企業の存在こそが社会貢献である

    記事公開日: 2024.06.19

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    近年、企業の社会貢献が注目されています。
    そもそも社会貢献とは、次のように定義されています。

    社会貢献

    社会生活の向上のために尽力すること。特に企業が日常の業務とは別に行なう公益活動。

                        (精選版 日本国語大辞典「社会貢献」より)

     


     しかし、公益活動とは、ボランティアや寄付などの、いわゆる「慈善活動」のようなものだけを指すものではありません。企業だからこそできる社会貢献が存在します。

     それでは、企業だからこそできる、社会貢献とは何なのでしょうか?そしてどのような影響が企業にもたらされるのでしょうか?
     
     この記事では、古田土会計の顧問先4,000社の経験も踏まえた、企業の社会貢献について、ご紹介します。

     

    1.企業の社会貢献とは

    1.1企業の存在こそが社会貢献

     

    そもそも、企業はただ金銭的な利益のために存在しているわけではありません。なぜならば、社会の役に立つ「使命感」や、「実現したいビジョン」などの志を持って設立されているからです。


     2022年版中小企業白書によると、87.1%の企業が経営理念・ビジョン:経営者及び組織体の明確な信念・価値観・行動規範、を策定しています。その内容を見ると、3番目に多い回答が「社会への貢献・社会的使命」となっています。

     経営の神様とも呼ばれる、松下幸之助氏(パナソニック創業者)は、企業の使命として、次のように表現しています。

    人々の生活に役立つ優れた品質の商品やサービスを、適正な価格で、過不足なく供給し、社会の発展に貢献するのが企業の本来の使命だ<中略>そして、こうした使命を持つ企業の持ち主は、企業自身ではなく、社会のものであると考え、これを、「企業は社会の公器」という言葉で表しました。


    (パナソニックHPより)

     つまり、社会の役に立つという志や、使命感が企業の存在理由であることを考えると、その企業が社会の為に役に立つ商品・サービスを提供する事こそが、一番の社会貢献であるといえます。

     決して、寄付やボランティア活動などだけが、企業の社会貢献ではないのです。

    1.2社会貢献できているから利益が出る

    企業の存在こそが社会貢献と述べましたが、しかし、同時に企業が求める利益とは、両立しえないのではないか?という疑問があります。
     
     先ほど紹介した、パナソニックのHPにはこのような文章が続きます。

    企業の目的は利益の追求だとする見方があります。しかし、パナソニックグループは利益を「社会に貢献した報酬として社会から与えられるもの」と考えています。すなわち、社会への貢献の度合いに応じて利益も大きくなり、逆に、利益を生んでいない状態は、企業がその社会的責任を果たしていない、あるいは社会的責任を果たす力が不足している状態であり、ただちに改革が必要であると認識することができます。

     

    また、企業は顧客、事業パートナー、株主、社会など、多くの関係先とさまざまな形の関係を保ちながら経営を行っています。「社会の公器」である企業は、そうした関係先の犠牲の上に自らの発展を図ることは社会から認められず、全ての関係先と共に発展していくことこそ、企業を長きにわたって発展させる唯一の道なのです。


    (パナソニックHPより)

    企業は利益を追求しなければなりませんが、その利益は、企業の事業がいかに社会に貢献しているか、そしてその利益は社会貢献の報酬として還元されるもの、と定義しています。

    つまり、利益の上がる健全な企業は、社会貢献ができている企業であるといえるのです。

     その為、企業で利益が上がり、その利益を事業に再投資して、さらに会社も発展することは、企業が求められている健全な社会貢献であり、企業が第一に取り組むべきであるといえます。

    2.社会貢献となる事業が企業にもたらすもの

     
     第1章では、企業は、社会貢献のために事業を行っており、その結果生まれた利益は、社会貢献の報酬である事をお伝えしました。
    逆の観点から言うと、利益の出ている企業は、その企業の事業自体が社会貢献につながっていて、健全な企業である、と言う事もできます。

    では、事業が社会貢献となっている企業にもたらされる「果実」は利益だけなのでしょうか?

    正解は、それだけではありません。

    事業が社会貢献になっている企業には、利益のほかにも得られる果実があり、それが次の社会貢献につながる事業に再投資、つまり循環しています。

    この章では、社会貢献につながる事業を行うことによって、利益のほかに得られるものをご紹介します。

    2.1ブランド価値の向上

     社会に受け入れられ、必要とされる事業は、企業自体の価値・ブランドイメージの向上につながります。特に、地域密着で事業を行っている中小企業において、地域社会での企業価値の向上は、自社の存続にも直結します。

     例えば、消費者庁の調査では、社会貢献(エシカル消費(倫理的消費)やSDGs)に取り組む企業の商品を購入したいと回答した割合は半数以上となっています。商品・サービスの良し悪し・価格だけでなく、社会に貢献できる企業の商品かどうか、も消費者の購買選択の場面で、重要な観点となっています。


     
    (消費者庁 令和4年度第3回 消費生活意識調査)
     

    2.2社員の意欲向上

     社会に貢献している事業を行うことは、従業員にとっても大きなメリットがあります。
     
     2023年のパーソル総合研究所の調査では、就業者の社会貢献意識(ソーシャル・エンゲージメント)が高い従業員は、低い従業員と比べ幸せな活躍をしている割合が2.9倍であり、パフォーマンスなどの指標も高い傾向にあるとの調査が発表されています。

     科学的にも、企業が積極的に社会貢献を行うことによって、そこで働く従業員の満足度(仕事に対する誇り・やりがい)が上がり、離職率や生産性向上につながります。

     

     


     (パーソル総合研究所「就業者の社会貢献意識(ソーシャル・エンゲージメント)に関する調査」)

     

    2.3人財の確保

     2020年に就活中の大学生向けに行った、就職先企業に決めた理由の調査では、第1位が「社会貢献度が高い」事でした。

     人手不足に悩んでいる企業も多い中、優秀な人財を確保するためには、企業の社会貢献が重要な要素となっています。
     

    (株式会社ディスコ「就活生の企業選びと SDGs に関する調査」)
     

    3.社会貢献に取り組む企業の事例

     第3章では、事業が社会貢献として受け入れられ、健全な経営を行うことができている企業をご紹介します。

    3.1日本理化学工業

     国内シェア70%を超えるチョークのトップメーカーです。
     経営理念「日本一強く、優しい会社を目指す。経営的にも強く、精神的にも強く、人に優しく接することができ、人と環境に優しい商品を作り続ける。」の通り、全従業員の70%以上は知的障がい者の方で占められています。また、主力のチョークの原材料は、ホタテの貝殻であり、安全な製品を作り続けています。
     
     まさに、事業を通して社会貢献に取り組む代表例です。

    3.2富士メガネ

     創業者の「モノが見えることで、人生を助けることもできる」の言葉をきっかけに、1983年から世界各地の難民キャンプを訪問し、本業で培った技術を基に、メガネを贈る活動をされています。
     また、従業員満足も高く、従業員の平均勤続年数は20年を超えており、社会貢献に取り組む事は企業の業績と両立できることを証明している企業の一つです。
     2024年には「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 第1回「内閣総理大臣賞」を受賞しています。 

    3.3パン・アキモト

     
     防災向けの備蓄パンとして開発した、缶入りパンの製造企業です。備蓄用であるため、多くが消費されないことをきっかけに、備蓄期限を迎えたパンを、世界各地の義捐先へ送る商品である「救缶鳥」という商品を開発しました。
     事業を通して、防災と食糧危機双方の解決に取り組む企業です。

    4.まとめ

     企業における社会貢献とは、事業そのものであるべきであり、企業の存在こそが社会貢献であることをご紹介しました。

     私たち古田土会計も、「日本中の中小企業を元気にする」という使命感の下、商品開発・社員教育・寄付活動に取り組んでおり、現在4,000社の顧問先を抱える国内最大規模の会計事務所グループへ成長をしました。
     是非、社会貢献に興味を持たれた方は、まずは、自社の事業について考えてみてはいかがでしょうか。もちろん、私たちにもご相談ください。この記事では触れることのできなかった、様々な取り組みについても、ご紹介いたします。
     

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