私たちが社員に経営者マインドを持ってもらうために行っている6つのこと

    記事公開日: 2023.04.19

    社員自ら理念に取り組むようになる「1on1の方針」サンプル 無料ダウンロード

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    社員が当事者意識を持って、主体的に動いてくれ、さらに重要な仕事を任せられる幹部や右腕が育ってくれたら、理想的だと感じていないでしょうか?

    そう願い教育しているものの、なかなか経営に対して自分事になってくれる社員が増えず、いつまで経っても任せることができない状況に陥ってないですか。

     

    中小企業において、経営者マインドを持った社員を増やすことができ、さらに、

    後継者や幹部社員を育てていくための方法を提示させていただきます。

     

    古田土会計グループは、税理士法人が中核となりますが、会計業界は、職人気質の方が多く、経営者マインドやマネジメントという意識が育ちづらい業界です。

     

    そのような状況でありながら、親族外で生え抜きの社員から2代目社長が育っており、さらには、グループ会社として4名の経営者(30代~40代)を輩出しています。

    また、社員だけでなくパートさんも目標を持って、主体的に仕事に取り組んでいます。

     

    また、3000社以上の顧問先への指導実績がありますが、中小企業のお客様の中でも、社員が経営者意識を持っている事例は多数あります。

     

    例えば、顧問先の中古車販売の会社では、以前は完全なワンマン経営・トップダウン経営で、社員は指示通りに動いているだけでしたが、「任せてチャレンジさせる」ことで、創業から25年の間に、すでに4名の社長(20~30代)を輩出しており、市場が縮小している中で、順調に事業を拡大しています。

     

    経営者マインドを持ってもらうための一番のポイントは、

    「育たないから任せられない」のではなく「任せないから育たない」

    というひと言に尽きます。

     

    「なかなか人が育たなくて、任せることができない」「なんで、社員は言うことを聞いてくれない、思い通りに動いてくれない」というフレーズをよく聞きますが、それは、失敗を恐れて「任せていない」から育たないのです。

     

    思い切って「権限を渡して任せる」そして「我慢する」

    この覚悟が、経営者マインドを持ってもらうための条件となります。

     

    社員が経営者マインドを持っている会社として思いつくのは、

    ・数多くの経営者を輩出している「リクルート」

    ・全従業員が経営者の意識を持って、全員参加経営を実現している「京セラ」

     

    が有名ですが、それはあくまで大企業であって、中小企業が同じように真似をしても、リソース(人・物・金等)が全く違うため、上手くいきません。 

     

    これから、中小企業における、社員に経営者マインドを持ってもらうための考え方・具体的な方法を解説していきますので、ぜひ参考にして下さい。

     

     

    1.社員に求めるべき経営者マインドの範囲とは?

     

    1.1 社員に全ての経営者マインドを期待するのは非現実的

    経営者マインドを社員に持ってもらいたいと思っていても、何から何まで期待するのは現実的ではありません。具体的に社員に求める内容をハッキリするために、経営に必要な要素を3つに分類してみます。

     

     ①why (目的や方向性)

       会社としての使命感・理念・未来像などを示す。

       会社は何のために、誰のために存在するのか。

     

     ②what(何をするか決定する)

       使命感や未来像を実現するための戦略を定めて、何をして、何をしないかを決める。

       決めた方向性が間違っていると、いくら努力しても結果がでない。

     

     ③how(具体的にどのように動くか)

       決めた戦略に対して、戦術レベルでどのように動くか。

       決めても、方針通りに動かなければ結果は出ない。

     

    この3つのうち、経営者自身は全て求められますが、社員に求めるものは、主に

    how(実施・行動)とwhat(決定)フェーズになります。

    1.2 howとwhatの領域に期待しよう 

    組織を強くして良い会社を創っていく上で、社員が持つべき経営者マインドは「how」と「what」の2つになりますが、ひとつ目はhow(実施)の部分で、実施を任せることです。

     

    経営者と話をしている中で「方針通りに動いてくれない」「決めたことが実行されず、結局、自分でやるしかない」といった悩みをよく聞きます。

     

    目標と結果に乖離があり成果が出ない、もしくは、業績が低迷している場合、以下の2つの理由が考えられます。

     

     ①経営者の立案した戦略や戦術が間違っている

     ②決定したことが現場で実施(徹底)されていない

     

    経営者の決めた方向性が100%正しいとは限らないので、決めたことをスピーディーかつ、方針通りに実施することで、戦略が合っているのか、もしくは、軌道修正が必要なのかを検証することができます。

     

    変化が激しい時代になってきていますので、「決定」⇒「行動」⇒「検証・軌道修正」のサイクルを早くしていくことが求められています。

     

    言う通りに動いてくれない・全て指示出さないと動かないという状況でしたら、まずは、この第一段階をクリアしていくことです。

     

    そもそもですが、中小企業においては、「とにかくやれ」では社員はついてこないので、まずは「率先垂範」で経営者自らが動いて、ついてきてもらうという基本姿勢が大前提になります。

      

    社員が方針通りに「実施」できるようになったら、次のステップは、what(決定)となります。失敗を恐れずに「決定」を任せることです。

     

    特に幹部層や次期後継者候補においては、実施だけではなく、意志決定者の立場でものを考え、自分の行動の結果に責任を持つことが求められます。

     

    「実施責任」を超えて、「決定責任」も持てるように育てることで、経営者に近い目線で捉えることができ、会社が強くなっていきます。そのためにも、責任ある立場を任せることが必要不可欠です。

     

    何かを決めるためには、それだけの「環境」「立場」「情報」などが必要ですが、具体的には次章で紹介していきます。

    1.3 whyは社員ではなく経営者自身が対応すべき

    経営者マインドの3段階のうち、why (目的や方向性)に関しては、経営者の仕事で、基本的に社員に求めるべきではありません。

    具体的には、下記のようなことが、経営者に求められるものです。

     

    ・会社のビジョン、ミッション、バリューを定めて、それに基づいた経営戦略を立てる

    ・志が高く、お客様や社員、社会に対する責任や使命感を持つ

    ・会社経営で起こる全ての事は100%自分の責任だと考える

    ・経営の判断基準は、儲かるかどうかだけでなく、正しいかどうか、世の中のためになるか

     社員が誇りを持てる仕事かどうかで考える

    ・常にお客様目線、お客様の視点で考える

     

    「実施」や「決定」を任せることを繰り返していくことで、経営者マインドを持つ人材が育ってきて、さらには上記のような目的意識を持ち理念に強く共感してくれる者がいれば、その方は後継者候補になっていきます。

     

    この章では、全体像をお伝えしましたが、次章では、経営者マインドを持ってもらうための具体的な方法を紹介していきます。

    2.経営者マインド(経営者意識)を持ってもらうための具体策

    この章では具体的な方法を6つ紹介していきますが、冒頭でも述べた通り、「育たないから任せられない」のではなく「任せないから育たない」ということをご認識していただき、その上で経営者が社員に任せる環境をどう作っていくかを参考にして下さい。

    2.1 権限の委譲(任せる)

    2.1 権限の委譲

    経営者マインドを持つ人材を育てるには、社員に「権限」と「責任」を委譲して意思決定や実施を経験させることが、一番重要になってきます。まだ実力不足で時期尚早だと思い、全てを経営者自身で行っていては、いつまで経っても、育ちません。

     

    弊社では事業承継やM&Aのコンサルティングにも携わっていますが、後継者不在で悩んでいる経営者は非常に多いです。社長の平均年齢が63歳*(70代以上が33%)で、年々、経営者の高齢化が進んでいるのは、権限委譲ができていない会社が多いことの、一つの現象ではないでしょうか。

     

    *引用:社長の平均年齢 過去最高の63.02歳 ~ 2022年「全国社長の年齢」調査 ~|東京商工リサーチ

     

    店舗、部署、プロジェクトなどの責任者として任命して、自分たちで決めて、行動して、結果を踏まえて軌道修正を繰り返していく機会を作っていかなくてはなりません。ユニクロの柳井氏の「一勝九敗」という言葉がありますが、失敗を繰り返すことも大きな経験です。

     

    責任者になることによって、意思決定力や行動力が育つだけでなく、プロジェクトメンバーを引っぱっていくリーダーシップも身につけることができます。

     

    具体的には、下記のような権限委譲があります。

     

     ・店長を任せる

     ・支店展開で支店長を任せる

     ・新規事業で、社員を抜擢して、社長直轄のプロジェクトチームを編成する

     ・プロジェクトリーダーを任せる

     ・若くても課長職に抜擢してマネジメントを経験させる

     

    支店長を任命して、立ち上げの段階から、関わってもらうことで、自分で「決める」ということを数多く経験することができます。例えば、下記のような決定事項があります。
     
      ・事業計画書の作成
      ・物件の選定
      ・設備投資(内容、金額、業者選定など)
      ・人員体制
      ・採用計画
      ・顧客開拓
      ・借入の検討
      ・備品の調達
      ・オペレーション 

     

    中小企業では、そこまで任せらえる環境がないというご意見があるかもしれませんが、

    古田土会計グループでは、実際に下記のような挑戦の結果、経営者マインドを持つ人材が育っています。

     

     ・年齢に関係なく実力とリーダーの資質があれば20代で課の責任者(課長)に抜擢

     ・支店展開して30代に支店長を任命

     ・経営計画合宿の運営を20代前半に任せる

     ・新規事業開発課を立ち上げて30代を任命(現在、そのメンバーが2代目経営者と取締役)

     

    権限委譲するためには、ポジションやポストが必要なので、

     

     ・会社が成長し続けて、新規事業にチャレンジしたり、新しいポストを用意する

     ・失敗を許容できるだけの収益力、財務基盤を確保する

     

    といったことも前提条件になっていきます。成長していないと機会も与えられません。

    2.2  リーダーシップを発揮できる機会

    2.2  リーダーシップを発揮できる機会

    重要なポジションを与えて、権限を委譲するのがまだ早いという場合は、若いうちからリーダーシップを発揮できる環境を与えていくことが重要です。

     

    リーダーシップは、管理職に求めるものと捉えられがちですが、本来、役職や権限とは無関係であり、1人ひとりが、その持ち場において発揮できるものです。その場にいる方へ良い影響を与えて、導いていく力は、経験が浅くても任せることによって、身についていきます。

     

    古田土会計グループでは、具体的に下記のようなことに取り組んで、リーダーシップの機会を与えています。

     

     ・ブラザーシスター制度として、2~3年目の社員に1年目の教育・指導を任せる

     ・若手に、委員会や少人数のプロジェクトでリーダーを任せる

      (環境整備プロジェクト、朝礼プロジェクト、幹事プロジェクトなど)

     ・経験が不十分でもお客様と接する機会を作る

      (朝礼見学の案内、お客様へ同席・同行など)

     ・社内研修で、若手が講師をやる機会を提供する

     ・外部セミナーを開催して、講師を任せる

     ・若手に採用のメンターになってもらい、求職者に会社の魅力を伝える

     ・若手勉強会の企画・運営を1年目に任せる

     

    自分自身は動くことができても、他者へ働きかけて動いてもらう・育てていくことへのハードルがありますが、上記の経験を通じて、導いていくことの難しさ、その困難を乗り越えた時の楽しさを体感することができ、リーダーシップ力が育っていきます。

    2.3 報酬の連動

    2.3 報酬の連動 (2)

    立場、役割、権限、責任などを与えた場合、それに見合う「評価」や「報酬」を準備することも必要不可欠です。

     

    経営者マインドを持ってもらいたいと権限や役割を与えても、給与や報酬が見合っていなかったり、結果を出せた時の分配が不透明だと、社員からすると、いいように使われているだけとなってしまいます。専務や部長などの肩書きを与えて、給与水準は低いままというケースも実際にあります。

     

    もちろん権限=評価ではなく、結果によって評価や報酬が連動するような形が必要です。

    評価制度や報酬制度を社員の経営者マインドを育てるように設計することで、会社の利益や成長に貢献する動きを期待できるようになっていきます。

     

    評価制度などを整備するには時間もかかるので、まずは業績に応じたボーナス(決算賞与)を導入することは中小企業にお勧めです。

     

    古田土会計グループの場合、決算賞与を下記のようなルールで設計しています。

     ・売上高経常利益率10%(損益分岐点比率90%)の経常利益を超えれば、

      超えた額の50%を決算賞与として分配

     ・分配は、立場や社員の貢献度(売上高・新規開拓など)によって按分

     

    この仕組みがあることで、貢献度と報酬が連動しますので、目に見える形で達成感を感じることができ、経営の楽しさを感じ、経営者マインドにもつながっていきます。

    2.4  数字の公開

    2.4 数字の公開

    権限を委譲したり、結果と報酬を連動していくためには、数字の公開が必要になっていきます。

     

    店長や支店長を任命しても、その店舗・営業所の収支(売上高・原価・経費・利益)を共有せずに、売上高しか共有していなければ、経営者マインドが育つとは思えません。

    売上高だけでは、売上至上主義になってしまい、

     

     ・原価意識

     ・粗利益(付加価値)意識

     ・コスト意識

     ・人時生産性(人材や時間をどう活かすか)

     

    といったことへの意識付けは期待できません。

     

    数字を公開することで、上記の意識を芽生えさせるキッカケになりますし、実施したことが、数字という事実として表れるので、自分達の頑張りがどのように反映するのかを認識でき、モチベーションになりますし、良し悪しを判断できるようになります。

     

    全員参加経営といえば、京セラのアメーバ経営が有名ですが、組織を独立採算で運営する5~10人の小集団(アメーバ)に分けて、リーダーを任命し、収支を公開して意識させることで、経営者意識を育てています。

     

    さすがに、中小企業で、最初からアメーバ経営のような仕組みを導入するのは難しいですし、数字を共有していく上では、段階があるので要注意です。

     

    古田土会計グループでは、損益計算書・貸借対照表・総勘定元帳を全て全社員(パート含む)へ公開していますが、社員への数字教育をせずに、いきなり、全ての数字(売上、経常利益、貸借対照表など)を公開してしまうと、勘違いや誤解を招いてしまいます。

     

    例えば、会社の内部蓄積の重要性が分かっていないと、利益が出ている場合に「これだけ利益が出ているなら、もっと給料を増やして欲しい」といった反応が起きかねません。

     

    なので、数字教育を行って、社員の数字に対するリテラシーを上げていきながら、段階的に数字の公開を進めていくことがポイントとなります。

    2.5  数値目標の落とし込み

    2.5  数値目標の落とし込み

    数字を公開すると同時に、数値目標を細分化して、店舗別や個人別に落とし込んでいくことで経営者マインドを育てることにつながります。

     

    目標を持っていない経営者はいないと思いますが、社員一人一人が目標意識を持てているかというと、そうなっていないケースが多いのではないでしょうか?もっと目標に対して敏感になって欲しいと思っていないでしょうか。

     

    会社全体の利益計画を掲げることは必須ですが、それだけでは、社員の目標への当事者意識は生まれません。なぜなら、自分が日々取り組んでいることが、全社の売上高にどう直結しているのかイメージできないからです。

     

    全社の利益計画を、他人事から自分事にするには、

     ・店舗別、部門別の利益計画

     ・売上目標を商品別・事業別・得意先別に細分化

     ・売上目標を個人別に細分化

     といった形で、数字を落とし込んでいくことが必要不可欠です。

     

     古田土会計グループでは、下記のように細分化して、毎月、数字のチェックをしています。

     ・全社の利益計画

     ・事業部の利益計画

     ・売上目標を商品別(月次・決算・相続・事業承継・年末調整・確定申告・コンサル・

      保険・I T支援など)に展開

     ・売上目標、新規開拓目標をパートさん含む社員一人一人に展開

     

    この仕組みを作った上で、各事業部や商品ごとに責任者を任命することで、「決定」→「実施」→「数字による検証」→「改善・行動変化」のサイクルが回っていきます。

    2.6  自社の経営計画書を作成し、自社の経営を通じて、経営者マインドを醸成

    2.6  自社の経営計画書を作成

    経営者マインドを育てるには、今まで紹介してきたように自社の中で「経験」を積んでもらうことが一番ですが、さらに経営計画書を作成して自社の経営の全体像を伝えていくことで、より醸成されていきます。

     

    外部研修で経営やマネジメントを勉強しても、自社に当てはまらないと自分事化されませんが、自社の経営を通じて、経営の全体像を伝えていけば、経験と直結していきます。

     

    経営計画書にはいろいろな定義や種類がありますが、古田土会計グループの「人を大切にする経営計画書」は以下のような構成になっています。

     

     ・使命感(ミッション)

     ・理念(バリュー)

     ・未来像(ビジョン)

      社員、組織、事業の未来像、中期事業計画

     ・戦略

      方針、商品サービスに関する方針、新規事業に関する方針

     ・戦術

      個別方針(サービス、接客、お客様、クレーム、内部体制、品質、社員など)

     ・数字

      利益計画、商品別販売計画、担当者別販売計画、目標BS

     

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    経営計画書を通じて、経営者マインドを育てる具体的なステップを紹介します。

     

    ステップ1 経営計画書を作成

    ステップ2 経営計画書勉強会の定期開催

    ステップ3 朝礼を通じて、日々触れる機会を作る

    ステップ4 幹部社員への戦略の共有

     

    ステップ1 経営計画書を作成

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    どんなビジョンを持っており、会社をどんな方向に進めていきたいか、そのためには何が必要かなど、経営者の頭の中にあっても、言語化しないと、社員には伝わりません。

     

    経営計画書を作成されていない中小企業の社員さんからは「社長が何を考えているか分からない」「言っていることがコロコロ変わってしまう」「どんな方向に進んでいくのか不透明」といった声をよくお聞きします。そこで、経営計画書という形で明文化・言語化していくことが大事です。

     

    口頭だけで、伝えることは非常に困難です。想像以上に、経営者の想いや考えを社員に浸透するにはハードルがありますので、形にすることが必要です。

    言語化することのメリットとして、経営者自身がブレなくなるという大きな効果もあります。

     

    ステップ2 経営計画勉強会の定期開催

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    次のステップとして、定期的に経営計画書を教科書として勉強会を開催することが必要です。

     

    これまで、1000社以上の経営計画書の作成に携わってきていますが、作って、その後の運用が止まってしまっているケースが多く見受けられます。非常にもったいないことです。せっかく、経営計画書を作成しても、定期的に開く機会がないと、残念ながら社員さんは開きません。1年間、全く見ることがなかったというケースもあります。

     

    経営計画書やクレドなどを作成したとしても、それだけでは伝わりきらいので、

    繰り返し繰り返し伝えていくための、勉強会の定期開催が必要となります。

     

    1回伝えて浸透すれば、苦労しませんが、そう甘くはありません。伝える側は同じことを何度も話さないといけないので、辛抱が必要です。

     

    同じ話をしていても、聞く側の経験レベルによって、受け止め方が大きく変わっていくので、我慢強く伝えていく機会を作ることが大切です。

     

    古田土会計グループでは、毎週月曜日の朝8時30分~9時30分の1時間、経営計画書の内容に関する勉強会を創業者自らが実施しています。30年間以上、継続しています。

     

    1年間で約50回、10年働いている社員であれば500回、勉強会に参加して、経営者の考え方に触れ続けていることになります。

     

    会社の方向性や目的・目標を理解し、浸透することで初めて、どのように目的達成に貢献できるかを考え始めることが可能になります。

     

    ステップ3 朝礼を通じて、日々触れる機会を作る

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    経営計画書勉強会は週に1回、月に1回程度になることが一般的ですが、頻度高くする上で、朝礼の場を活用すると効果的です。

     

    朝礼を活用すれば、毎日、経営計画書の考え方に触れることができ、浸透スピードも早くなります。経営者は自分で作っているので忘れませんが、社員の場合、月に1回くらいのペースだと、忘れてしまうのが普通です。なので、見る機会を増やす工夫が必要です。

     

     よくある朝礼での活用方法としては、

     ・経営理念の昌和

     ・毎回、確認するページを決めて、そのテーマに関して気づきなどをアウトプット

     

    などがあります。

     

    古田土会計グループでは、「金太郎飴朝礼」と称して、経営理念、行動指針などをテーマにお題を出して、「何をするのか、何をしてはいけないのか」「なぜ、やるのか」「具体的に自分は何を意識して実践しているか」といったことを各人に考えてもらい、小人数グループに分かれてアウトプットしています。

     

    例えば、下記のようなテーマです。

    朝礼のテーマ

    ・「お客様に対する言葉づかい、説明の仕方は分かり易く伝わるように伝える」

     とありますが、お客様に対してどのようなことを意識してお伝えしていますか。

     

    ・ライバルと競争しないように「差別化」をするとありますが、古田土会計が他の会計

    事務所と差別化できている点について説明して下さい。

     

    ・「最高の商品は、働いている社員の姿」とありますがお客様に最高の商品を提供できるように実践していることについて話て下さい。

     

    ・「社員はこなす仕事ではなく、取り組む仕事をする」とありますが、あなたが意識している事を話て下さい。できていなければどんなこなす仕事をしてしまっているか話した上で今後の改善行動を話して下さい。

     

    ・「教え合うことを喜びとし、教え合う社風をつくる」とありますが、教え合う文化を実感したことを共有してください。また、意識して行動していることを話し合ってください。

     

    週に2~3個のテーマを取り扱うので、経営計画書の内容について自分の頭で考える訓練になっていき、経営について考える土台ができていきます。

     

    ステップ4 幹部社員への戦略の共有 

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     経営者マインドを持てる可能性のある社員は、会社の状況や戦略について知りたいと思うものなので、意図的に伝えていくことが、経営者マインドにつながります。

     

    下記のような会社の情報を積極的に開示することで、自分たちの仕事に関する判断をする上で必要な情報を提供することができます。

     

     ・今後、どんな事業(商品・サービス)を展開していくのか

     ・どういった差別化をはかっていくのか

     ・今期の重点テーマは何か

     ・どのように会社を成長させていくのかなど

     

    経営者が決めたことを、実施させているだけでは、主体的に考えて動くということが育ちませんので、戦略や方向性を示して、かつ、権限委譲する(任せる)ことがポイントです。

    3. 経営者マインドを持ってもらうためには「経験」が一番 

    社員に経営者マインドを持ってもらうことは簡単なことではありません。そのためには、2章で紹介してきたような取り組みを通じた「経験」が必要不可欠です。

     

    いくら座学で教えたところで、行動が伴わなければ、成長につながりません。

    リーダーシップ研修や管理職研修などに行かせても、その時は刺激になったとしても、現場で経験できなければ、当事者意識が生まれず、継続できません。

     

    なので、社員にはビジネスのリアルな経験をどれだけ持ってもらえるかが重要です。

    経験を通じて、 プロジェクト管理、リーダーシップの発揮、営業、マーケティング、財務管理などを習得していくことができ、少しずつ経営者の視点でビジネスを見ることができるようになります。

     

    外部研修などに通わせて、教えて育つものではなく、

    「意志決定」して「行動」して「結果」が分かり改善を繰り返すという「経験」を積んでいくことで醸成されていくものです。

     

    いきなり大きなことから権限を委譲していくのが難しければ、小さなことから社員に任せていき、成功も失敗も経験させてあげることで間違いなく成長していきますので、ぜひ一つでも良いので試してみて下さい。

    年々、経営者の年齢が高齢化しており、後継者不在で悩んでいる中小企業も非常に多いです。

     

    今のうちから「任せる」ことを積み重ねていくことで、社員が当事者意識を持って働いてくれるようになり、その中から、安心して任せられる幹部社員が育ち、さらには次期後継者が育っていくことで、将来の事業承継にもつながっていくのではないでしょうか。

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