中小企業の経営戦略の立て方とは?初めてでも分かる5ステップ

    記事公開日: 2022.04.08

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    今のままでは会社の将来が見通せないので、経営戦略を練り直したいと悩んでいませんか?

    成長が期待できるような経営戦略の立て方が分からない中小企業の経営者も少なくないと思います。

     

    そこで、今回は中小企業に合った経営戦略の基本的な立て方について分かりやすく解説します。効果的な現状分析の方法や参考になる書籍も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

    1.中小企業の経営戦略とは

    「経営戦略」とは、会社の将来像(経営ビジョン)をどのように実現するかをまとめた方策のことを言います。

     

    中小企業の場合、豊富な資金と人材を有し複数の事業を行っている大企業とは異なり、限られたリソースの中で事業を行うため、主力事業の事業戦略が経営戦略と同等の位置付けになるケースが多いです。

     

    そのため、中小企業の経営戦略を考える上で、主力事業における「集中化」や「差別化」が重要なテーマとなります。

    2.経営戦略策定の5ステップ

    経営戦略を立てると言っても、方向性を確かめながら正しい手順で進めることが非常に重要です。5つのステップに分けて進め方について説明します。

    Step1 目標の設定

    経営戦略を考え始める前に、まずはゴールとなる「目標」と「期間」を明確にする必要があります。

    経営ビジョンに基づき「いつまでに、どうなっていたいか」を考えます。

     

    実現性の高い目標を立てるポイントは、達成までの期間を3〜5年程に設定することです。あまりに遠い未来をゴールに設定すると、変動要因が多く経営戦略が抽象的になる可能性があります。

     

    さらに、達成率が明確に分かるように、目標は売上・利益・シェアなど定量的に表現できる項目で設定しましょう。

    Step2 現状の分析

    経営戦略を立てる際には、会社を取り巻く外部環境と、自社の強み・弱みなどの内部環境を分析・把握しなければなりません。

     

    外部環境には、ターゲットとする市場を取り巻く外部環境(マクロ環境)と、会社を取り巻く市場内の外部環境(ミクロ環境)があります。

     

    内部環境の分析では、自社が有する資金、技術力、ブランド力、企画力、製品の品質や価格、営業力、マーケティング力などを客観的に分析し「強み」と「弱み」を明確にします。

     

    現状分析は経営戦略の策定に大きな影響を与える重要なステップです。具体的な手法(フレームワーク)については次項で詳しく解説します。

    Step3 目標に合った戦略の策定

    現状と目標の差を埋めるための戦略を策定します。

     

    このプロセスで重要なのは、経営ビジョン、経営戦略の目的、外部環境分析、内部環境分析などをしっかりと理解した上で戦略を練ることです。特定の課題を解決すれば目標に到達できるのか、より大きな変革が必要なのか、現在の会社のポジションと目標との間にある距離によってアプローチは異なります。

     

    策定した戦略は文章化しなければならないので数ヶ月かかる場合もあります。

    Step4 課題・リスクの洗い出しと戦術の検討

    策定した経営戦略を、資金面、人材面、知財面、技術面などにおいて評価し、想定される課題やリスクを洗い出します。さらに、課題解決のための戦術を検討します。

     

    例えば、資金不足が想定される場合には資金調達の方法を、知財面での脆弱性が見つかった場合は特許出願を検討します。時には、他社との業務提携や業務の外部委託なども選択肢の一つです。

    Step5 経営計画の作成、及び従業員との共有

    経営戦略を策定して、そのままでは終わりではありません。

     

    利害関係者や従業員の理解を得て協力体制を構築するためには、収支予測、資金計画、部門目標などを明確にした経営計画に落とし込み、関係者と共有して初めて経営戦略がスタートできるのです。

    3.現状分析のフレームワーク

    現状分析を行うためのフレームワークにはさまざまなタイプがあり、初めての場合はどれを選択して良いか迷ってしまうかもしれません。そこで、経営戦略の策定に広く利用されているフレームワークの中から「SWOT分析」と「ファイブフォース分析」の2つを中心に紹介します。

     

    「SWOT分析」は自社の強みを生かした基本戦略の検討に適しており、「ファイブフォース分析」は業界における具体的な競争戦略の検討に適しているので、2つのフレームワークを組み合わせることにより自社に適した経営戦略の策定がしやすくなります。

    SWOT分析

    SWOT(スウォット)分析は企業の現状把握に効果的なフレームワークです。自社を取り巻く外部環境と自社の強みや弱みなどの内部環境をバランスよく分析することができます。

     

    内部環境を「強み:Strength」と「弱み:Weakness」、外部環境を「機会:Opportunity」と「脅威:Threat」の4つに分類するので、それぞれの頭文字をとって「SWOT分析」と呼ばれています。

     

    機会:Opportunity

    国内外の政治・経済・法律などのマクロ環境と、自社が属する業界の市場規模・成長性・競合状況などのミクロ環境を整理し、「魅力的な事業機会」を分析します。

     

    脅威:Threat

    マクロ環境およびミクロ環境から、自社にとってダメージの要因になり得る「重大で発生可能性の高い脅威」を分析します。

     

    強み:Strength

    マーケティング力・営業力・商品力・企画力・資金力など、外部環境の分析から見出した「魅力的な事業機会」を生かすことができる「自社の強み」を分析します。

     

    弱み:Weakness

    外部環境の分析から存在を確認した「重大で発生可能性の高い脅威」に対して克服しなければならない「自社の弱み」を分析します。

     

    <SWOT分析のポイント>

    SWOT分析を利用して事業戦略を考える際に重要なのは、「機会:Opportunity」と「強み:Strength」が合致するケースを見つけ出すことです。「魅力的な事業機会」が見つからなければ、その他の分析は意味が無くなります。

     

    「魅力的な事業機会」を見出してから「脅威:Threat」「弱み:Weakness」への対応策を検討しましょう。

    ファイブフォース分析

    ファイブフォースとは「5つの競争要因」のことです。これらを分析し自社の事業を取り巻く外部環境(ミクロ環境)を正しく分析・把握することによって、競争に勝ち抜くための戦略を選択することができます。

     

    SWOT分析で見出した「魅力的な事業機会」を確実に生かすために、より具体的な経営戦略を導き出せるメリットがあります。

     

    1 新規参入の脅威

    自社が属する業界への新規参入が容易か困難かを決める主な要因は、主に以下の3つです。

     

    ・参入障壁の大きさ

    ・既存業者の対抗(報復)の度合い

    ・新規参入後の収益の大きさ

     

    新規参入に必要なコストに対し参入後の収益の方が大きければ、新規参入業者の脅威は大きくなります。

     

    2 業者間の敵対関係

    ライバル企業間の敵対関係は、次に点を要因に、脅威となる可能性があります。

     

    ・ライバル企業の数

    ・業界の成長スピード

    ・事業コストの大きさ

    ・製品差別化の有無

    ・撤退障壁の大きさ

     

    成長が停滞している業界でライバルが多ければ、業者間の敵対関係はさらに激しくなり脅威が増大します。

     

    3 代替製品の脅威

    既存の製品やサービスに取って代わるものが出現すると大きな脅威となります。

     

    機能は同じでも価格が非常に安いもの、あるいは形態は異なるが同じ機能を持つものなど、ある程度予測できるものもありますが、機能も形態も異なるが顧客にとっては同様の価値を持つものなど、予測できない代替製品が出現する可能性もあります。

     

    4「売り手」の交渉力

    製品メーカーの場合、部品や材料などの供給業者が「売り手」にあたります。

     

    「売り手」が極端に少ない、「売り手」の部品や材料などがなければ製品が作れないなどのケースでは、「売り手」の価格に対する交渉力が増大します。その結果、「売り手」から値上の要求があると、応じざるを得ず利益率の低下につながる可能性があるのです。

     

    5「買い手」の交渉力

    顧客である「買い手」との力関係にも脅威が存在します。

     

    例えば、製品を大量に購入する大口顧客や、他社からでも同様の製品を購入できる顧客の場合には、「買い手」の交渉力が増大。値引き要求があると利益率の低下につながります。

     

    <ファイブフォース分析のポイント>

    中小企業の場合、競争要因を排除するコストや時間は大きな負担になります。

     

    最も大きな競争要因の脅威を回避するポジションへの移行や、業界の中で競争要因の脅威が少ない場所を見出し、自社の「強み:Strength」を活かす戦略を選択することが重要です。

    その他のフレームワーク

    前述した「SWOT分析」と「ファイブフォース分析」の他にも、「3C分析」「PEST分析」「VRIO分析」などの優れたフレームワークがあります。

     

    3C分析

    3C分析は、自社が属する市場環境(ミクロ環境)の分析に重点を置いたフレームワークです。マーケット内の環境を、Company(自社)、Customer(顧客/市場)、Competitor (競合企業)の3つの視点から分析するもので、それらの頭文字をとって「3C分析」と呼ばれています。

     

    PEST分析

    PEST分析は、自社に影響を与えるマクロ環境の分析に適したフレームワークです。外部要因を「政治:Politics」「経済:Economy」「社会:Society」「技術:Technology」の4つの視点から分析するもので、それらの頭文字をとって「PEST分析」と呼ばれています。

     

    VRIO分析

    VRIO分析は、自社の内部環境の「強み」「弱み」を評価するのに適したフレームワークです。経営資源を「経済的価値:Value」「希少性:Rarity」「模倣可能性:Imitability」「組織:0rganization」の4つの視点から分析するもので、それらの頭文字をとって「VRIO分析」と呼ばれています。

    4. 中小企業における経営戦略の3大ポイント

    自社のキャパシティを超えるような経営戦略や目先の利益を最優先した経営戦略は、どこかの時点で持続することが困難になる可能性があります。

     

    完成した経営戦略を次の3つの視点でチェックし、一つでもクリアできていない場合には修正を検討しましょう。

    無理のない投資

    多額の資金を投入すれば必ず経営戦略が成功するわけではないので、成功することが確実でない限り、自社の資金力を超える戦略はおすすめできません。

    中期的な視点

    目先の利益追求だけでなく、少なくても3〜5年先の外部環境(ミクロ環境)を予測し持続可能な戦略を選択しましょう。

    自社の強みを生かした差別化

    中小企業が大企業などと競争して勝つためには、事業規模ではなく独自の技術・企画力・開発スピードなどの強みを生かした差別化戦略が必要です。

    5. 経営戦略がよく分かるおすすめの書籍

    経営戦略をさらに詳しく知りたいという方に、経営戦略の基本や効果的な戦略の立て方について解説しているおすすめの書籍を4つご紹介します。

    最初に読むなら:「グラント現代戦略分析」(第2版)

    著者:Robert M.Grant

     

    世界的に有名な経営学者グラントが、現代に求められる戦略戦略や各種の分析手法について網羅している教科書的存在の一冊。戦略の策定や実行への統合的な考え方を保ちつつ、戦略実行への体系的な考え方を紹介しています。協働作業の戦略、特に戦略的提携について重点的に取り上げています。

     

    出版社:中央経済社 発売日:2019.3.29

    より深く学びたい方には:「企業戦略論」

    著者:Jay B. Barney

     

    原書は、米国のビジネススクールで評判の高い経営戦略論のテキストです。読みやすい記述で多数の戦略事例が紹介されており、「戦略とは何か」「パフォーマンス(成果)とは何か」「脅威および機会の分析」「企業の強みと弱み」の分析で構成されています。

    (※「基本編(上)」「事業戦略編(中)」「全社戦略編(下)」の3部構成)

     

    出版社:ダイヤモンド社 発売日:2013.12.5

    成功企業の戦略がわかる:「競争戦略論」(新版)

    著者:Michael E. Porter

     

    世界各国の政府幹部や企業経営者のアドバイザーとしても活躍している、ハーバード・ビジネス・スクールのポーター教授の著書「競争戦略論」の改訂増補新版。ITは競争戦略をどう変えるか、経営者の使命は何か、企業の社会的責任をどう考えるべきか、など現代の経営課題を「戦略」の視点で解説しています。競争戦略、競争優位の戦略、企業戦略のエッセンスがこの1冊でわかります。

     

    出版社:ダイヤモンド社 発売日:2018.7.19

    競争のない市場へ:「ブルー・オーシャン戦略」(新版)

    著者:W.Chan Kim & Renee Mauborgne

     

    世界350万部43カ国語で出版されたベストセラー「BLUE OCEAN STRATEGY」の新版。競争の激しい既存の市場を抜け出し、競争のない未開拓の市場を生み出す「ブルー・オーシャン戦略」について解説しています。新市場を創造する方策を体系化し、企業のみならず国や公共機関などあらゆる組織においても新たな視点を与えてくれる一冊です。

     

    出版社:ダイヤモンド社 発売日:2015.9.4

    6 .  まとめ

    今回は、中小企業に適した経営戦略の立て方について「経営戦略策定の5ステップ」「現状分析のフレームワーク」を中心に解説しました。

     

    特に、外部環境分析と内部環境分析は経営戦略の方針を左右する重要なプロセスで、今まで気づかなかった「強み」や「魅力的な事業機会」を発見できる可能性もあります。

     

    また、具体的な戦略を検討する際には、おすすめの書籍の中でさまざまな事例が紹介されていますので、自社に近い企業があれば参考にするのも良いでしょう。

     

    経営戦略は簡単にできるものではありませんので、途中で諦めず何度もトライするうちに自社に合った戦略が見えてくるはずです。

     

    記事内でも紹介したものも含め、経営戦略を策定するうえでおすすめのフレームワークをまとめてみましたので、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。

     

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