ヒューマンリソースマネジメントとはどういう意味?ヒューマンリソースマネジメントの意味と目的とは

    記事公開日: 1970.01.01

    今すぐ無料ダウンロードする

    無料プレゼント:
    『マネるだけ、埋めるだけで作れる
    経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)』

    今すぐ無料ダウンロードする

     

     

    ヒューマンリソースマネジメントってなに?

    ヒューマンリソースマネジメントとは、HRMHuman Resource Managementの略称)ともいわれ、人的資源管理や人材管理のことを指します。具体的な作業で説明すると、企業戦略の実現のために必要な企業の持っている人的資源を運用し、採用や配置、育成をおこなっていくことです。

     

    一般的には、人事部の作業となりますが、部署内での人材配置は人事部や経営者よりも現場のマネージャーの方が最適な配置を理解しているため、人事部以外にもヒューマンリソースマネジメントという考え方を理解しておく必要があります。

    ヒューマンリソースマネジメントはなぜ必要?

     それでは、なぜヒューマンリソースマネジメントが必要なのでしょうか。ヒトは経営資源として、「モノ・カネ・情報」と並べられる大切な資源です。効率的に各部署で事業を進めていくためにはどの従業員をどこに配置し、どのような作業をさせるのかはとても重要なことです。

     

    一方で、人材配置や採用だけではプロジェクトを上手く遂行していくことはできません。研修やOJTなどの人材育成や、従業員とコミュニケーションをとったり、面談・カウンセリングをおこなったりする心理的フォローも大切なことです。ヒューマンリソースマネジメントはこれらすべてを指し、企業運営にとって必要不可欠な考え方とされています。

    ヒューマンリソースマネジメントが注目されているワケとは   

    ヒューマンリソースマネジメントが注目される理由としては、前述の通り、大切な経営資源であるヒトを有効活用していくために採用・人材配置・人材育成・心理的フォローをおこなっていく重要なマネジメント手法だからです。

     

    現代社会では働き方が多様化しており、従業員一人ひとりの特性・価値観・能力が重要視される世の中になってきています。そのため、ヒトをコストとしてとらえるのではなく、より働きやすくなるようにテレワークや時短勤務の導入や、立候補制度の導入、メンター制度の導入などもヒューマンリソースマネジメント手法として注目されています。

    ヒューマンリソースマネジメントとヒューマンキャピタルマネジメントの違いとは

    ヒューマンリソースマネジメントと似たような言葉に、ヒューマンキャピタルマネジメントという言葉があります。ヒューマンキャピタルマネジメントとは、HCMHuman Capital Managementの略)とも呼ばれ、ヒトではなくヒトの能力を資源として管理していく手法のことを指します。目的としては、ヒューマンリソースマネジメントと同じで「業績の最大化」になります。

    ヒューマンリソースマネジメントでは具体的にどういう業務をおこなうのか

    それでは、ヒューマンリソースマネジメントは具体的にどのような業務をおこなうのでしょうか。具体的な業務は下記3点です。

     

    ・心理的契約の形成

    ・社風の醸成

    ・心理的契約の調整

    心理的契約の形成

    ヒューマンリソースマネジメントであげられる具体的な業務の一つ目は、「心理的契約の形成」です。心理的契約とは、デニス・ルソー氏の考え方で、「個々の従業員の事情に配慮し、個別的な扱いを許容するI-deals(個別配慮)です。

     

    グローバル化や働き方改革が進み、働き方が多様化するなかでは従業員本人だけでなく、企業や周囲にとってもメリットとなることが多い考え方です。心理的契約の形成は、「何を提供してほしいか・何を提供できるか」「何を提供してほしくないか・何を提供できないか」を従業員と企業がお互いに合意のうえに形成していきます。

    社風の醸成

    ヒューマンリソースマネジメントであげられる具体的な業務の二つ目は、「社風の醸成」です。多様化する働き方のなかで、社風も多様性が求められてきます。

     

    「なぜそのヒトが必要なのか」「個別配慮するということは周囲とは異なるということなので、なぜ周囲と異なる条件が認められるのか」「そのヒトを採用すると、周囲にどのようなメリットを与えることができるのか」をしっかり説明することが重要となります。上記について個々の従業員が理解を深めることで、多様性のある社風を作り上げることができます。

    心理的契約の調整

    ヒューマンリソースマネジメントであげられる具体的な業務の三つ目は、「心理的契約の調整」です。心理的契約は日々の業務や周囲の状況に応じて徐々に変化していきます。そのため、心理的契約は形成後にメンテナンスしていくことが重要になってきます。

     

    キャリア研修や部下との面談、メンター制度などを通じて、従業員一人ひとりがどのような契約をしているのか、その契約が現状の自分にとって相応しいかを見直す機会を設けるようにしましょう。

    ヒューマンリソースマネジメントの代表的なフレームワーク

     ここからは、ヒューマンリソースマネジメントの代表的なフレームワークを紹介していきます。ここで紹介するフレームワークは下記5つです。

     

    ・ミシガン・モデル

    ・ハーバード・モデル

    ・ワーウィック・モデル

    ・ウルリッチ・モデル

    ・ゲスト・モデル

    ミシガン・モデル

    まずは、「ミシガン・モデル」です。ミシガン・モデルは1980年代のミシガン大学での研究がベースとなっており、ヒューマンリソースマネジメントの基本的な概念とされています。ヒューマンリソースマネジメントの「採用・人材評価・報酬・人材開発」の4つを用いてサイクルが構成されています。まずは、人材採用をし、パフォーマンスに応じて人材評価をおこないます。評価内容をもとに報酬を決め、人材開発を進めていくことで従業員だけでなく企業のパフォーマンスアップを図ります。

    ハーバード・モデル

    次に紹介するのは、「ハーバード・モデル」です。ハーバード・モデルもミシガン・モデル同様に1980年代の研究がベースとなっており、こちらはハーバード大学で実施された研究がもとになっています。ハーバード・モデルでは、ヒューマンリソースマネジメントはステークホルダーの利害と状況要因が大きな影響を与えるとしています。「従業員の影響・人的資源のフロー・報酬システム・職務システム」の4つを機能させて、従業員に長期的なパフォーマンスの向上を図ってもらいます。

    ワーウィック・モデル

    次に紹介するのは、「ワーウィック・モデル」です。ワーウィック・モデルとは、1990年にハーバード・モデルをもとに研究されたフレームワークのことです。ワーウィック・モデルは外部と内部のバランスに注目しており、「外部コンテキスト・内部コンテキスト・ビジネス戦略の内容・ヒューマンリソースマネジメントコンテキスト・ヒューマンリソースマネジメントコンテンツ」の5つの要素を重要視しています。

    ウルリッチ・モデル

    次に紹介するのは、「ウルリッチ・モデル」です。ウルリッチ・モデルとは、1995年にデイビッド・ウルリッチ氏によって考えられたフレームワークです。ウルリッチ・モデルは「ヒト」に着目し、プロセスや機能だけでなく、「ヒト」に関わる、組織や従業員、役割、事業計画などにも焦点をあてており、「戦略的パートナー・管理のエキスパート・従業員チャンピオン・改革をおこなう人」の4つを重要な要素としています。戦略的パートナーが改革案を考え、改革をおこなう人が個々の従業員に落とし込んでいきます。そして、現場では管理のエキスパートと従業員チャンピオンと呼ばれる管理職やチームリーダーが現場業務をまとめていきます。

    ゲスト・モデル

    最後に紹介するのは、「ゲスト・モデル」です。ゲスト・モデルは、1997年に考案された人事マネージャーが戦略的な主導権を持つべきとするフレームワークのことを指します。このモデルは後から出てきたモデルでもあるため他のモデルよりも評価が高めです。人事マネージャーが戦略を決定して、その戦略にあわせて人事を要求していきます。そして、この人事慣行を実施した結果として、パフォーマンスや予算を決定していきます。

    ヒューマンリソースマネジメントで導入すべき2つの制度

    ヒューマンリソースマネジメントでは、「人事制度」と「評価制度」の2つの制度を導入することをオススメします。それぞれの制度でどのような内容を盛り込むとよいかを解説していきます。

    人事制度

    ヒューマンリソースマネジメントで導入すべき一つ目の制度は「人事制度」です。人事制度では、それぞれの従業員に寄り添った制度にしていくことをオススメします。従業員の背負っているものは個々によっても異なります。従業員が働きやすい施策を盛り込んでいきましょう。まずは、介護や育児の方が働きやすいように「時短勤務」などの業務時間の配分を整備しましょう。また、無駄な残業がないか、会議時間は適正か、業務量と人員配置が適切かも確認しましょう。また、新型コロナウイルスの感染拡大で導入する会社が増加しましたが、「在宅勤務」をおこなえる環境を整えていきましょう。例えば、オンライン会議のツール導入やシステムセキュリティの強化があります。

     ②評価制度

    ヒューマンリソースマネジメントで導入すべき二つ目の制度は「評価制度」です。評価制度では、公平でかつ明確な評価制度にしていくことが重要です。

     

    評価制度としてオススメのものを3つ紹介します。

     

    まずは、「目標管理制度」です。これは従業員が自主的に目標を決め、会社と目標を共有し、管理していくという評価制度です。目標と到達するまでのプロセスは具体的に決めるようにします。

     

    次は、「360度評価」です。この評価を導入することで、直属の上司の一存で評価するのではなく多様な視点から従業員を評価していくことができるので、目立たない人であっても貢献度を評価することができるようになります。

     

    最後に紹介するのは「コンピテンシー評価」です。この評価では職務ごとに定められた行動特性を評価していきます。交渉力・コミュニケーション力・ストレス管理能力・説明責任能力・タイムマネジメントなどの観点から評価していきます。

    企業におけるヒューマンリソースマネジメントの導入事例

     最後にヒューマンリソースマネジメントを導入している企業の事例を紹介していきます。紹介する企業は下記3社です。

     

    ・サムスン電子

    ・イトーヨーカドー

    ・日産自動車

    サムスン電子

    まずは、「サムスン電子」について事例を紹介します。サムスン電子では、グローバルな人材の育成や能力の開発構築のために1990年代からヒューマンリソースマネジメントを導入しています。「人材第一」という経営方針から優秀な人材の採用や従業員の競争性が上がるような仕組みを取り入れ、成果報酬型に切り替えていきました。また、希望者には2年間の成均館大学・マサチューセッツ工科大学で研修、グローバル育成をおこない、人的資源の管理にも力を入れています。

    イトーヨーカドー

     次は、「イトーヨーカドー」の事例を紹介します。イトーヨーカドーでは、従業員が働きやすく通勤しやすいように、勤務地を従業員自らが選択できるという制度を導入しました。また、従業員のモチベーションを上げるためにキャリアアップするための評価やステップを明確化しました。社員以外のパートタイム勤務の人に対しても、自己評価と上長の評価をあわせて人材評価をおこなう「セルフチェック制度」を導入し、イトーヨーカドーで働くすべての人が働きやすく、そして、やる気も上がるような試みをおこなっています。

    日産自動車

    最後に紹介する事例は、「日産自動車」です。日本の車は海外でも需要が高いため、日産自動車は「グローバル人材の育成」を課題として、ヒューマンリソースマネジメントを取り入れました。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から少数精鋭の経営体制に切り替え、採用だけでなく既存の人材に対する人材育成にも力を入れています。一例をあげると、2015年には「LearningNissan」という学習管理システムを導入し、従業員がより効率的に勉強を進められるようにしました。

    まとめ    ヒューマンリソースマネジメントは企業の人事部署だけがおこなうものではない             

     ヒューマンリソースマネジメントは人事部だけがおこなうように思われがちですが、各部署の人材育成や人材配置にも関わる重要なマネジメント手法です。

     

    ヒューマンリソースマネジメントの考えをしっかり理解し、企業経営に取り入れていきましょう。

    今すぐ無料ダウンロードする

    ~あなたの会社もすぐに作れる~
    『マネるだけ、埋めるだけで作れる経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)』

    無料プレゼント!

    今すぐ無料ダウンロードする

    いかがでしたか?お気に召したのであればシェアはこちらから。

    PDF書籍 無料プレゼント