成功する経営者のたった一つの考え方

    記事公開日: 2023.06.29

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    0.はじめに

    「これから経営を引き継ぐ予定だけど、経営者としてどのような考え方を持つべきか?」

    「すでに経営をしているけど、果たして、今の考え方のままでいいのか?」

    「長期的に成果を出して会社を良くしていくために、どのような考え方を持てばいいか知りたい」

     

    真摯に経営に取り組もうとされる経営者からいただく質問です。

     

    経営者によって考え方は様々で、何が正しい、正しくないということはありませんが、

     

    本記事では、経営者である前に「人」として正しいかどうかという考え方をベースに、

    とにかく目先の業績を追い求めるよりも、長期にわたって成果を出し、周りから必要とされる会社を作っていくための経営者の考え方を解説していきます。

     

    大事な考え方はいくつもありますが、一つに絞ると、「自分や自社さえ良ければいい」ではなく、「社員の成長・幸せ」「お客様満足」「社会貢献」など会社を取り巻く関係者を大事にする利他的な考え方に辿り着きます。

     

    我々、古田土会計グループは、現在3,700社以上の顧問先を持ち、創業者の古田土満は、40年間で、3,000社以上の中小企業経営者から経営相談を受ける中で、経営者の考え方に触れ続けてきました。

     

    経営者の考え方を、ひと言で表すと「どんな想いや考えで経営をするか?」ですが、

    考え方次第で、会社の舵取りが大きく左右されるのを間近で見てきました。

     

    その中で、我々は、正しいと思うものを経営に活かすことで、下記の実績を残すことができました。

     

    ・創業以来40年超、増収、一度も赤字なし。無借金で自己資本比率90%という強固な財務体質で社員が安心して働くことができる会社

     

    ・業績だけでなく、ダイバーシティー、働く環境、社風の良さ、商品サービスの独自性などが評価され、数々の受賞歴

     

    ・時代の環境変化に適応して、中小企業経営者から必要とされる商品・サービスを開発して、のべ6,000人以上の同業者が学びに来ている。

     

    この記事では、日本を代表する経営者、社会から必要とされる会社の経営者の考え方をベースに、我々が大事にして成果が出ている考え方を解説していきます。


    1.名経営者から学ぶ経営者の考え方

    日本を代表する経営者である稲盛和夫氏と松下幸之助氏の考え方と、

    シリーズ累計70万部の「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者である坂本光司氏が8,000社の中小企業を見てきて導き出された経営者の考え方について取り上げます。

    1.1  稲盛和夫氏(新・経営の神様)

    京セラ、KDDIを創業し、JALを再建した日本を代表する経営者である稲盛和夫氏の考え方は、「人として正しいか?」という判断基準がベースになっており、生きる姿勢や人間性とも表せるものです。

     

    稲盛和夫氏の

    「人生・仕事の結果=考え方(-100~100)×熱意(0~100)×能力(0~100)」

    は有名なので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

     

    いくら熱意や能力があっても、考え方がマイナスだと、結果はマイナスになってしまうという方程式です。

     

    例えば、事業を成功するだけの熱意や能力がある一方で、欲が膨らみ脱税に足を踏み入れて、結果的に失敗してしまうケースも目にされたことがあるかと思います。

     

    稲盛和夫氏の名著『考え方』で、下記のような正しい考え方が紹介されていますが、ご覧の通り、善悪や利己・利他など、子どもの頃から教わってきた道徳的な内容で、異論の余地がないものです。



    プラスの「考え方」

       マイナスの「考え方」

    利己的でなく、足るを知り、感謝の心

    利己的で強欲、不平不満ばかり

    皆と一緒にやろうという協調性

    他人を信用せず自分で対処

    明るく、常に前向きで、肯定的

    暗く、後ろ向きで、否定的

    真面目、正直、謙虚、真摯、努力家

    不真面目、嘘つき、傲慢、怠け者

    善意に満ち、思いやりがあり優しい

    自分の非を棚に上げて、人を妬む

    常に、創意工夫して挑戦し続ける

    今まで通りで惰性、現状維持

    世のため、人のためと貢献・尽くす

    自分さえ、自社さえ良ければ

    自責、全て自分のせい

    他責、他人のせい、環境のせい

     

     

    このような考え方を頭では分かっていても、人間は弱いので、環境や誘惑に負けたり、自分自身の欲望に負け、心が乱れ、道を踏み外してしまうのも現実です。

     

    我々がこれまで関わってきた経営者の中で、下記のようなケースを見てきました。

     

    ・成功や加齢と共に、傲慢になってしまい、経営判断を誤る

    ・目先の損得に目が眩んで、会社の資金で株の投資をして大きな損失

    ・上手くいかないことを社員の責任にして社員の悪口を言い、気づいたら社員が離散

    ・経営が上手くいかないことを社会や世の中のせいにして、業績がさらに悪化

    ・誘惑に負けて、会社のお金を使い込み

    ・社員を道具だと考えて、社長自身は高給与で、社員は給与水準が低い

     

    日々、経営をしていく中で、迷いが生じることが常であるからこそ、判断基準となる正しい「考え方」を持っておくことが大切だと、稲盛氏は強調されています。

    1.2 松下幸之助(経営の神様)

    先ほどご紹介した稲盛和夫氏が影響を受けた、松下電器産業株式会社(現在はパナソニック)の創業者である松下幸之助氏は、お金も学歴もない逆境から成功し、経営の神様と呼ばれています。

     

    そんな松下幸之助氏の考え方は、企業が関わる「人・お客様・社会」への貢献が軸になっています。

     

    松下幸之助氏といえば、「水道哲学(水道の水のように低価格で良質なものを大量供給することで、物価を低廉にして消費者の手に容易に行き渡るようにするという思想)」が有名ですが、後で紹介する数々の名言やエピソードから、下記のような経営者としての考え方が浮かび上がってきます。

     

    ・人をつくり、人を大切にする

    ・理想や目標を掲げて、社員と共に追求する

    ・企業の社会的責任を全うする

    ・常に新しいことへ挑戦

    ・全て自責で捉える

     

    考え方を象徴するエピソードと名言を紹介します。

     

    ■エピソード

    ・日本に家電を広める

    この世に物資を満たし、不自由をなくすのが務めとする「水道哲学」に基づいて、当時、日本にはまだ普及していなかった家電を日本全国に広める

     

    ・週休二日制の導入

    他の企業が導入する15年前に、日本で初めて導入。導入した理由は、国際競争に打ち勝つためにも「休みの1日は休養のために、もう1日は教養のために使うため」

     

    ・日本初の事業部制の導入

     

    ・昭和15年から毎年、経営方針発表会を開催。創業記念式典の際は、250年計画という壮大な目標を掲げる

     

    ・生涯で5000億円の資産を築いたと推定され、私財を社会貢献活動へ

     

    ■名言

    『経営者としての大きな任務の一つは、社員に夢を持たせる、目標を示すことであり、

     それができないのであれば経営者として失格である』

     

    『人間はダイヤモンドの原石。人間はだれもが、磨けばそれぞれに光る、さまざまな

     素晴らしい素質を持っている』

     

    『松下電器は人をつくるところでございます。あわせて電器製品をつくっております』

     

    『うまくいかないのは不景気のせいではない。時代が悪いのでもない、経済状況が悪いのでも、

     得意先が悪いのでもない。すべて、経営が悪い、経営者が当を得ていない、と考えるべき』

     

    『原因は全て我にありという思いでこそ、失敗の経験も活かされ、成功への道が開ける』

     

    『ガラス張り経営。経営なり仕事のありのままの姿を従業員に知ってもらうという方針』

     

    『企業は社会の公器』

     

    まわり(社員、お客様、社会など)に対する貢献を軸に、責任を全うしようという考え方は、稲盛氏が特に大事にされていた「利他」の精神に通ずるものがあります。

    1.3 坂本光司氏(中小企業)

    これまで、大企業で超一流のお二人の考え方を紹介しましたが、次に中小企業のケースを紹介します。

     

    これまで8,000社以上の中小企業を訪問し、調査・アドバイスをされてきた経営学者で、

    人を大切にする経営学会を創設し、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の審査委員長を務められている坂本光司氏。

     

    「日本でいちばん大切にしたい会社」という著書は累計70万部以上のベストセラーとなっており、人を大切にしながら、素晴らしい業績を残している事例が数多く紹介されています。

     

    坂本氏が考える経営者の考え方は「人を大切にする」で一貫しています。

     

    業績や効率、ライバル企業との勝ち負けを中軸に据えた経営ではなく、関係する人々の幸せこそを最優先・最重視する「人を大切にする考え方」を推奨しています。

     

    関係する人々として、五方良しの経営と称し、以下の5人を大切にすることが大事だと説いています。

     

    一人目 社員とその家族

    二人目 社外社員とその家族

    三人目 現在顧客と未来顧客

    四人目 地域住民、とりわけ障がい者や高齢者など社会的弱者

    五人目 出資者ならびに関係機関

     

    こういった考え方が、どのように経営に反映されているのか、下記を見ていただければイメージしやすいと思います。

     

    世の中にありがちな経営

       人を大切にする経営

    業績重視

    幸せ重視

    急成長・急拡大

    安定成長

    売上重視

    利益重視

    新規顧客重視

    リピーター・口コミ客重視

    下請け型

    自立型

    短期重視

    中長期重視

    価格競争重視

    非価格競争重視

    制度・マニュアル重視

    社風重視

    私利私欲・公私混同

    社員・社会に誇れる経営

    上からのリーダーシップ

    背中で引っ張る

    規模を重視

    質を追求

    損得

    尊徳

     

    企業格差は、経営者の格差であると断言されており、それだけ経営者の考え方を重要視しています。

     

    自分中心ではなく、まわりの幸せ(利他)を軸にすることが長期にわたって、社会から必要とされる会社になることを教えてくれています。

    2.成功する経営者のたった一つの考え方

    1章で、稲盛和夫氏、松下幸之助氏、坂本光司氏の考え方をご紹介しましたが、

    その中から共通する点は「人間的な成長」や「人や社会の幸せ」を考え方の起点にしていることです。

     

    集約すると「人」がベースになっています。

     

    ここでいう「人」は社員だけでなく、

     

    ・経営者自身

    ・社員とその家族

    ・お客様

    ・社会

    ・取引先や提携業者

     

    と会社を取り巻く人々を包括しています。

    2.1 「人」を経営の軸に置く考え方(自利利他)

    自分や自社さえ良ければいい」ではなく「社員の成長と幸せ」「お客様満足」「社会貢献」などを大切にする考え方は、ひと言で表現すると、

     

    自利利他(自分の幸せは、他人の幸せ)

     

    となります。

     

    昨今、

     

    ・ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態。持続的な幸せ)

     

    ・人的資本経営(人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上を目指す経営) 

     

    など、人材の成長や幸福を中心にして、持続的な成長を目指す考え方が広がっています。

     

    以前は、「売上・利益」などの業績を目的とし、そこで働く 「人」は売上をつくるための手段とする考え方が多かったですが、世の中の流れが変わってきています。

     

    綺麗事だけでは、商売になりませんので、1章で紹介した

    ・常に、創意工夫して挑戦し続ける

    ・全て自責で捉えて、経営を行う

    ・目標や理想を掲げ、全社員と共有して実現に向けて取り組む

     

    のような考え方を持ち、売上や利益を追求していくことも必要不可欠です。

     

    ただ、業績を目的化するのではなく、

    「会社と取りまく全ての人々の幸せ」

    「人として何が正しいのか?」

    「人の成長をはかることが企業の目的」

     

    といったことを軸として、経営を考えていくことが、時代の流れに関係なく普遍的な考え方になるのではないでしょうか。

     

    では、利他ではなく自利中心の考え方はどういったものかを次に紹介します。

    2.2 自分中心・自社中心の考え方(自利)の限界

    これまで数多くの中小企業経営者の考え方に触れてきましたが、自利利他ではなく、自利中心の考え方として、下記のようなケースに出会ってきました。

    ・社員は道具であり、指示した通りに動けば、それでいい。

    ・会社が儲かるのであれば、長時間労働などやむを得ず、犠牲になってもしかたがない。

    ・会社が成長すれば、社員は次々と入れ替わっても問題ない。

    ・提携業者などに対しては、仕事を渡しているのだから、言うことを聞いてくれて当然だと

    ・思い傲慢な態度を取る。できるだけ買い叩く。

    ・会社が儲かれば、お客様が損をする可能性のある商品でも販売する。

    ・自社さえ良ければ、社会貢献する必要はない。

    ・自分の会社だから、お金の使い道は公私混同しても問題ない。

    ・税金は1円でも払いたくないので、利益は残さない。

    ・会社の業績が上がらないのは、社員が一生懸命働かないせい。

    ・経営者の役員報酬を多額に取って、会社にはお金を残さない。

    ・経営者が絶対なので、気に入らないことがあれば、すぐに怒鳴ったり暴言を言う。

    ・社員の話に聞く耳を持たない。

    ・給料は「払ってやっている」と思っている。

     

    このような考え方でも、売上や利益という観点だけでは成果が出る可能性もありますが、

     

    ・社員のモチベーションが低下して、仕事のパフォーマンスも低下

    ・社員の離職率が高く、人材確保に困る

    ・幹部社員が育たない(長く働きたいと思わない)

    ・会社としての質が落ちて、お客様が離れていってしまう

    ・協力業者にも愛想を尽かされてしまう

    ・会社の財務体質が脆弱のため、いざという時に耐える体力がない

     

    といったような問題が生じて、中期的には停滞・衰退しかねません。

     

    実際に、会社が成長過程に入り業績が順調な時に、謙虚さを失って調子に乗ってしまい、①身分不相応な高額な社宅 ②本業に不必要な高級車 ③過剰な接待で大盤振る舞い ④儲かりそうならどんな事業でも手を出す ⑤人材が育っていないのに無理して出店 ⑥周りが助言しても聞く耳を持たないといった状態になり、最終的には倒産してしまう事例に出くわしたこともあります。

     

    自分中心の考え方の末路を見ていただき、逆説的に「利他」の大事さをご理解いただけたのではないかと思います。

     

    では、人を大切にする利他的な考え方を経営にどう活かせばいいかを次で紹介します。

    2.3 人を大切にする経営の事例

    自分や自社さえ良ければいい」ではなく「社員の成長と幸せ」「お客様満足」「社会貢献」などを大切にする考え方を分かりやすく表現するものとして、

     

    良樹細根」があります。

    【良樹細根】

    樹木は、広く深く細かく根を張っていなければ、大樹に育たない。

    何事を始めるにも、根が先で、葉は後。

    大きな木は、その幹や枝に負けず劣らず、立派で細かい「根っこ」を持っている。

    良樹にするためには、根を細かく、張っていく時期が大切。

    根は見えないが、樹木は見えるので、一見大きな木だけが注目されがち。

    でも、根が広く、深く、細かく張っていなければ、いずれ枯れてしまう。

    人は、目に見える花や枝ぶりの良さにとらわれ、見えない部分を見落としがち。

    しかし、大切なものは、目に見えない根の部分。

     



    業績を中心に考えた場合、樹木の実や果実は「売上・利益」だけですが、そうではなく、

    ・社員満足

    ・お客様満足

    ・社会満足(地域貢献、社会貢献)

     

    が目的となります。

     

    それを支える根っこは「人の成長」です。

     

    通常、社員の成長と考えると技術教育(知識・技術)にフォーカスされますが、それだけなく、「感謝」「笑顔」「礼儀」「挨拶」など人として当たり前の教育(人間性教育)によって利他の精神を育んでいくことができます。

     

    自社中心・業績中心の考え方であれば、できるだけ利益を残した方がいいですし、業績に直接関係ないことは時間の無駄となります。

     

    古田土会計グループでは、自社目線だけでなく、社会貢献として、下記のようなことに取り組んでいます。

     

     ・経常利益の2%以上を寄付する

     ・障がい者雇用は法定雇用率とは関係なく、積極的に雇用

     ・週に3回駅前清掃

     ・社員の家族と一緒にビーチクリーン(清掃活動)

     

    この取り組みは一例ですが、こういった活動を通じて、自利利他の経営を実践しています。

    3.経営者の考え方を磨くためにすべきこと

    これまでご紹介してきた経営者の考え方が最初から備わっているのは、稀だと思います。

    世の中から長期的に必要な会社を作るためには、継続的に経営者の考え方を磨いていく必要があります。

     

    まずは、学んで知ることが大事ですが、「分かる」と「できる」には大きな壁があります。学んだことを言語化して、発信する。さらには、実践するために、まずは形から入って行動し続けることで、考え方や思考が変わっていくというプロセスを踏んでいく必要があります。

    3.1    学んで理解する

    まずは、いろんな経営者の考え方に触れることが第一ステップとなります。

    具体的な方法をいくつかご紹介します。

     

    ①先代から学ぶ

    後継者であるならば、一番身近な経営者は先代です。事業承継をする際に、先代がどのような考え方で経営をしてきたのかを聞くことが、疎かになっているケースがよくあります。

    お勧めは、事業承継をする際に、先代に経営計画書を作ってもらう、もしくは、後継者が経営計画書を作りながら、先代が大事にしてきた考え方を聞いて、言語化しておくことです。

     

    古田土会計グループでは、経営計画書に「創業の精神」や「創業者が後へ続く者たちへ伝えたいこと」が明文化されており、経営者の考え方が引き継がれています。

      

    ②本から学ぶ

    経営者の考え方を学ぶうえで、一番気軽に学べるのが書籍です。

    書店に行けば、経営者が書いている本や考え方に良い影響を与えてくれる本は無数にあります。

     

    何を読めばいいか分からないという方のために、

    経営を学べるおすすめ本33選』の記事の中から「経営者の考え方」に参考になる本を選出させていただきます。

     

    ・『経営者のノート 会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針』 坂本光司著

    ・『京セラフィロソフィー』 稲盛和夫著

    ・『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』 藤尾秀昭監

     

    上記以外には、1章でご紹介した3名の書籍もお勧めです。

    ・『考え方』 稲盛和夫著

    ・『実践経営哲学』 松下幸之助著

    ・『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ 坂本光司著

     

    ③雑誌から学ぶ

    本と同様に雑誌からも学ぶことができます。

    経営に関する雑誌は数多くありますので、興味があるものを手に取ってもらうのが一番ですが、我々がお薦めするのは2つです。

     

    一つ目は『日経トップリーダー』

    中小企業の経営に特化した雑誌で、他社事例の質と量は、他の雑誌に比べて随一です。成功事例だけでなく、破綻事例の紹介もあり、事例などを通じて、どんな考え方が正しいのか・間違っているのかを知ることができます。

     

    二つ目は『致知』

    全国1200社の企業で社員教育に使用され、また、11万人に定期購読されている日本で唯一の「人間学」を学ぶ雑誌です。

     

    有名無名やジャンルを問わず、各界各分野で一道を切り拓いてこられた方々の経験談などが紹介されており、「人として何が正しいのか?」「人としてどうありたいか?」ということを深く考えることができる内容です。

     

    ④他社から学ぶ(ベンチマーク)

    「百聞は一見に如かず」という言葉がある通り、書籍や雑誌などで学ぶだけでなく、実際にベンチマーキングで会社訪問をして経営者の考え方に触れたり、会社の社風や雰囲気を間近に見ることで、多くの刺激を受けることができます。

     

    上記以外にも、

    ・経営者向けのセミナーや勉強会

    ・経営者団体 

    などを通じて学ぶことができます。

    3.2 学んだことを言語化して発信

    書籍、雑誌、ベンチマーキングなどを通じて経営者としての考え方がブラッシュアップされていく時に大事なのは、考えや想いを言語化しておくことです。

     

    せっかく良い学びを得ても、すぐに忘れてしまうものです。自分自身の心に響いた考え方を整理して言語化しておき、さらに良いのは外部に発信することです。

     

    発信すると、自分自身への定着率が上がりますし、「言っていること」と「やっていること」を一致させようとする力が働きます。

     

    具体的な方法を紹介します。

      

    ①経営計画書

    言語化するのに、一番の理想は「経営計画書」を作ることです。

    経営計画書は、経営者の想いや考え方を具現化する強力な道具です。

     

    経営計画書には、「使命感」「理念」「戦略」「未来像」「戦術」など様々な要素がありますが、軸となるのは経営方針です。

     

    古田土会計グループでは、経営者の考え方を「経営方針(社長の姿勢)」に言語化しています。



       

     

    経営方針以外にも経営者の考え方が経営計画書に散りばめられていますが、詳細は、

    なぜ経営計画を作っても上手くいく企業とそうでない企業に分かれるのか?』をご参照下さい。

     

    ②社内勉強会

    経営者自らが社員向けの勉強会を開催してアウトプットを繰り返すと、考え方が整理されて、本当に大切にしたい考え方に収斂されていきます。

     

    学んだことを伝えると、自分自身が理解しきれていない、腑に落ちていないことも分かります。

     

    古田土会計グループでは、創業者自らが、毎週月曜日の8時30分から1時間、経営者の考え方や想いを伝える勉強会を開催しており、20年以上も続いています。

     

    ③社内報・ブログ

    いきなり経営計画書を作るのがハードルが高い場合は、社内報やブログなどで言葉にして伝えていくケースも多いです。

     

    ブログなど外部が見える媒体であれば、社員だけでなくお客様や関係者も見ることができます。

    社員と考え方を共有できる、お客様との信頼関係強化、新規見込客への働きかけ、求職者からの共感を得る機会といった複数の効果が期待できます。

     

    以上、3つのパターンを紹介しましたが、手段は何にせよ、言葉にして共有していくと良いです。

    3.3  形から入って心に至る

    学んで頭で理解したとしても、すぐに自分の考え方を変えていくのは簡単ではありません。聖人君子ではないので、最初から「人」を大切にすることを心から思えるわけでもありません。

     

    そこで大事なのは、「形から入って心に至る」という考え方です。

     

    まずは、「形」から入る。「形」ができるようになれば、あとから自然と「心」がついてくるというものです。

    目的は、考え方を変えていくことですが、その手段として「形」から入るわけです。

     

    古田土会計グループの創業者である古田土満が、自分自身の考え方を磨くうえで、形から入って実践してきた内容を紹介します。

     

    ①挨拶・笑顔・明るい社風

    ・ 朝一番に出社し、出社してくる社員を笑顔で迎える

    ・全社員に対して、自分から名前を呼び、一言添えて毎日挨拶をする

    ・全員参加の朝礼を行い、毎日全社員と顔を合わせる時間を作る

     

    挨拶の目的を「相手を元気づけるため・喜んでいただくため」と定義しており、笑顔やプラスの言葉で挨拶を交わしています。

    「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」という言葉が有名ですが、まずは笑顔で挨拶という形を繰り返すことで、後から、明るさや前向きさが備わっていきます。

     

    ②社員への感謝

    ・給料の手渡し

     

    社員数200名の規模までは、給料・賞与を現金で手渡しで支給するという形を取っていました。

    社員がもらいにいくのではなく、経営者自らが、社員一人一人の机のところへ行って、

    「1か月働いてくれてありがとうございます」と感謝の言葉を添えて渡します。その方が、

    社員が喜ぶし、心がこもるからです。

     

    毎月、繰り返すことで、驕ることなく社員への感謝の気持ちを持ち続けることができます。

     

    ・昇給時には直筆の手紙を給与明細に同封

     

    こちらも社員200名くらいまでは、経営者自らが、社員一人ひとりに対して直筆の手紙を年1回の昇給のタイミングで書いていました。

     

    全員同じ文章ではなく、一人ひとりに向けたメッセージになっており、書くことを通じて社員想いの気持ちが深まっていきます。

     

    ③謙虚さ

    ・ 社内清掃、社外清掃を率先して実践する後ろ姿を見せる

     

    掃除は社員や業者がやってくれるのが当たり前という考えではなく、自ら実践して取り組むことで、謙虚な姿勢が育まれていきます。

     

    日本を美しくする会の創設者であり、イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏は、

    頭を使うことは、もちろん大事です。しかし、それだけで打算になります。「おもてなし」など、いくら「心を使う」といったところで、その心は手足を使うことでしか表せないものです。頭を使って手足を動かし、手足を通して心を使う。日本の国をよくしていく道は、これ以外にありません。

     

    手足を使う人がいなくなった国は滅びます。小さなことでよいのです。実践しなければ何も始まりません。一人ひとりが目の前のゴミを一つ拾う、まずはその一歩から。

     

    とおっしゃっており、形から入ることの大事さを見事に表現されています。

     

    こういった形から実践していく過程で、明るさ・協調性・社員への感謝・社会貢献への考え方が育まれていきました。

     

    まずは毎日継続できる身近な取り組みから始めるのがコツです。

    まとめ

    経営者の考え方を紹介してきましたが、これまでも長く世の中から必要とされ、これからも大事なのは「人」を大切にするという考え方です。

     

    これは、一見すると「当たり前」のことですが、徹底できていなかったり、時間の経過

    とともに、自分中心の考え方に陥ってしまいがちです。

     

    だからこそ、

     

    ・定期的に学び続ける

    ・学んだことを発信する

    ・まずは形から入って実践し、繰り返すことで心に至る

     

    を繰り返していくことが大切です。

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