

     

    つまり、商品を仕入れたとしてもすぐに販売できず、一時的に在庫に入れる必要があります。

     

    PL計画では在庫が増えても現金が減少することはありませんが、資金繰り表では仕入や在庫によって現金が減少してしまいます。

    ③設備投資の違い

    設備投資をする際は、PL計画と資金繰り表は変わらず現金が減少します。しかし、PL計画を作成する場合は支払った現金をすぐに費用計上することはできません。

     

    PL計画では、一定額以上の設備を購入した場合に減価償却を活用して複数の会計期間で費用を振り分けられると定められているからです。

     

    例えば、100万円の設備投資をして10年間の定額償却だった場合、PL計画では毎年10万円以上の費用計上をしなければいけません。

     

    資金繰り表の場合は、購入年に100万円の現金が減少します。PL計画と資金繰り表の違いを理解し、設備投資をする際に混同しないように気をつけましょう。

    ④借入金の違い

    PL計画と資金繰り表では、借入金にも違いが生じます。金融機関で融資を受ける際は、PL計画に利息は費用として計上しなければいけません。

     

    しかし、PL計画に借り入れた金額を記載する必要はないです。その代わり、資金繰り表に借り入れた金額の動きを記載しなければいけません。

     

    PL計画と資金繰り表を活用し、効率的に事業計画を作成してください。

    PLを構成する4つの利益とは

    PLを構成する利益には、以下の4種類があります。

     

    1. 売上総利益
    2. 営業利益
    3. 経常利益
    4. 当期純利益

     

    適切なPLを作成するためには、どのような利益で構成されているのかを理解する必要があります。ここで解説した内容を理解したうえで、PLを作成しましょう。

    ①売上総利益

    売上総利益とは、企業が1年間でどれほどの利益が得られたのかを表すものです。売上総利益は、以下のように計算できます。

     

    売上総利益=売上高-売上原価

     

    売上原価は、商品を仕入れるときや製造するときにかかる費用です。売上総利益は粗利とも呼ばれており、売上総利益が高い場合は、本業で順調に利益を得られていると判断できます。

     

    売上総利益を売上高で割った売上総利益率を算出すれば、競合他社と競争力を比較することが可能です。売上総利益率の業種ごとの平均は、以下の表のとおりです。

     

    業種

    売上高総利益率

    建設業

    23.5%

    製造業

    21.1%

    情報通信業

    46.8%

    運輸業、郵便業

    24.7%

    卸売業

    16.1%

    小売業

    30.4%

    不動産業、物品賃貸業

    44.0%

    学術研究、専門・技術サービス業

    60.2%

    宿泊業・飲食サービス業

    62.7%

    生活関連サービス業・娯楽業

    40.2%

    サービス業(ほかに分類されないもの)

    42.8%

    出典:中小企業実態基本調査「令和3年確報(令和2年度決算実績)」

     

    上記の表を参考にしたうえで、自社の売上総利益が競合他社より高いのかを判断しましょう。

    ②営業利益

    営業利益とは、企業が本業によって得られる利益です。営業利益の計算式は、以下の通りです。

     

    営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費

     

    販売費および一般管理費の例として、以下の項目が挙げられます。

     

    • 家賃
    • 通信費
    • 交通費
    • 保険料
    • 水道光熱費

     

    自社の適切な利益を算出するためには、製造原価以外にも販売費および一般管理費を計算してどれほどの利益を得られているのかを明らかにする必要があります。自社の本業で得られた利益を明らかにしたい場合は、営業利益を算出しましょう。

    ③経常利益

    経常利益は、会社の中心事業で得られた利益です。経常利益の計算式は、以下の通りです。

     

    経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

     

    営業外収益とは、受取利息や受取配当金など本業以外の行動によって発生した収益をいいます。営業外費用とは、本業以外の営業活動によって発生している費用です。

     

    経常利益を算出することで、本業と本業以外の利益のバランスが把握できるため、健全な経営ができている会社かどうかが理解できるでしょう。

     

    また、経常利益を確認する際は、本業以外の収益が含まれることや1会計期の成績でしかないことを把握しておいてください。

     

    会社の中心事業の利益を把握したい方は、経常利益を算出しましょう。

    ④当期純利益

    当期純利益とは、1会計期に会社が活動したすべての収益から全部の費用を差し引いた利益です。つまり、当期純利益が会社の最終的な利益となります。当期純利益の計算式は、以下の通りです。

     

    当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失-税金

     

    当期純利益がプラスであれば黒字で、マイナスであれば赤字になります。ただ、当期純利益の中には臨時的な収入や費用が含まれている場合もあるので、内訳を確認したうえで経営状況の良し悪しを決定するとよいでしょう。

     

    また、当期純利益を活用して自己資本利益率や総資産利益率など自社の経営状況について細かく理解できるフレームワークも存在しています。

     

    自社が得られる利益を算出したい場合は、当期純利益を求めましょう。

    損益計画をたてる際の流れ

    損益計画を作成する際の流れは、以下の通りです。

     

    1. 経常利益の算出
    2. 売上高の算出
    3. 変動費と固定費の算出

     

    適切な損益計画を作成するためには、計画をたてる流れを把握しておく必要があります。ここで解説した流れを理解したうえで、損益計画をたててください。

    経常利益の算出

    損益計画を作成する際は、経常利益の算出をしなければいけません。経常利益は、毎年どれくらいの収益を得られているのかを表します。

     

    経常利益には一時的な損益が含まれていないので、事業全体に関わる数字を一目で理解できます。自社の経営利益の状況をより具体的に理解するためにも、売上高経常利益率や経常利益伸び率を活用するとよいでしょう。

     

    例えば、売上高経常利益率は、売上高に対する経常利益の割合です。売上高経常利益率の計算式は、以下の通りです。

     

    売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100

     

    また、経常利益伸び率では、会社の利益が本当に上昇しているのかを判断できます。経常利益伸び率の計算式は、以下の通りです。

     

    経常利益伸び率=経常利益(前期)÷経常利益(当期)×100

     

    売上高経常利益率や経常利益伸び率を活用し、自社の経常利益がどのような状況なのかを理解しましょう。

    売上高の算出

    経常利益の算出が完了したら、売上高を求める必要があります。売上高の算出をする際は、以下の計算式で求めることが可能です。

     

    売上高=客単価×客数・商品単価×販売個数

     

    ここで算出できた売上高は、実際に事業を実施する際に最低でも獲得しなければいけない売上高です。つまり、今回算出した売上高を確実に上回らなければ事業を継続的に実施できません。

     

    継続的に実施できる事業を展開するためにも、どのように客単価を設定して客数を獲得するのかを理解したうえで売上高の算出をしてください。

    変動費と固定費の算出

    売上高の算出が完了したら、変動費と固定費の算出をしましょう。変動費や固定費の例として、以下の項目が挙げられます。

     

    • 人件費
    • 減価償却費
    • 家賃
    • 原材料費
    • 販売手数料
    • 運送費

     

    変動費と固定費の算出では、細かい部分まで経費に含めておく必要があります。予想よりも現実の方が変動費と固定費の出費が多くなる傾向にあるため、多めに費用を算出しておくとよいでしょう。

    事業計画の達成にはPLは欠かせない

    今回は、事業計画におけるPLの役目や計画の立て方、作成する際の流れを解説しました。事業計画におけるPLの役目としては本業と本業以外どちらで利益が出ているのかを理解したり、損益分岐点を見極めやすくしたりするためです。

     

    また、PL計画を立てる際は収益、コスト、粗利の順番で作成するとより効率的に数値面の計算ができるでしょう。本記事で紹介したPLの役割と作成方法を理解したうえで、事業計画にPLを活用する判断をしてください。

     

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