人事評価制度では何を評価する?システムの導入方法や導入事例を紹介

    記事公開日: 2023.04.28

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    • 「人事評価制度では何を評価すればよいの?」
    • 「人事評価制度のシステムの導入方法を知りたい!」

     

    人事評価制度とは、社員の成果や能力を評価する制度です。

     

    人事評価制度を導入すれば、社員のモチベーション向上が期待できたり、優秀な人材の入社が期待できたりと、さまざまなメリットが得られます。

     

    そこで今回は、人事評価制度の評価基準やシステムの導入方法、導入事例について解説します。本記事を読むことで、人事評価制度を導入するための適切な判断がしやすくなるでしょう。

     

    人事評価制度は3つの制度から構成される

    人事評価制度とは、社員の勤務態度や業務の質などを評価して昇給や昇進へとつなげる人事施策です。

     

    人事評価制度は、企業が求める成果を出した社員に対して適切な処遇を与えることを目的に多くの企業で導入されています。そんな人事評価制度は、以下の3つの制度から構成されています。

     

    1. 等級制度
    2. 評価制度
    3. 報酬制度

     

    人事評価制度について理解を深めるためには、人事評価制度を構成更生している上記の3つの制度を詳しく理解する必要があります。

     

    ここで解説した内容を参考にし、人事評価制度についてより理解を深めましょう。

    ①等級制度

    等級制度とは、社員のを能力や期待する役割などに応じて適切な階級を設計し、社内での社員の位置づけを決定する制度です。

     

    等級制度を導入すれば、仕事で成果を出した分、昇給や昇進がしやすくなるため、社員のモチベーション向上につながりやすいでしょう。また、等級制度には、主に以下の3種類の制度が用意されています。

     

    職能資格制度

    仕事内容と能力で処遇を決定する制度

    職務等級制度

    職務の難易度を明確化にして、対応する職務によって給与が変動する制度

    役割等級制度

    役職や年齢などに関係なく社員に役割を設定し、役割の大きさに応じて等級を決定する制度

     

    等級制度には、上記の3つの制度があります。等級制度の種類によって会社の運営方法が大きく異なるため、自社の社風に適した制度を選ぶとよいでしょう。

    ②評価制度

    評価制度とは、企業の行動指針をもとに社員の能力や会社への貢献度を評価するための制度です。

     

    評価制度によって自身の評価が向上すれば、社員は給料が高まるため、モチベーションの向上が期待できます。また、評価制度には、主に以下の4つの種類があります。

     

    年功制度

    勤続年数を重視した評価制度

    職務等級制度

    業務内容の達成度を重視した評価制度

    職務資格制度

    等級ごとの達成度を重視する評価制度

    成果主義制度

    1年以内に出した成果を評価する制度

     

    上記の4つの評価制度のうちどれを導入するのかによって、人事評価制度の取り組み方が変わってきます。上記の4つの中から、自社の社風に合った評価制度を選択しましょう。

    ③報酬制度

    報酬制度とは、評価制度で定められた評価によって社員の報酬を決定する制度です。会社の利益に貢献した社員の給与は、報酬制度によって高める必要があります。

     

    しかし、何も金銭に関する報酬ばかりを社員へ支給するわけではありません。

     

    例えば、研修を積極的に実施して学習する機会を設けたり、社内報で活躍ぶりを取り上げたりするなど金銭面以外の報酬も報酬制度の内容に含まれています。また、報酬制度には、以下の4つの種類が用意されています。

     

    年功制度

    勤続年数に応じて報酬を変動させる制度

    成果主義制度

    成果に応じて報酬を決定する制度

    職務等級制度

    職務の価値に応じて報酬を決める制度

    職能資格制度

    働く人の能力をいくつかのレベルに分けて等級を設定し、等級に応じた報酬を支給する制度

     

    元々、報酬は年功制度が主流でしたが、最近では成果主義制度や職務等級制度などを導入している企業も増加傾向にあります。自社の社風に合った報酬制度を決定しましょう。

    人事評価制度の役割

    人事評価制度の主な役割として、以下の4つを解説します。

     

    • 適材適所の人事配置
    • 人材育成
    • 経営法人を広く浸透
    • 社内のモチベーション向上

     

    ここで解説した内容を参考にし、人事評価制度のそれぞれの役割を理解しましょう。

    適材適所の人事配置

    人事評価制度の主な役割として、適材適所の人事配置が挙げられます。

     

    適材適所の人事配置をすることで、従業員のモチベーション向上も期待できて、さらなる利益をもたらしてくれる可能性もあります。そのため、人事評価制度で適材適所の人事配置をすることは大切です。

     

    客観的に社員の能力や業績、担当業務への適合性などを見極めたうえで、社員を適切な役職に配置しましょう。

    人材育成

    人事評価制度は、人材育成の促進のためにも設けられています。そもそも人事評価制度では、客観的な評価項目を用いて社員を評価します。ですので、社員は自身の能力についてより高い評価をしてもらうために仕事に前向きに取り組むようになるでしょう。

     

    また、企業が求める人物像に沿った社員育成がしたいのであれば、以下の手順に沿った育成方法をすることをおすすめします。

     

    1. 企業の方針に沿った目標設定
    2. 軌道修正
    3. 評価やフィードバック
    4. 次の目標設定

     

    上記の手順に沿って社員育成をすることで、自身の会社の求める人物像への人材育成がしやすくなります。

    経営方針を広く浸透

    人事評価制度は、経営方針を広く浸透させる役割も担っています。

     

    人事評価制度の項目の1つに「企業がどのような方向性を目指しているのか」に関する項目も含めておけば、社員はその方向性を目指した働き方がしやすくなります。

     

    そもそも経営方針とは、企業が事業を展開するうえで必要な考え方や行動を設定したものです。

     

    つまり、経営方針を社内に広く浸透させれば、事業を展開しやすい環境が整います。会社の事業を展開しやすくするためにも、人事評価制度を導入することは大切です。

    社内のモチベーション向上

    人事評価制度の役割の1つに、社内のモチベーション向上が挙げられます。

     

    人事評価制度を導入すれば、社員は自分の頑張りが給料や待遇に反映されるため、より仕事への気力が高まります。

     

    もし、人事評価制度を導入しなければ、どれだけ仕事を頑張っても適切に評価されないため、社員のモチベーションは低下し事業展開がしにくくなるかもしれません。

     

    会社として事業展開をしやすくするためにも、人事評価制度を導入して社内のモチベーションを向上させる必要があります。

    人事評価制度における代表的な5つの評価要素

    ここでは、人事評価制度における代表的な評価要素として、以下の5つを解説します。

     

    1. 業績評価
    2. 能力評価
    3. 情意評価
    4. 年功評価
    5. 役割評価

     

    人事評価制度には、さまざまな評価要素が用意されています。ここで解説した内容を参考にし、人事評価制度ではどのように社員を評価するのかを理解しましょう。

    ①業績評価

    業績評価とは、一定期間における会社にもたらした利益に対する貢献度で評価する要素です。業績評価をする際は年初に目標設定をし、1年後に設定した目標と実際の業績を比較したうえで評価します。

     

    つまり、業績評価は毎年の目標設定を達成しているか否かが人事評価に影響するため、社員も納得感が持てる人事評価ができるでしょう。

     

    このように業績評価を導入すれば、会社全体の業績向上効果が期待できます。

    ②能力評価

    能力評価とは、業務遂行に関わる社員のスキルに応じた人事評価基準です。能力評価は社員の長期的な育成を目的に実施される場合が多いので、業績評価のように決められた期間におけるパフォーマンスが対象になるのではなく、その時点での定性評価となります。

     

    また、能力評価を実施する際は、以下のような項目について評価される傾向にあります。

     

    • 業務遂行にあたって多種多様なアイデアを企画する能力があるか
    • 業務の優先順位を把握する能力があるか
    • 日々の業務をより良い方向へ改善できる能力があるか

     

    能力評価項目を作成する際は、上記の項目を参考にしたうえで評価をするとよいでしょう。

    ③情意評価

    情意評価とは、社員の仕事に対する意欲や勤務態度に関する人事評価基準です。

     

    情意評価をすることで数値には表れない社員の努力を適切に評価できるため、従業員のモチベーション向上効果が期待できます。

     

    しかし、情意評価は具体的な数値を設定できるわけではないため、目標設定が難しく、適切な評価を下せない場合も十分にあり得るでしょう。

     

    もし、情意評価で適切な評価を下せなかったら、社員のモチベーション低下につながる恐れがあります。

     

    そのため、情意評価で目標設定をする際は1対1の会議を定期的に行い、社員が自身の状況を把握できる機会を積極的に設けていくとよいでしょう。

     

    また、情意評価をする際は、以下の4つの項目に基づいて評価をすることをおすすめします。

     

    • 規律制
    • 積極性
    • 協調性
    • 責任性

     

    人事評価制度では、社員の仕事への向き合い方も評価することが大切です。仕事に対して熱心に向き合っている社員には、適切な評価を下す必要があります。

     

    情意評価をする際は、上記の4つの項目を満たした評価基準を作成して社員のモチベーションが向上するように努めましょう。

    ④年功評価

    年功評価は、入社した段階の年齢を基に昇給や昇格などを決定していく方式です。

     

    年功評価は社員の人事評価がしやすかったり、組織の一体感が高まったりとさまざまなメリットがあります。

     

    一方で、年功評価には社員の高齢化が進むと人件費が高くなったり、業務に関するモチベーション低下が生まれたりとデメリットが存在します。

     

    年功評価は、人事評価をする側から考えれば、年齢や勤続年数を基に評価をすればいいので社員の人事評価がしやすいでしょう。

     

    しかし、社員からすればどれだけ業務に取り組んで企業へ貢献したとしても、タイムリーに給料に反映されないため、仕事を頑張るモチベーション向上につながりません。

     

    年功評価は年々廃止が進んでおり、年功評価に不安を持つ社員も多い傾向にあるので、年功評価をする際は社員の声に耳を傾ける必要があります。

    ⑤役割評価

    役割評価とは、社員の職務内容に応じて人事評価をする制度です。

     

    役割評価には社員個人の能力や実績がより正確に把握しやすくなったり、社員にとって困難な業務を任されることがメリットになったりとさまざまな魅力があります。

     

    しかし、役割評価には主観的な評価が混同する可能性もあります。

     

    そのため、役割評価をする際は主観的な評価が入らないように役割を与える側の社員にも評価項目を定めておくとよいでしょう。

     

    役割評価をする際は、それぞれの社員の能力や適性な業務内容を事前に把握したうえで、その社員に適した役割を与えられるように心がけてください。

    人事評価制度を導入するまでの流れ

    ここでは、人事評価制度を導入するまでの流れを解説します。

     

    1. 現状分析(定量分析・定性分析)
    2. 人事評価制度を導入する目的の設定
    3. 評価基準の設定
    4. 評価項目の設定
    5. 評価方法の設定
    6. 導入までのスケジュール策定
    7. 実施後のフィードバック

     

    人事評価制度を導入するまでには、さまざまな工程を挟まなければいけません。人事評価制度を導入する際は、ここで解説した手順に沿って実施しましょう。

    現状分析(定量分析・定性分析)

    まず人事評価制度を導入するのであれば、現状分析から始める必要があります。

     

    現状分析では会社の現状を把握し、社員が自社の求める人物像になるために解決するべき課題を抽出します。

     

    例えば「それぞれの社員の協調性が足りずコミュニケーション不足によって生じるミスがある」「営業成績が好ましくない社員がいる」など現状分析して挙げられる課題は書き出しておきましょう。

     

    また、現状分析を行う際は、以下の2つの分析方法を活用し、自社の現状について事細かに分析をすることをおすすめします。

     

    定量分析

    数値データを用いた分析方法

    定性分析

    社員のインタビューやアンケートなど数値では表せないデータを用いた分析方法

     

    上記の定量分析や定性分析を実施することで、根拠に基づいた現状分析が実施できます。

     

    現状分析では自社が求める人物像と社員のギャップを挙げ、ギャップを解消できるような人事評価制度を作り上げていく必要があるでしょう。

    人事評価制度を導入する目的の設定

    次に、人事評価制度を導入する目的の設定を行いましょう。

     

    先ほど実施した現状分析で抽出された課題と求められる人物像を見比べて、何を目的にするべきかを考える必要があります。

     

    明確な目標を設定することで、目標までの道筋が立てやすくなります。

     

    例えば「会社の売上を30%向上させる」や「離職率を80%減少させる」など具体的な目標設定を考えるとよいでしょう。

     

    人事評価制度の目標設定をする際は、経営陣だけでなく、一般社員の声も反映させたうえで目標設定を行いましょう。

    評価基準の設定

    次に、等級制度の中から自社に合った評価基準の設定をする必要があります。先ほど解説したように人事評価制度における等級制度は、以下の3種類あります。

     

    • 職能資格制度
    • 職務等級制度
    • 役割等級制度

     

    例えば、職能資格制度を評価基準に設定すれば、社員の仕事内容と能力に応じて評価されるでしょう。しかし、役割等級制度を設定すれば、与えられた役割に応じた評価が下されます。

     

    つまり、評価基準に設定する等級制度によって人事評価制度の運用方法が大きく異なることになります。

     

    社員の気持ちを尊重した評価基準を設定するためにも、社員へ評価基準に関するアンケートを取ったうえで、評価基準の設定をするとよいでしょう。

    評価項目の設定

    評価基準の設定が完了したら、評価項目の設定もしなければいけません。評価項目の設定次第で社員の仕事への姿勢が大きく変化します。

     

    自社が求めている人物像に沿った社員へと育成できるように設定しましょう。また、評価項目の設定をする際は、設定例として以下の表を参考にしてください。

     

    業績評価

    業績目標達成度、日常業務成果、課題目標達成度など

    能力評価

    企画力、実行力、改善力、指示力、対人関係力など

    情意評価

    規律性、積極性、協調性、成長性など

     

    評価項目の設定では、すべての項目を満たしたら自社が求めている人物像に沿った社員へと育成できるのかを考えたうえで内容を決定しましょう。

    評価方法の設定

    評価項目の設定が完了したら、評価方法の設定をしましょう。

     

    例えば、「評価項目の半分以上を満たしていると認められたら給料が20%アップ」や「評価項目を1つ満たすたびに会社の系列店のカフェ半額クーポンをプレゼント」など評価方法を設定する際は、社員のモチベーションが向上する内容を選ぶ必要があります。

     

    社員が何を求めているのかが分からないのであれば、社員へアンケートした結果を評価方法に反映させてもよいでしょう。

     

    評価方法の設定では、社員の気持ちに寄り添ったうえで、適切な評価方法を考えましょう。

    導入までのスケジュール策定

    評価方法の設定を完了したら、導入までのスケジュール策定を行う必要があります。はじめて人事評価制度を導入する場合は、あらかじめ経営陣や一般の社員層に相談をしておきましょう。

     

    社員へ何も相談をしていない状態で人事評価制度を導入してしまったら、社員たちは混乱してしまって、導入に失敗してしまう恐れがあります。

     

    そのため、前もって全社員へ人事評価制度を導入する旨を周知したうえで、余裕のあるスケジュール策定をするように心がけましょう。

     

    実際に人事評価を導入する前に経営陣向けに評価研修、社員向けに人事評価制度説明会を開催することをおすすめします。

    実施後のフィードバック

    実際に人事評価制度を実施したら、フィードバックを行う必要があります。フィードバックを行う際に大切なのは、社員へ改善点を伝えることです。

     

    ただ闇雲にダメな部分を指摘しているだけでは、社員は成長しません。社員へ改善点を丁寧に伝えれば、具体的にどのような行動をすればよいのかが理解できるので、社員の育成につながります。

     

    また、人事評価で良い評価をされるために仕事へ取り組んだのに結果的に評価制度で十分に評価されなかった社員へのメンタルケアも大切です。

     

    結果的に評価されなかった社員のメンタルケアをしなかった場合は、モチベーション低下になり兼ねません。

     

    評価が十分でなかった社員へも改善点をフィードバックし、評価を高めるために今後どのような行動をすればよいのかを伝えましょう。丁寧にフィードバックをすれば、モチベーション低下を防げます。

    人事評価における代表的な手法5選

    ここでは、人事評価における代表的な手法として、以下の5つを解説します。

     

    1. 目標管理制度(MBO)
    2. 目標および成果指標(OKR)
    3. コンピテンシー評価
    4. バリュー評価

     

    人事評価をいざ導入しても、具体的にどのように評価すればよいのかが分からない方も多いでしょう。ここで解説した内容を参考にし、自社に合った評価手法を活用することをおすすめします。

    ①目標管理制度(MBO)

    目標管理制度とは、会社の方向性と社員の方向性を擦り合わせたうえで、それぞれの社員の目標を設定し、成果を出すまでの過程を管理をすることです。

     

    人事評価に目標管理設定を導入すれば、社員の主体性を向上させたり、目標を達成するまでのプロセスを評価したりできます。

     

    また、目標管理設定をする際は「新規顧客獲得率を先月より150%にする」といった具体的な指標にする必要があります。

     

    目標管理制度は、社員の主体性向上や目標達成までの工程を評価したい方におすすめの制度です。

    ②目標および成果指標(OKR)

    目標および成果指標とは、企業が決定する目標と目標達成のために必要な成果を結び付け、方向性を明確にする目標管理方法です。

     

    目標および成果指標ではチーム全体で行うべき業務内容が明確になっているため、迷わずに目標を遂行するための行動に移せるでしょう。

     

    そんな目標及び成果指標を設定する際は、以下の手順に沿って行ってください。

     

    1. OKRの目標を明確にしたうえで共有する
    2. 部署ごとに成果指標を設定する
    3. 個人の成果指標を設定する

     

    上記の手順に沿って架空の目標および成果指標を行うと、以下のようになります。

     

    1. 会社が運営している2つのYoutubeのチャンネル登録者数10万人を達成する
    2. 2つのチャンネルで毎日動画更新を行う
    3. 6,000文字ほどのシナリオを2本ずつ毎日執筆する

     

    目標および成果指標では、チーム内で進捗の可視化を行うことが大切です。上記の例を参考にしながら進捗状況を共有し、目標達成ができるようにしましょう。

    ③コンピテンシー評価

    コンピテンシー評価とは、仕事で成果を出している人の行動特性を評価基準として設定し、人事評価を行う制度です。

     

    コンピテンシー評価を実施すれば公平性のある人事評価ができたり、人材を効率的に育成しやすくなったりします。

     

    しかし、コンピテンシー評価は導入と運用の難易度が高く、制度導入には手間と時間がかかるデメリットもあります。

     

    そのため、コンピテンシー評価を導入する際はメリットとデメリットを見比べたうえで、導入を検討してください。

     

    また、コンピテンシー評価を導入する際は、自社で仕事の成果を出している人材を探し出して、その人物の仕事への取り組み方を社内に広めていけるとよいでしょう。

    ④バリュー評価

    バリュー評価とは、それぞれの社員がどのくらいの価値を発揮できたのかを相対的に評価する制度です。

     

    バリュー評価は、上司や同僚、部下など一緒に仕事をする複数人がさまざまな観点から多面的に評価する特徴があります。

     

    バリュー評価を導入すれば、評価される側だけでなく評価する側の立場も体験できるので、評価する側の気持ちが理解しやすくなるでしょう。

     

    評価する側の気持ちが理解できれば、どのような行動をすれば評価したくなるかが分かるため、社員の行動育成にもつながります。

    人事評価制度を導入する際のポイント

    ここでは、人事評価制度を導入する際のポイントとして、以下の4つを解説します。

     

    • 評価制度を多くしすぎない
    • 評価項目や内容などを定期的に見直す
    • 評価に関する明確なガイドラインを作成する
    • 公平性を保つ

     

    ここで解説した内容を参考にしたうえで、人事評価制度を導入しましょう。

    評価制度を多くしすぎない

    人事評価制度を導入する際のポイントとして、評価制度を多くしすぎないことが挙げられます。

     

    評価制度を多くしすぎると、社員を評価するのに手いっぱいになってしまい、他の業務を圧迫する可能性があるからです。

     

    加えて、社員を評価するのに疲弊してしまい、適切な評価を下せない可能性も考えられます。

     

    適切な評価が下せなければ、社員のモチベーション低下にもつながります。人事評価制度を導入する際は、運用の手間にならないようにするために評価項目を厳選しましょう。

    評価項目や内容などを定期的に見直す

    人事評価制度を導入したら、定期的に評価項目や内容などを見直した方がよいです。従業員数の増減や事業の拡大などで機能しなくなる項目も出てくる可能性があるからです。

     

    また、業務プロセスの変更をしたことで、業務そのものの進め方が変わってしまう可能性もあります。

     

    評価項目や内容などを定期的に見直し、機能しなくなっている項目がないかを確認しましょう。

    評価に関する明確なガイドラインを作成する

    人事評価制度を導入する際は、評価に関する明確なガイドラインを作成するとよいでしょう。

     

    評価に関するガイドラインをあらかじめ作成しておけば、ガイドラインに沿って評価するだけなので評価する作業が業務を圧迫する可能性は防げます。

     

    例えば、能力評価の項目のうち5つを満たしていれば、5段階評価のうち3にするといった決まりを設けておけば、評価される側も安心できるでしょう。

     

    評価に関する明確なガイドラインを作成し、人事評価をしやすい環境を構築することは大切です。

    公平性を保つ

    人事評価を導入する際のポイントとして、公平性を保つことは大切です。誰かがひいき的な人事評価をしてしまうと、社員は経営陣に関する不信感を持ち始め、退職してしまうかもしれません。

     

    人事評価制度の公平性を保つためにも、1人の社員に対する人事評価を複数の評価者で行うとよいでしょう。1人の評価者のみによる人事評価であれば、ひいき的な評価を付けてしまう方がいるかもしれません。

     

    しかし、人事評価を複数の評価者で行うことで公平性を保つことができ、安心して社員は人事評価を任せられるでしょう。

    人事評価制度の実践事例

    ここでは、人事評価制度の実践事例を3つ解説します。

     

    • 株式会社メルカリ(OKRとバリュー評価を主軸とした四半期ごとの評価)
    • ダイキン工業株式会社(成果主義による評価)
    • ChatWork株式会社(OKRでのチャレンジ度による評価)

     

    人事評価制度を実際に導入するとなると、うまくいくのかと不安に感じている方も多いでしょう。

     

    ここで解説した実践事例を参考にすれば、どのように人事評価制度を運用すればよいのかが把握できます。人事評価制度を導入することに不安を感じている方は、本記事を参考にしてください。

    株式会社メルカリ(OKRとバリュー評価を主軸とした四半期ごとの評価)

    フリマアプリの運営会社である「株式会社メルカリ」では、2015年からOKRとバリュー評価を主軸とした四半期ごとの評価を実施しています。

     

    メルカリは、目標を達成するためのプロセスで見られたパフォーマンスを確認するためにOKRを活用しています。

     

    また、メルカリでは、OKRの進捗確認をする際に全社員が集まる会議の前に必ず振り返り時間を設けたり、会議でOKRの進め方に関する討論が行われたりして定期的に進捗確認をしているのです。

     

    さらに、バリュー評価ではメルカリがミッションとして掲げている「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(すべては成功のために)」「Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」が実践できているのかが評価されています。

     

    このようにメルカリでは、会社特有の指標やルールを設けて人事評価に取り組んでいます。

     

    参考:DIO/OKRのリアルなハナシ~ (株)メルカリの場合~

    ダイキン工業株式会社(成果主義による評価)

    電機システム事業を展開している「ダイキン工業株式会社」は、成果主義によって人事評価をしています。ただ、従業員が働きやすいように環境整備に努めているので、成果さえ収めれば働きやすい会社といえるでしょう。

     

    例えば、ダイキンは育児休暇を取得しやすかったり、希望者は70歳まで再雇用制度を利用できたりと自身のライフプランに沿った働き方が実現できます。

     

    このようにダイキンは働きやすい環境を構築しているため、厳しい成果主義を設けていても社員は離職することなく、働き続けていられるのでしょう。

     

    参考:@人事/キーエンスやダイキン工業が成果主義を導入させた理由とは

    Chatwork株式会社(OKRでのチャレンジ度による評価)

    ビジネスコミュニケーションツールChatworkの開発や運営を行っている「Chatwork株式会社」では、OKRを人事評価として導入しています。

     

    しかし、導入当初は意図的にOKRの目標を低く設定して評価が下がらないように行動をしていた社員も見受けられたため、OKRをチャレンジ度で評価するようにシフトチェンジしています。

     

    このようにOKRは、目標達成度だけでなくチャレンジ度による評価をしても問題ありません。OKRを導入する際は、自社の雰囲気に沿った評価をするとよいでしょう。

     

    参考:組織づくりベース/【OKR最前線vol.2】Chatwork流「完璧を求めない」「カッコつけない」理想の会社に近づけるためのOKR運用

    適切な人事評価制度は社員のモチベーションと組織力を向上させる

    今回は、人事評価制度の評価基準やシステムの導入方法、導入事例について解説しました。

     

    人事評価制度では、等級制度や評価制度、報酬制度などの評価基準を連携させることで、社員のモチベーション向上につながる組織づくりへと活用することができます。

     

    また、人事評価制度を導入する際は、現状分析からフィードバックまで7つの工程を挟む必要があるため、半年~1年ほどかけて準備しておくとよいでしょう。

     

    人事評価制度の導入を検討している方は、本記事を参考にしてください。

     

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