月次決算とはどういう業務?月次決算の流れと具体的な仕訳例を解説

    記事公開日: 2023.07.07

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    月次決算とは、自社の月ごとの経営状況を明らかにし、経営管理に活用するために実施する決算業務のことです。

     

    月次決算を実施することで年次決算の事務負担を軽減できたり、金融機関から融資を受けやすくなったりします。

     

    そこで今回は、月次決算の業務内容や流れ、具体的な仕訳例について解説します。

     

    本記事を読めば、月次決算の具体的な仕訳例が把握できるので、決算業務が実施しやすくなるでしょう。

    月次決算とは

    月次決算とは、自社の財政状況を明らかにするために1ヶ月単位で実施する決算業務のことです。

     

    月次決算を実施すれば、年次決算の事務負担を軽減することができたり、金融機関から融資を受けやすくなったりします。

     

    月次決算は、年次決算とは異なり法律で実施が義務付けられているわけではありません。そのため、月次決算を実施するのは会社の任意であり、すべての企業が実施する必要はないです。

     

    ただ、月次決算を導入すれば、自社の直近の財政状況が明らかにできるため、経営改善に活用できます。

     

    例えば、年次決算のみ導入をしていた場合であれば、1月時点ですでに経営状況が悪化していたとしても、財政状況を明らかにする術がないため、年末まで経営改善が実施できません。

     

    しかし、月次決算を導入していた場合は、翌月に経営改善活動が実施できるため、経営状況が悪化していたとしても業務改善に努められます。

     

    会社の経営状況をより良くするためにも、月次決算を導入する必要があります。

    月次決算の3つのメリットとは

    月次決算を導入する判断をするためには、導入するメリットを把握しなければいけません。月次決算を導入するメリットとして、以下の3つを解説します。

     

    1. 年次決算の事務負担を軽減することができる
    2. 経営判断を早期におこなうことができる
    3. 融資が受けやすくなる

     

    ここで解説したメリットを参考にしたうえで、月次決算を導入する判断をしてください。

    ①年次決算の事務負担を軽減することができる

    月次決算を導入すれば、年次決算の事務負担を軽減することができます。自社が年次決算のみを導入していた場合は、12ヶ月分の決算処理をたった数日で実施しなければいけなくなるからです。

     

    決算処理を完了するためには、さまざまな経理業務を実施しなければいけません。そのため、年次決算のみを導入していた場合は、ほかの業務と同時進行で決算処理をすることが難しくなります。

     

    また、自社が年次決算のみを導入していると、限られた時間で会計処理を完了させなければいけないため、決算書類内の数字にミスが発生しやすくなります。

     

    もし、決算書類に間違った情報が記載されていると、金融機関や投資家からの信用を獲得しにくくなることも想定できるでしょう。

     

    年次決算の事務負担を軽減して書類内の数字の記載ミスを防ぐためにも、月次決算を導入したほうがよいです。

    ②経営判断を早期におこなうことができる

    月次決算を導入すれば、経営判断を早期に実施することが可能です。経営判断を早期に実施すれば、自社の業績が悪化していたとしても、早期に対応できるため、さらに経営状況が悪化することを防げます。

     

    もし、年次決算のみを導入していた場合は、経営判断を早期に実施できないため、経営状況の立て直しができずに倒産してしまう恐れも十分にあり得ます。

     

    また、月次決算を導入すれば、自社の強みをより向上させて業績をさらに高めることも可能です。例えば、自社商品の売上が大幅に向上しているのであれば、さらに売り上げを高めるためにはどのような施策を実施するべきなのかを検討する必要があります。

     

    自社商品の売上を向上させるために、SNSのフォロワーを増やすための施策を実施してみたり、インフルエンサーに自社商品の良さを発信してもらったりとさまざまな方法を早期に実施すれば、会社の成長スピードを大幅に向上できるでしょう。

     

    経営判断を早期に実施するためにも、月次決算を導入する必要があります。

    ③融資が受けやすくなる

    月次決算を導入すれば、金融機関からの融資が受けやすくなります。金融機関は、企業へ投資の判断をする際に、必ず企業の経営状況を調査します。企業へ融資したお金が金融機関に返済されなければ、金融機関は損失を被ってしまうからです。

     

    月次決算には、自社の経営状況が事細かに記載されています。そのため、月次決算を策定すれば、金融機関は企業の経営状況の安定度を把握しやすくなり、融資の判断がしやすくなるでしょう。

     

    もし、月次決算を導入していなければ、金融機関は直近の自社の経営状況を把握できないため、融資してもらえないかもしれません。

     

    金融機関から融資をしてもらえなければ、自社の資金繰りが悪化した場合や新事業の資金不足に陥っている場合に対応することが困難になります。金融機関からの融資を受けやすくして円滑に業務を実施するためにも、決算業務を導入するとよいでしょう。

    月次決算の流れ

    月次決算を適切に実施するためには、決算業務の流れを把握しておく必要があります。月次決算の流れは、以下の通りです。

     

    1. 残高確認
    2. 棚卸高の確定
    3. 仮勘定の処理
    4. 経過勘定の計上
    5. 減価償却費等の計上
    6. 月次試算表の作成
    7. 月次報告

     

    ここで解説した流れを参考にしたうえで、月次決算を策定しましょう。

    残高確認

    月次決算を実施する際は、残高確認をする必要があります。残高確認では、現金の帳簿残高と実際残高の差異を確認しなければいけません。

     

    もし、残高確認をした結果、帳簿残高と実際残高の差異があれば、その原因を追及して、修正する必要があります。残高確認をする際は、下記の2つを確認してください。

     

    • 金融機関別の利息計算書と受取利息の帳簿残高を同時に確認する
    • 現金出納帳の残高と金庫にある実際の現金の残高の差異を確認する

     

    残高確認でミスをしてしまったら、月次決算の数値が間違ってしまい、企業の信用を失ってしまう恐れがあります。残高確認を複数人で実施することで、間違いが無いように工夫しましょう。

    棚卸高の確定

    残高確認を完了したら、棚卸高の確定を実施しなければいけません。棚卸高の確定では、自社が保有している在庫の数と金額を確定させる作業です。棚卸高を確定させる際は、下記の3つのポイントを確認しましょう。

     

    • 社外に保管している在庫がないかを確認する
    • 月末在庫と帳簿に記載してある在庫数に差異がないのかを確認する
    • 不良品や長期滞在在庫、返品の有無を確認する

     

    自社が保有している在庫の数と金額を明らかにするためにも、棚卸高の確定を実施するようにしてください。

    仮勘定の処理

    棚卸高の確定が完了したら、仮勘定の処理を実施しなければいけません。仮勘定の処理とは、仮受金や仮払金などの仮勘定を整理し、正しい勘定科目に振り分ける作業です。仮受金や仮払金は、正確な金額や用途が確定していない場合に使用する勘定科目なので、間違えないようにしましょう。

     

    仮勘定の処理を実施する際は、下記の2つのポイントに気を付けてください。

     

    • 前払費用の計上漏れの有無を確認する
    • 仮勘定で長期的に未精算のものの有無を確認する

     

    上記の2つのポイントに沿って仮勘定の処理を実施しましょう。

    経過勘定の計上

    仮勘定の処理を完了させたら、経過勘定の計上を実施する必要があります。経過勘定の計上では、前払費用や未払費用などの費用が支払うべき期間を過ぎてしまった場合に、処理を実施します。

     

    経過勘定の計上を完了させる際は、対象科目や計上基準をあらかじめ定めておくと素早く実施することが可能です。経過勘定の計上を完了させる際は、下記の3つのポイントを完了させるとよいでしょう。

     

    • 長期未払費用の取引の有無を確認する
    • 次月以降の受け取りや支払いは欠かさず経過勘定の計上をする
    • 給与残高が0になっているのかを確認する

     

    上記の3つのポイントに着目し、経過勘定の計上を完了させてください。

    減価償却費等の計上

    経過勘定の計上を完了させたら、減価償却費等の計上を実施しなければいけません。減価償却費等の計上では、通年でかかる費用を12等分したうえで月の費用として計上します。

     

    例えば、15万円のパソコンを購入したとしたら、法定耐用年数が4年であるため、年間37,500円ずつ減価償却費を計上しなければいけません。

     

    そして、パソコンの減価償却費37,500円を12ヶ月分で均等に振り分けると、1ヶ月3,125円になります。減価償却費の法定耐用年数は、国税庁のホームページを確認するとよいでしょう。

     

    減価償却費等の計上では、減価償却費以外でも固定資産税や賞与、各種保険料、労働保険料なども計上できます。

    月次試算表の作成

    減価償却費等の計上が完了したら、月次試算表の作成を実施しなければいけません。月次試算表の作成では、合計試算表と残高試算表、合計残高試算表の3種類に分類して資料を作成する必要があります。月次試算表の種類には、それぞれの特徴があります。

     

    合計試算表

    総勘定元帳の各科目の借方とか仕方の合計額をまとめた表

    残高試算表

    勘定科目ごとの貸方合計と借方合計を算出してまとめた表

    合計残高試算表

    合計試算表と残高試算表をまとめた表

     

    上記の表を参考にしてそれぞれの試算表の種類を把握したうえで、月次試算表の作成を実施しましょう。

    月次報告

    月次試算表の作成が完了したら、月次報告を実施してください。月次報告では、月ごとの予算や前年同月比の実績表を策定したうえで、経営陣に月次決算の内容を報告する必要があります。月次報告を実施すると同時に経営改善策を実行するとよいでしょう。

    月次決算における整理仕訳例

    月次決算を適切に実施するためには、具体的な仕訳例を把握する必要があります。月次決算における整理仕訳例は、以下の通りです。

     

    • 棚卸高の計上仕訳例
    • 減価償却費の計上仕訳例
    • 経過勘定の振替仕訳例

     

    ここで解説した整理仕訳例を参考にしたうえで、月次決算を実施しましょう。

    棚卸高の計上仕訳例

    月次決算を実施する際は、棚卸高の計上をする必要があります。例えば、前期から繰越した棚卸高が10万円分、月末の棚卸高が30万円分あった場合の仕訳例は、以下の通りです。

     

    借方合計

    金額

    貸方合計

    金額

    期首商品棚卸高

    100,000

    商品

    100,000

    商品

    300,000

    期首商品棚卸高

    300,000

     

    上記の計上仕訳例を参考にしたうえで、棚卸高を計上しましょう。

    減価償却費の計上仕訳例

    建物や機械などの減価償却費を取得した際は、取得費用を耐用年数にて分割したうえで計上する必要があります。減価償却費を計上する際の計算方法は、以下の2つです。

     

    • 定額法
    • 定率法

     

    定額法では、毎年同じ金額を減価償却費として計上しなければいけません。減価償却費の計上をする際の計算式は、以下の通りです。

     

    減価償却費=取得金額×定額法の償却率

     

    減価償却費は、定額法の方が複雑な計算式ではないため、算出しやすい特徴があります。定額の償却率は、国税庁の「減価償却資産の償却率等表」を参考にしてください。

     

    また、定率法では、初年度に減価償却費を大きな金額で計上して、翌年度以降は徐々に計上費用を少なくしていく計算式です。定率法の計算式は、以下の通りです。

     

    減価償却費=(取得金額費-減価償却累計額)×定率法の償却率

     

    例えば、取得金額が200万円、消却率が10%、耐用年数が10年の機械設備を取得した場合は、減価償却費が20万円になります。その場合の減価償却費の仕訳例は、以下の通りです。

     

    借方

    金額

    貸方

    金額

    減価償却費

    200,000

    機械設備

    200,000

    経過勘定の振替仕訳例

    月次決算を実施する際は、経過勘定の振替仕訳も実施する必要があります。例えば、毎月20万円の家賃を年に1回後払いしていると仮定します。そのような場合は、以下のように経過勘定の振替仕訳をすることが可能です。

     

    借方

    金額

    貸方

    金額

    地代家賃

    200,000

    未払預金

    200,000

     

    上記の振替仕訳例を参考にしたうえで、経過勘定を仕分けする際は実施しましょう。

    月次決算をおこなう際のポイント

    月次決算を実施する際に気をつけるべきポイントとして、以下の3つを解説します。

     

    • 経費精算の締め日などを徹底する
    • 経費精算ソフトなどを活用する
    • 月次決算の流れを社内で共有する

     

    ここで解説したポイントを参考にしつつ、月次決算を策定しましょう。

    経費精算の締め日などを徹底する

    月次決算を実施する際は、経費精算の締め日などを徹底するとよいでしょう。経費精算の締め日を徹底することで、直近の自社の経営状況を素早く明らかにできるからです。

     

    月次決算は、残高確認から月次報告まで7つの工程を数日間の間で完了させなければいけません。経費精算の締め日に遅刻してしまったら、多くの部署が決算業務のスケジュールを策定し直さなければいけなくなるので、業務効率の低下につながります。

     

    また、経費精算の締め日を徹底することで、素早く決算業務を遂行でき、自社の経営改善を実施できます。素早く決算業務を実施すれば、自社の業績を向上しやすくなるでしょう。

     

    月次決算を効率的に実施するためにも、経費精算の締め日を徹底することを心がけてください。

    経費精算ソフトなどを活用する

    月次決算を実施する際は、経費精算ソフトなどを活用するとよいでしょう。経費精算ソフトとは、パソコン上で金融機関の入出金データを取り込んだり、自動仕訳登録が実施できたりと経費精算業務ができるソフトのことです。

     

    経費精算ソフトを活用すれば、人力で実施する手間が削減できるので業務効率の向上や内部統制の強化につながります。おすすめ経費精算ソフトは、以下の5社です。

     


    マネーフォワード クラウド経費

    他にも、法人会計ソフトや請求書作成ソフトなどを運営していることから、同社システムとの連携が可能

    TOKIUM経費精算

    スマホで領収書を撮影して専用ポストに投函するだけで経費精算が可能

    楽楽精算

    国内累計導入社数が12,000社であることから、安心して導入しやすい

    freee経費精算

    マルチデバイス対応なのでインターネット環境さえ整っていれば、スマホからも経費精算可能

    ジョブカン経費

    中小規模の企業であれば月額400円で利用可能

     

    また、月次決算を自社の社員で実施する余裕がないのであれば、経理アウトソーシングを活用するとよいでしょう。

     

    経理アウトソーシングを活用すれば、月次決算の業務内容を全て税理士や公認会計士へ依頼することが可能です。月次決算を実施する際は経費精算ソフトや経理アウトソーシングの活用を検討してください。

    月次決算の流れを社内で共有する

    月次決算を実施する際は、月次決算の流れを社内で共有しておくとよいでしょう。月次決算の流れを社内で共有しておけば、通常業務と並行して決算業務を実施できるからです。

     

    もし、月次決算の流れを社内で共有しなかった場合は、社員が決算業務の進め方を把握していないため、素早く月次決算を実施することが困難になります。

     

    社員が通常業務と並行して月次決算を遂行しやすくするためにも、月次決算の流れを社内で共有しておいた方がよいでしょう。

    月次決算は業務を効率化して早期におこなう

    今回は、月次決算の業務内容や流れ、具体的な仕訳例について解説しました。月次決算とは、自社の財政状況を明らかにするために1ヶ月単位で実施する決算業務のことです。

     

    月次決算を実施すれば、年次決算の事務負担が軽減したり、金融機関から融資を受けやすくなったりとさまざまなメリットが得られます。

     

    本記事を参考にして月次決算の仕訳の仕方を参考にしたうえで、月次決算を実施しましょう。

     

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