FSってなに?ビジネスでよく使われるFSと事業計画の関係性とは

    記事公開日: 2023.10.31

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    FSとは、フィジビリティスタディ(Feasibility Study)の頭文字をとった略称で、ビジネスプランの実現可能性を調査することです。

     

    FSを実施すれば、企業の新事業や新サービスを実施する前に実現できるものなのかについて具体的な調査ができるため、ビジネスを開始して採算が取れずに損失を被るリスクを回避しやすくなります。そこで今回は、FSの要素や実現性の手順、具体例について解説します。

     

    本記事を読めば、FSの要素や実現性の手順などが把握できるため、自社が取り組む事業計画の実現可能性を予測できるでしょう。

    FSとは

    FSとは、企業の新事業や新サービスを実施する前に実現できるものなのかを具体的に調査・検証することです。実際にビジネスを手掛ける前に実現できる可能性を調査することで、事業に失敗して大きな損失を被るリスクを軽減できます。

     

    FSで実施する調査範囲は幅広く「企業の理念と一致しているのか」「自社が保有している技術による提供と、想定する価格の両方が実現できるのか」など、さまざまな視点で調査する必要があります。

     

    また、FSを実施する期間はビジネスの規模やプロジェクト内容によって異なっており、事業規模によってはFSが完了するまで数年間かかる可能性も考えられるでしょう。

     

    特に新しいビジネスを展開する場合や投資先が海外になる場合はより詳細なデータを収集しなければいけないので、長期間にわたって調査を実施するべきです。

     

    もし、FSを実施して課題が発見された場合は計画の変更や代替案の用意などをしたうえで、計画を練り直す必要があります。FSを作成する際は、課題が発見された場合でも対処できるようにスケジュールに余裕を持たせておくとよいでしょう。

    FSの歴史を知ろう

    FSを最初に実施したのは、1993年当時アメリカの大統領だったフランクリン・ルーズベルトです。彼はテネシー川流域開発公社を設立し、川の近くへダムや原子力発電所の建設などの公共事業をいくつか展開しました。

     

    その際に、彼が経済的・技術的な面や環境の配慮、経済的な面などさまざまな側面における調査を実施したため、その結果として雇用の安定化につながりました。

     

    幅広い側面における調査を実施したうえでビジネスを展開することで、リスクを最小限に抑えて事業が開始できるのです。過去の歴史もふまえてリスクを最小限に抑えてビジネスを展開したいのであれば、FSを活用しましょう。

    FSとPoCの違いとは

    FSはビジネスを実現できる可能性を表す手順であることに対し、PoC(Proof of Concept)は商品やサービスの実効性を調査するための概念です。つまり、FSは実際にビジネスが実施できるのかを調査するのに対し、PoCは事業を実施するうえで得られる効果を表しています。FSとPoCの違いを表に記載すると以下のとおりです。

     

    FS

    PoC

    企業の新事業やサービスなど新たな取り組みが実現できる可能性を調査すること

    新技術や新商品を導入する前に技術面や運用面、コスト面から得られる効果を検証すること




    FSとPoCの違いについて具体的に把握するためにも、以下の2つの内容を理解するとよいでしょう。

     

    • 事業計画とFSは密接な関係性にある
    • FSをおこなう場面はいつなのか

     

    ここで解説した内容を理解し、FSがどのような概念なのかを具体的に理解を深めましょう。

    事業計画とFSは密接な関係性にある

    事業計画とFSは密接な関係性にあります。事業計画に記載している事業内容が実際に実現できるビジネスなのかをFSで確認できるという役割があるからです。

     

    例えば、海外で事業を展開する場合は事業を実施する国の社会情勢や競合他社、税制などの環境を事前に調査しなければいけません。FSでは事業を実施する国の社会情勢や税制などを把握したうえで実現できる事業なのかを判断できます。

     

    自社が実施する事業内容が実現できるものなのかを客観的な指標で確認するためにも、FSで実現する可能性を調査する必要があるのです。

    FSをおこなう場面はいつなのか

    FSは事業計画を作成した後に実施しましょう。FSは、自社が実施する事業内容が実現できるのかを調査するための方法だからです。ただ、FSは事業の規模によって数年間かかる可能性があるため、あらかじめ余裕をもってスケジュールを作成しておくとよいでしょう。

     

    FSは事業計画を作成した後に実施して、自社が考えた事業計画が実際に実現できるのかを確認してください。

     

    FSを行う前に事業計画書のスケジュールを組みましょう。スケジュールの立て方についてはこちらのページで説明しています。ぜひご参考ください。

    『事業計画の2つのスケジュール|それぞれの立て方を解説【テンプレート有り】

    FSの4つの要素とは

    FSに含まれている要素として、以下の4つを解説します。

     

    FSの要素

    説明

    技術的FS

    新たな商品やサービスを顧客へ提供する際に市場ニーズに応えられるほどの技術力があるのかを調査する

    財務的FS

    事業を開始させるための必要な資金を予測して実現性可能なのかを調査する

    市場におけるFS

    政治・経済・社会への動向や市場予測、競合先の分析などを外部要因として分析して事業として成り立つ可能性を予測するもの

    運用面におけるFS

    開始させた事業を最後まで遂行できるのかを調査する

     

    FSと事業計画の関係性を理解するためには、FSに含まれているさまざまな要素を把握する必要があります。ここで解説した要素を参考にしたうえで、FSを実施しましょう。

    ①技術的FS

    技術的FSでは、商品やサービスを企画する際に自社が所有している技術で生産可能なのか、継続的に商品やサービスを提供し続けられるのかを評価します。

     

    事前に商品やサービスを自社の技術で生産できるのかを調査すれば、事業へ取り組んでいる途中で商品が生産できない事態に陥ることを防げます。

     

    また、継続的に商品やサービスを提供し続けられることを理解しておけば、将来性のある事業かどうかについて早期に見極めることが可能です。技術的FSに含まれる内容は施設や設備面のみではなく、技術力のある人材を確保することも重要な評価要素です。

     

    技術的FSを確認して自社の技術で構想した商品やサービスを顧客へ提供し続けられるのかを考えてみましょう。

    ②財務的FS

    財務的FSでは、事業を実施するうえで必要となる資金を予測して自社の会計状況を圧迫していないかを調査します。具体的には、企画から事業化にかかるまでの投資金額や事業を実施することで得られる利益水準を推測してください。

    ③市場におけるFS

    市場におけるFSでは、政治・経済・社会の動向や市場予測、競合他社の分析など外部要因を調査したうえで、市場の中で優位性を勝ち取っていけるのかを確認します。

     

    市場におけるFSを実施すると、自社がどのように商品やサービスを顧客へ提供すれば市場を生き抜いていけるのか推測が可能です。競合他社に負けない自社商品やサービスを顧客へ提供するためにも、市場におけるFSを実施する必要があります。

    ④運用面におけるFS

    運用面におけるFSでは、始めた事業をすべて完了させられるのかを評価します。具体的に運用面におけるFSでは、以下の4つの内容について精査するとよいでしょう。

     

    • 事業を遂行させられるほど社内で協力が得られる環境が構築できているのか?
    • 運用面での知識やノウハウを保有しているのか?
    • 事業に携わる社員の人数は十分に足りているのか?
    • 事業を運用するうえで把握しておくべき法的要件を理解しているのか?

     

    上記の4つの内容を精査したうえで、運用面における事業の実現する可能性があるのかを調査してください。

    FSの実現性手順とは

    FSは以下の手順に沿って実現するとよいでしょう。

     

    1. 課題の明確化
    2. 方向性の決定
    3. 課題の解決方法の策定とリスト化
    4. 代替案の策定
    5. 調査と分析
    6. 結果の評価

     

    FSはさまざまな業務を実施しなければいけないため、どの業務から遂行するべきかと悩みが生じてしまう場合があるかもしれません。ここで解説した手順に沿って適切なFSを実現してください。

    課題の明確化

    FSを実現する際は、最初に課題の明確化を実施しましょう。課題の明確化では、自社が保有している技術や事業を遂行するうえでかかる期間など新事業を実現するうえで課題となる内容を洗い出す必要があります。

     

    課題の明確化を実現できれば、自社の事業計画を遂行するうえで改善するべき部分が把握できるため、客観的に実現できる事業なのかが判断しやすくなります。事業内容の課題が改善しようがないものであった場合は、計画の変更や代替案の実施をするとよいでしょう。

     

    課題の明確化を実施することで、事業が実現のしやすいものなのかが把握できます。事業の実現性を理解するためにも、自社が抱えている課題の明確化をするべきです。

    方向性の決定

    課題の明確化が完了したら、方向性の決定をする必要があります。方向性を決定しないとどのようにFSを実施すればよいのかが分からないからです。方向性の決定をする際は、具体的なFSを実施する際のスケジュールを作成するとよいでしょう。

     

    具体的なスケジュールを作成すれば、いつまでにどの業務を誰が実施すればよいのかが明確化できるため、社員がFSの作成を実現しやすくなります。

     

    もし、FSを作成する際に方向性を決定しなければ延々と予定を引き延ばしてしまう可能性があるため、いつまで経っても事業計画が遂行できないかもしれません。迅速に事業計画を実施できるようにするためにも、FSを作成する際は方向性の決定をするべきです。

    課題の解決方法の策定とリスト化

    FSの方向性が決定したら、課題の解決方法の策定とリスト化を実施しましょう。課題を明確化したとしても課題の解決方法を作成しなければ、どのように課題を改善すればよいのかが分からないからです。

     

    事業の課題を解決せずに事業内容を遂行していても安心して業務へ取り組みにくいため、FSを作成する際は課題の解決方法をリストアップしましょう。例えば、どのような業務プロセスに改善すれば、自社が抱えている課題を解決できるのかを明確に記載してください。

     

    課題に対する解決方法を記載することで、新規事業を成功させるためにはどのような行動が必要なのかが明確化できるでしょう。

    代替案の策定

    課題の解決方法の策定とリスト化が完了したら、代替案の策定を実施する必要があります。代替案の策定をすることで、事業を実現すると悪い結果になると推測した場合に即座に次の行動に移せるため、業務効率化につながります。

     

    例えば、メンズアクセサリーを店舗販売する事業を実現すると自社の経営状況が悪化すると推測した場合は、インターネットショッピングでアクセサリー販売を実施しましょう。インターネットショッピングで商品販売をすれば店舗維持費を支払う必要がないからです。

     

    上記の例のように事業が上手くいかないことを常に想定していくつかの代替案を策定しておくべきです。効率的にFSの作成を実施するためにも、課題解決方法の策定が完了したら代替案を策定しましょう。

    調査と分析

    代替案の策定が完了したら、調査と分析を実施してください。調査と分析では、技術的・財務的・市場・運用面の4つの評価項目に基づいて実施します。

     

    例えば、技術的なFSを調査したいのであれば、実際に経営陣が現場に赴いて自社の技術力で事業計画に記載されているモノを製造できるのかを確認してください。

     

    財務的FSでは、自社の財務状況を確認して自社にどれほどの資金があって事業に必要な資金をどれくらい用意すべきなのかを検討することで矛盾点がないのかを確認してください。

     

    市場におけるFSではSWOT分析を活用すれば、自社の外部的要因や内部的要因の強みと弱みを把握できるので、競合他社との差別化が図りやすくなります。

     

    運用面におけるFSでは事前に作成したチェックリストを基に最後まで事業をやり遂げられるのかを分析しましょう。

    結果の評価

    調査と分析が完了したら、結果の評価を実施するべきです。FSで明らかになった自社の事業内容における評価では、下記の4つのポイントを整理しましょう。

     

    1. 新規事業の目的と課題
    2. 要求や制約事項
    3. 課題や要求事項の解決方法・達成方法
    4. 効果検証による実現可能性や期待効果

     

    上記の手順通りに結果の評価をすれば、自社が実施を検討している新規事業を実施するべきなのかが判断しやすくなります。上記の手順に沿って結果の評価をして事業内容を実施すべきかどうかの適切な判断を下してください。

    FSの具体例

    FSの具体例として、以下の3つを解説します。

     

    • TVA
    • タンザニア
    • バングラディッシュ

     

    FSについて理解をしたとしても具体例がないと想像しにくい傾向があります。ここで解説した具体例を参考にしたうえで、FSを実現しましょう。

    TVA

    TVA(テネシー川流域開発会社)は、アメリカのルーズベルトが世界恐慌対策に設立した会社です。TVAは最初に実施されたFSといわれており、テネシー川流域にダムや原子力発電所を開発したことで雇用の安定化につなげています。

     

    ダムや原子力発電所を設立したことで、多くの労働者が働く場所が生まれたからです。TVAがFSを実施した際は環境負荷が大きい具体例であったため、経済面や技術面、環境配慮面などさまざまな側面から調査・検証が実施されています。

    タンザニア

    タンザニアに干し芋の製造・販売をする事業が実現できるのかを調査した会社があります。干し芋の製造・販売の実現する可能性を調査するために、現地の小売店でテスト販売を実施して顧客のニーズの確認や試作生産なども実施しています。

     

    タンザニアの企業がFSを実施した結果、タンザニアは干し芋の需要が高くて生産可能だと判断できたため、実際に干し芋の事業が実現されているのです。

    バングラディッシュ

    バングラディッシュは、現地のNGOと協力して発電装置のFSが実施されています。具体的にバングラディッシュで実施したFSでは、無電力地域の低所得者へ発電装置を利用した電力供給モデルを構築することが目的でした。

     

    結果的には、無電力地域の生活様式を把握して電力供給モデルの実現する可能性が把握できたため、バングラディッシュでは電力供給モデルが構築されています。

    FSは事業計画の意思決定において非常に重要な役割を担っている

    今回は、FSの要素や実現性手順、具体例について解説しました。FSは、技術的・財務的・市場・運用面の4つの要素が含まれていることを把握したうえで作成するとよいでしょう。

     

    また、FSを作成する際は課題の明確化から結果の評価まで手順通りに実施して自社が実施しようと検討している事業計画の実現する可能性がどれくらいなのかを判断してください。本記事で紹介した具体例を参考にしたうえで、FSを事業計画の実現に活用しましょう。

     

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