プロパー融資は通常の融資となにがちがう?プロパー融資のメリットやデメリットについて徹底解説

    記事公開日: 2022.12.06

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    プロパー融資とは金融機関などから受ける融資のうち、信用保証協会の保証がない金融機関独自の融資のことをいいます。そのため、プロパー融資は金融機関からの信用力がなければ受けることができません。

    プロパー融資とは

    金融機関が融資をおこなう場合において、信用保証協会などの第三者から保証を受けることなく、すべて自分自身の責任で実行する融資のことを「プロパー融資」といいます。

     

    反対に信用保証協会の保証を受けておこなう融資のことは「保証協会付融資」と呼ばれます。

    また、プロパー融資と保証協会付融資とでは融資先が倒産した場合のリスク負担が大きく異なり、次のようになっています。

     

    ・プロパー融資におけるリスク負担・・・・100%

    ・保証協会付融資におけるリスク負担・・・0%〜20%

     

    そのため、プロパー融資では融資先が倒産した場合にリスク負担が100%となってしまうことから、取引実績のない企業や業績の裏付けのない企業は受けることが非常に困難であるといえます。

    プロパー融資と保証協会付融資との違いは?

    プロパー融資と保証協会付融資では、金融機関のリスク負担以外にもさまざまな違いがあります。融資方法を検討するうえではそれぞれの融資の違いを理解したうえで、自分達にあった融資方法を検討していくことが重要です、そのため、ここで紹介するプロパー融資と信用保証付融資の3つの違いを正しく理解して慎重に検討するようにしましょう。

    融資審査の違い

    プロパー融資と信用保証付融資では「融資審査」に違いがあります。融資を受ける際には事前に金融機関からの審査を受けることが一般的ですが、プロパー融資の場合、信用保証付融資と比較し非常に厳しい審査となっています。これは融資を受ける企業が倒産した場合に金融機関がすべての損失を被ることになってしまうことが関係しています。

     

    倒産リスクや返済能力が危うい企業に対してプロパー融資をおこなうことは、金融機関からすると非常にリスクが大きくなるため、自然と信用保証付融資よりも審査が厳しくなってしまいます。

    そのため、「保証付融資であれば融資を受けることができるが、プロパー融資は受けることができない」といった場合もあります。

    金利の違い

    プロパー融資と信用保証付融資では金利にも大きな違いがあり、一般的にプロパー融資のほうが金利が低く、信用保証付融資のほうが金利が高くなっています。これは金融機関に対する信用度が関係しており、金融機関に対する信用度が高いほど金利は安くなるという仕組みがあるためです。

     

    そのため、融資審査が厳しいプロパー融資を受けることができるということは、融資を受ける企業に対する信用度が高いことになるため、低い金利で融資を受けることができます。

    融資可能限度額の違い

    プロパー融資と信用保証付融資では融資限度額にも違いがあり、プロパー融資の場合は融資限度額に上限がないことが一般的です。信用保証付融資の場合は上限額が設けられており、

     

    ・担保がある場合・・・2億8,000万円

    ・担保がない場合・・・8,000万円

     

    となっています。

    そのため、プロパー融資の場合は金融機関の融資審査を通ることができれば、限度額に関係なく融資を受けることができます。

    プロパー融資の5つのメリット

    プロパー融資には様々なメリットがありますので、それぞれのメリットを正しく理解したうえで自分たちにとって最適な融資方法を検討するようにしましょう。ここではプロパー融資のメリットを5つ紹介します。

    ①金利が低い

    プロパー融資の一番ともいえるメリットに「金利が低い」ということがあげられます。プロパー融資は金融機関からの信用が高くなければ受けることができないため、信用保証付融資と比べて金利が低く設定されます。

     

    融資は場合によっては非常に高額になる場合もあるため、元金部分に比例して利息部分も大きくなることは珍しくありません。そのため、金利が低いという点は融資を受ける企業にとっては非常に大きなメリットであるといえます。

    ②信用力が上がる

    プロパー融資のメリットの1つに「企業の信用力が上がる」というメリットがあります。プロパー融資を受けることができるということは、金融機関の厳しい融資審査を通っているということになるため、金融機関からの信用を得ているということになります。

     

    信用力の高さは金融機関との円滑な取引のためにも非常に重要であるといえ、企業にとって非常に大きなメリットであるといえます。

    ③融資限度額がない

    プロパー融資では「融資限度額」が設定されていないというメリットもあります。金融機関などにもよりますが、プロパー融資では資金使途や事業計画、返済計画に問題がなければ融資額の制限がないことが一般的です。

     

    信用保証付融資では担保の有無によって融資額の上限額が設定されるため、事業拡大にともなう設備投資時に融資を受ける際など、多額の資金を必要とする場合はプロパー融資を検討するとよいでしょう。

    ④保証料がかからない

    プロパー融資では保証料が発生しないこともメリットの1つです。信用保証付融資を受ける場合には信用保証協会へ融資金額の0.45%〜2.20%程度の保証料を支払う必要があります。

     

    保証料のパーセンテージのみを見ると少ないように感じますが、融資金額が大きくなればなるほど保証料も比例して大きくなるため、保証料が高額になってしまうことも珍しくありません。一般的に融資の場合は金額が高額となるケースが多いため、保証料がかからないプロパー融資は資金負担の面でも大きなメリットがあるといえます。

    ⑤審査日数が短い

    プロパー融資では審査日数が短いというメリットもあります。プロパー融資の場合における融資審査は2週間〜1ヶ月程度となっており、担保の有無によっては2週間ほどで審査が完了する場合もあります。それに対して信用保証付融資における融資審査は1ヶ月〜1ヶ月半程度となっており、これは金融機関の審査に加えて信用保証協会の審査もおこなわれるためです。

     

    企業にとって資金調達は非常に重要であり、資金調達を実現するまでの期間は短ければ短いほど良いとされています。

    そのため、審査日数が短く、資金調達を早期に実現できるプロパー融資は、早期に資金が必要な場合などにおいても、最適な融資方法であるといえます。

    プロパー融資の3つのデメリット

    プロパー融資にはさまざまなメリットがありますが、反対にデメリットもあります。メリットだけに目を取られるのではなく、デメリットも理解したうえでプロパー融資を検討するようにしましょう。

     

    ここではプロパー融資のデメリットを3つ紹介します。

    ①融資審査が厳しい

    プロパー融資の一番のデメリットともいえるのが融資審査の厳しさです。プロパー融資は金融機関が貸し倒れリスクを100%負担することから、融資審査が非常に厳しいものになっています。

    そのため、経営状況が良好な企業であっても返済計画や事業計画などが不十分なものである場合は、融資審査を通ることが難しくなっています。

    ②返済期間が短くなる可能性がある

    プロパー融資では返済期間が短く設定される場合があることもデメリットの1つです。これは金融機関が貸し倒れリスクを負担していることが関係しています。

     

    金融機関は貸し倒れが発生し融資額を回収できない場合を想定し、返済期間を短く設定することが一般的となっています。そのため長期的な返済計画を予定している企業にとって、プロパー融資は不向きということになります。ただし、金融機関と企業との間の信頼関係が良好であれば、返済期間が長く設定できる場合もあります。

    ③中小企業やベンチャー企業は融資を受けづらい

    プロパー融資は中小企業やベンチャー企業にとって不利であることも理解しておかなければなりません。プロパー融資は金融機関にとってもリスクが大きいことから、ある程度の信用力がなければ融資を受けることができません。そのため、中小企業や実績の少ないベンチャー企業などは金融機関からの信用を得ることが難しいため、融資が受けづらくなります。

    プロパー融資における審査を通過するポイント3選

    プロパー融資における一番のデメリットとなるのが「融資審査の厳しさ」です。融資審査では返済計画や事業計画などが重要になりますが、経営状況や経営者についても審査対象となります。

     

    ここではプロパー融資の融資審査を通過するためのポイントを3つ紹介します。

    ①自己資本が多い

    プロパー融資の融資審査では自己資本が重要視されるケースが多くあります。自己資本とは企業が所有する資産のうち、返済する必要がない資金のことをいい、自己資本が多いということは企業の返済能力が高いと評価されるためです。

     

    いくら資産が多い場合でも負債が多くなってしまっては返済能力は高いといえません。そのため、企業の純粋な資産である自己資本が多いほど融資審査に通りやすくなります。

    ②当期純利益が高い

    プロパー融資の融資審査では利益が出ていることも非常に重要です。さらに、厳密には税引前当期純利益ではなく、税引後当期純利益のほうが重要視されます。

     

    税引後の当期純利益が高いということは事業活動が良好であることだけでなく、返済能力が高いことの証明ともなります。そのため、税引後当期純利益が高い企業はプロパー融資の融資審査においても、非常に有利になるといえます。

    ③経営者の素質

    融資審査では経営状況や事業内部の数字にばかり気をとられがちですが、経営者自身の素質や人柄も重要なポイントになります。企業に対する思いや企業の将来設計などを適切に考えられる人物であるかということも、金融機関にとっては非常に重要であるためです。

     

    融資審査においては金融機関からの信用が最も重要であるといえるため、経営者の素質や人柄の良さは非常に大きなアピールポイントになります。

    プロパー融資の金利相場とは

    プロパー融資の金利は保証協会付融資と比較し低く設定されることが一般的であり、具体的には1.0%〜3.0%程度といわれています。

     

    金利のパーセンテージは融資を受ける企業の経営状態や返済計画などを審査した結果(=信用力)によって変動し、貸し倒れリスクが低いと判断された場合は1%以下になることも珍しくありません。そのため、日頃の事業活動において、金融機関から信用が得られるよう気をつけておくことが重要になります。

    プロパー融資はハードルが高いが資金調達の有効な方法の1つ

    プロパー融資は融資審査が非常に厳しいことから中小企業やベンチャー企業にはハードルが高い融資方法とされています。しかし、保証協会付融資以上の大きな金額の資金調達を可能とすることや、金利や保証料を抑えることができるなど、非常に多くのメリットがある融資方法でもあります。

     

    そのため、費用負担をなるべく抑えていきたい場合はプロパー融資のメリットやデメリットをおさえたうえで、プロパー融資を検討していくことが非常に重要です。プロパー融資を受けることができるためにも、日頃から金融機関からの信用を得ることができるよう努力していくことも併せて重要です。

     

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