クレドとは? 企業に「信念」や「信条」が大切な理由

    記事公開日: 2024.07.25

    社員のエンゲージメントを高める経営理念サンプル 無料ダウンロード

    社員のエンゲージメントを高める経営理念サンプル 無料ダウンロード

    クレドとは、企業や組織がその使命や価値観を明確にするための文書や声明を指します。

    クレドは、企業の理念や行動指針を具体的に示し、社員やステークホルダーに共有することで、組織全体の一体感を高める役割を果たします。

     

    一方で、経営理念、フィロソフィー、行動指針等概念が同じような言葉もありすみ分けや使い方が難しいと感じられている方も多いのではないでしょうか。

     

    そこで今回はクレドの定義を確認した後にこれらの言葉との違いについて解説していきます。

    1.クレドとは?

    1.1 クレドとは

    クレドとは「経営理念を社員が体現するための行動指針」です。

    もう少し具体的に表現すると、クレドは、企業のビジョンやミッション、価値観を簡潔に表現し、従業員が日々の業務や意思決定の際に参照する指針・ガイドライン、と言えます。
    英語では「信念」や「信条」と訳されます。

    1.2    クレドの構成要素

    クレドの主な構成要素は3つです。

    ①    企業の使命:企業が存在する目的や目標。
    ②    価値観:企業が大切にする原則や基準。
    ③    行動指針:社員がどのように行動すべきかを示す具体的な指針。

     

    1.3    クレドを作成するメリット

    クレドを作成するメリットは主に3つです。

    ①    経営理念の浸透
     全ての従業員が共通の価値観や目標を共有し、一体感を持って働けるようにすることで、

     経営理念やミッション・ビジョンの浸透に役立ちます。


    ②    行動指針の提供
     具体的な行動や意思決定の基準が明確になり、従業員が迷った時の指針となります。


    ③    ブランドイメージの確立
     外部に対して企業の理念や価値観を伝え、ブランドの一貫性を保つことに役立ちます。

    .クレドと関連用語の関係性

    2.1 クレドと経営理念

    経営理念は、企業や組織の存在意義、長期的な目標、そして社会的な使命を示したものです。

     

    クレドとの違いを端的に表現すると、

    クレドは日常の行動指針に焦点を当て、具体的であることに対し、経営理念は組織の存在意義や長期的な目標を示すため、抽象的かつ包括的な概念です。

     

    クレドは従業員の日々の行動や意思決定を導くために使われ、経営理念は企業の方向性や戦略をイメージさせるために使います。

     

    経営理念とは?MVV・クレドなどの関連用語との違いを、事例を交えて解説

    https://blog.kodato.com/management-philosophy

    2.2 クレドとフィロソフィー

    クレドとフィロソフィーは、どちらも企業や組織の理念や価値観を表すものですが、その焦点や目的にはいくつかの違いがあります。

     

     

    ・具体or抽象

    クレドは企業の行動指針や価値観を具体的に示し、社員が日常業務でどのように行動すべきかを明確にします。対してフィロソフィーは企業や組織の基本的な価値観や信念をより抽象的に表現することが多く、広い視点での理念や信念を示します。

     

    ・実践or理念

    クレドは実際の行動や意思決定の基盤となるもので、従業員が日常的に参照し、実践できる内容が含まれますが、フィロソフィーは企業の根本的な存在意義や長期的なビジョン、価値観を示し、それが企業の方向性や文化の基盤となります。

     

    ・コミットメントor方向性の指針

    クレドは全社員に共有され、全員がそれにコミットすることが期待されます。企業文化の一部として定着しやすいです。対してフィロソフィーは企業の戦略や大きな意思決定の指針となるもので、日常的な行動指針よりも高次の概念や価値観を示すことが多いです。

    2.3 クレドと行動指針

    クレドと行動指針は、どちらも企業や組織の価値観や行動の基準を示すものであり、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)のバリューの相当するものですが、クレドはより広範で抽象的な理念や価値観を示し、企業文化や精神の基盤となるものです。

    対して行動指針は具体的で実践的な行動規範を示し、社員の日常業務における具体的な行動のガイドラインとなるものです。

     

    これらの意味で、2.1から2.3までをまとめ、上位概念から順に表すと

     

    「経営理念」⇒「フィロソフィー」⇒「クレド」⇒「行動指針」

      

    と整理できます。

     

    参考記事 行動指針とは?定義や目的、活用方法について解説

    https://blog.kodato.com/how-to-behavioral-guidelines

    2.4 クレドとMVV等の関係性

    最後に、フィロソフィー・行動指針を含めミッション・ビジョン・バリューや類義語との関係性を図示すると以下のようになります。

     

     

    行動指針やフィロソフィーとの違いは解説の通りですが、他の言葉同様に「言葉の定義」に囚われすぎないように注意してください。

    これらを作る「意義」や「目的」が重要であり、それぞれの定義・位置づけは会社ごとに定義していただいて問題ありません。

    .クレドの事例

    3.1 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社(ジョンソン・エンド・ジョンソングループ)

    「我が信条(Our Credo)」として第一の責任から第四の責任を明示しており、世界中のJJのカンパニーで共有されており、世界の各地域で36の言語に訳されています。

    第一の責任 顧客(患者、医師、両親など)

    第二の責任 社員

    第三の責任 地域社会

    第四の責任 株主

     

    「~ならない」という言葉が多く出てきていることが特徴的であり、まさに「責任」を表していると感じます。

     

    ジョンソン・エンド・ジョンソンが正にクレドに基づいて行動し、小売市場代最大のリコールを行ったという有名な事例があります。

     

    1982年、米国中を震撼させる恐ろしい事件が発生しました。

    薬局で市販されていた「エクストラ・ストレングス・タイレノール」のカプセルに何者かが致死量の青酸カリを混入し、シカゴ郊外に住む7 人が死亡しました。

     

    タイレノールはジョンソン・エンド・ジョンソンの大ヒット商品で、市場シェアは 35%。

    全米で一番売れている鎮痛剤でしたが、事件発覚後、国中が「タイレノール」という名前に恐怖をおぼえ、もはやそれはこの世から消えていく運命にあると思われましたがそうはなりませんでした。

    事件から1年もたたずに復活したのです。

     

    3,100万本を回収し、不正開封防止の対策も講じました。

    さらに、消費者が捨てたタイレノールを無償交換することを発表。その後記者会見を開き、タイレノールの回収、検査、廃棄に1 億ドルかけたことを説明し、当時のCEO のジェームズ・E・バークは「タイレノールを再び市場で抜きん出た製品とすることは倫理的な義務であり、同時に有意義な事業である」と語りました。

    このキャンペーンが功を奏し、タイレノールの市場シェアは事件後 1 年で 30%まで回復したのです。

     

    考え方はいたってシンプルで、包み隠さずに正しいことを実行したのみです。

    しかし、実行するとなると、1 億ドル超のコストをかけて製品を回収するなど、少々面倒な話になります。

    この事件における対応の根底には、会社の「クレド」(信条)をあらゆる状況に適用すること、が挙げられます。

     

    クレドでは、「リーダーは、ジョンソン・エンド・ジョンソンの製品とサービスを利用する人々に対する責任を第一に考えなければならない」としています。だからこそ、この事件が起きた時も、決断に迷うことはなかったのです。

     

               「ありえない決断 フォーチュン誌が選んだ史上最高の経営判断」 

                 CCCメディアハウス Verne Harnish著 より引用・一部改編

     

    ジョンソンエンドジョンソングループHP:https://www.jnj.co.jp/jnj-group/our-credo

    3.2 リッツカールトンホテル

    クレドと言えば、というほどよく出てくる事例のリッツカールトンホテルのクレドです。

    1枚のカードにミッション、バリューが凝縮されています。

     

    PRESIDENT ACADEMY:https://bbank.jp/president-ac/freereport/credo.html

    .古田土会計グループの事例

    古田土会計には明確にクレド呼ばれるものは作成していませんが、概念的に近しいものとして「全社員で取り組む10の心得」があります。

    これとは別に行動指針も設定していますが、行動指針がよりMVVに直接的に向かうイメージである一方、クレド(心得)は理念や経営方針を具体化したものと言えます。

     

    古田土会計では行動指針を「使命感・理念・未来像を実現するための社員の姿勢」と定義しています。

    その意味では、2.3で解説した通りの順番というよりも並列に近いかもしれません。

    つまり、2.4の解説の通り「定義」にこだわりすぎないことが大切である、ということがここからもお分かりいただけるのではないかと思います。

     

    また、ジョンソン・エンド・ジョンソンの事例とまではいきませんが、古田土会計もこの心得に則り、業務ミスの報告を行っています。過去には4の「うそをつかない」に則り多額の賠償の判断を行ったこともあります。

     

    具体的には、税理士の業務で取り扱う税務上の特例等はこちらから説明しないとお客様はわからないのですが、我々がそれを見過ごしてしまった、又は後から気づいた場合にどうするか、ということです。

    黙っていればもちろん会社に損害はありません。しかし、お客様に損害(本来支払わなくて済んだ税金を支払っている)を与えることになってしまいます。

    だからこそ、後から気づいた場合でも正直お客様に事実をお伝えし、誠心誠意お詫びをするようにしています。

     

     

     

    まとめ

    以上、クレドや関連用語との違い・関係性について解説をしてきました。

    他の用語も同様であり繰り返しになりますが、用語の定義や違いに囚われすぎず、どのように会社・組織に落とし込んでいくか、活用するか、という方にフォーカスしてください。

    社員のエンゲージメントを高める経営理念サンプル 無料ダウンロード
    社員のエンゲージメントを高める経営理念サンプル 無料ダウンロード

    いかがでしたか?お気に召したのであればシェアはこちらから。

    PDF書籍 無料プレゼント