経営計画書とは、会社が目指すべき姿を明確にしたうえで、その姿を実現させるために経営戦略や行動指針について具体的に策定したものです。
経営戦略を策定すれば、経営に必要な信用と自信がつけられたり、将来を見据える力や大きな経営能力が向上したりします。
そこで今回は、経営計画書の重要性について解説します。
本記事を読めば、経営計画書の重要性が把握できるため、適切な場面で活用しやすくなるでしょう。
経営計画書とは
経営計画書とは、長期的な会社の経営方針や行動指針を定めた計画書のことです。
計画書を策定すれば、自社の目的や目標を第三者へ明確化したり、社員と意識を統一させたうえで業務へ取り組んだりとさまざまなメリットが得られるのです。計画書に記載するべき項目として、以下の10項目が挙げられます。
- 経営理念
- ビジョン
- ミッション
- 行動指針
- 経営戦略
- 売上計画
- 投資計画
- 経営数値目標
- 方針や施策詳細
- スケジュール
また、経営計画書を策定すれば、会社の業務効率向上につながります。会社の業績をより高めるためにも、計画書を策定するとよいでしょう。
経営計画書を作成するための5つの理由とは
経営計画書を作成する理由は、企業によって大きく異なります。経営計画書を作成するための主な理由として、以下の5つを解説します。
- 経営理念の実現のため
- 目的や目標を明確化することができる
- 社員と意識を統一することができる
- 経営に必要な信用と自信をつけることができる
- 将来を見据える力や経営能力が大きく向上する
ここで解説した理由を理解したうえで、その理由を達成できるように経営計画書を策定しましょう。
①経営理念の実現のため
経営計画書を策定する理由として、経営理念を実現することが挙げられます。経営計画を策定すれば、自社が目指すべき目標が事細かに記載されているため、社員と共有しやすいからです。
もし、経営計画を策定していなければ、自社が業務を実施することで目指している目標も実現までの道筋も、把握できません。しかし、経営計画は社員と共有できるため、どのように業務へ取り組めばよいのかを共有することが可能です。
自社の経営理念を実現するためにも、経営計画を策定する必要があります。
②目的や目標を明確化することができる
経営計画書は、目的や目標を明確化するために必要とされています。経営計画を策定して目的や目標を明確化すれば、自社が進むべき方向性に悩まなくて済むからです。
競合他社に継続的に勝ち抜いていくためには、素早く事業判断を下す必要があります。業務へ取り組むたびに自社が進むべき方向性を悩んでいたら、競合他社が自社が開発している商品と同じ性能のものを販売して、大きな利益を獲得してしまうかもしれません。
競合他社との競争に継続的に勝ち抜いていくためにも、目的や目標を明確化して経営計画を策定する必要があるのです。
③社員と意識を統一することができる
経営計画書を策定すれば、社員と意識を統一することができます。経営計画を策定した場合、自社の経営状況や経営課題を社員と共有できるため、現在の経営状況を改善するために同じ方向性を向いて業務へ取り組むことが可能です。
もし、経営計画を策定しなかった場合は、社員が経営者が目指している目標達成につながらない業務への取り組み方をしてしまう可能性も考えられます。社員と意識を統一したうえで、経営計画を策定してください。
④経営に必要な信用と自信をつけることができる
経営計画書を策定する理由の1つとして、経営に必要な信用と自信をつけられることが挙げられます。経営計画を策定すれば、自社の経済状況が事細かに記載されているので安定して会社経営ができているのかを判断でき、金融機関から融資を受けやすくなります。
また、経営計画を策定すれば、数値目標に基づいた経営目標や行動指針が定められているので、自信をもって業務へ取り組むことが可能です。自社の業績をより高めるためにも、経営計画を策定して経営に必要な自信と信用をつける必要があります。
⑤将来を見据える力や経営能力が大きく向上する
経営計画書を策定する理由として、将来を見据える力や経営能力が大きく向上することが挙げられます。
特に長期経営計画書を策定する際は、5~10年先の自社の未来を想定する必要があります。そのため、経営計画書を策定すれば、将来を見据える力が獲得できるといえるでしょう。
また、経営計画書を策定すると、具体的な数値目標に基づいた行動指針が事細かに記されているので、適切な経営判断がしやすくなり経営能力が大きく向上しているといえます。将来を見据える力や経営能力を大きく向上させるためにも、経営計画書を策定したほうがよいです。
経営計画書は大きく3つに区分される
経営計画書には、さまざまな種類があります。経営計画書の種類として、以下の3つを解説します。
- 短期経営計画書
- 中期経営計画書
- 長期経営計画書
経営計画書を策定する際は、それぞれの種類の違いを理解しておく必要があります。ここで解説した種類を理解したうえで、経営計画書を策定しましょう。
短期経営計画書
短期経営計画書とは、中期経営計画の数値目標に基づいたうえで、1年ごとに策定する計画書のことです。
短期では、それぞれの社員の行動計画や数値目標を事細かに策定できるため、社員がより業務へ取り組みやすくなります。
また、短期経営計画書を策定する際は、部門別や事業所別など詳細な計画を事細かに策定する必要があります。基本的に短期は、中期経営計画書が実現しやすくなるために策定された計画書です。
そのため、短期経営計画書を策定する際は、素早く行動に起こせるのかを確認する必要があります。
中期経営計画書
中期経営計画書とは、3~5年ほどの未来を想定して策定する計画書のことです。
中期では、1年では実現が困難な中期的な目標を策定したり、売上や経常利益など具体的な数値を用いながら計画書を策定したりする必要があります。
短期経営計画書では1年では実現が困難な目標があるため、参考にしづらい傾向があります。とはいえ、長期経営計画書は5~10年先の未来を想定しているので、予想が立てづらく適切な経営計画を策定するのが困難です。
そのため、中期が経営計画書の中で一番参考にするのに適した種類といえるでしょう。
長期経営計画書
長期経営計画書とは、5~10年先の未来を想定したうえで策定する計画書のことです。
長期を策定する際は、中期経営計画書や短期経営計画書のように細かな数値目標を策定する必要はありません。企業を取り巻く経営状況は年々変化していくため、5~10年先の未来を想定したうえで、経営計画書を策定するのは困難であるからです。
長期を策定する際は、全体的な経営ビジョンを大まかに策定するように心がけてください。長期に策定した内容を基に中期や短期で事細かに内容を定めていく必要があります。
経営計画書と事業計画は何が違う?
事業計画は、経営計画書の中の一部です。事業計画とは、経営目標を達成するための数字を目標とした具体的な行動計画のことです。
事業計画は、1つの事業に対して方向性を事細かに記載したものであるため、経営計画書のように会社のすべての事業に関して記載する計画書とは大きく異なります。
中には、事業計画を事業ごとに策定すれば、経営計画書を策定する必要がないのではないかと感じる方も多いでしょう。しかし、事業計画は経営計画書を基に策定します。そのため、経営計画書を入念に策定していなければ、具体的な事業計画を策定することが困難です。
経営計画書と事業計画書を策定する際は、それぞれの特性を活用するように心がけるとよいでしょう。
経営計画書はどんな場面で必要になるのか
経営計画書が必要となる主な場面として、以下の3つを解説します。
- 経営状況が悪化しているとき
- 補助金や助成金を申請するとき
- 新規事業をおこなうとき
ここで解説した内容を理解し、それぞれの場面で経営計画書を活用できるように入念に策定しておく必要があります。
経営状況が悪化しているとき
経営計画書は、自社の経営状況が悪化しているときに活用できます。経営計画書には、数字的根拠に基づいて経営目標や行動計画が記載されているので、現状の経営状況をより良い方向性へ導きやすくなるのです。
また、経営計画書には、自社の具体的な経営課題が事細かに記載されています。経営状況が悪化しているときは、経営課題を解決するのが効果的です。そのため、経営計画書を参考にすれば、経営状況が悪化しているときに活用できるでしょう。
経営状況が悪化している状況を打破するためにも、経営計画書を策定しましょう。
補助金や助成金を申請するとき
経営計画書は、補助金や助成金を申請するときに活用できます。経営計画書には、自社の経営状況が事細かに記載されているので安定している会社であるのかが把握しやすいからです。
また、補助金や助成金によっては、経営計画書の提出が申請条件になっているものも珍しくありません。つまり、経営計画書を策定しなければ、補助金や助成金申請ができない制度もあるのです。
自社の新規事業や資金繰りが厳しいときのためにも、経営計画書を策定して補助金や助成金の申請に活用するようにしましょう。
新規事業をおこなうとき
経営計画書は、新規事業を実施する際に活用できます。新規事業を実施する際に具体的な経営計画や行動計画がなければ、どのように事業へ取り組めばよいのかが把握できず、失敗しやすくなるからです。
また、新規事業を実施する際は、具体的に市場動向を分析したり、資金繰りの計算をしたりしなければいけません。経営計画書には具体的な市場動向や資金繰りの計算などが記載されているため、わざわざ新規事業を立ち上げるときに新たな行動計画を策定する必要はないです。
新規事業を実施する際は、経営計画書を参考にしたうえで事業に取り組みましょう。
経営計画書を作成するため必要な4つのステップとは
経営計画書は、適切な手順に沿って策定する必要があります。経営計画書を策定する手順は、以下の通りです。
- 現状把握
- 目標設定
- 課題抽出
- 行動計画
ここで解説した手順を理解したうえで、経営計画書を策定しましょう。
現状把握
経営計画書を策定する際は、現状把握をする必要があります。自社の現状を把握しなければ、どのような点を経営改善すればよいのかが理解できないからです。
そのため、自社の現状把握をする際は、客観的な資料を基に現状把握をするとよいでしょう。客観的な資料を基に現状把握すれば、数字目標に基づいてどの部分を経営改善すればよいのかが理解できるようになります。
客観的な資料を基に現状把握をしなければ、主観で経営改善をしてしまう恐れがあるため、適切に現状把握できなくなります。適切に現状把握をするためにも、客観的な資料を参考に経営改善策を検討するとよいでしょう。
目標設定
現状把握が完了したら、目標設定をする必要があります。経営計画書で目標設定をする際は、3~5年後にどのような会社にしたいのかを想定するとよいでしょう。
目標設定をしてから経営計画書を策定すれば、目標達成がしやすい適切な経営計画表が策定できるようになるからです。
企業は、利益を獲得するだけでなく、社会貢献活動を実施したり、社員に安定した生活を送ってもらえるように努めたりする義務があります。
そのため、目標設定をする際は、利益獲得以外にも社会貢献活動や社員に関する目標などを策定するように心がけるとよいでしょう。
課題抽出
目標設定が完了したら、課題抽出をする必要があります。課題抽出を実施すれば、自社の業績を高めるうえでの問題点が明らかになるため、企業が求めている自社の姿により近づけることが可能です。
経営計画書の課題抽出をする際は、下記の2つのポイントに気をつけるとよいでしょう。
- 自社の強みを活用できる経営課題を抽出する
- 外部環境を考える
上記の2つのポイントに着目したうえで、経営計画書の課題抽出を実施してください。
行動計画
課題抽出が完了したら、行動計画を策定する必要があります。行動計画とは、社員が業務へ取り組みやすいように策定する具体的な行動方法のことです。
行動計画は、誰がいつまでにどのような行動を実施するべきであるかと業務改善をするために策定した計画です。ただ、行動計画はそれぞれの社員によって策定内容が異なるため、行動計画を策定する際は、会社や部門、個人の3つに分類して策定する必要があります。
経営計画書を策定する際は、行動計画を策定し、社員が業務へ取り組みやすい環境の構築をしましょう。
経営計画書は量より質を重視しよう
今回は、経営計画書の必要性についてご紹介しました。経営計画書とは、長期的な会社の経営方針と行動指針を定めた計画書のことです。
経営計画書を策定すれば、経営理念を実現しやすかったり、将来を見据える力や大きな経営能力が向上したりとさまざまなメリットが得られます。
本記事を参考にし、経営計画書は量より質を重視するように心がけて策定しましょう。
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