多くの企業で、融資を引っ張ってきたり、新たに事業展開したりする際に用いられる事業計画書。
しかし、いざ作成しようと思っても、いきなり壮大な計画を作り始めてしまったり、細かい部分から作成してしまったりと、思うように作成が進まない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、事業計画を作るうえで役立つ骨子について、事例を交えてわかりやすく解説します。
必ず押さえておきたい9要素が理解できますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.骨子から作ると事業計画作成がスムーズになる
事業計画は骨子作りから始めることで、スムーズに作業が進みます。
なぜなら、核となる要素(骨子)が固まることで、その後の作業をムダなく進めることができるからです。
そもそも、事業計画を作るのは、
「融資を受けるため」
「補助金を受けるため」
「社内で企画を通すため」
「新規事業の立ち上げのため」
「計画的な経営をしたいため」
など、何かしらの目的のためであり、必ず自社・自分の想いを伝える相手がいます。
つまり、相手に伝わる内容で作成する必要があり、伝えるべき核となる要素(骨子)がズレていれば、いくら計画書の見た目や伝え方を工夫したところで、ムダな作業となってしまうことがあります。
まずは骨子を作ることで、ムダを省き、スムーズに事業計画の作成を進められます。
2.事業計画を骨子から作ることのメリット
事業計画を骨子から作ることのメリットを整理すると、以下のようなものが挙げられます。
- 途中で方向性がぶれない
- 余計な時間がかからない
- 相手にも伝わりやすい
- 必要に応じてあとからグラフや表を追加できる
- 自分たちも事業や商品に関して魅力や強みを再確認できる など
事業計画を骨子から作ることで、相手に伝わりやすい事業計画を作成することができます。
その結果、資金調達が受けられたり、事業展開を有利に進められたり、期待する成果に結びつきやすくなります。
また、社外的な側面のみならず、自身の思考整理や見える化が可能となり、従業員に会社の方向性を共有する際にも役立ちます。
3.事業計画の骨子に必要な9要素
事業計画は骨子から作った方が良いと言われても、「実際、どんな要素を入れればいいの?」と疑問を抱いている方もいらっしゃるはずです。
ここからは、事業計画の骨子に含めるべき項目とそれぞれの内容をご紹介します。
- ①事業テーマ
- ②事業概要
- ③企業・経営者の概要
- ④自社商品やサービスの目的・強み
- ⑤市場環境・競合分析
- ⑥販売戦略・マーケティング戦略
- ⑦リスクと対策
- ⑧財務計画
- ⑨プロジェクト管理
①事業テーマ
まずは、事業のテーマや名称を記載します。
まさに事業計画書の顔になるため、何を行うのか、何を目指すのかを一目でわかりやすく伝えることが大切です。
1行以内、20文字程度がベストです。
例えば、『地産地消の有機野菜をつかったレストラン』などのように直感的に理解できることが重要です。
②事業概要
おおまかな事業の要約を記載します。
どのようなターゲットに向けて、どのような商品・サービスを、どのように提供するのかをシンプルに伝えましょう。
- 誰に
- 何を
- どのように提供するのか
この3点を明確にすることで、何を目的にどのようなことをやろうとしているのか、読み手がイメージしやすくなります。
③企業・経営者の概要
次に、企業・経営者の概要を記載します。
信頼を得るために、できるだけ簡潔に、かつ過不足のない情報を記載します。
よく記載される項目としては、設立年月日、従業員数、資本金、会社沿革、経営者の略歴などが挙げられます。
④自社商品やサービスの目的・強み
事業概要を踏まえて、自社商品やサービスのまとめを詳しく説明します。
目的や経緯などをまとめたうえで、以下の内容についても触れていきます。
- 誰の、どのようなニーズを想定しているのか
- 顧客に対して、どのように役に立つのか(顧客にどのようなメリットがあるのか)
- どれくらいの価格設定を考えているのか
- 自社ならではの魅力や強みは何か
実際に商品やサービスを購入する人が、この部分を読んだら欲しくなるかを考えながら、書いていきます。
⑤市場環境・競合分析
自社および他社の状況を分析し、市場における立ち位置をハッキリさせます。
必要に応じて、経済情勢や法制度などの外部環境に関しても言及します。
SWOT分析、4P分析、PEST分析などのフレームワークを用いつつ、客観的な数値を用いて分析するのがおすすめです。
⑥販売戦略・マーケティング戦略
提供予定の商品やサービスをどのように販売するのか、どのようなチャネルで流通するのかなどに関して、自社のセールスポイントや市場の状況を踏まえた販売戦略を記載します。
販売戦略やマーケティング戦略と聞くと難しく感じますが、要は「どのように商品・サービスを知ってもらい」「購入までにどんなプロセスがあるのか」「その流れの中で、どんな対策を行うのか」を整理するだけです。
⑦リスクと対策
事業には必ずと言ってよいほど、大小さまざまなリスクが生じます。
事業展開に伴い想定されうるリスクを洗い出し、どのような対応を考えているのかまで書き出します。
例えば飲食業であれば、売上が思ったより上がらなかったり、材料が調達できなかったり、何かしらの外部要因によって当初の計画に満たないことも起こり得ます。
悪い状況になってから考えると冷静な判断ができないため、予め対策を考えておくことが重要です。
⑧財務計画
事業を展開するにあたって、財務に関する計画を記載します。
事業の立ち上げから軌道に乗るまでどれほどの資金が必要で、どのように調達し、いつごろ黒字に転じる予定なのかなどを記載します。
それ以外にも、将来的にどれほどの収益が見込めるのか、どのように収益を上げるのか、イニシャルコスト(初期費用)はどのくらいかかるのかなどの観点も記します。
⑨プロジェクト管理
最後に事業の流れを具体的に記載します。
どのようなスケジュールで事業を立ち上げ、いつまでに軌道に乗せるのか、軌道に乗った後はどのように運営していくのかなどがメインになるでしょう。
ここでは、タスク管理、役割分担、責任の所在に関してはっきりさせておくことが重要です。
目標に対する具体的なスケジュールを掲載することで、 関係者や取引先の担当者にも今後の事業展開をイメージしてもらいやすくなります。
以下のページにて事業計画書に載せる「スケジュールの立て方」について解説しています。 事業を成功に導くスケジュールの立て方について知りたい方はぜひご参照ください。
『事業計画の2つのスケジュール|それぞれの立て方を解説【テンプレート有り】』
【まとめ】まずは最低限の要素で計画を作ろう
事業計画を作成する際に重要なのは、まずは最低限の要素で計画を作り始めることです。
骨子を元にしながら、必要事項を追加していきます。
また誰に伝えるのかを意識して、なるべく数値などを用いながら具体的に書くことが求められます。
グラフや図などが入っていると、読み手は理解しやすくなるからです。
ぜひ、何のために作成するかを忘れずに、自社の想いを届けられる事業計画を作成してみてください。
なお、事業計画を作成する際に、「必要な資金」と「調達方法」をシミュレーションできる、『新規事業シミュレーション フォーマット』をご用意いたしました。
お金の流れが把握できると頭が整理されますので、ぜひお役立ていただけますと幸いです。
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