ロードマップとは、プロジェクトでおおよその計画を立てる際に使用する工程表です。
ロードマップを作成すれば自社が解決するべき課題が明らかになったり、社員とスケジュールの共有ができたりします。
そこで今回は、ロードマップの必要性や作成方法、注意点、おすすめのツールをご紹介します。
本記事を読めば、ロードマップの作成方法や注意点を理解できるため、適切に事業計画書へ活用できるでしょう。
ロードマップとは
ロードマップとは、目標を達成するために取り組むべき事柄や解決するべき課題を書き出した書類です。
社内でプロジェクトの目標や課題などの認識をすり合わせるために用いられることが多く、従業員がどのような方向性で業務に取り組めばよいのかが認識できます。
また、ロードマップは頭の中で思い描いていた仕事のスケジュールが可視化されるため、効率的にビジネスを進めやすくなります。
プロジェクトロードマップとプロダクトロードマップのちがいとは
プロジェクトロードマップとプロダクトロードマップのちがいについて解説します。
ロードマップについて理解を深めるためには、それぞれの種類の意味合いを明確に把握する必要があります。ここで解説したちがいを理解したうえで、それぞれ作成してください。
①プロジェクトロードマップ
プロジェクトロードマップとは、製品を開発するために用いられる計画表です。具体的には、以下の内容を記入する傾向があります。
- どのような製品を製造するのかを決定する方向性決め
- 具体的なやるべきことの優先順位
- 開発に関与する関係者
プロジェクトロードマップでは事業を進めていくうえでスケジュールも決定するため、ビジネスに関係する社員同士の認識をすり合わせるためのツールとしても活用が可能です。
また、あくまで事業の大枠について決定するものであり、具体的な内容や細かい数値は記載する必要がありません。
プロジェクトロードマップは、営業・企画・事務などすべての職種において有効活用できる計画書です。
②プロダクトロードマップ
プロダクトロードマップは、商品やサービスの要件を定義することからリリースを開始するまでの計画を指し示した書類です。
製品開発の方針や対象範囲などプロジェクトロードマップをより具体化した書類が、プロダクトロードマップと認識すればよいでしょう。
プロダクトロードマップは、外部顧客やマーケティング関係者に公開される可能性があるため、事前知識のない第三者が見ても理解できる内容にしなければいけません。
ロードマップはなぜ必要なのか
事業計画書にロードマップが必要な理由として、以下の4つを解説します。
- 現状を把握することにより課題が明らかになる
- 目標達成に近づくことができる
- 計画からずれることを防げる
- 計画の共有を容易におこなうことができる
事業計画書を初めて作成する方にとっては、ロードマップの必要性が理解できていない方も多いでしょう。ここで解説した内容を理解したうえで、作成してください。
現状を把握することにより課題が明らかになる
事業計画書にロードマップが必要な理由として、現状を把握することにより課題が明らかになることが挙げられます。
例えば、自社が運営しているオウンドメディアのCV数を1年で現在より5倍に向上させたいという目標を掲げたとします。
上記の目標を達成するためには「1ヶ月で100記事のサイトを投稿する」「CVの文章の改善をする」など具体的な行動指針が考えられるでしょう。
自社が抱えている課題を1つずつ解消すれば、業績の向上につながります。自社の業績をより向上させるためにも、ロードマップを作成して課題を明らかにするとよいでしょう。
目標達成に近づくことができる
事業計画書にロードマップを作成すれば、目標達成に近づけます。作成する目的の1つに事業計画の目標を明確にすることがあるからです。
ロードマップを作成すれば、事業計画を達成するまでのスケジュールや期日などを明確に定められるため、目標を達成するための行動がしやすくなります。
もし、作成していなければ、具体的にどのような行動をすれば目標達成につながるのかが分からないため、事業計画を達成できなくなるかもしれません。
ロードマップは目標達成するためのスケジュールや期日を定められる特性があるので、事業計画に到達するためにも必要な書類です。
計画からずれることを防げる
ロードマップを作成すれば、計画からずれることを防げます。作成すれば、事業計画を達成するためのスケジュールや期日が可視化しやすくなるからです。
もし、作成していなければ頭で思い描いていたスケジュールに沿って事業計画を進めていく必要があるため、ともすれば期日や内容があいまいになり計画からずれる可能性があります。
しかし、ロードマップを作成すればどのような手順で事業を進めていけばよいのかが事細かく記載されているため、計画からずれることを防げます。
事業計画の内容からずれることを防ぐためにも、ロードマップは作成するべきです。
計画の共有を容易におこなうことができる
ロードマップを作成することで、社員と事業計画の共有を容易におこなうことができます。
社員と共有すれば、どのような方向性で事業を進めていけばよいのかが理解しやすくなります。
もし、作成していなければ、どのように事業を進めていけばよいのかが分からないため、社員が混乱してしまうかもしれません。
しかし、事前に共有しておけば、社員が混乱することなく効率的に事業を進められるので、事業計画の目標が達成しやすくなります。
また、クライアントと共有すれば、安心して仕事を依頼してもらうことが可能です。
社員やクライアントからの信頼を獲得し事業を効率的に進めるためにも、ロードマップを作成するとよいでしょう。
ロードマップの作成方法
ロードマップの作成方法は、以下の通りです。
- 目的を決める
- マイルストーンを決める
- 目的達成までの期間を決める
- 自社の現況を把握する
- 課題の抽出
- 課題解決の方法を模索する
- 具体的な計画の流れを把握する
- ロードマップを社員と共有する
ここで解説した作成方法を参考にしたうえで、ロードマップをつくりましょう。
①目的を決める
ロードマップを作成する際は、目的を設定しなければいけません。目的を設定する際は、具体的な数字を交えたものにするとよいでしょう。
例えば「前年同月比から売上を5倍アップする」と具体的な数字を交えた目的を検討すれば、どのような行動をすれば目標達成ができるのかが立案しやすくなります。
もし「売上を向上させる」と抽象的な目的を設定していた場合は、いつの時点で目的が達成したとみなせるのか判断が難しくなります。
ロードマップを作成する際は、事業計画を達成しやすくするためにも具体的な数字を交えた目標を設定しましょう。
②マイルストーンを決める
ロードマップの目的が設定できたら、マイルストーンを決める必要があります。マイルストーンとは、最終目標を達成するために設ける中間目標のことです。
マイルストーンを決定すれば、事業計画の進捗が把握しやすくなるため、最終目標を達成しやすくなります。
そのため、マイルストーンを決定するのであれば、複数の個所に設置しておくとよいでしょう。
例えば、1つのプロジェクトが始まったときから企画案の決定までが1箇所、要件定義までが次のマイルストーンと設定すれば、事業計画の進捗度が把握しやすくなります。
効率的にマイルストーンを活用し、事業計画がより達成しやすくなるように努めてください。
③目的達成までの期間を決める
マイルストーンが決定したら、目的達成までの期間を決めてください。目標達成までの期間を設定すれば、どのように事業に取り組めばよいのかが決定しやすくなります。
事業計画の最終目標だけでなく、それぞれのマイルストーンに対しても期間を設定すれば、迅速な目標達成効果が期待できます。
さらに効率的にロードマップを作成するのであれば、誰がいつまでにどの業務に取り組むかを定めておくとよいでしょう。
目標達成に携わる人物を事細かに記載しておけば、プロジェクトが開始してからどのように仕事に取り組めばよいのか悩む必要がなくなります。
ロードマップを作成する際は、目的達成までの期間を定めておくとよいでしょう。
④自社の現況を把握する
目的達成までの期間を決定したら、自社の現況を把握する必要があります。
自社の現況を把握すれば、目的と現在とのギャップが想像できるため、より課題の捻出がしやすくなるからです。
自社の現況を把握する際は、SWOT分析を活用するとよいでしょう。SWOT分析とは、自社の外部環境と内部環境を強み・弱み・機会・脅威として分析する手法です。
SWOT分析は、具体的に以下の4つに分類するとよいでしょう。
SWOT分析 |
説明 |
強み |
自社商品やサービスに良い影響を与える内部要因 |
弱み |
自社商品やサービスに悪い影響を与える内部要因 |
機会 |
自社商品やサービスに良い影響を与える外部要因 |
脅威 |
自社商品やサービスに悪い影響を与える外部要因 |
SWOT分析を活用して自社の状況を把握した分析結果をロードマップに記載しましょう。
⑤課題の抽出
自社の現況を把握したら、課題の抽出をする必要があります。
SWOT分析で自社を分析した結果、把握できた弱みと脅威の部分は自社が解決すべき課題として、記載するとよいでしょう。
例えば、自社商品やサービスの外部環境と内部環境には、以下のような課題が抽出できます。
- 商品やサービスの品質が低い
- 知名度が低い
- 競合商品の需要が増えている
- 近隣に競合店が出店した
- 業界の需要が縮小している
SWOT分析を活用し、自社が解決するべき課題を抽出しましょう。
⑥課題解決の方法を模索する
課題の抽出が完了したら、解決方法の模索をしなければいけません。
例えば、競合商品の需要が増えているのであれば、市場分析をして需要が少ない新商品を開発すれば、自社の業績向上につながるでしょう。
市場分析をする際は、3C分析を活用することをおすすめします。3C分析とは、市場・顧客、自社、競合に関して分析するフレームワークです。具体的には、それぞれ以下の内容について分析します。
3C分析 |
分析内容 |
市場・顧客(Customer) |
|
自社(Company) |
|
競合(Competitor) |
|
3C分析をすれば、市場や競合他社に関して分析できるため、需要の少ない新商品の開発につながります。
⑦具体的な計画の流れを把握する
課題解決の方法を模索したら、具体的な計画の流れを把握するとよいでしょう。具体的な計画の流れを把握することで、事業に取り組みやすくなるからです。
例えば、ガントチャートを活用するとよいでしょう。ガントチャートとは、プロジェクトにおいて作業工程や進捗状況を管理するために活用する計画表です。
ガントチャートを活用すれば、担当者や期日、タスクを割り振れるため、適切な人員配置がしやすくなります。
ガントチャートを活用することで具体的な計画の流れを把握し、効率的に業務へ取り組めるようにしましょう。
⑧ロードマップを社員と共有する
完成したロードマップは、必ず社員と共有してください。社員と共有することで、どのように業務へ取り組めばよいのかが理解しやすくなるからです。
社員と共有し忘れてしまったら、どのように業務へ取り組めばよいのかが分かりにくくなってしまうかもしれません。
また、ロードマップを社員と共有すれば、事業に携わる従業員の主体性や責任感を向上させる効果が期待できるため、より事業計画が達成しやすくなるでしょう。
ロードマップを作成する際に注意すべきこと
ロードマップを作成する際に注意すべきこととして、以下の4つが挙げられます。
- 計画は数ヶ月単位で考える
- マイルストーンを増やしすぎない
- タスクを細かくしすぎない
- 将来の計画から考え始める
ロードマップを作成する際には、さまざまなことに気をつけなければいけません。ここで解説した注意点について理解を深めましょう。
計画は数ヶ月単位で考える
ロードマップを作成する際に注意すべきこととして、計画を数ヶ月単位で考えるとよいでしょう。
例えば、計画を1日単位で考えると、タスクが細かくなってしまい、見にくくなる恐れがあります。
ロードマップは社員や外部関係者に提示するための重要な書類なので、見やすく作成しなければいけません。
第三者がロードマップを見やすいと感じるためにも、計画を数ヶ月単位で考えてください。
マイルストーンを増やしすぎない
ロードマップを作成する際は、マイルストーンを増やしすぎないように気をつける必要があります。
マイルストーンを増やしすぎると、本当に達成するべき目標が曖昧になってしまい、重要な項目を見落としてしまう可能性があるからです。
マイルストーンを増やしすぎないためにも、売上金額や採用人数、生産数など状態を数値化できる目標を設定するとよいでしょう。
また、マイルストーンを設定する時期は重要な出来事や節目のみにしてください。
また、マイルストーンの設定数が少なすぎると事業計画の進捗状況が把握しにくくなるため、適度な設定が大切です。
タスクを細かくしすぎない
ロードマップを作成するのであれば、タスクを細かくしすぎないように気をつけましょう。あくまで全体的な道のりや方向性の統一を目的としているからです。
もし、ロードマップでタスクを細かくしすぎてしまったら、スケジュールが複雑になり、目標を達成しづらくなる恐れがあります。タスクを細かくしすぎないように気をつけてください。
将来の計画から考え始める
ロードマップを作成する際は、将来の計画から考え始めることをおすすめします。将来の計画から逆算すると、不足項目や中間目標を明確にできるからです。
現在の会社の10年後の姿をイメージするとよいでしょう。例えば、現在1店舗を経営している居酒屋を10年後には全国チェーン展開したいと仮定します。
全国チェーン展開をするためには、まず自社の売上を上昇させて繁盛させなければいけません。
そのため、直近の事業計画は前年同月比の売上20%を達成するといった将来の計画に直結する目標設定ができます。
適切なロードマップを作成するためにも、将来の計画から逆算して目標を設定するとよいでしょう。
ロードマップを作成できるおすすめツール3選
ロードマップを作成できるおすすめツールとして、以下の3つをご紹介します。
- Microsoft エクセル
- Microsoft パワーポイント
- Trello
ロードマップを最初から自力で作成すると、かなりの時間がかかってしまいます。ここで紹介したツールを活用して、効率的に作成しましょう。
①Microsoft エクセル
Microsoft エクセルは、図形作成やグラフ生成に特化したロードマップの作成ツールです。
ロードマップは社員や第三者にも提示する書類であるため、適宜図形やグラフを用いて視覚的に見やすくなるように工夫しなければいけません。
エクセルであれば、図形やグラフを容易に挿入できるので視覚的な工夫も可能です。また、エクセルは関数を用いることで迅速に数値面の計算ができます。
ロードマップを一から自分で作成するのはかなり時間がかかってしまいます。
気軽にロードマップを作成したいのであれば、Microsft エクセルのテンプレートを活用するとよいでしょう。
②Microsoft パワーポイント
Microsoft パワーポイントは限られた紙面で表現することに特化したソフトウェアであるため、少ない文字数でロードマップを作成できます。
ロードマップを作成することは、ワードでも可能です。しかし、ワードは文章で相手に伝えることに特化したソフトウェアであるため、視覚的には読みにくくなってしまいます。
パワーポイントは華やかな図やグラフを用いてロードマップを作成できるので、第三者が読みたくなるような書類作成ができます。
より第三者を引き付けるロードマップを作成したいのであれば、Microsoft パワーポイントのテンプレートを活用してください。
③Trello
Trelloは、世界で100万人のユーザーがいて無料で使用できるタスク管理ツールです。
タスク設定や管理がドラック&ドロップで簡単に実施できるため、細かな操作をする必要はありません。
また、チームでのタスク管理ができるので、複数人でロードマップがどれほど進んでいるのかを確認できます。
スマートフォンやタブレット、パソコンなどさまざまなデバイスで活用できるため、いつでも事業の進捗状況の確認が可能です。
複数人での管理やさまざまなデバイスでロードマップを活用したい場合は、Trelloのテンプレートを活用するとよいでしょう。
事業計画を確実に実行するためにロードマップを活用しよう
今回は、ロードマップの必要性や作成方法、注意点、おすすめのツールをご紹介しました。
ロードマップを活用すれば自社の現状を把握できるので改善すべき課題を明らかにできたり、社員と計画の共有ができたりします。
また、ロードマップを作成する際は、計画を数ヶ月単位でおこなうことやタスクを細かくしすぎないことなどを入念に検討するとよいでしょう。
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