ウェルビーイング経営とは?ウェルビーイング経営を進めるための4つのポイント

    記事公開日: 2024.01.30

    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)

    ~ウェルビーイング経営のスタートは社長の意思決定から!~
    想いを形にする『マネるだけ、埋めるだけで作れる
    経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)』

    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)

    ウェルビーイング経営とは、社員が身体的かつ精神的に良好であるように職場環境を整え、組織を活性化させる経営手法のことであり、その目的は、社員の意欲、モチベーション、エンゲージメントを高め、業績向上につなげていくことです。

     

    一方で、パーパス経営、健康経営等同じような概念では?と思える言葉もあり具体的にウェルビーイング経営を理解することが難しくなっているのではないでしょうか。

     

    そこで今回の記事では、ウェルビーイング経営の定義を確認し、類義語との違いやウェルビーイング経営に必要なポイントを解説していきます。

    1ウェルビーイング経営とは?

    1.1 広義のウェルビーイング経営の定義

    まず、「ウェルビーイング(well-being)」の定義です。

    世界保健機関(WHO)の憲章による「健康の定義」において、

     

    「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあること」

     

    と定義されています。

    公益社団法人日本WHO協会HP

     

    こちらを端的に表すと、「幸福」や「幸せ」となります。           

    また上記HPでは続いて、

     

    「世界中すべての人々が健康であることは、平和と安全を達成するための基礎であり、その成否は、個人と国家の全面的な協力が得られるかどうかにかかっています。」

     

     

    と記載されており、これらを会社に置き換えると、

                  「企業に関わる全ての人を幸せにする

     

     

    と言えます。

     

    また、「幸せな職場の幸福学」という本にはこのように記載されていますが、概ね同じ意味あいになります。

     

    これからの時代に求められる組織とは、集団主義の良さも個人主義の良さも兼ね備えた組織、つまり「ウェルビーイングな組織」であると考えている。

     

     個人か集団に偏るのではなく、「個人の幸せ」と「皆の幸せ」のどちらも大切にするのがウェルビーイング第一主義である。

     

    小学館 『幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方』 前野隆司 著

    1.2 狭義のウェルビーイング経営の定義

    狭義のウェルビーイング経営で考えると以下の通りとなります。

    「企業に関わる全ての人々」という概念が社内や個人に限定される形です。

     

    従業員や組織のメンバーの心身の健康と幸福に焦点を当てたアプローチ

     

    1.3ウェルビーイング経営が注目され始めた背景

    ウェルビーイング経営が注目されるようになった背景は主に5つです。

     

    1)労働環境の変化

    働く人々は単なる給与だけでなく、働きやすい環境や仕事の満足度も求めるようになったこと。

     

    2)ストレスやメンタルヘルスの認識の向上

    従業員のメンタルヘルスのサポートが組織の健全な運営に欠かせないとの認識が広まったこと。

     

    3)生産性とイノベーションの向上への期待

    従業員の幸福感や健康を向上させることが生産性やイノベーションに寄与するという研究や実践例が増えたこと。

     

    4)社会的責任の視点の強化

    企業の社会的責任が強調され、企業は単なる利益追求だけでなく、ステークホルダーや社会全体に対して貢献する姿勢を求められるようになったこと。

     

    5)人材競争の激化

    ウェルビーイング経営は優れた労働条件や職場環境の整備を通じて、企業が優れた人材を引きつけ、定着させる手段として注目されています。

     

    また、カネ・モノ・地位といったインセンティブ(外発的動機)よりも、皆が各々の幸せを目指して働くこと(内発的動機)が見直され始め、世の中が短期的な幸せではなく、長期的な幸せを求めるようになってきたことが大きな背景にあると考えられます。

    2ウェルビーイング経営と類義語の比較

    2.1 ウェルビーイング経営とパーパス経営

    ウェルビーイング経営は主に組織内外の個々の健康と幸福に焦点を当てていますが、パーパス経営は企業が社会的な目的や存在意義・価値観を持つことを重視しています。

     

    このような意味では、パーパス経営がウェルビーイング経営よりも上位概念にあり、パーパス経営を行う上での一要素としてウェルビーイング経営があると言えます。

     

    つまり、パーパス経営は「あり方」や「姿勢」に近く、ウェルビーイング経営はより「手法」に近い概念とも言えます。

     

    ※参考 パーパス経営とは?パーパス経営を進めるための3つのポイント

    2.2 ウェルビーイング経営と健康経営

    健康経営は、主に従業員の健康に焦点を当てたアプローチとなり、体力の維持や病気の予防、健康プログラムの提供などが含まれます。

    特に、生活習慣病の予防や健康診断、健康促進プログラムなど、具体的な健康面において企業が積極的に取り組むことが特徴となります。

     

    これらの意味では、ウェルビーイング経営を行うための具体的な要素(下位概念)と言えます。

    3ウェルビーイング経営の事例

     

    ・株式会社デンソー

    デンソーのHPではウェルビーイングという言葉も使われ、以下のような記載のあり積極的に取り組まれている様子がうかがえます。

     

    「デンソーでは現場を大切にする文化があり、各職場に『健康リーダー』を置いています。職場ごとで働き方もコミュニケーションも違い、抱えている課題も違う。そのため、リーダーがメンバーの特性やチームの状態を確認して、その現場に合った施策を考案・実施しています。」

     

    「誰もがウェルビーイングでいられる環境を自分たちから――そんな思いを胸に、私たちはこれからも「健康経営」に力を入れていきます。」

     

    株式会社デンソー HP

     

    ・味の素株式会社

    「わたしたちのウェルビーイング」というページで味の素株式会社のウェルビーイングに関する取り組みが紹介されています。

    例えば、「ウェルビーイングの鍵は料理にあった!」と題して、味の素社が 「食・料理」を通じて、ウェルビーイングに向き合うプロジェクトの第一弾として実施した慶應義塾大学との共同調査研究のレポートやインタビューが掲載されています。

     

    味の素株式会社HP

     

    ・積水ハウス株式会社

    「積水ハウスの幸せ健康経営」というタイトルで方針、体制、目標、戦略マップなどウェルビーイング経営を進めるための施策が具体的に紹介されています。

     

    冒頭では、以下のように表現されています。

     

    「世界一幸せな会社」を目指すには、従業員一人ひとりが健康で、社内外でいきいきと充実した生活を送ることが必須条件となります。そして、活力に溢れた従業員の力は、企業の持続的な成長、 イノベーションの創出に不可欠です。そこで、従業員の健康の維持増進に向けた取り組みを重要な経営課題として位置づけ、「幸せ健康経営」の方針を定めて取り組んでいます。

     

    積水ハウス株式会社HP

    4ウェルビーイング経営と人を大切にする経営

    ウェルビーイング経営を広義の定義で捉えると、古田土会計グループでも取組み、推奨している「人を大切にする経営」と重なります。

     

    人を大切にする経営とは、人を大切にする経営学会の会長である坂本光司氏が提唱されている考えです。

    具体的には、以下のような考え方です。

     

    「業績や効果・効率、あるいはライバル企業との勝ち負けを中軸に据えた経営学ではなく、関係する人々の幸せこそを、最優先・最重視する経営学」であり、関係する人々とは

     

    • 社員とその家族
    • 社外社員(仕入先・外注先など)とその家族
    • 現在顧客と未来顧客
    • 地域住民、とりわけ障がい者や高齢者など社会的弱者
    • 出資者ならびに関係機関

     

     

    こちらはより広範で2.1で解説したパーパス(あり方)に近い概念とも言えますが、その意味では、広義の定義で示したウェルビーイング経営を進めるにあたっては、このような考え方・価値観が必須と言えます。

    5ウェルビーイング経営に必要な4つのポイント

    ウェルビーイング経営を実践するためのポイントは一言で表すと「PDCA」の実践です。

    以下、細かくみていきます。

    5.1 P:経営計画書を作成して方針を示す

    まず、会社として「ウェルビーイング経営」に取り組むという方針を明確に社内外に示すことです。

    そのためには、経営計画書を作成してそこに明記することをお勧めします。

     

    3章の事例のようにHPに記載する、という方法もあります。

    上場会社であればむしろその方が多くの利害関係者に触れるためよいかもしれません。

    しかし、それ以外の企業で社員に落とし込む、ということを重視すると経営計画書を作成することがベターです。

     

    参考 毎年1,000社超の企業に指導してきた経営計画書の書き方

    5.2 D:組織に浸透させる

    次に、作成した経営計画書(=MVV)を如何に浸透させるかです。

    それには、「仕組化」と「行動」が必須です。

    詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

     

    参考 ミッション・ビジョン・バリューを浸透させる秘訣

    5.3 C:チェック体制の構築と満足度調査で定点観測する

    チェック体制にも色々あると思いますが、ここでいう、もしくは今回のテーマでいうチェック体制の構築とは、衛生委員会の設置です。

    ウェルビーイング経営を具体化すると健康経営の要素が大きくなります。そこをチェック・改善していく機関の中心が衛生委員会となります。

    業種によって概ね50人以上の会社は設置義務がありますが、義務だから設置していて実際は機能していない会社も多くあります。

    目的を見失わないようにすることが肝心です。

    参考に、古田土会計の機関か以下の通りです。

     画像1-Jan-30-2024-01-34-17-9801-AM

     

    厚生労働省HP 安全員会・衛生委員会について

     

    続いて満足度調査です。

    満足度調査には2種類あります。

     

    • 社員満足度調査
    • お客様満足度調査

    会社の施策を社員・お客様がどのように感じているのか、更に言うと、会社は社員・お客さまのために良かれと思って実施していても、実際は逆に働いていることもあります。

    そのチェックの意味でも実施をお勧めします。

     

     

    古田土会計の社員満足度調査

    古田土会計のお客様満足度調査

     

    5.4 A:改善する

    5.3の結果等を踏まて必要に応じて改善していきます。

    その際に、社員には「~~という結果を踏まえて~~という風に改善します。」と伝えることが大事です。

     

    せっかく改善策を打ち出しても前段の「~~という結果を~」という部分が抜けると社員は「また何かやりだした、、、」「意味ないことを、、、」と思いがちになります。

    努力が無駄にならないように気を付けて下さい。

    6まとめ

    以上、ウェルビーイング経営とは何か?を中心に解説してきました。

    中小企業で「ウェルビーイング経営」を大々的に打ち出して取り組んでいる企業は少ないと思いますが、「人を大切にする経営」と表現すると少し感じ方が違うのではないでしょうか。

    何でもそうかもしれませんが、言葉の定義に縛られすぎないことが肝要です。

    ウェルビーイング経営とは?とあまり細かく求めすぎず、自社の価値観・方針を明確にする中でこのような要素が含まれていることが大切です。

    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)

     

    ~ウェルビーイング経営のスタートは社長の意思決定から!~

    想いを形にする
    『マネるだけ、埋めるだけで作れる経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)』

    マネるだけ、埋めるだけで作れる 経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)

    いかがでしたか?お気に召したのであればシェアはこちらから。

    PDF書籍 無料プレゼント